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【週刊エコノミスト、特集 2008 世界恐慌−−米中“基軸経済”の崩壊】
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投稿者 小沢内閣待望論 日時 2007 年 12 月 26 日 09:51:49: 4sIKljvd9SgGs
 

http://biz.yahoo.co.jp/column/company/ent/071225/r/071225_biz01.html

2007年12月25日(火)
特集 2008 世界恐慌−−米中“基軸経済”の崩壊

週刊エコノミスト編集部
濱條元保

 世界経済は、大国の米国と中国が「車の両輪」の役割を果たし、相互に発展を支え合う形で、成長を維持してきた。しかし、この好循環をもたらした構造に変調が見えている。サブプライムローン問題は、米国の信用収縮や消費の減退をもたらし、それは中国の輸出減となる。一方で、長く続く過剰流動性は資源価格を急騰させ、経済にマイナスの要素となり始めた。住宅価格の高騰など資産バブルも崩壊の淵にある。2008年の世界経済は、これまでのプラス要素が一気に逆回転しかねない恐怖と闘わざるをえない。(週刊エコノミスト編集部)

第1部 米中欧−好調経済に影

◇米国「借金漬け消費」の後始末 経済悪化は世界に伝播する

「世界経済を牽引してきた米中の“ツインエンジン”がついに息切れしそうだ」

 2008年の世界経済はどうなるのか。一言で表現しようとすればこうなると、双日総合研究所の吉崎達彦副所長は話す。

 07年夏に表面化したサブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題。それをきっかけに、米国の景気減速懸念は一気に強まった。だが米国経済が減速しても、中国をはじめとする新興国の高成長が下支えして、世界経済は堅調さを保つという「デカップリング(分離)論」が聞かれる。本当にそうだろうか。

◇米国の対中国貿易赤字額は10年間で5.8倍に急増

「米国と中国の意図せざる経済の融合によって、米中の貿易インバランス(不均衡)が大きくなりすぎた」と吉崎氏は指摘する。米中経済の融合が進んだ結果、米国経済が失速すれば、中国経済にも甚大な影響が及ぶということなのだ。

(図1)

 ここ数年、米中の経済的結びつきがいかに強くなり、世界経済におけるプレゼンスを大きくしてきたか。両国の貿易状況をみれば、その実態はおおよそ掴める。

 図1は、1996年と06年の米国貿易赤字の相手国の内訳を示したものだ。

 96年、米国にとって最大の貿易赤字国は日本で、その額は475億ドル(全体のシェアは28%)だった。だが、その後2位中国(96年は395億ドル、同23%)が00年に日本を抜いてトップとなり、06年には米国の対中国貿易赤字額は2325億ドルと96年の貿易赤字総額の1.3倍にも達した。米国の対中国貿易赤字は10年間で5.8倍に膨らんだ。

 中国側からみれば、反対に対米貿易黒字は毎年拡大を続ける。それでも人民元を切り上げず、ドル買い・元売り介入を続けた結果、膨大なドルが外貨準備として積み上がっていった。中国の外貨準備高は、07年9月までに世界最大の1兆4336億ドル(約157兆7000億円)にのぼる。この大半を米国債で運用するため、再び米国に流入し、膨大な貿易赤字を含む経常赤字を穴埋めする構図が生まれる。

(図3)

 もう1つ、図1が象徴的に示すのが、米国の貿易赤字の拡大ぶりである。96年の1702億ドルから10年後の06年には、4.8倍の8173億ドルに膨れ上がった。図3と併せてみると、米国が世界中からモノを買い漁っている様子がよくわかるだろう。

 中国がモノを作り、それを米国が買い入れる−−という「米中融合経済」がここ数年拡大し、それが牽引力となって、世界経済の成長を支えてきたのだ。

 ところが、この好循環に変調の兆しが見え始めたのである。

◇米家計の過剰債務は3.8兆ドル

 米国では、サブプライム問題をきっかけに、長年の「借金漬け消費体質」のツケが噴き出そうとしている。

 12月上旬、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは、カリフォルニア州やテキサス州を訪問し、金融機関などでヒアリング調査を行った。熊野氏が深刻だと受け止めたのは、サブプライム問題を米国家計の過剰債務問題の象徴として理解している人の意見だった。

「米国では、90年から07年6月までに家計の負債残高が3.7倍になったのに対して、所得水準は2.4倍にとどまっている。特に、25歳以下の若者がローンを使いやすくなり、過剰消費体質に陥っているという声を聞いた。70年代の荒れたデトロイトを知っているという人物は、当時と雰囲気が似てきたと話していた。投資家に本当にリスクを認識させて金融商品を販売しているかどうかも疑わしい。米国にこそ、金融商品販売法が必要ではないかと感じた」(熊野氏)

(図2)

 米国の過剰債務体質について、もっとストレートに指摘するのは、三菱UFJ証券の水野和夫チーフエコノミストだ。

 水野氏が問題視するのは、米国の家計における可処分所得に対する住宅ローン残高の割合の大きさである。07年第3四半期時点で家計の可処分所得に対する住宅ローン残高の割合は102%に達しているという(図2)。これに対して、52年第1四半期から98年第1四半期まで、所得に見合った返済可能な借入額との比率を示す傾向線上の同比率は65%だ。現状では、65%を上回る部分の37%分、3.8兆ドルが家計の過剰債務と水野氏は試算する。

「3.8兆ドルの過剰債務解消には、金融機関が1兆ドルの損失処理をすることを前提に、個人貯蓄率を3%に高め、年間3000億ドルを返済に回すとしても、約9年間を要する」

 しかし、この過剰債務解消にはリセッション(景気後退)を伴うリスクが高い。家計が債務返済に所得を向ける分、個人消費が落ち込むからだ。水野氏はサブプライム問題に端を発する過剰債務解消によって、米国がリセッション入りする可能性は50%以上あると予測する。

 熊野氏も「FRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和策で株価上昇を支えられれば、個人消費の停滞は乗り越えられるだろうが、その逆はリセッションだ」と語る。

 米国の消費を支えてきた住宅市場の冷え込みは激しい。

 米商務省が12月18日に発表した11月の住宅着工件数は、季節調整済みの年率換算で118.7万戸で、前月比3.7%減、前年比では24.2%という大幅な下落となった。特に、約7割を占める1戸建て住宅は前月比5.4%減の82.9万戸と91年8月以来の低水準で推移。住宅建設の先行指標となる11月の認可件数は115.2万戸と前月比1.5%減少と先行きに明るさはみえない。

 融資基準の厳格化は、住宅販売不振にもつながっており、過剰在庫や差し押さえ物件増に伴い、住宅価格の下落も避けられない。すると、住宅価格上昇を前提にした借り入れが困難となるばかりか、資産価格下落によって借り入れの返済に追われ、GDPの7割を占める個人消費を減退させる。これが好調だった米中経済の歯車を狂わせる。

◇07年から始まった中国の対米輸出減少

(図4)

 みずほ総合研究所中国室の鈴木貴元主任研究員は、「好調だった中国の対米貿易が07年に入って、鈍化し始めた。これは米国の景気後退の予兆だったのではないか」と指摘する。

 米国商務省の資料によれば、中国からの住宅関連に使用されるセメントやガラス、鉄鋼など建材の米国向け輸出は、07年10月までの実績で対前年比87%にとどまっている(図4)。それ以外にも、家電や設備投資関連にまで落ち込みが広がっている。足元ではNIES(韓国、台湾、香港、シンガポール)やASEAN(東南アジア諸国連合)、アフリカ向けも鈍化しているという。

 鈴木氏は、「中国の貿易は、日本・韓国・台湾から部品を仕入れ、中国で組み立て、欧米に輸出する加工貿易タイプが多いが、近年は中国から新興国に向けた部品輸出も増えている。足元、これが落ち込む可能性があり、サプライチェーンの目詰まりが、多国間で生じる兆しがある。製造業への依存の強い新興国、特にNIESやASEANは輸出が滞ると、生産の停滞を経由して、雇用や消費にも影響を与えかねない。ここまでの連鎖はまだ大きく報じられていないが、注意しておく必要がある」と警鐘を鳴らす。

 米中を起点にした経済も実は、世界経済のかなりの部分でつながっている。「デカップリング(分離)」ではなく、「カップリング(一体)」であれば、米中経済の失速は、世界経済を巻き込むことになる。

◇金融恐慌入り口の日本の97年と似てきた

 UBS証券の白川浩道チーフエコノミストは「サブプライム問題に揺れる米国は、利下げを通じてソフトランディング(軟着陸)を目指しているが、それも怪しくなってきた」と指摘する。

 通常、利下げを行えば、金融機関は、長短金利の拡大で利益を増大させ、一方で、株価上昇や消費刺激、設備投資の促進で景気を下支えするという効果がある。しかし、今、欧米では民間金融機関に資金が供給されても、それは自己資本比率維持に回るだけで、企業や個人など資金を必要とするところに行き渡らないのだ。まさに日本が十年前に経験した“金融恐慌”目前の様相だ。

 97年11月、準大手証券の三洋証券が短期金融市場で戦後初のデフォルト(債務不履行)を引き起こし、資金を融通し合う金融機関を猛烈な疑心暗鬼に陥れた。

 短期資金の目詰まりは、その後、経営不安が取り沙汰されていた北海道拓殖銀行や山一証券という大手金融機関までも破綻に追いやった。それは「税金投入やむなし」との世論形成へとつながり、98年以降、公的資金が大手行に注入された。

 それでも、資産デフレで傷ついた銀行の不良債権問題は収まらず、金融仲介機能が麻痺。日銀は、個別企業のコマーシャルペーパー(CP)を積極的買い入れ、さらに個別株までも購入したのは周知の通り。そして、中央銀行としては未曾有のゼロ金利、量的緩和政策に突き進んだ。

 今、欧米金融市場で起きていることは、まさに日本の97年前後の様相と相似している。欧米中央銀行が協調して巨額の年越え資金を供給するという異例の事態が、それを如実に物語る。

 グリーンスパン前FRB議長は12月16日、金融機関に対する公的資金投入について「必要に応じて大規模に使うべき」と指摘。大胆な税金投入が必要なほどの事態に追い込まれていることを示唆した。ブッシュ大統領も翌17日、経済政策に関する演説のなかで、「住宅バブルを克服するにはしばらく時間がかかる」と、米政権がこれまで避けてきた「バブル」という表現を使って、ようやく事態の深刻さを認めた。

 草野グローバルフロンティアの草野豊己代表は「銀行の損失が確定するまで公的資金の投入は難しいだろう。それまで金融緩和で凌ぐしかないが、米国はドル安と原油高でインフレの危機にも直面している。住宅投資と消費が冷え込み景気が後退するなかでインフレが進めば、スタグフレーションだ。株も債券も売られる。その兆候はすでに出ている。08年は相当厳しい年になる」と覚悟を促す。

◇日本 外需依存型成長の限界

日本経済の先行きも明るいとは言えない。02年2月から始まった今回の景気拡大は、かつてないほどの外需依存型だけに、米中経済の失速は、日本の景気後退につながる可能性がある。

 いかに外需依存度が高いかは、経済成長率の寄与度を分析すれば、一目瞭然だ。07年度上期(4〜9月)の実質GDP成長率は前年比1.7%だが、このうち外需が寄与したのが、1.0%である。直近7〜9月の実質GDP成長率同1.9%に対する寄与度も1.1%と、半分以上を占める。外需は、輸出額から輸入額を差し引いたネットの輸出額で、弱い内需をカバーしてきた。

 ところが、米国経済の失速が中国をはじめ新興国や欧州に伝播すれば、当然、好調を維持してきた日本の輸出にもブレーキがかかる。明治安田生命運用企画部の小玉祐一エコノミストは、「今後、米国経済は減速する可能性が高く、外需依存で成長してきた日本経済への影響も小さくない」と語る。

 内需にも不安要素が多い。住宅投資は、07年6月の改正建築基準法によって7月以降、住宅着工件数が激減、建設関連業界に大きな影響がすでに出始めている。耐震偽装問題への対応から、建築審査を厳格にした結果、審査に手間取り、7月の住宅着工件数は前年同月比23.4%減の8.2万戸に落ち込み、8月同43.3%減(6.3万戸)、9月44.0%減(6.3万戸)と急減した。

 帝国データバンク情報部の篠塚悟氏は「厳しくなったのは3階建て以上の建物だが、3階建て戸建て住宅を手がけているのは主に中小零細の工務店や中小建築会社で、ここが大きな打撃を受けている」と語る。

 11月の倒産件数は906件と前年同月比で152件増えた(帝国データバンク)。全倒産に占める建設業界の割合は27.9%と3割近くの高水準だ。業界関係者によれば、着工の遅れから大手建材メーカーには「中小工務店から資材代金の支払い猶予の要請が増えている」という。

 原油高をはじめ原材料価格の上昇は消費者や中小企業にボディブローのように効いてきている。足元の状況からは、08年日本経済の展望は開けない。

(2007.12.25)

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