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長野からの悲鳴
http://www.asyura2.com/07/iryo01/msg/269.html
投稿者 どっちだ 日時 2008 年 1 月 10 日 02:08:36: Neh0eMBXBwlZk
 

(回答先: 長野県の医療、ピンチ 投稿者 どっちだ 日時 2008 年 1 月 10 日 01:46:58)

『医療破壊』は日米経済界からの要請です。徹底的に医療は破壊しつくされます。医師も海外や医療以外の分野に逃散しつくしてしまうでしょう。逃げ遅れて現場に残された医師は、自己保身のため徹底的にサボるしか生き残る道はありません。

それは、そうなって初めて、『高額な医療負担に耐える国民の心構え』ができあがるからです。そうなって初めて、医療100兆円市場を経済界は自らの手にできます。

自公をこの国から追放する以外に解決策などありません。民主党も厳しく監視しておかないと何しでかす事やら、心配山積みです。


---新小児科医のつぶやき から転載---------------------------------------------
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080109


2008-01-09 長野からの悲鳴

私も含めた医療系ブロガーが別格として遇しているブログが「ある産婦人科のひとりごと」 http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/ です。このブログがいかに偉大な功績を残してきたかは誰もが知っていますし、管理人氏がいかに誠実な人柄で、どれだけ産科医療に真摯な情熱を燃やしているかは言うまでもないことです。

その1/6付エントリーの県内中核的病院 産科医3割減 (信濃毎日新聞)から引用します。http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2008/01/post_d6f6.html

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長野県内の地域中核病院における産婦人科勤務医数が、最近4年間だけで3割減ってしまった!という非常にショッキングな調査結果が、本日の信濃毎日新聞の第1面に掲載されました。

地域中核病院の産婦人科勤務医数は予想をはるかに超えるスピードで減少しています。多くの地域中核病院が相次いで産科部門の閉鎖を余儀なくされています。現時点で何とか稼動している産婦人科でも、今後、勤務医の離職を補充することができなければ、産科部門を休廃止せざるを得なくなります。

各医療圏では、何とかしてこの危機的状況を打開しようと、それぞれ、地域としての対応策を必死になって協議しています。しかし、協議をするたびに次から次へと新たな難問に直面し、頻繁に対応策の全面的練り直しを迫られているような状況です。

個々の医療圏や県レベルの自助努力には限界があり、このままではこの先、各医療圏の産科医療体制がどこまで持ちこたえられるか全くわかりません。

現在の産科医療の危機的状況を打開してゆくためには、根本的には、国レベルの有効な施策による後押しが絶対に必要だと思われます。
================================================================================


長野県の中核病院産婦人科医数が4年間で3割も減少しているというニュースを引用しての論評です。これは論評などという生易しいものではなく、悲鳴ないし魂の叫びと受け取ってよいと感じます。

データを少し補足しますが、2005.12.1時点で長野県内の産科病院は33施設になっています。その後、昨年末時点で33施設のうち11施設で分娩が休止しており休止率は33%になります。年数が若干相違しますが、産婦人科医数が減った分だけ分娩施設を有する病院が減っている事になります。つまり分娩施設の減少は集約化で充実したわけではなく、純粋に目減りした事になります。

長野県でも少子化の影響はあり、出生数は減っていますが、各種資料をみてもこの4年間に10%も減っていません。5%も減っていないと言っても良いと思います。そうなると分娩施設が減り、産科医が減った分だけ残っている産科医の負担がずしりと重くなります。あくまでも概算ですが2005.12.1現在の産科医実数は109人で産科医一人あたり平均で178件の分娩を取り扱っています。医師が2004年比で3割減ったなれば、出生数の減少を差し引いても最低2割以上の負担増となっているはずで、そうなると産科医一人あたりの平均分娩数は210件以上になります。

産科医一人あたりの適正分娩数は120件とされています。210件以上とは実にその約1.8倍の負担が圧し掛かっています。日本には埼玉県のように産科医一人平均338件(2005.12.1時点)という、産科医が棲息している事自体が信じられない県もありますが、178件でも多すぎますが、200件を越えるというのは異常事態です。

もちろん管理人氏もこの危機に精力的に取り組んでいます。

================================================================================
各医療圏では、何とかしてこの危機的状況を打開しようと、それぞれ、地域としての対応策を必死になって協議しています。しかし、協議をするたびに次から次へと新たな難問に直面し、頻繁に対応策の全面的練り直しを迫られているような状況です。
================================================================================


管理人氏は私のような町医者と違い、中核病院の責任者ですから、実際にこういう協議に出席し、打開策に頭を痛められているのだと思います。管理人氏の持論は集約化による改善策です。この事は管理人氏のブログを読まれた方なら熟知されていると存じます。集約化の真の是非については異論もありますが、現実策としてはもっとも妥当な方策の一つではあります。

集約化のデメリットは妊婦、患者にとって通院時間が長くなることです。しかし長野の実情はそういうデメリットを超えたものがあり、とにかく集約化することにより産科戦力を高め、同時に産科医に少しでも余裕をもたせることで、長野の産科の壊滅を防ごうとの考えです。

集約化には様々な問題があります。大学系列のエゴも出ますし、地域エゴも出ます。そういう問題は一筋縄で行かないのですが、取り組んでいるうちにもっと深刻な問題が噴出しているのが長野の実情かと思います。集約するにも3割も病院産科が減ってしまえば、集約する前に数だけは集約されてしまったのです。つまりこれ以上は集約するにも集約できない事態まで追い込まれていると考えます。

病院数が3割減って、産科医の数が同じなら各病院に3割分の医師の増加が見込めますが、産科医も3割減ってしまったら、薄い配置のままです。長野の地域事情には詳しくありませんが、残っている病院産科をさらに半減して集約は現実として難しい状況にあるんじゃないかと考えています。雪は多いですし、地形も複雑ですからね。

そのために、

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個々の医療圏や県レベルの自助努力には限界があり、このままではこの先、各医療圏の産科医療体制がどこまで持ちこたえられるか全くわかりません。
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この持ちこたえられそうに無いというのは、本当の実感と思います。出生数はそんなに変わりませんから、櫛の歯を引くように産科医が減れば、残った産科医はますます重い負担を背負います。重くなればまた耐え切れず脱落する産科医が出ます。仕事の負担が限界を越えているのは、残っている産科医もよくわかっていますから、留まってくれと説得するのがいかに無意味かも知っています。醒めた形勢判断なら去っていくほうが余程正しい判断になるからです。

そうなると出てくる結論は、

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現在の産科医療の危機的状況を打開してゆくためには、根本的には、国レベルの有効な施策による後押しが絶対に必要だと思われます。
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たしかにそれ以外に打開の道は無いと共感します。ところがですが、この国に長野を助ける気はあるのでしょうか。

産科医一人あたりの平均分娩数が210と言えば、2005.12.1時点でほぼ奈良の産科事情に匹敵します。奈良も2006年以降に産科事情が好転した事はありえない県です。ここで平成19年10月5日に「2007年8月奈良県妊婦救急搬送事案調査委員会(第3回) http://www.pref.nara.jp/imu/2007-8ninpukyukyu/dai3kai/index.html 」が開催されています。この委員会は奈良流産騒動の後を受けての対策会議みたいなものです。

そこには奈良県知事臨席の下、奈良の医療関係者、また大阪の医療関係者も参加していますが、厚労官僚も出席しています。会議での厚労官僚の発言は有名なものがあります。発言は二つで、

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第一の発言、

国では医師確保支援チームとして、各ブロック毎に相談に乗る体制は整備している。現在、緊急臨時的医師派遣としていくつかの道県へ医師派遣を行なっているが、それはその地域の医療資源をフルに活用してもやって行けない地域にしている。

奈良県は全国的にみると、まだ医療資源を総動員する余地があるのではと考えている。関係者一丸となって取り組んでいただきたい。また、コーディネーターを募集しているが、助産師資格を持った人で応募者がいるのかと思う。公的病院に助産師資格を持っていても助産師業務に携わっていない者もあるのではないか。地域の医療機能を評価すれば、新たな面が見つかるのではないか。

第二の発言、

まだまだ活用の余地があり、最低レベルでないと言うこと。一人で300件の分娩を扱う例もある。
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現在の正確な数字は把握しようがありませんが、奈良と長野の数字上の産科事情はほぼ同等かと考えます。その奈良の産科でも国はテコ入れするレベルで無いと明言しています。従って長野がいかに国に訴えでても「まだまだ活用の余地があり、最低レベルでないと言うこと」で門前払いされる懸念があります。

この厚労官僚の発言を考慮すると、管理人氏のイバラの道は必然的に続かざるを得ない事になります。医師ブロガーのすべてが敬愛する管理人氏に対し、なんとかしてあげたいの心情を持たない者はいないとは思いますが、自助努力ではもはやなす術も無く、国に応援を頼んでも門前払いされそうな状態には怒りすら覚えます。

願わくば奈良担当の厚労官僚だけが超電波官僚であり、長野担当の厚労官僚はもっと常識をわきまえた方であることを祈ります。そして長野からでも構いませんから、産科再生のパイロットモデル県になってくれることを願います。さらには長野のモデルが成功して全国に波及してくれる事もです。こういう願いや祈りが、夢や妄想ではなく、現実になる年になってくれないかを念じずにはいられません。

コメント


Med_Law 2008/01/09 09:46 日本の終戦前に沖縄戦があったように、原爆を二回落とされたように。。。。

この国が降参するのは、地方が火達磨になるときではなく、東京が焼け野原となるときではなく、原爆級の危機が切迫した時なのでしょう

私が大将であったら、長野の兵隊は即時撤退です。兵隊個人の努力を超えてシステムが破綻しているのですから、全滅より撤退です。
患者個人の幸福追求権より、働く医師の生存権が優先されていけない理由はないでしょう。
それとも医師の生存権は、患者の幸福追求権より軽いのでしょうか?

長野と産科医を継いでいるのは、産科医の倫理観だけでしょう
実際、他府県は手ぐすね引いて、好条件で受け入れてくれることでしょう。
大事なことは、産科医個人が潰れないことです。
病院に辞職願を出したとして、誰が非難できるというのでしょう?

中核の先生一人が抜けるだけで、大学病院すら立ち行かなくなるかもしれません

長野は山に囲まれており、近県からの応援というのも地理的に困難なものがあります
産科再生のパイロットモデルでなく、産科消滅の記念碑となることでしょう

崩壊後の日本のシナリオを書いているかどうかが試される時期になりました。
あとはカウント・ダウンだけでしょう

ハーフドロッポ2008/01/09 10:36
Med_Law先生のご意見に同意です。
新味のない言い方ですが、[長野県の産科医療」≒「餓島」ではないでしょうか?
もっとも、長野県のことだけでも、産科だけの事でもないでしょうが。

もはや一兵卒が現場で何を叫ぼうともこの国の医療の行く末を
変えることは出来ないのだと観念しています。

「お上がアホやから医療出来へん」といいながら多くの医師が現場から離れています。

過去のデータを以ってしてこの惨状ですから、現況を察するに余りあります。

はるる 2008/01/09 11:07 はじめまして。いつも拝読しております。
医療従事者ではありませんがこちらで勉強させていただいています。

Med_Law先生
今、長野で秤にかけられているのは
患者個人の幸福追求権と働く医師の生存権なのでしょうか?

いたたまれなくなり、つい書き込ませていただきました。
お邪魔して申し訳ありません。

Bugsy 2008/01/09 12:11 せめて県境の地域はお隣の県に受診されたら、或いは応援を募ったらとも思うのですが、長野県に隣接した県からの応援も残念ながら極めて困難です。
岐阜県や山梨県の産科、群馬の産科、新潟の産科も現状はうーんと首をかしげます。
これまた壊滅目前の状態です。
戦力の小出ししか出来ず、周辺の都道府県をも巻き込んだ広域が枯渇状態をおこすやもしれません。コーディネーターをとは云いますが、足りないジグソーパズルをはめるようなもんです。そもそも3割減とは師団で云えば統一行動がもはやとれず、作戦行動は不可能、敗北に至った状態にあると行政が認識すべきです。

Yosyan 2008/01/09 12:22 はるる様

Med_Law様の書き方は独特なので気になったのかもしれませんが、

 >今、長野で秤にかけられているのは
 >患者個人の幸福追求権と働く医師の生存権なのでしょうか?

医師の本分として「患者のため」は非常に重いものです。絶対に近いところがあり、「ある産婦人科医のひとりごと」の管理人氏もそのために悲鳴をあげながら努力を重ねています。例えは悪いですが、軍隊での命令みたいなもので、通常は逆らう事なんて夢にも思わないものです。

それほど重い「患者のため」を秤にかける事態は異常です。Med_Law様も軽々しく口に出来る言葉ではありません。それをあえて医師が書く事態そのものが深刻を極めている表現と思って頂ければ幸いです。

Yosyan 2008/01/09 12:47 Bugsy様

関西の人間なので実感は薄いのですが、地方から逃散した医師の受け皿としてはやはり東京が最大と思います。中部から北信越、関東、東北はとくにそうではないかと思っています。産科以外もそうでしょうし、産科も当然そうかと考えてよいはずです。

長野がらみで産科ニュースで、どこかの病院産科が昭和大が引き上げて休止のニュースがありました。あれも引き上げられた産科医は東京に行ったと考えるのが妥当でしょう。そうなると相当数の産科医が地方から東京に流入したはずです。

そうなれば通常は東京は安泰のはずです。逃散医師の受け皿ですから、それこそ余るほどいても不思議ありません。ところが東京の産科事情もマシ程度です。周囲の県よりはマシですが、安全圏とは間違っても言えません。

これは見様なんですが、東京を守るために地方から医師を引き抜いているとも見えます。そのために周囲の県が苦しくなっている面もあると思います。しかしそこまで犠牲を払っても東京の戦力が十分かといえば、そうでないのはBugsy様がよく御存知かと思います。

これって末期的と言えると思います。まるで本土決戦で必勝を期すと言っていた大戦末期の日本の状態とも言えますし、ベルリン市街戦の段階になっても「勝つ」と繰り返していたナチスドイツとも言えます。「勝つ」と唱える人物の計算基礎が、帳簿上の戦力計算だけで実質がなくなっているのと同じです。

穿ちすぎである事を祈るばかりです。

cobonzu 2008/01/09 13:26 損耗率3割は「全滅」ですよね。

前日の項では、私もベルリン戦で戦力として事実上存在しない師団へ出された総統命令のことを思い出していました。

http://www1.ntv.co.jp/action/theme/02/ には、こんな書き込みがありました。(伏字を一部入れました)
『** ** さん

 名古屋に住まう産婦人科医です。報道による問題が実際に起きている実例を報告させていただきます。
 昨年の奈良死産報道以来、「妊婦のたらい回し」報道に名古屋市は神経をとがらせ、市消防局の方針として「2医療機関に断られたら、即座に県周産期センターに移送」と方針を決めてしまいました。県周産期医療センターは昨夏の時点で、「歩いてこられる状態の妊婦は、たとえどれほど問題があっても受け入れ不能」という状態になっていたにもかかわらず、です。「救急車で来る妊婦を必ず受け入れる」という方針のために、そうなっていたのです。そこへさらにこのような方針を決定されれば、さらに負担が過重になることは目に見えています。
 このままでは我々一次医療機関の頼みの綱、県周産期センターが瓦解してしまいます。これが「たらい回し」と批難する報道が産んだ現状なのです。

2008年01月09日 08:22』

ssd666 2008/01/09 13:39 ベルリン戦なら、アメリカ側に投降という選択肢がありますが、どうみても周りに露助しかいないスターリングラードな件について。

元勤務医元勤務医 2008/01/09 15:05  政策も地方行政も住民の総意です。
 住民は地域の医療サービスを含めた住みやすさを意識して住む場所を考えるでしょう。ただ引越しにはコストがかかることから、できれば今住んでいる地域を住みやすくしたいと思い、環境を整える能力がある代表者を選出しようとします。
 医者は患者さん幸福に医療面で寄与できることを目指しています。そして仕事場も最大限に患者さんのために腕を振るえるよう身の丈に合った医療施設を選びます。たとえば医療費を抑えながら安く、安全に、何時でも、確実に・・・を求めている地域では、それを身の丈に合っていると思っている医師がずいぶん限られてしまいます。わたしも不適格だと思いますので辞退します。
 私は病院勤務での働き方に違和感を感じて開業しました。自分なりの地域貢献が受け入れられるか心配でしたが、思った以上に喜ぶ患者さんに出会え、身の丈にあう仕事をすることの大切さを感じました。

>今、長野で秤にかけられているのは
>患者個人の幸福追求権と働く医師の生存権なのでしょうか?
 個々の治療という短期的な面では医師が秤にかけている面もあると思いますが、医師も人間ですから無理が続くと精神的に病んだり、家庭を壊したり、訴訟でドロップしたり、自殺したりとマンパワーの喪失を引き起こしてしまいます。
 地域医療という大きな面では事実上住民が秤にかけていると私は思っています。地域の必要とする医師像に見合うお医者さんが限られているのでしょう。そういうお医者さんの出現を待つのも結構ですが、お医者さんとの付き合い方を変えていくか、住民にもできることはいろいろあります。地域によっては受診の仕方を住民の方から考えるという事例も出はじめています。
 患者さんの困った声、行政の姿勢をブログやマスコミで見るようになりました。でも公共事業に比べはるかに少ない医療関連費を見るにつけ、医者が危惧するほど地域の人たちは困ってないのかな?とも思います。本当に困っていたらもっと大きく動きますよね?

tadano-ry 2008/01/09 16:22
 私は奈良県在住で8歳と6歳の二人の子持ちですが、実は二人とも大阪の八尾の病院で出産しました。実はこの当時から奈良は結構分娩が混んでいて大学も一杯に近く、何かあれば県外への搬送も結構あるという噂があり、家内と相談して当時まだ余裕のあった八尾の病院にしたという経緯がありました。大阪の病院にしておけば何かあっても大阪の高次産科救急に搬送されますが、奈良の病院ならまず奈良で搬送先を探すから、そこで見つからなければ結局大阪の病院になるのでその分時間のロスがあるということになるからです。つまりその頃から奈良の産科は一杯一杯で、もし何かあっても搬送先が見つからないという噂が立つほどだったのです。

 その後私は大学に合格し、他県に行くことになりましたが、私の家族と家内の家族も近くにいる(私と家内は実は幼なじみです)ことから妻子は奈良に残し単身赴任同然の状況で大学に通いました。

 週末と長期休暇には奈良に帰ってきましたが、保育園に通い出すころになると家内から「他のお母さんが分娩の予約がなかなか取れないと言ってる」という話を頻繁に聞くようになり、しかも子どもたちを取り上げていただいた病院がその後突然産科を休止されたこともあり、本当はもう1人欲しかったのですが断念しました。子どもが通っていた保育園では半分近くの園児が大阪の病院で出産していました。

 奈良の医療環境は厳しいですが、幸いにして高速を使えば大阪まで車で15〜30分という絶好の環境にあったので(大淀事件のとき、試しに私の家から国循まで夜に一度高速を飛ばしたら自家用車でも35分で行けました)何とか持ってきたのです。奈良県の210という数字はそういう状況を踏まえた上での数字です。300なんてとんでもないことです。

 お母さんたちは、別に奈良の産科医を思いやって大阪に行っているのではなく、より安全なお産がしたいという、消費者としての現実的な選択の上で大阪の病院を選んでいるのです。最近は肝心の大阪すらも危うい状況になってきています。上の子が保育園に入った当時は結構3〜4人兄弟とかも多く一人っ子は意外に少なかったのですが、わずか数年の間にも関わらず一人っ子の割合が多くなっています(あと双子も多いですね。お察し下さい)。

 私の住んでいるところは奈良県の北部で大阪とのアクセスが良いところですが、大阪とのアクセスが悪く奈良県内の病院で出産せざるを得ない南部の人はそれだけでリスクを抱えています。実際大淀事件も、去年の死産事件(橿原市は奈良県民の感覚からすると南です)もどちらも南の方でした。

 近くに大阪という大都市圏のある奈良でさえこれなのですから、長野の状況の厳しさは察するに余りあります。本当に悲痛な叫びに聞こえます。

通行人 2008/01/09 16:57  12月31日付のオンラインニュースにありました。
 病院が「異状死の届出」についてコンプライアンスを遵守するようになると、必然的に医療従事者個人の刑事的責任が追求されることになりそうです。
 医療事故(の疑い)→異状死の届出→捜査→担当者の送検→起訴 or 不起訴 or 起訴猶予

業務上過失致死:元羽咋病院医師を書類送検 女性患者、カテーテル術後に死亡(石川)

http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20071231ddlk17040223000c.html

Bugsy 2008/01/09 17:24 中間管理職さまが以前ブログで集計されていた産婦人科 分娩休止一覧ですが
東京都では

東京都 分娩休止
 東京逓信病院/東京/H19.01月
 都立豊島病院/東京/H18.09月  
 国立病院機構災害医療センター/東京/H18.10月 
 都立荏原病院/東京/H19.10月  
 駿河台日本大学病院/東京/H19.03月  
 東十条病院/東京/H19.10月(全科休診) 
 東京都済生会中央病院/東京/H20.03月  

 ■分娩制限
 都立墨東病院/東京/H18年11月 外来制限
 東京医科大学八王子医療センター/東京/H18年
 公立阿伎留医療センター/東京/H19.01月

他に都共済青山病院に至っては病院自体が閉鎖しました。
水面下ではこれだけじゃないのです。もっと増えています。
以上の病院はいわゆる巨大病院ですが、Yosyan様いかがですか?決して少ない数じゃないのです。
平成20年はいかが相成りますやら。
いずれも研修医の人気も高く 最新の医療設備も積極的に導入している世に言うマグネットホスピタルです。
外観はいずれも素敵な 患者にも人気が高い病院でネームバリューも高いですよ。
多くの医師が医長やら部長といったポジションを提示されたら給与が安くても飛んで行きます。いえ 行ってました。

都内の病院ですら、二の足を踏む医師は多いのです。警察病院だって虎ノ門病院だって医師の顔は皆青くなってます。

「無い袖は振れぬ」と言わざるをえない自分に自己嫌悪を感じています。

匿名匿名 2008/01/09 17:26 羽咋のこれよく分からないですね。大腿DVTの治療のIVCフィルタ留置でしょうか

ドロッポ小児科 2008/01/09 17:57 残念ながら、その東京だって、都立八王子、都立清瀬、都立府中の合併により、新生児医療にきなくさい煙が漂い始めている状況です。
正直、私は東京西部の新生児医療が壊滅してもおかしくない潜在的危機を秘めていると思いますが、担当者は集約化すれば無問題と信じ込んでおります。
 長野にかまっている状況どころではなく、東京の西部には既に火がつきかけております。32週の双胎ですら送り先に悩む有様ですよ。
 この移転統合は石原氏の失政なりそうなのですが、石原氏はおためごかしのような産科小児科優遇策を打ち出して姑息な人気取りをやる始末。
 さあて移転統合で、吉とでるか、大凶とでるか。

病院勤務内科医 2008/01/09 18:10 はるる様、
>患者個人の幸福追求権と働く医師の生存権なのでしょうか?

病院勤務医の立場から。
医師も個人でありますから、幸福追求権もあります。
医者も労働者ですから、労働条件の良い職場に移る権利もあります。
医者という職業を放棄したわけではなく、移った場所でも医者として働いています。

幸せではないと思える環境、労働条件が悪いと思える環境から、幸せと思える環境、労働条件が良いと思える環境に移るのは、医者と限らず、どの職業でも同じです。

長野県には医者が働いて幸せと思える環境や良いと思える労働環境が少ないのでしょう。

医者がいない地域がイヤなら、医者が比較的多い都会に引っ越せばよいだけです。
それが出来ずに医療過疎の地域に住み続けるのは、地域住民の自己責任です。
お金や諸種の事情で、それができないのなら諦めることですね。
行政と言えども、全ての国民のニーズの応える環境をそろえることはできません。
行政が、格差社会の格差を全て埋めることもできません。
地域住民がすべきことは、人に環境を揃えて(整えて)もらうのではなく、自分が環境を変えることです。

はるる様が仮に長野県民ならば、長野県からの転居をおすすめします。

Yosyan 2008/01/09 18:23 Bugsy様、ドロッポ小児科様

東京の実情が厳しいのはある程度存じております。でも表にはださないですね、やっぱり首都ですから格別の配慮があるんだと思っています。前から不思議ではあったのですが、厚労省の偏在説で「都市部への偏在」は何度も言っていますが、慎重に東京への言及を避けている様な気がします。東京に関して足りているとも、不足しているとも聞いたことがありません。これは実情を語ればパニックになるので黙っていると考えています。

病院勤務内科医 2008/01/09 18:24 今の日本で起こりつつあることは医者不足に名を借りた一種の社会的淘汰ではないですかね。
格差社会の底辺にある人間を淘汰するシステム。ある意味では合法的です。
意図された淘汰がどうかは、わかりませんが。
医者が減って、きちんとした医療が受けられない地域から他の場所へに移り住むことができるかどうか、という意味の。
医者が比較的多く、少しはマシな医療ができる地域に転居できる人間は、重い病気になっても診療を受けることができて、延命できる。
転居できない人間は、重い病気であっても診療を受けられずに死んで行く。
産科医もいないから子供を生まない、生んでも小児科がいないから育てられない。
重い病気になっても診療が受けられないから、死んでいくだけ。
そうすれば医療過疎の地域から住民がいなくなりますから、医療過疎地域としての地方は消滅して、野原になる。
生き残った人間は大都市集中。
地方にいるのは農業、漁業、林業などの一次産業に従事する人間だけとなる。
いま、政府ではオーストラリアやカナダとの農産物輸入の自由化交渉を念頭においていますか、自由化の暁には地方の一次産業従事者もいなくなる。
つまり、日本人は大都市と、その衛星都市だけに住むことになる。

そういうことでしょう。

tadano-ry 2008/01/09 18:34
Bugsy様

 確かにこうやってみるとすごいですね。墨東や豊島、東十条あたりは私のような田舎医大生でも知っているあこがれの有名研修病院です…。

都内病院勤務医 2008/01/09 20:44 「偏在」と称して都市部には医者がいると誤解してるんですよね。

実態は違います。都内もひどいものです。臨床研修制度で「勝ち組」として有名な
虎の門病院でも、産婦人科で何かあったようです。

http://www.toranomon.gr.jp/site/view/contview.jsp?cateid=17&id=611&page=1
産婦人科常勤医師を急遽募集しているのですが、応募資格が「専門医」でも
「初期研修修了」でもない「免許取得者」なのです。

集団での辞職表明があったとの噂が流れています。

一般人父親ですが 2008/01/09 21:21 ずっと医療崩壊をROMしておりましたが、少し書かせてください。
今度二人目が6月に生まれる予定で、都立豊島の分娩休止、余波で都立大塚が限界ぎりぎりの状態と言うことで、大事をとり、御三家といわれる病院のひとつの産科で検診を受けています。
先日妻に付き添って(私が)初めてその病院にいきましたが、
各地や2chの産科医絶滅史スレで語られている事が嘘のように、
産科の先生が多数いて、予約制で待ち時間皆無、院内も落ち着いていて、混雑とは皆無という状態を見ました。

6年前長男の時は世田谷にある某大学の関連病院でしたが、予約しても2時間待ちの状態。
先生も常に忙しく、長男も深夜に生まれたのと深夜に他に3人の分娩があったため、多分そのまま朝を迎えて外来を担当したはずです。
そういう状況と比べて凄く衝撃を受けました。

今回のその病院もかなり早い段階での分娩予約を行っている状況なので、
御三家と言われている病院も近々と言うことなのかなと思っています。
病院勤務内科医様が書かれていますように、本当に子供を授かるというのは贅沢な事になってきたと実感しました。
検診から入院、出産、退院まで、100万単位でかかりますが、これは医師の下で子供を出産という環境を手に入れるためには、必要なことだと思っています。

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