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【救急破壊】 八百屋で極上の鯛を用意できないとクレームを入れる客を増やす NHKニュースウォッチ9(今夜も特集あり)
http://www.asyura2.com/07/iryo01/msg/431.html
投稿者 どっちだ 日時 2008 年 2 月 13 日 12:58:05: Neh0eMBXBwlZk
 

---天漢日乗 から転載--------------------------------------------------------
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/02/webnhk9_95d5.html


2008-02-13
救急医療崩壊 朝日大阪本社の連載「救急存亡」webでも開始→昨夜のNHKニュースウォッチ9では「専門外の医師が手を尽くさないのは怠慢」と非難する論調 医師は労働者として最低の権利も認められず疲弊する一方

2/7から、朝日新聞大阪本社が社会面に
 救急存亡
という全4回の連載を掲載した。
昨日から、webでもちょっと遅れて連載が始まった。

=====朝日新聞 ==================================================================

(1)「殉職」 救命の代償 我が命
http://www.asahi.com/kansai/news/kyuukyuu/OSK200802120037.html

 銀のシートに入った錠剤を机に広げた。抗うつ剤。2、3粒取り出しては、缶ビールで流し込む。一向に落ち着かない。また数粒、さらに数粒と飲み続けた。昨夏の夜のことだ。
 午前1時を回ると、意識がぼんやりしてきた。気がつくと病院のベッドの上。朝、出勤して来ないのを心配した同僚が駆けつけてくれた。飲んだのはざっと100錠。致死量は優に超えていた。

 男性は45歳。当時、関西の救命救急センターで働く救急医だった。

    ■

 大学病院で10年余、小児科医として勤務。生体肝移植に携わった経験から、集中治療室での患者管理の技術を高めようと、05年の夏、救急の世界に飛び込んだ。

 想像を超える激務はすぐやってきた。当直は月6回。一晩に重症患者が4人ほど運ばれてくる。重篤なら3、4時間はかかり切り。集中治療室にいる別の患者もいつ急変するかわからない。極度の緊張で仮眠も取れないまま、連続40時間勤務が当たり前になった。

 心肺停止の赤ん坊を蘇生させた時、脳に損傷が見つかり、父親に怒鳴り込まれた。「医療ミスやないか」。子ども好きの男性にはショックだった。落ち込む日が続き、うつ病と診断された。

 大量服薬による「自殺未遂」。周囲にはそう言われたが、明確な意思はなかった。4カ月間仕事を休み、退職した。過労が原因で発病したとして労災認定を申請中だ。

 今は民間病院に勤める。「人の命を救うのに自分の命を削っていた。救急に戻りたい気持ちもあるが、心も体も持たない」。薬はまだ、手放せないでいる。

 患者だけでなく、自らの死と向き合う医師たちがいる。

 昨年2月、勤務先だった北海道富良野市の富良野病院に救急搬送され、心原性ショックで急死した男性小児科医(当時31)の労災が認められた。死亡直前の5日間で32時間残業した。前に勤めていた士別総合病院(士別市)でも月100時間超の時間外勤務。急患対応の自宅待機も続き、呼び出されないのは月に1日程度だった。

    ■

 「心配かけてごめん、お母さん」。その電話が、麻酔科勤務の女性研修医と母(63)の最後の会話になった。

 04年の正月明け、十全総合病院(愛媛県新居浜市)の外来病棟で倒れているのが発見された。自分で静脈に麻酔薬を注射し、28歳の命を絶った。

 麻酔医は緊急手術が不可欠な救急医療の要だが、病院にはたった2人。1時間以内で駆けつけられるよう求められ、近くの温泉に母と出かけた時も昼夜を問わず携帯電話が鳴った。

 03年2月、急に手足に力が入らなくなる「ギラン・バレー症候群」になった。3月末まで自宅療養するはずが、病院から「忙しいので戻ってほしい」。5月、帯状疱疹(ほうしん)を発症。勤務先に8日入院したが、病室から毎日、医療現場に向かった。

 両親は病院を提訴。大阪地裁は昨年5月、過労と自殺との因果関係を認め、病院側に約7700万円の賠償を命じたが、大阪高裁で係争が続く。

 「娘は医師不足の犠牲者」。父(64)は、そう信じて疑わない。

    ■

 02年2月、大阪府守口市の関西医科大付属病院で死亡した研修医について、大阪地裁が過労死と認定。これを機に、薄給で長時間労働を強いられる研修医の実態が問題視され、04年度に始まった新臨床研修制度で待遇改善が進んだ。皮肉にも、その「しわ寄せ」が中堅医師に及ぶ。

 過労死弁護団全国連絡会議で代表幹事を務める弁護士の松丸正は警告する。「救急医療の崩壊を救うのに、国は何もしてくれない。現場の医師だけが踏ん張り、そして自身が壊れていく」

 もはや、使命感だけでは医師たちを現場に引き留められない。医療ミスを招きかねない劣悪な労働環境に悩んだ末、救急の看板を下ろす病院が全国で相次ぐ。(敬称略)

   ×   ×

 日本の救急医療が危機に瀕(ひん)している。少子高齢化で救急搬送が増え、患者の権利意識も高まった。疲弊した医師が次々と去り、さらなる激務を生む「負のスパイラル」から抜け出せるのか。病根が深まる現場から、報告する。

 《医師の過労死・過労自殺》 厚生労働省の医師勤務状況調査(06年3月)によると、病院勤務医の労働時間は1週間当たり平均63.3時間。月平均の時間外労働は、同省が「過労死ライン」とする月80時間を超す。過労死弁護団全国連絡会議のまとめでは、医師が過労死または過労自殺で労災認定されたり、労災補償の対象になったりしたのは、昨年11月現在で計22件。うち16件が02年以降と増加傾向が著しいが、「氷山の一角」との声も根強い。
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人を救うはずの救急の現場で医師が過労死で死んでいく。
hamachan議長は、ご自分のblog「EU労働法政策雑記帳」の
2008年2月12日 (火)世の中の問題の多くは労働問題なんだよ
http://www.asahi.com/kansai/news/kyuukyuu/OSK200802120037.html
で、過重労働で産科医が疲弊しているという読売の記事を取り上げて

====「EU労働法政策雑記帳」======================================================

そういう風にしてきた責任の一端は、読売新聞も含めたマスコミにあることを認識していただきたいとも思いますが。医療問題を専ら健康保険財政問題と消費者サービス問題に極小化し、医師たちの労働実態という目の前にある問題から目を背け続けてきたのは、(もちろん国民の意識がそうだったからそれに沿っただけだと言えばそうでしょうが)記者たちの頭の中に、そういう問題意識に反応する回路ができていなかったからであることは確かなんですから。

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と論じている。
 労働者であるにも関わらず「無私の奉仕」を無制限に求められてきた医療従事者
でも、
 異動が頻繁に起こり、未組織労働者が多い医師の労働の質
について、これまでマスコミはまともに取り上げてこなかったし、昨日の
 NHKニュースウォッチ9
では、
 萎縮医療
の問題を
 医師の怠慢であるかのような論調で非難
していた。NHKでは
 医師は労働者として最低の権利も認められず、「専門外でも、訴えられるのを恐れずにできるだけ治療に当たれ」という論調
だった。つか勝村久司氏のインタビューを取ってる段階で
 「理想の医療」=医師へ無理な注文を出すのが「患者の権利」という論調の取材
だというのが丸わかりだ。
 理想の医療
とは、絵に描いた餅である。可能なのは
 現場でできる、最善の手だて
であり、それは
 その処置に責任が負えるか否か
にかかっている。それともNHKは
 技術がなくても、ともかく治療しろ、なにかあったら責任は全面的に負え
というつもりか。

勝村久司氏は、いまや決して「弱い患者の代表」ではない。
昨日のNHKのような取材を続ける限り、マスコミは、自らが
 八百屋で極上の鯛を用意できないとクレームを入れる客を増やす
ことになると気がついてない。この点については、以下の記事が参考になるだろう。
高知新聞の連載「医師が危ない 第1部 残業200時間の世界」より。

====高知新聞===================================================================

(6)既にデパート化!?
http://203.139.202.230/08doctor/080209doc01.htm

県内病院における脳神経外科医(常勤)の減少状況(表)
http://203.139.202.230/08doctor/parts/080209doc.gif

 県東部の脳神経外科の衰退と、ヘリ搬送の急増にあえぐ高知医療センター(高知医療センター)脳外科。溝渕雅之医師(48)はもう一つ、違う角度からの悩みも漏らした。

 「救急病院のコンビニ化が問題だって言われてるじゃないですか。それはもう、ひと昔前の話。患者さんが要求しているのは夜も開いている専門店。『おにぎりじゃなくて、シェフの作りたてが食べたい。夜中にわざわざ来たんだから』。そういう人が増えたんです」

 例えば耳の調子が悪い患者に「当直医は外科です」と言うと、「じゃあ、耳鼻科の先生が来るまで待ちます」。自宅待機の当番医が呼び出されることになる。

 「デパート化ですよ。夜中の救急処置なのに、何から何まで担当科の医師が呼ばれる。そんなことしてたら皆、へとへとになってしまうのに」

 彼の話は高知医療センター全体を覆う疲弊感に広がった。

 昨年九月、高知医療センターは当直体制を変えた。医師が減少して、当直医が減ったためだ。四十数人で回していたのが三十人を割り、「これじゃ、体が持たん」ということに。副院長以下、ほとんど全員総出で日直、当直をするように改めたのだ。

 減少の背景には、大学の医局の引き揚げもあるし、人間的な生活を求めて外へ出た医師もいる。実は、驚いたことに、高知医療センターの大看板「救命救急センター」のトップ二人も十九年夏、相次いで去っていった。

 医者が次々と消えていく。心療内科も昨年三月限りでなくなった。神経内科は昨年六月までに、三人いた常勤医が消えた。

 神経内科の崩壊は、脳外科にとっても痛手だった。けいれん発作や、脳卒中のうちの脳梗塞(こうそく)を診てくれていたからだ。心療内科も、脳障害の後、うつ状態になったり、夜間の妄想でわれを忘れる患者についての相談ができなくなった。

 「脳外科が二人増えても、神経系が四人減っているから全然、楽になっていないわけです」

 そしてこう漏らした。

 「世間は高知医療センターを、建物が大きくて立派なんで、医師もすべての科がそろっていると思っているかもしれないけど、実は全然違う。医師はマシンじゃないんだから。百メートル十秒で走り続けろと言われても無理。ナースは三交代勤務で、その上、手厚い看護とかで『七対一看護』なんて言ってるけど、ドクターは出ずっぱりなんですから」

 そうした余裕のなさの上に、高知医療センターの医師はさらに“仕事”を背負う。

 「外来でプライバシーを守るため、医師が患者さんの所まで行って小声で呼ぶじゃないですか。血圧も医師が測る。確かに大切だと思うけど、その時間があれば電子カルテが打てるし、患者さんの待ち疲れも少しは減らせるんですよ」

 高知医療センターのキャッチフレーズは「患者さんが主人公」。

 「それはその通り。時間が無限にあればそれもできるけど、今の現実とは、懸け離れてるわけです。そういうのが嫌になって、ここだけでなく、日本のあちこちで医師がひっそり消えていっている。僕の言ってることはおかしいですか?」

 溝渕医師の口調は激しさを増していった。

 その話からしばらくして、私は彼の言う「現実から懸け離れた世界」へ足を踏み入れた。

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高知医療センターでは、専門医が呼び出されるが、昨日のNHKニュースウォッチ9が求めていたのは
 専門外でもともかく診ろ
という
 医療の本来を無視した暴論
だった。今夜続きの特集をやるらしいな、NHK。

2008-02-13

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