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(回答先: メタボ再考:揺らぐ診断基準/3 糖尿・腎臓病(毎日新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2007 年 12 月 05 日 12:52:38)
http://mainichi.jp/life/health/news/20071205ddm002100134000c.html
◇「病人」も医療費も増加?
あなたも「病院送り」となるかもしれない。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準をベースに来年度から始まる特定健診・保健指導制度(40〜74歳の全員が対象)は、医療機関の受診を勧める「受診勧奨」の基準値を初めて公的に設けたからだ。
血圧や血糖値などのうち一つでも「保健指導判定値」になれば保健指導の対象になる。一つでも「受診勧奨判定値」に達すると受診勧奨の対象だが、実は、保健指導より受診勧奨の対象者の方が多くなり、新制度導入で「病人」が増える可能性が指摘されている。
日本人間ドック健診協会が昨年1年間に協会加盟の全国12施設で受診した約5万3000人のデータを分析すると、約4割が腹囲や肥満度の基準に合致した。うち保健指導の対象者は14・9%なのに、受診勧奨の対象者は34・7%に達した。
厚生労働省は「医療機関を受診する必要性を医師が判断し、受診者に通知することが重要」と説明し、受診勧奨値を超えたら即受診というわけではない。しかし、山門実・三井記念病院総合健診センター所長は「健診や人間ドックでは従来、今回の受診勧奨値を超えても直ちに病院で受診させることはなかったと思う。しかし、(新制度が始まれば)受診勧奨値を超えた人にすぐに薬物を処方する医師も多いだろう」と指摘する。
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新制度は医療費抑制も目的で、国は15年までに2兆円抑制できるとの試算を出している。だが、反対の調査結果もある。
滋賀医大などの研究チームは、滋賀県内の40〜69歳の国民健康保険加入者4478人を約10年間追跡して分析した。その結果、メタボ基準に近い「肥満で危険因子を2個以上持つ人」にかかった医療費は、全体の2・9%にすぎなかった。
大櫛陽一・東海大教授(医療統計学)の試算では、受診勧奨の対象者は、新制度対象者の男性の59%、女性の49%に上る。勧められた全員が医療機関で受診すると、年間医療費が約4兆〜4兆7000億円増える計算になるという。大櫛教授は「新制度で糖尿病などが減るとは思えず、将来的な医療費削減も難しいだろう」と話す。
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新制度の実施を義務づけられた健康保険組合の中には、新たな費用負担に困惑が広がっている。受診率や保健指導実施率が低い組合は、75歳以上の高齢者向け医療制度に支出する支援金を最大1割増やされるというペナルティーがあるからだ。「保険料をアップしないと予算が組めない」との悲鳴や、「ペナルティーを支払った方が、健診などをまじめにやるより負担が少ないのでは」との声さえ聞こえる。
自治体からも反発がある。長野県泰阜(やすおか)村は、村内で胃がん見落としが相次いだことなどから、89年から集団検診をやめ、在宅医療や訪問介護などに力を入れてきた。同村の高齢者医療費は、1人当たりの高齢者医療費が全国一少ない同県内でも、低い水準で推移する。
松島貞治村長は「有効性が検証されていない健診を一斉に導入するのはばかげているし、無駄遣い。介護や福祉、難病対策などにしわ寄せがいっては本末転倒だ」と批判する。=つづく
毎日新聞 2007年12月5日 東京朝刊