政府の格差対策の基礎となる「成長力底上げ戦略」の基本構想が14日、明らかになった。フリーターの就職活動を助けるため、公的機関が職業訓練の受講歴などを記載した証明書を発行する「ジョブ・カード」制度の創設のほか、授産施設で働く障害者などを対象とした「工賃倍増5か年計画」などの具体策を盛り込んでいる。16日の経済財政諮問会議に報告し、6月に決定する「経済財政運営と構造改革に関する基本方針（骨太の方針）」に盛り込んだうえで、2008年度から本格的に実施する方針だ。
　基本構想は、2月初めに発足した「成長力底上げ戦略構想チーム」（主査・塩崎官房長官）がまとめた。政府として具体的な低所得者層の所得向上策を示すのが狙いだ。
　構想はまず、「基本的な姿勢」として、「単に『結果平等』を目指す格差是正とは異なる」とし、低所得者層への公的扶助ではなく、自立支援策であることを強調している。
　そのうえで、�@年長フリータなどの職業能力を向上させる「人材能力戦略」�A障害者や生活保護世帯などの就労を支援して自立を助ける「就労支援戦略」�B中小企業の生産性を高めて賃金に反映させる「中小企業底上げ戦略」――の三つの柱を打ち出している。
　中小企業対策では、生産性向上と最低賃金の引き上げを一体的に進めるため、労使と行政でつくる「円卓会議」を国と都道府県の双方に設置するとしている。

セピア色にくすんだ古い一葉の写真がある．女学生たちがステージの上で舞台衣装をまとったまま雑然と並んだ集合写真だ．真ん中で男装しハンチングをかしげてあぐらをかいているのはジャン・ヴァルジャンに扮した私の母．「寄宿舎住まいの女学生時代が一番楽しかった」と口癖のように語っていた母のもっとも光輝満ち溢れた時代の形見である．母の出身階層はブルジョアだが，父親が再婚し義母に疎まれてコゼットのように幼児期からあちこちたらい回しにされたらしい．そのような母にジャン・ヴァルジャンは確かにはまり役だったに違いない．．．レ・ミゼラブルにはもう一つ想い出すこともあるが，ここでは語るまい．

ジャン・ヴァルジャンは25歳のとき姉の家族のためにパン１個を盗み，懲役５年の刑に処せられる．それから何度も脱獄を企てては失敗し，結局19年の間服役してようやく釈放される．革命政府はスパイ活動防止のため通行証の携帯を義務付け，特に釈放された徒刑囚には履歴を記録した黄色いパスポートを渡してそれを一週間ごとに役所に提示することを求めた．それとこれ（フリーター能力証明書）は違うよ，と言われるか？それではお尋ねしよう，あなたは「住基ネットは違憲である」という判決を2006年の12月に下した大阪高裁の判事がその判決の３日後に不審死を遂げたという事件をご存知だろうか？名は体を現すというが「成長力上げ底戦略構想チーム」とはよく言ったものだ．政府が口当たりのよいフレーズで君たちに持たせようとしているカードの「色」をよく見た方がよい．

そもそも，そんなカードで「能力を証明」することができるのか？「公的機関が職業訓練の受講歴などを記載した証明書を発行する」というが，また例の天下り特権階級をはびこらすためのできそこないの半官半民機関を増やすことにしかならないことは火を見るより明らかだ．とりあえず問題は３点ある．(1)社会経済問題を治安問題に転化しようという基本的なポリシーの誤り，(2)それにかこつけて歳入を盗みとるための監査の目の届かない半官半民機関を切りもなく増殖させるという犯罪性，(3)基本的政策（小泉構造改革）の誤りを小手先で修復したようにみせかけてお茶を濁そうという根性．

君たちがその職業訓練とやらにいくら突っ込む覚悟でいるのかを聞いておいた方がよいかもしれないね．巷では若い女の子たちから腋毛を抜くだけで１００万円近くをぼったくるエステとやらが流行っているらしいが，まぁそのくらいの金額は覚悟しておいた方がいいんじゃないかな？もちろん，君たちにはそんなキャッシュの持ち合わせはないだろうからクレジットを組むことになる．つまり，君たちのなけなしの金はまた金融資本（それも外資だよ）に吸い上げられるという寸法だ．正規雇用にはOJT(On the Job Training)というのがある．つまり，就職先の会社で無料で職業訓練が受けられる．実際のところこれ以上に効果的な学習方法はないと言って過言ではない．少なくともジョブ・カードを持ち歩いている間は君は正規被雇用者ではない．つまり，「能力証明書」は君がフリーターという身分であることを証明するものでしかない．もちろん，それすら持っていないとしたら，君は．．．