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(回答先: 米国政府 98年から在日大使館借地料滞納 【日テレNEWS24】 投稿者 愚民党 日時 2007 年 6 月 07 日 05:46:09)
【在日アメリカ大使館賃貸料踏み倒しに日本政府は】
日米経済関係の課題と機会
http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20070521-50.html
日本経団連アメリカ委員会企画部会における講演
ハンス・クレム
在日米国大使館経済担当公使
2007年4月25日
はじめに
ただいまご紹介いただきました、アメリカ大使館経済担当公使のクレムです。本日はアメリカ委員会企画部会にこうして参加できることを、たいへんうれしく思います。部会長の本田さんには特にお礼を申し上げます。
私はあまり日本語が得意ではありませんので、お聞き苦しいところがあるとは思いますが、どうかご容赦ください。
本日は、現在の日米経済関係において、主要な課題であると私が考えるポイントについて説明したいと思います。まず初めに、簡単に最近の歴史を振り返り、次に共通の経済利益の推進のために、私たちが今、何ができるかを考えたいと思います。
深刻な貿易摩擦がない今はまさに、日米両国にとって絶好のチャンスだと私は考えます。先週のインドからの報告によれば、ドーハ・ラウンドがまとまるかもしれないという希望がまた出てきたそうです。安倍政権は、より高い生産性と経済成長を目指し、日本経済の継続的な改革に取り組んでいます。アメリカは先日、韓国との間で、高い目標を掲げた、包括的な自由貿易協定の交渉を終えましたが、この協定はアメリカのアジア地域経済へのコミットメントを明確に示しています。
私たちは、今この機会を生かして、両国経済を実質的に統合し、日米両国民にさらなる繁栄をもたらすための、新たな一歩を踏み出すことができるでしょうか。あるいは踏み出すべきでしょうか。太平洋を挟んだ両国で、日本経団連をはじめとする経済団体が、自由貿易協定(FTA)または経済連携協定(EPA)について本格的な検討を行うよう提言しています。私たちは、FTA締結のために何が必要かについて、本格的な検討を始めるべきでしょうか。
これらの質問に答えるのに、皆様にも手伝っていただければと思いますので、このスピーチの後のディスカッションの時間を楽しみにしています。
最近の歴史
私は昨年8月に、日本に3回目の赴任をいたしました。私の日本での最初の仕事は約20年前、マイク・マンスフィールド駐日大使の下で働いた時でした。皆様も覚えていらっしゃると思いますが、1980年代半ばから終わりにかけての、マンスフィールド大使の任期の後半は、さまざまな経済分野で次々と問題が生じ、それが永遠に続くように思われるほど貿易摩擦一色の時代であり、2国間の経済関係が非常に緊迫した時期でした。
半導体、スーパーコンピューター、牛肉、かんきつ類、自動車、競争法、土地税制、保険―この時期、あらゆる経済活動が深刻な貿易問題の種となり得るように見えました。これらの貿易問題は、日米両国の関係に大きな負担となりました。日本政府と交渉するためアメリカ政府高官の大規模な代表団が東京を訪れ、時には大統領や首相の介入を必要とすることもありました。
こうした問題に対応するには日米双方の努力が必要でしたが、その結果、日本の市場を開放し、そして同様に重要なことですが、アメリカの市場開放を維持することができました。経団連もまた、日本で、そしてウルグアイ・ラウンドのような多角的な活動において、市場開放に向けた取り組みを支援する重要な役割を果たしました。
1980年代後半から今日まで、両国政府は貿易問題に対処してきましたが、その中で、市場開放または市場開放を維持するための2国間のイニシアティブをいくつも立ち上げました。もうそれらの名前は忘れられているかもしれませんが、いわゆるMOSS協議、日米構造問題協議、経済枠組み、規制改革および競争政策イニシアティブ、投資イニシアティブ、成長のための経済パートナーシップなどがありました。時とともに具体的な関心事項は変わったかもしれませんが、根本的な目標は同じ―市場開放および市場開放の維持を通じて、通商および経済政策の問題に取り組むことです。
マンスフィールド大使は、長期にわたる日本での任期中、「日米関係は世界で最も重要な2国間関係である。それは他に類を見ない」という言葉で有名になりました。それは今でも変わっていません。しかしながら、日米経済関係は大きく変わりました。まず日米間には、もはや重大な経済問題はほとんど存在しません。もちろん、日米貿易摩擦が昔のように新聞の見出しを飾ることが少なくなったのは喜ばしいことです。
資料の最初の新聞記事は、1991年の大統領訪日に関する記事です。これとは対照的ですが、もうひとつの記事は、去年の12月にアメリカの6つの省庁から次官級の高官が来日した時のものです。高級レベルの会議だったにもかかわらず、新聞に載った記事はこのわずか1段落だけでした
実際、あまりにも問題がないので、先日私たち大使館経済部の会議に出席してくださった元外相から「貿易問題がないときは、大使館の経済部はいったい何をするのか」と質問されました。
こうした状況において、ひとつ皆様にお尋ねしたいと思います。日本とアメリカは、「深刻な問題がない」という言葉で簡単に説明できる関係に満足すべきでしょうか。これが私たちにとって最善の状況でしょうか。
アメリカと日本は強固な経済関係を享受していますが、昨年のアメリカから日本への輸出、そして日本からアメリカへの輸出は、ともに2000年の水準を下回っていました。アメリカから日本への直接投資は1995年から2005年の間に倍増しましたが、それでも日本は、アメリカの外国直接投資(FDI)全体のわずか4%しか取り込んでいません。よく知られているように、対日FDIは先進諸国の中で最も低い水準にあります。
ですから、2国間の経済関係が10年前、20年前と比べてそれほど問題がないとはいえ、私たちはさらに先を目指して努力することができるのです。
4つの数字と4つの課題
エコノミストや私のように経済政策に携わっている者はデータ好きです。そこで、日本とアメリカがどのように経済パートナーシップを発展することができるかを、4つの数字を使って説明しようと思います。
@ 540万
まず最初の数字は「540万人」です。これは昨年太平洋を渡って日米双方を訪れた、日本人およびアメリカ人渡航者の概数です。主に同時多発テロの影響と経済の低迷により、渡航者数は大幅に減少しましたが、旅行および観光は、両国合わせて200億ドル以上の市場規模を持ち、依然として両国の経済活動をけん引する主要産業のひとつとなっています。
双方の国に渡航する日米のビジネス関係者や旅行者の数を増やすためには、どうすればいいでしょうか。確かな方法のひとつとして、日米間の航空サービス市場の自由化が挙げられます。日米の民間航空関係は、当時の日米間の航空交通を大幅に拡大させた1998年の協定によって規制されています。この協定には、両国の民間航空の「完全自由化」のため、2年以内に再び話し合うという約束も含まれていましたが、今でも、その約束履行に向けた進展は全くありません。緩やかであっても自由化されれば、日米の航空会社に、政府の規制を受けずに運行する自由が与えられ、2国間の観光および貿易がさらに促進されるでしょう。日本でも、羽田空港の国際化に伴い、アジア諸国との「オープンスカイ」への関心が高まっているようです。さて、ではアメリカとのオープンスカイについてはどうでしょうか。
A 2040億
次の大きな数字は「2040億ドル」です。これは2006年の日米間のモノの貿易額です。この数字は2000年の貿易額を80億ドル下回っており、日本はアメリカの貿易相手国としては現在、カナダ、メキシコ、中国に次ぐ第4位にまで下がってしまいました。貿易を増やし、両国が開かれた市場から恩恵を受けるために、私たちができることはたくさんあると私は考えています。
世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンドの妥結こそが、貿易の自由化のために私たちができる最善の策であることは間違いないでしょう。ある調査によれば、製造業および農業におけるグローバルな自由貿易だけでも、アメリカに年間160億ドル、日本には年間540億ドル以上もの経済効果がもたらされると推計されます。日本経団連はドーハ・ラウンドの早期妥結を強力に支援しています。速やかな妥結に向けた交渉を主導していくことは、引き続き日米両政府の責任です。
B 2700億
3つ目に挙げる大きな数字は「2700億ドル」です。これは日本企業および投資家による対米投資残高と、アメリカからの対日投資残高の合計額です。一見大きな数字ですが、この数値は依然として非常に低く、特に対日FDI残高は低いままです。日米両国を国境を越えた投資に対して開かれた状態にし、両国の生産性を向上させるため、両政府は取り組みをさらに強化しなければなりません。
小泉前首相が、対日FDIを倍増させるという目標を掲げたとき、私たちは心強く感じました。FDIの流入は、経済の開放度と競争力のほか、適応能力、革新能力、そして成長する能力を示す明確な指標となります。安倍首相が、対日FDI残高の対国内総生産(GDP)比を2010年までに5%まで増加させることを政権の目標として掲げたとき、私たちは一層心強く思いました。この目標を達成する手段のひとつとして、例えば外国企業が日本に新たに工場や研究開発設備を設立する、いわゆる「グリーンフィールド投資」が挙げられます。しかしながら、FDIの恩恵をはるかに迅速に得ることができる手法は、企業の合併と買収(M&A)を通じた投資です。
「外国の投資家によるあらゆるM&Aは敵対的買収の形態をとる」というのが日本での一般的な見方のようですが、そんなことはありません。日本でのM&A活動の多くが、規模の経済や効率性の向上、技術移転を実現するための、友好的なM&Aです。外国人投資家も、日本のパートナーと友好的な合併を検討することに意欲的です。その好例がウォルマートと西友や、ルノーと日産といった、日本における外国企業による友好的M&Aです。
私たちは、まもなく完成する三角合併に関する規定が、友好的なM&Aを促進することを期待しています。M&A活動が活発化しなければ、日本は、FDIによる生産性の向上という機会を逃すことにもなります。経済協力開発機構(OECD)の調査によれば、在日外資系企業は日本企業よりも生産性がかなり高く、製造業においては約50%、サービス業においては2倍近く高い生産性を達成しています。そしてM&Aの増加がなければ、首相が掲げたFDI目標の達成も非常に困難になるでしょう。
C 18兆
最後に挙げる非常に大きな数字は「18兆ドル」―日本とアメリカのGDPの合計です。日米両国の経済は、全世界の生産高の約40%を占めています。両国の社会にとって、両国経済が成長の可能性を最大限に発揮できるような政策をそれぞれの政府が取ることが重要です。私たちは、経済改革の継続、開放性とイノベーション、日本の生産性と経済成長率の向上に向けた安倍政権の取り組みを支持します。日本における生産性の向上と成長は、日本の消費者や生産者だけでなく、アメリカをはじめとする貿易パートナーにも利益をもたらすのです。
しかし、どのようにすれば、日本とアメリカが両国経済の統合をより一層進めることができるかも検討したほうがいいでしょう。それには大きなリスクが伴うと言う方もいらっしゃるでしょうが、グローバル化した世界に両国一緒でなく、別々に向き合うことのほうがリスクが大きい、と私は考えます。
両国のビジネス界―在日米国商工会議所や日米経済協議会、米国ビジネスラウンドテーブル、そして最も重要な団体である日本経団連―は、ここ数カ月の間に、日米両政府に対し、FTAまたはEPAに向けた取り組みを始めるよう提言しました。両国経済の統合を推進する最も包括的な方策がFTAの締結であることは、間違いありません。2国間の投資、モノおよびサービスの流れを最も効率的に増加させる手段がFTAであることも確かです。しかし、私たちはFTAに向けた準備ができているでしょうか?
アメリカに、アジア諸国とのFTAを検討する用意があることは明らかです。2003年にシンガポールとの間でFTAを締結しましたし、韓国との交渉も終えたばかりです。連邦議会が承認すれば、韓国との協定は、北米自由貿易協定(NAFTA)以降、最も重要なFTAになるでしょう。米韓FTAは、将来の日米FTAを含む、今後のアメリカのFTAの基準になると思われます。
米韓FTAの主要ポイント
米韓FTAについては、お手元に要点をまとめた資料を用意しましたが、ここではそのうち5つを紹介いたします。
まずひとつ目は、工業製品および消費財です。米韓2国間で取引される消費財および工業製品の約95%が本協定の発効後3年以内に免税になり、残りのほとんどの関税も10年以内に撤廃される予定です。
2点目は農産物です。本協定のもと、現在のアメリカの韓国向け輸出農産物の半分以上、16億ドル相当が直ちに免税になります。その他の多くの農産物に対する関税も、2年または5年かけて段階的に撤廃されます。また、牛肉、豚肉、鶏肉、ナシ、リンゴ、ブドウに関する市場アクセスも拡大されます。コメは本協定の自由化対象からは除外されますが、この決定は将来の他のFTAの前例にはなりません。
3点目は投資および投資家保護です。アメリカの投資家は、韓国において、ほぼすべての場合において、韓国の投資家と同等の条件で投資を設立、取得、運営する権利を享受します。投資家保護は、透明で拘束的な国際調停メカニズムによって裏打ちされます。本協定における投資保護は、今日までにアメリカが締結したほかのFTAと同じくらい強固なものになっています。
4点目はサービスです。韓国は、サービス分野におけるWTO約束を大幅に拡大し、実質的にすべての主要サービス分野で意義ある市場アクセスを約束しました。
そして5点目が知的財産権の保護です。本協定は、幅広い知的財産権の保護およびエンフォースメント(法執行)に関する基準を規定するとともに、デジタル製品に対する最先端技術を用いた保護を盛り込んでいます。さらに本協定は、民事、刑事および税関でのエンフォースメントに関する規則に加え、特許、商標、実験データに対するより強固で包括的な保護、そして医薬品特許権の適切なエンフォースメントを確保するための特許連動システムを設立する約束を規定しています。
日米両国はFTAに向けた取り組みを始めるべきか
私は、2国間の経済関係に安住していることを警告した日本経団連の御手洗会長に全面的に同意します。現在貿易摩擦がないというだけで、私たちは両国経済のさらなる統合、そして外国投資やモノおよびサービスの貿易に対して経済をより一層開放するための取り組みをやめるべきではありません。私たちは、両国の関係を絶えず新たにし、意欲的な目標を設定する必要があります。
FTAまたはEPAに向けた交渉を、政治的に実現可能なものとするためには、協定は包括的で、かつ目標を高く設定したものでなければなりません。そのためには、農業を含まないわけにはいきません。金融、医療、司法といったサービス分野も、重要な課題となるでしょう。日本は、アメリカとのFTAを現実的なものとするために必要な改革、特に農業分野の改革を進める用意ができているでしょうか。日本経団連は、アメリカとのFTA締結のため、日本の農業分野の改革の必要性を日本の政治指導者に納得させる用意ができていますか。
結び
日米の経済統合により、両国の可能性を解き放ち、生産性を向上させ、経済成長を促進することができるでしょう。また、エネルギー安全保障や環境といった分野での両国の協力も強化されるでしょう。日本とアメリカの経済パートナーシップの強化により、アジア太平洋地域全体の安定と経済成長の基盤が構築されるでしょう。
さて、皆様はどうお考えでしょうか―私たちはその一歩を踏み出す準備ができていますか。日本はそのために必要な経済改革を行う準備ができていますか。
本日は、皆様とご一緒できる機会をいただけたことを、たいへんうれしく思います。皆様のご意見を聞かせていただけるのを楽しみにしています。どうもありがとうございました。
http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20070521-50.html