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石油法案立ち往生 イラク 難航続けば政権崩壊も【東京新聞】
2007年7月9日 朝刊
【カイロ=萩文明】イラク復興に向け最重要法案となっている石油法案をめぐり、マリキ首相が立ち往生している。利権に直結するだけに、宗派・民族の利害が対立、連邦議会で審議にさえ入れない状態だ。米国は法案成立をイラク再建のカギの一つとしており、政局混迷はマリキ政権の「命取り」になりかねない。
石油法案は、油田収入の分配や開発企業との契約方法などを定める。膨大な未開発油田を抱え、強い自治権を持つ北部のクルド自治政府と中央政府は二月、大筋合意に達したが、マリキ政権はその後、一部を修正した。
首相は三日、修正案について全派が閣議で合意し、議会送付を決めたと発表。「四日に審議入りする」と述べた。
だが実際は、閣僚を引き揚げたイスラム教シーア派強硬指導者サドル師派と、油田のない中部のスンニ派が反対。クルド側も「法案を見ていない」とする声明を発表、自派有利だった原案の修正に合意していない。
三勢力が議会で反対しても数字上は可決されるが、その場合は各派の分裂が決定的となり、スンニ派側に不満が残れば、武装勢力による石油施設への攻撃が激化するのは必至。
またマリキ首相と距離を置き始めたサドル師派と、利権奪取のため現政権と協調してきた親米のクルド人が「マリキ降ろし」に動けば、基盤のもろい政権は一気に崩壊へ向かう。米国も宗派・民族の合意を求める中、首相はぎりぎりまで妥協策を探る必要がある。
議会は八月に休会となるため、法案可決は事実上、七月末が当面の期限。
米国は九月にも、治安状況と政治過程の進展について「評価」を下す予定で、難航が続けば米内政と絡んで、撤収論が強まるのは必至だ。
イラクの政治評論家ゾバイディ氏は「既に期限切れとなったマリキ政権の崩壊が始まった」と指摘、超党派勢力が近く不信任決議案を出す動きも浮上している。治安面で何の成果も挙げられず、ほかの重要法案も行き詰まる中、八方ふさがりの首相は最大の危機に直面している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007070902030797.html