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(回答先: メタボ再考:揺らぐ診断基準/1 「シンボル」腹囲基準(毎日新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2007 年 12 月 05 日 12:49:46)
http://mainichi.jp/life/health/news/20071203ddm002100108000c.html
◇誤ったメッセージで混乱
「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人と、そうでない人との間で死亡率に差はなかった」。自治医大などのチームが今週、疫学専門誌にそんな調査結果を発表する。
チームは、国内3地区の男女計2176人(平均年齢56歳)を対象に、02年末までの平均約10年間、腹囲や血液などを検査した。この間に男性79人、女性58人が死亡。調査開始時にメタボの基準に合致していた人に限ると、死亡者は男性82人中7人、女性22人中2人だった。年齢や喫煙習慣などの条件を考慮すると、死亡率に差はなかった。
同大地域医療学センターの石川鎮清講師は「メタボになると心臓病になり、やがて死亡するというシナリオに多くの人が飛びついたが、過剰に心配する風潮は行き過ぎ。誤ったメッセージが国民を混乱させている」と心配する。
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腹囲を必須とする日本の診断基準は、腹部の内臓脂肪が心筋梗塞(こうそく)などを起こす主因との前提に立つ。脂肪には、内臓の周りに蓄積する内臓脂肪と皮膚の内側につく皮下脂肪があるが、日本の基準は「皮下脂肪は心筋梗塞などにほとんど影響を与えない」とみなしている。
だが、米国の研究チームが今年9月、その前提に疑問を投げかける論文を発表した。米国東部・フラミンガムの住民1250人を対象に実施した研究で、動脈硬化を引き起こす原因とみられる血中物質の数値と、内臓脂肪や皮下脂肪の関係を調べた。その結果、内臓脂肪も皮下脂肪も血中物質の数値悪化に関与していることが分かった。
世界的には、メタボの根本的な原因は内臓脂肪ではなく、インスリン抵抗性(血糖値を調節するインスリンの効き方が悪い状態)にあるとみる研究者も多い。米国のコレステロール専門家が定めた基準では腹囲は必須ではなく、「腹囲、血圧、血糖などの五つの数値のうち三つ以上が該当するとメタボ」と定義している。
腹囲の数値で、男性より女性の方が大きいのは日本だけだ。米国も欧州も、中国や韓国などアジア各国の基準も、女性の方が小さい。日本は「女性の方が皮下脂肪がつきやすいから男性より大きくても問題ない」と判断したが、いわば「世界の孤児」状態にある。
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北米肥満学会と米栄養学会、米糖尿病学会は合同で今夏、「現在提示されている腹囲の基準は、個人レベルの診察で使えるかどうかの検証がされていない。年齢、人種、肥満度などに考慮した基準を検討すべきだ」との見解をまとめ、現行の基準を使うこと自体に黄信号をともした。
メタボの原形ともいえる「いくつもの異常値が重なることによって健康障害が起きる」との概念(シンドロームX)を世界で初めて提唱した米スタンフォード大のジェラルド・リーベン教授も、学会などで同様の発言をしているという。
人種ごとのメタボ基準を提唱している国際糖尿病連合は来年2月、日本や米国など各国・地域の専門家を集め、混乱が続く基準の取り扱いを検討する予定という。メタボ基準をどうすべきか、科学者たちの結論は出ていない。メタボ基準で大規模な公的健診を進めようとしているのは、世界で日本だけだ。=つづく
毎日新聞 2007年12月3日 東京朝刊