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(回答先: タミフルについて-厚労省の発表「タミフル服用ない方が異常行動が多い」への疑問(BenjaminFulfordのBlog) 投稿者 JAXVN 日時 2007 年 12 月 29 日 15:14:34)
----新小児科医のつぶやき から転載-------------------------
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071226
2007-12-26 タミフル問題
もう毎年、毎年、インフルエンザ関連の問題に振り回されるのはウンザリです。ワクチンが欠乏して問屋を脅し挙げて確保したり、検査が足りなくて泣きそうな思いをしたり、入院先の確保に市内中の病院に電話して三拝九拝したり、治療薬が足りなくて患者に嫌味の塊を言われたりと、平穏なシーズンを思い出すのに苦労するぐらいです。
ワクチンや検査はここ数年安定し、インフルエンザ治療薬の普及で入院先確保に難渋する事は減りましたが、どっかと腰を落ち着けている難題がタミフルです。タミフルもまた発売以来、毎年のようにトラブルが持ち上がり、その度に末端医療機関である零細小児科は振り回されるのですが、この冬もまたトラブルを抱えたままシーズンを送らなければならないようです。
タミフル問題は有名なので今さら解説も不要でしょうが、異常行動とタミフルの因果関係の問題でニッチもサッチも動けなくなっています。去年に10代患者への使用禁止が通達され、今季のシーズン前には公式調査班が問題の回答を示すという話でしたが、案の定というか、予想通りというか「結論先送り」になったようです。
私も小児科医ですからタミフル問題には関心はあり、本業に関わる事なのでボツボツと出来る範囲で情報を集めていましたが、内情は奇々怪々で「こりゃ、結論は出ない」と感じていました。アングラ情報なので信憑性をどこまで取るかは自らの判断で下して欲しいところですが、広い意味で財務省まで絡むような話ですから「う〜ん」です。
ソースはあるメーカー筋です。メーカー筋と言っても中外ずばりではなく、タミフルとまったく関係の無いメーカー筋の業界噂話の類です。タミフル問題には薬価引き下げまで絡んでいるというお話です。薬価の引き下げはこれも初めて聞いたのですが、メーカーの同意が必要だそうです。もちろん厚労省とメーカーの力関係は薬剤によって様々だそうですが、外資系はちょっと複雑だそうです。
タミフルはロシュが製造しているのですが、ロシュに薬価の引き下げを了解させるためにタミフルと異常行動の因果関係を否定したいという意向があったとされます。10代禁止でも打撃が大きいのに、子供が一律禁止、ましてや全面禁止となればロシュは巨大な損失を蒙りますから、因果関係を否定し、タミフル市場を確保する代わりに薬価で御協力をみたいな政治決着路線です。これがタミフル問題の背景にあるというお話です。
そのため「結論ありき」の公式調査班はそれに向かっての証拠作りに基本的に動いていたとされます。ある程度、順調に動いていたそうですが、公式調査班とは別にタミフルの脳内侵入経路の解明を大学がやってしまったあたりで話が迷走を始めたとの事です。公式調査班はタミフルは脳内に移行しないの絶対的証拠を一つの切り札にしようとしようと考えていたようですが、それが崩れてしまったという事です。
公式調査班の「タミフルが脳内に移行しない」の話も捏造でも嘘でもなくて、ほとんどは移行しないは間違いありません。タミフルの脳内移行はある条件下で起こりうるですから、脳内移行メカニズム解析前では、それを突き止められなくても不思議ありませんし、動物実験を少々やっても発見できなくとも責任云々を言われる話ではありません。ところが少数だが特定条件下では脳内移行する事がわかってしまったのです。
そうなると次は脳内に移行したタミフルが異常行動の原因になり得るかの話が問題になります。この問題になると解明にまた長い時間が必要になります。手法としては薬理学的な分析と疫学的な分析を詳細に行なう必要があります。疫学的な調査は報道記事でわかるようにタミフル無関係説をかなり裏付けています。ところが薬理学的な公式調査は「脳内に移行しない」でしたから、振り出しに戻ります。
タミフル問題は医学の問題の範疇を越えて、社会問題化していますから、安易な結論は出せなくなっています。とくに一旦強めた規制を緩和すると反対勢力からの強烈な反発が起こります。この反発にはマスコミは乗りやすく、あっと言う間に世論となります。そうなると今シーズンの結論はどうなるかと言えば「問題先送り」です。とくに薬害肝炎問題が連日マスコミを賑わう状況下では身動きが取れ無いという事です。
慎重調査の方針は間違っていないのですが、現場としては困ったもんだと思っています。ただでも忙しい小児科の冬外来の手間ひまに拍車がかかります。インフルエンザの検査をして、診断が付き、そこからタミフルをどうするかで外来がストップします。医師としてタミフルを処方するかどうか聞かないわけには行きませんし、母親(父親その他も含む)も聞かれたところで困惑する人は困惑します。
タミフル問題もいつ風向きが変わるか分かりませんから、私も「勧める」とも「勧めない」とも言えません。下手に勧めたら、その日のニュースで「タミフル全面禁止」がいつ何時出ないとも限りません。確実に言えるのは「10歳未満の子供には処方可能」だけです。そんな情報だけでは迷う母親が続出します。迷う気持ちはわかるのですが、母親が迷っているうちにカルテがどんどん積み上ります。
このシーズンもインフルエンザとタミフルの問題に振り回されそうです。
コメント
inoue04 2007/12/26 09:36
A型ならアマンタジンという手は使えないんでしょうか?もっとも、あれだって、ドパミンアゴニストだから、まさに異常行動の原因になりそうな気がしますが・・・
Yosyan 2007/12/26 09:42
inoue04様
シンメトリルは耐性が多いのと、御指摘のように副作用が強いのがまず問題です。実は小児科的にはもっとデッカイ問題がありまして、シンメトリルはとっても、とっても苦いのです。タミフルもあんまり美味しくないのですが、シンメトリルは別世界ぐらい苦いので、小さな子供の服用は非常に難しいのです。私も舐めましたが半端な苦さではありませんでした。
元離島医 2007/12/26 09:49
NHKニュースでは「現場は混乱しています」って言っていましたが、一番混乱しているのは厚生省でしょうね。
タミフル被害者の会のような電波チックなノイジーマイノリティがいる限り、厚生省も毅然とした対応がしにくかろうと思います。
#タミフルなしでインフルエンザ脳症→死亡となっても訴えられるのは厚生省でなく、我々のような気がしますが。。。
inoue04 2007/12/26 09:50
Yosyan さま。そういえば、ここでかつて「小児科では薬の味見をDr.がやって、同一成分でも味の良いものを選ぶ」と聞きました。カプセル、錠剤・・・うーん、子供じゃ飲めないでしょうねえ。マイクロカプセルって手もありますが薬価が安かったら、そんな手の込んだ製剤化はやらないでしょうし。
tadano-ry 2007/12/26 10:24
一応一連の報道について追っかけていたのでTBしますが、報告が何せあの形式なもので大手新聞社の記事は消化不足で混乱の極みです。誰も本当のことは分かっていないのではないか、というよりわざとそうしてるんじゃないかと例によって性格の悪い私は考えてしまいます。
murajun 2007/12/26 10:40
今日でなくて結構ですが、新型インフルエンザ対策でのタミフル使用政策とも関連させたエントリーや議論を今後お願いできませんか?
それと、受験生にとってタミフル禁止は酷ですね。受験を欠席して寝ておきなさい・・ですか? それとも試験会場でしっかり感染を広めて来い・・でしょうか? 受験生の親から見たら欲しくなるでしょう?
Yosyan 2007/12/26 10:48
元離島医様
>タミフルなしでインフルエンザ脳症→死亡
たしかタミフル内服で脳炎脳症の予防効果は無いとの発表があったかとも記憶していますが、訴訟になるならないは別物ですし、「絶対に無い」のエビデンスも無かったと思います。そうなると開業医としてはタミフル内服を診察時に持ち出しておかないと「やばい」になります。
もっとも持ち出すだけで「勧める」と今度は異常行動の責任問題が次に来ますので、あくまでも母親の意思で内服を決定する形式にしなければなりません。医師の意見に「勧める」「勧めない」のバイアスがかかると、どっちかに転んだ時に「そう言った」の「説明不足」が出てくる危険があります。
かくして外来は長時間化して現場の悲鳴が上る算段となります。やはり同意書を用意しておいた方が良いかを真剣に考えています。もっとも同意書は同意書で、あればまたアラ探しをされますし、これはこれで時間がまた必要になるので頭が痛いところです。
Seisan 2007/12/26 11:41
今年出席した各学会やそっち方面の人たちのご意見などを総合して考えた私のいまのところの結論は「タミフル内服の有無による異常行動の発現に差はない。ただし、タミフルを内服していると異常行動の幅が大きくなる。どうやら精神面への影響が強く発現し、精神的に不安定な思春期児童に自傷を伴う異常行動を発生する可能性が上昇する」といったところでしょうか。
確かにあれだけ強力に熱を下げる効果が出ているのですから、頭に何も作用しない(大体、体温中枢に何らかの作用はあるだろう)というのは無理があると思います。
あとは国産の新型インフルエンザ薬がそろそろ第2相との話があります。どうでしょうかね。
元大学医 2007/12/26 11:46
うちは今年は10代にはリレンザ投与ということにしました。
ちゃんと吸入できるかどうかという問題はありますが、日本人の薬好きにはしょうがないかと。。。
一日解熱期間が減るだけなのに、皆さん必死で外来に来られますから・・・
Bugsy 2007/12/26 12:28
今さら 二重盲検法の前向き研究も出来ないでしょうね。
副作用情報についても、因果関係が不明なものまで取り上げれば国民が混乱し マスコミはおもしろがって勝手な憶測をして囃し立てます。因果関係が判明するまで後ろ向き研究に時間をかけると 副作用情報を隠蔽していたのではないかと これまたマスコミは大喜びで 国策や医療機関の過ちで子供が死亡したと云わんばかり 鬼の首をとったような報道をします。
どんな薬でも副作用がないわけではないのですが マスコミも少し冷静になってもらいたいものです。残念ながら世の中に新薬が出て来る以上 類似の報道が続くんでしょうね。
医療機関の取りうる手立てとは 少しでも地雷になりそうな薬剤は頑として処方せず、納得出来ないと不服顔ならば 他の施設へ受診してもらうしかないですね。
Yosyan 2007/12/26 12:55
Bugsy様
>納得出来ないと不服顔ならば 他の施設へ受診
そうはドライに対応できないのが零細開業医の辛いところで、とくにインフルエンザは勝負が早いので悩ましいところです。マスコミ報道の影響力は多大なんですが、基本論調は「No」なので、問題がクローズアップされるたびに懐疑派患者が増えます。いっその事、全員が自己判断で「No」となってくれれば話は簡単なのですが、結局のところ迷ってもタミフル欲しいが多数派ですから話が厄介です。
現実問題として親子受診で、親は「大人は大丈夫」として安心して服用し、子供は「副作用が怖いから飲まさない」との判断を取る方も少なくありませんが、そもそも「大人は大丈夫」の根拠も怪しいといえば怪しいと思っています。殆んどの方はマスコミ経由の根拠なんですけどね。
今の世の中、誰かが責任を取る事を担保にしてから物事を決定する事が当たり前になっていますから、「うちの子は絶対大丈夫ですよね」の問いかけを、やんわり交わすのに精力を消耗させています。
卵の名無し 2007/12/26 14:02
単純に地域ごとに子供の入院可能なベッド数を考えると、タミフル処方によってインフルエンザ流行時に入院する子供の比率を下げることができたかどうかを検討してみればよいと思いますが。
Bugsy 2007/12/26 14:24
たしかに子供の親を説得するのは 私のように患者さんは高齢者がほとんどで家族に説明するのと異なり、相当苦心されているだろうと拝察します。
私はこう思うのです。
さすがに実体験はありませんが 遠い昔サリドマイドやキノホルムといった当時は画期的な薬剤ともてはやされたものの 薬害が出現し大騒ぎとなり販売中止となった薬があります。中止したためにその副作用によるSMONや催奇性がピタリとなくなり、検めてその薬害が再確認されました。実はサリドマイドは本邦では未だに中止されていますが、血管新生阻害剤として 外国では制癌作用に再度着目されています。本邦での使用は国民的な忌避感情により投与されることはないでしょうし、何もサリドマイドでなくとも他に血管新生阻害剤になりうる薬剤もあるのです。無論制癌剤も多種多様に開発されています。
従って他の代替薬の可能性があるのであれば タミフルは全面的に中止してもよいのではないかと愚考します。
保健行政がきちんと保障してないのに 医師がその薬を投与すれば 回りまわって責任は処方した医師が被ることになります。現在の健康保険の利点は色々ありますが、一つには保健の適応 言い換えれば医療行政がきちんと認めた疾患に合った処方薬を、医師が安心して処方できる点にあると思います。混合診療となれば私には具体的な予想が困難ですが、医師の判断で上述のサリドマイドを個人輸入なぞして制癌効果を期待して癌患者に投与した場合、なにかあったら全て医師の責任です、当たり前ですが。
薬剤の副作用とは起きてしまうまでわからないことが殆どで これが一番恐ろしいのです。動物実験だけでは限度があります。学会発表レベルでも数万人単位のstudyは事実上なしえません。やはり行政レベルで大掛かりな研究をやっていただかないと個人レベルでは困難です。
厚生労働省がきちんと結論を出してない以上 タミフルを処方しないという説明をしても患者家族は納得しませんかね。あとになって少しでもタミフルが怪しいなんて報道が万が一にも出たら 今まで処方した医者は八つ裂きになるのかなと懸念します。
タミフルを処方しなかった責任、処方してしまった責任。
どっちが重いのか自分にもすっきりしません。小児のインフルエンザを外来で診療しないオイラでも 羹にこりまくって膾をふーふー吹かざるをえない位用心しています。
あおむし 2007/12/26 15:09
タミフルだったらここかな、今はどんな主張なのかな、と思って見に行ったら、こんなものを見つけてしまいました。浜六郎氏も臨床やめてから急速に・・・
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http://www.npojip.org/contents/book/mag028.html
編集長インタビュー より
奈良県大淀町立病院 母体死亡事故の真相 高崎晋輔さんに聞く
2006年8月、陣痛促進剤(以下、分娩誘発剤)を投薬されて後に意識不明で重体になった高崎実香さんは、転送先の病院で帝王切開により男児を出産し、その後亡くなりました。
多くの病院に転送を断られたことから、産科の救急医療における問題として新聞などでは大きく取り上げられました。
しかし、この事故の発端は、不要な分娩誘発剤を使用したことにあると本誌は考えています。
インタビューでは、投薬から転送までの経緯を伺うとともに、提訴するに至った心境をお聞きしました。(高崎さん宅へ出向き、実香さんの夫の晋輔さんと、晋輔さんの父憲治さんにお話を伺いました)
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あかんべい 2007/12/26 15:55
昨日のNHKニュース(ネット)なんですが、「
インフルエンザの治療薬「タミフル」と異常な行動との関係を調べている厚生労働省の
研究班がおよそ1万人の患者を対象に行った大規模調査で、タミフルを服用しなかった
ほうが服用した患者より異常な行動を起こす割合が2倍以上高いことがわかりました。 ...」という話がでているのですが、ソースにうまくたどれません。「タミフル 異常行動 2倍」で検索してみてください。
飲める飲めないの問題はありますが、麻黄湯という手もひとつかなと。タミフルは嫌だけどなんとかしてほしい、というお母さんには、こういうのもありまっせと言っています。
いくつかの選択肢を示して、さあどうする?決めるのはお母さんです、と下駄をあずけるようにしています。まあそれでも、何かあった時には火の粉はかかってくるんだろうなあ。ほんと困ったもんです。
ys 2007/12/26 16:43
あかんべい様
麻黄湯に関してはこんな記載もありますのでご参考までに。
http://intmed.exblog.jp/6548541/
麻黄はいうまでもなくEphedraであり、PPAと類似した作用がある。
インフルエンザに関連して異常行動が心配なら、なぜわざわざ興奮性を増す可能性のある薬剤を使う?
taieki 2007/12/26 18:19
>Bugsy先生
サリドマイドは多発性骨髄腫の治療薬として本邦でも既に多くの患者さんに投与されています。
厚労省のサリドマイドの適正使用ガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1210-2.html
患者団体の保険適用を求める陳情書
http://www.myeloma.gr.jp/kai/petition/petition4.html#
もちろん保険適用は無いので患者さん個人が薬剤を自費で購入する必要が有ります。
http://www.myeloma.gr.jp/kai/petition/thal2.html
>>5.病院の使用許可がおりたら、海外でサリドマイドを製造している製薬会社から
>>主治医が輸入します。 通常、医薬品を輸入代行する専門会社を通して輸入申請を
>>行います。 サリドマイドを製造している外国の製薬会社はいくつかあります。
>>「適正使用ガイドライン」の25ページに、サリドマイドの品質管理に関する指針
>>が示されていますので、 購入先を決める際にはご一読の上、主治医の先生とよく
>>相談して、 輸入代行専門会社に品質面を問合せるなど慎重に検討してください。
Bugsy 2007/12/26 18:49
taieki様
貴重な情報有難うございます。不勉強なオイラにはありがたいです(冷汗)。
さっそく多発性骨髄腫の専門家に聞いて見ようっと。最近論文報告で有効性があったとされていたので サリドマイドを自分の診療科の悪性疾患の患者さんに打診したことはあったのですが、皆さん名前を聞いただけで拒絶されたもんで。高齢の方ばかりなので昔の記憶から忌避されるんでしょうね。
多発性骨髄腫の場合 必要とされる同意書にサリドマイドの名前が入っているので最初から了解されているわけですね。個人的な感情としては保健適応になってない薬剤を投与するのは避けたいなと思っています。「医者が人体実験に使おうとしている。」と以前吐き捨てるように言われたからです。
サリドマイドは 以前市販名はイソミンでした。実は慢性関節リュウマチにリウマトレックスという市販名の薬剤がありますが、抗がん剤のメトトレキセート(MTX)です。友人の整形外科医がリウマトレックスを投与していた慢性関節リュウマチの患者さんが ある日家族の指摘で抗がん剤のMTXだと気づいて 怒鳴り込まれたそうです。そのときは「癌なのに医者が隠していた。」と言われたそうです。
今回のタミフルの報道を私も再度チェックしましたが どうもはっきりしません。
タミフルも投与するにあたり同意書が必要になるのでしょうか?
rijin 2007/12/26 18:51
曖昧な状況を続けると、関係者に適切なインセンティブが働きません。
取り敢えず全面的にタミフル使用を禁止してしまえば、ロシュとしては可及的速やかに濡れ衣を晴らす努力を強いられます。特に今回の事例では禁止を求める市民団体があるのですから、もしもタミフルがシロということになれば、損害賠償請求訴訟等はロシュから市民団体に対して為されることになります。…必ずしも認容されるとは思いませんが。
他方、クロがはっきりする、あるいはシロとは言えないということになれば、まず何よりも被害の拡大が早期に防止できたことになります。また、使用中止によって異常行動についてのタミフルの寄与度(?)も算定できます。補償交渉がシンプルになるだろうと思います。
現場の混乱も最小限に抑えられることでしょう。タミフルが脳症発症を抑制するというエビデンスはなかったはずです。積極的に使用禁止薬剤を処方して欲しいというケースは少なくなるはずです。
しかしながら現状では、ここにも行政が曖昧な態度に終始して、却って対立関係を持ち込み、科学的究明が逆に難しくなって、補償開始時期が確実に遅れるという最近の流行が見られます。
福祉の充実や無過失(過失証明無用)補償等によって、原因究明と補償を切り離す努力も必要であると思います。
icbk212000 2007/12/26 19:34
mainの話題ではないのですが、サリドマイドの話題が出ましたので少し。
当科ではガイドラインに従ってIRBを通し、薬剤部と管理体制を構築して既に60人の骨髄腫患者にサリドマイドを投与しています。率直に言って、大変有効な薬剤です。治療抵抗性の骨髄腫患者に対し約半数に有効で、中にはざるのように輸血していた人が血球正常化したり、IgG 8000 mg/dlが1000mgまで低下ししたり、PS3の方がゴルフに行けるようになったり、完全に社会復帰した方もいます。副作用は便秘がほぼ必発で、末梢神経障害が問題ですが、通常の抗がん剤の効果/副作用比を考えると、極めて有効で安全性が高い薬剤です。
しかし保険に通っていません。私の輸入代行から管理の手間もかなり大変ですが、患者さんはお金が大変です。当方は原価で提供 (そうしないと公務員が院内で商売していることになり大問題)していますが、それでも200mg/dayの標準量で月に3万円ほどになります。これで何年も内服している人がいるのです。
厚生労働省はサリドマイド問題について、マスコミが騒ぐときは「保険承認へ」などとポーズをしますが本心は承認したくないのでしょう。患者は保険承認を待ちわびているのですが、毎回延び延びとなります。藤本製薬が製造するのですが、厚生労働省は登録システムなど無理難題を同製薬会社に要求して、会社がそれに答えられない状態、と聞きます。つまり厚労省は「患者の希望に対処しているが、現在も承認されないのは製薬会社のせいで当方のせいではない」とのスタンスを取りたいのでしょう。あと数年すればより有効な誘導体のレナリドマイドがでる(べらぼうに高価)ので、藤本製薬は振り回されて、いじめられて、結局薬を世に出せず、あるいは販売出来るのは極短期間、となると他の製薬会社MRが言ってたのを聞きました。
有効だが、いろんなパワーのconflictをいやがって先に進まない、なんてのは他の分野でもあるのでしょうが、(タミフルもそうかもしれません)現実の患者、現場は大変です。私は臨床医学とは確率である、と思っているのですが、<1%のリスクを避ける、あるいはそれに大騒ぎして数10%の利益を損なう、ってのは日本人の人間性、なんでしょうかね (予防接種、食品有効期限、医療事故etc etc....)
__ 2007/12/26 21:19 http://tkj.jp/mag/mag_001.html
宝島08年2月号 「・無法地帯化が進む医療の現場のリアル
怪物化する「患者様」」
あかんべい 2007/12/26 21:33
ys様 そうですか・・・麻黄湯もやり玉になりそうですか。 ほんと(別の意味で)安心して処方できる薬がありませんね。困ったもんです。
Ryo 2007/12/26 23:28
タミフル発売中止ということになると、これまで新型インフルエンザ対策として大量に備蓄を進めてきた政府の立場がなくなる、という点も見逃せないのではないでしょうか。
匿名 2007/12/27 01:16
前に中外製薬で働いていたものですが
>ロシュは巨大な損失を蒙りますから、
これはどうなんでしょう?
たかだか100-400億円の売上のうちの、更にシロップとカプセルの一部対象に使用できないというわけですから、
一度下がってしまえば上がることの無い薬価制度のもとで10代患者の売上のために薬価を下げることなんてありえないと思うのですが。
以下余談ですが、
タミフルが話題になって依頼、謀略説めいた話をネットでみかけるのですが、「それはない」とはっきり言い切れることばかりです。
中にいた私が断言できます。理由はあの会社は要領悪すぎるからです。(笑
以前も供給でご迷惑をおかけしたことがあるのでご存知だとは思いますが。
暇人28号 2007/12/27 08:40
麻黄湯を頻繁に処方・自分で服用しているものですので一言。
麻黄湯はだらだら何日も服用する薬ではありません。発症初期、「寒気」があり、食欲の低下していない時期に1〜2回服用する薬です。実際、外来のインフルエンザ患者さんに、インフルエンザ検査の検体をとって検査している15分間に、麻黄湯を1服服用していただいていますが、皆さん、検査の結果を説明する頃には「大分楽になった」と仰います。
だから何?といわれればそれまでですが、個人的には非常に有効性が高く、使う症例を吟味すれば問題もほとんどない薬だと思っています。
10年ドロッポ 2007/12/27 11:36
>高崎さん宅へ出向き、実香さんの夫の晋輔さんと、晋輔さんの父憲治さんにお話を伺いました。
以前から疑問に思ってたのですが、旦那とその親父ばっかで実香さんのご両親がまったくマスゴミに露出しないのは何故でしょうか?
卵の名無し 2007/12/27 13:01
>旦那とその親父ばっか
マスゴミが彼らを実の父母(肉親)よりも遺族であり被害者であると誤認している所為でしょうね。マスゴミの認識力はさながら分離不安不適応者の如くであります。
Yosyan 2007/12/27 14:14
>旦那とその親父ばっか
この辺は考えが古いかもしれませんが、高崎家の問題なので奥様の御実家の意見はあまりで出ていないとも思います。そこから先は憶測になりますが、奥様の実家ではマスコミ露出を避けたいとの意思もあるのかもしれません。
10年ドロッポ 2007/12/28 10:57
卵の名無し様、Yosyan様、コメント有難うございます。
私的には旦那はともかく、その親父がしゃしゃり出るのには非常に違和感があります。あんたは基本的には赤の他人やろ!?とか、ご実家は「そっとしておいて欲しい」とか思ってるんじゃないかなあ、とか…。無論勝手な推測ですが。
…まあ単純に、親父が裁判その他に慣れてるから、とか、マスゴミその他に個人的なツテがあるとか、地域の有力者とか、そんなとこなのかもしれませんが。
ところで、下種な話で申し訳ないんですが、もし敗訴した場合、賠償金はご実家には行かないですよねえ当然。原告に名を連ねていない以上(事実誤認ならすいません)当然ですがなんか釈然としないなあ…。
YUNYUN 2007/12/28 19:53
> もし(被告が) 敗訴した場合、賠償金はご実家には行かないですよねえ当然。原告に名を連ねていない以上
その通りです。訴訟判決の法的効果は、原告と被告の当事者の間にだけ、生じます。
しかし、もし原告になっていない請求権者がある場合は、交渉すれば任意に支払われる可能性はあります。(もし訴訟したら同じ結果になるから)
そこで、損害賠償請求の権利者とは、患者本人、患者が死んでいればその相続人です。つまり、本件では夫と子供ですね。
子供が無い場合は、患者の親が相続人となります。夫の親には相続権は全くありません。
---------
民法
(子及びその代襲者等の相続権)
第887条1項 被相続人の子は、相続人となる。
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第889条第1項 次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
1.被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
2.被相続人の兄弟姉妹
(配偶者の相続権)
第890条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
中国の医師 2007/12/29 04:52
私はタミフルをほとんど使ったことがありません。発売後から今までで年間に平均10人ぐらいでしょうか?アマンタジンも使ったことがありますが、ムコダイン DSとかムコソルバンの散剤とか(DS?)と混ぜると飲みやすくて、インフルエンザそのものでも出るけど精神症状としてこんなのがありますよと説明した上で保護者が同意すれば、出してました。タミフルを他院でもらって薬疹が出たり肝機能障害が出たという子を何人か見たことがあり、どちらを使うのも添付文書やメーカーの副作用情報などを正直に保護者に見せて、時間がかかっても、その答えを待って処方していました。富山医科薬科大学のウイルス学の先生の論文で葛根湯がインフルエンザが効くという作用機序についても記載されていたのを読み、そのご本人の講演も聴いた上で、以前から自分や家族に使っていた葛根湯を選択肢に入れたところ、それを選んだお子さんはほとんど1日か2日以内で解熱していました。もっとも、2日処方で、グラニュー糖を混ぜて飲んでもらうようにしていましたが、それでも1割の子は飲めませんでした。不思議なことに飲める、飲めないは子どもの年齢ではなく、太りすぎの子ややせすぎの子に多かったと記憶しています。麻黄湯も選択肢に入れていましたが、こちらは1回試しにのんでもらって、飲めた子はもう1-2回分だしていましたが、十分に解熱する子は葛根湯の方が割合が多かったと思います。最も、漢方薬なんか!と否定する先生もあるでしょうけど、効果は本当にあると考えています。でも、中国では実はそういう漢方薬は手に入りにくいんですよ。
暇人28号 2007/12/29 07:47
横道にそれた話になりますが、
中国の医師様:
この前ツムラのMRさんと話していました。彼が言うには「麻黄湯のインフルエンザに関する論文が少し出てきたんです。NSAIDsと比較して1日目で有意に解熱するってデータが出てるんですよ。先生も同じ事いっていましたよね。でもね、データは全部小児なんですよね。なんで大人のデータが出ないんでしょうかね?」
私「だって、あの薬とっても強い薬ですからね。小児だったらまだましだけど、使用経験の少ない医師が誰これかまわず使っていたら大変なことになりますよ。小柴胡湯の時みたいに下手に副作用って報告されて使用が制限されるような事態になったら困ります。」って言っておきました。
自分や家族に使っての実感ですが、すごく効く薬なんですが、使い方が難しいですね。
ちなみに、私の中では葛根湯のより強い薬が麻黄湯という位置づけです。私自身も使いましたが、葛根湯は弱すぎてだめ。麻黄湯ぐらい効果がないと物足りない、って感じです。