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(回答先: Re: 医療改革、マイナス部分の検証を(新春インタビュー5の2)のURLつけ足し。 投稿者 茶々 日時 2008 年 1 月 05 日 19:27:24)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/13833.html;jsessionid=0181513616AAFF43E82CCD68B0315F0E
社会保障は活力の源「政府は決断を」(新春インタビュー5の3)
2008年新春インタビュー3
NPO法人医療制度研究会理事長・中澤堅次さん(栃木県済生会宇都宮病院院長)
2007年―。医師不足が深刻な問題として噴出し、必要な時に適切な医療を受けられなくなる「医療崩壊」が国民に広く周知されるようになった。しかし、それ以前から、医療現場を通じ真実を伝えることで日本の医療の未来に警鐘を鳴らし続けてきた知能集団がある。NPO法人(特定非営利活動法人)「医療制度研究会」だ。同会で理事長を務める栃木県済生会宇都宮病院の院長・中澤堅次さんは、医療をはじめとする社会保障への国民の関心が高まった昨年をどう見ているのか。また、今後の日本の社会保障の行く末をどのように占っているのだろうか。(金子俊介)
■死因究明「個人の責任問うべきでない」
―昨年の医療に関する動きをどのようにご覧になりますか。
「参議院選挙で与党が大敗し、参院における与野党逆転が起きたことにより、今までは国民の目にさらされないところで決定していたことが施行の前段階で見えるようになりました。このことは医療にとっても大変良かったといえます。来年度から創設される高齢者医療制度を例にとれば、ほとんどの国民がこれによって医療費負担が増加することを知らなかったのですから。ただ、さまざまなことが明らかになる中で、とんでもないことが議論されていたことも分かりました」
―とんでもない議論とは。
「厚生労働省や自民党が検討している医療関連死の死因究明のことです。福島県の大野病院の産科医逮捕などで死因究明の在り方の見直しを求める声が高まったことを受けて、同省は検討会を設置しました。そして10月17日に『診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案(第二次試案)』が公表されましたが、私はこれを読んで本当に驚きました。試案で掲げられている死因究明のための第三者機関『医療事故調査委員会(仮称)』は、医療者の反省・謝罪を目的にしていて、医療者個人の責任を追及していくものと思えるからです。人の死に際には医療者が必ずといっていいほどかかわっており、それを救おうとして手を出すのは当然なのです。そこに因果関係を見出すことは困難ではないでしょうか。私は罪の有無を問うこと自体が間違っていると思います。また、個人の責任追及では、『どんな事実も不利になるのでは』という恐れを医療者に抱かせ、再発予防に必要な真相究明が出来ません。全世界を見ても医療者の責任を追及する国はないのです。事故の真相をつかむために、私の病院でも個人の責任は問わず、すべて病院が持つようにしています。厚労省の方針が勤務医を締め付けることは明らかで、法律家の意見を仰ぎながら、何らかの行動を起こしていかなければならないでしょう」
■「国民は真実を知らされていない」
―世論の高まりを受けて、政府は医師不足対策などを打ち出しましたが、この点についてはどのようにお考えになりますか。
「小手先のもので根本的な解決にはなりません。各都道府県の医学部定員を5人〜15人増やしたり、診療報酬を少し変える程度で何が変わるというのでしょうか。国民は本当のことを知らされていないのです。厚労省は全人口と医師の増加を比較するデータを根拠に『医師不足ではなく偏在』として医師の大幅な増員を打ち出しませんが、医療需要の高い50歳以上に絞って分析してみるとどうでしょう。1990年と2004年を比較すると、50歳以上の人口は39.6%増加していますが、医師数の伸びは27.7%にとどまっています。この差はいまが最も開いていますが、医療需要の伸びが緩やかになる今後10年間はだんだん回復します。ただ地方の現場の医師不足はさらに深刻化するでしょう。たとえ今から医学部定員を毎年数千人増やしても、10年の間効果は期待できませんが、先を見通して早急に抜本的な見直しを行うべきです」
―ほかに危惧されていることはありますか。
「やはり政策の大前提として『老人切り捨て』があるので、さまざまな弊害が生じています。しかしこれについてもでたらめな情報ばかりです。政府は超高齢社会の到来による社会保障費の増大をしきりに言っていますが、高齢者が増えれば社会保障費が増えるのは分かりきっていたことです。ちなみにヨーロッパ諸国の現在の社会保障費の割合は、政府が『国が崩壊する』という20年後の日本の予測値と同じです。それでもヨーロッパの国は潰れていないでしょう。私は介護の受け皿の不足は医療問題以上に深刻だと考えていますが、むしろこのまま抑制を続けていけば日本の方が潰れてしまいます」
■「生きることを支えるのが国の役割」
―潰れてしまうというのは。
「国が高齢者を放置すれば、若い世代が面倒を見ることになるはずです。親を見捨てることなどできませんから。しかし、そうすると何が起きるでしょう。若者たちは仕事をすることすらままならなくなり、ましてや子どもを産み育てることなどできなくなってしまうのです。一方で政府は『持続可能な社会』などといって若い世代の頑張りを求めているのですから、政策のミスマッチもいいところです」
―今、わが国にはどのような視点が必要なのでしょうか。
「やはり国が覚悟を決めて何に財源を割くのか明確に打ち出すべきだと思います。すべての事柄を手厚くすることは出来ないので、せめて国民が当たり前の死を迎えるまで生きることを国が支援する社会保障を求めます。一人になって動けなくなった人をどのように国が見ていくのか。これがまず国の役割なのではないでしょうか。生きていくだけの食事・住まい・ケアを用意するのに、それほどお金がかかるとは思えません。困ったら国が助けてくれるという支えがあれば、国全体が活力を持ち続けられるはずなのです。そのために私たちは今後とも国民に向けて真実を訴え続けていきますよ」
更新:2008/01/03 キャリアブレイン