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『アンネの日記』焼却事件
独で裁判始まる
失業の克服 ネオナチ根絶へ課題
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-02-28/2007022806_01_0.html
【ベルリン=中村美弥子】第二次大戦中ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の犠牲になったアンネ・フランクの『アンネの日記』を燃やしたとして、扇動罪などの罪で起訴された男性七人の公判が二十六日、ドイツ東部ザクセン・アンハルト州のマクデブルク裁判所で始まりました。
ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の事実を否定するネオナチによる犯罪の増加が深刻化する中で昨年六月に起きたこの日記焼却事件は、ドイツ社会に衝撃と動揺を広げました。深刻な失業問題などの社会的背景が指摘されている事件だけに、今後の裁判の進展が注目されています。
起訴されたのはマクデブルク近郊のプレツェン村に住む二十四歳から二十九歳までの男性。扇動罪、死者冒涜(ぼうとく)の容疑で逮捕されました。ドイツでは、ホロコーストを否定すると刑事罰に問われ、有罪となれば最高で五年の懲役刑となります。
男性らは昨年六月二十四日にプレツェン村で開かれた夏祭り会場で、米国国旗とともに『アンネの日記』をキャンプファイアーに投げ入れました。その際、「すべてウソだ」と叫んだといいます。
裁判で被告の一人は罪を認めた上で、「ドイツ史の悪の一章から自らを解放するため」の行為だったと主張しました。これに対し、検察側は、被告は日記を燃やすことでナチ思想を美化することが目的だったと指摘。「アンネ・フランクのみならず、強制収容所で殺された何百万人ものユダヤ人を愚弄(ぐろう)したことになる」と反論しました。
アンネ・フランクが独占領下のオランダ・アムステルダムでの隠れ家生活をつづった『アンネの日記』は、世界中で読まれています。その日記の焼却事件は、ナチ政権下の一九三三年にナチ支持者がユダヤ系や共産主義的な書物を焼き捨てた焚書(ふんしょ)を連想させるものでした。
この事件は同時に、ザクセン・アンハルト州をはじめ経済が停滞した旧東ドイツ地域が直面している問題も浮き彫りにしました。深刻な失業や貧困がネオナチ拡大の土壌になっているとされ、これらの州ではネオナチ根絶が大きな課題となっています。