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(回答先: 好調欧州銀の死角前期決算から(中) 「二〇〇六年はすばらしい年だった。」 【日経金融新聞】 投稿者 hou 日時 2007 年 4 月 02 日 22:29:56)
好調欧州銀の死角前期決算から(下)英国――収益源の多様化に拍車。2007/03/20, 日経金融新聞, 9ページ, 有, 1284文字
https://www.nikkei4946.com/sub/np_p/F0110Subscribe.aspx?c=0N4V&bt=0
日経金融新聞
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米サブプライム問題誤算
今月初め、ロンドンで開いた英銀大手HSBCの決算記者会見。二〇〇六年の通期決算が最高益を更新、華やいだムードになるはずの会見場にはなぜか重い空気が漂っていた。
「同じ過ちは繰り返さない」。スティーブン・グリーン会長は神妙な面持ちで語った。米国で他行から買い取った信用力の低い個人向け(サブプライム)住宅ローン債権が不良化し、五十七億四千百万ポンドという巨額の貸倒引当金を計上したためだ。〇二年からの連続二ケタ増益という記録更新も果たせなかった。
「米住宅ローン問題の責任を取って報酬を一部返上しないのか」。前期にグリーン会長が受け取った報酬は約三百万ポンド(約六億七千万円)。厳しい質問を浴びせられた同会長は「報酬は報酬委員会が決めること。しかも金額は前の年から横ばいだ」と説明に追われた。
世界の金融市場を揺るがせた米国のサブプライムローン問題。一部の英銀大手にとっても「対岸の火事」とは言い切れなくなっている。バークレイズも、実質破綻に追い込まれた米ニュー・センチュリー・ファイナンシャルから住宅ローン債権を購入しており、現在買い戻しを請求中だ。今後、専門会社の破綻などが相次げば影響が広がる可能性もある。
もっとも、英銀上位四行はそろって前期まで四年連続で最高益を更新。二位のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)やバークレイズは協調融資や債券引き受けなどが伸び、投資銀行部門が利益成長をけん引している。
こうした強みを生かしつつ海外事業を拡大、収益源を分散させて高成長を維持する――というのが各行の戦略だ。
「チャンスは東にある」。バークレイズのジョン・バーリー最高経営責任者(CEO)はこう言い切る。年内にアラブ首長国連邦(UAE)、インドなどに三百五十支店を新設し、新興国市場でのリテールや法人、富裕層向けビジネスの拡大を急ぐ。〇五年に買収した南アのリテール最大手アブサ銀の利益や投資銀行業務の拡大で、二年前には二割程度にすぎなかったグループ利益に占める海外事業の割合は前期に五割に達した。
一方、RBSが重点を置くのが米の企業向け金融だ。最近のM&A(企業の合併・買収)ブームに乗り、この二年間で米国内の協調融資ランキングで二十七位から七位に浮上した。
「次は米国四位を目指す」とRBSのグッドウィンCEO。米国の企業向け融資はJPモルガン・チェース、バンカメ、シティグループの独壇場。昨年はシカゴの地銀を買収するなど、大手米銀がやや手薄な中堅企業向け市場を中核にした海外戦略をとる。
もともとアジアなどを得意とするHSBCは中東、中南米などを含めた新興国市場からの利益がグループ全体の半分を占める。「先進国よりも新興国市場を中心に投資していく」(マイケル・ゲイガンCEO)のが基本姿勢だ。
地元の英国での競争が激化するのに伴って、各行は投資銀行業務や新興国ビジネスといった分野への傾斜を急速に強めている。その分、高い利益成長を維持するためのリスク管理能力がさらに厳しく問われることになりそうだ。
(ロンドン=矢島美吉子)