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みなさまこんにちは
北九州市生活保護問題メールニュース(92)です。
厚生労働省が5.23門司餓死事件につき「対応次第で防げた」との検証結果を発表
厚生労働大臣が6月の参議院にて約束していた、5.23門司餓死事件の検証結果が12月26に明らかになりました。
検証結果では、@ライフライン停止から半年近く経過した12月6日の二回目の生活保護申請時につき、「説明に納得して帰られた。だから申請権の侵害にはあたらない」との北九州市の言明は、福祉事務所側の主観でしかなく、本人生活保護の申請意思の有無の確認をしていなかった。
Aさらに長男の扶養の可能性が少なく、ライフラインが止められていることを知っていながら、お金の持ち合わせも確認していなかった。
これらの事実から調査報告は、「男性の生活歴、現在の資力の有無等、詳しい話を聴く必要があった」としています。
つまり厚生労働省は、餓死事件は、門司福祉事務所の「対応次第で防げた」と北九州市の対応の不備を指摘していると評価されます。
北九州市は上級機関である国の「検証」をきちんと受け止め、北九州市自身が二度と生活保護申請拒絶による餓死事件を起こさないための改善策をたてるための、外部委員を入れた検討チームを至急結成すべきです。
もっとも国の検証結果は、現地訪問せずに単に北九州市の役人がそろえた資料に基づく聞き取り調査しか行っていないため、いくつかの疑問点が残っています。
@男性は二回もはっきりと申請意思を示していた。
情報公開された面接記録票では、9月30日分には「主の口から生活保護を申請したい旨の発言があった」。12月6日分でも「身体も弱っており、保護をお願いしたいとして相談」とはっきりと記載されています。
墨塗りだらけの面接記録票上ではっきりと、保護申請の意思を男性が発しているのに、面接主査が申請書を渡さず相談扱いで帰して、その後餓死を招いたことは、明らかに門司福祉事務所による申請権侵害ではないか?
A就労指導等他にも違法な対応の疑い
6月12日の参院行政監視委員会では、中村秀一社会・援護局長が「56歳の男性でございますので、働くことについてどうかというようなやり取りもあったようでございます」と回答しています。
つまりライフラインがとめられ、栄養状態が悪くふらふら状態の4級のしょうがい手帳を持つ男性に、就労指導をしていた可能性があったことを厚生労働省自身が認めていた経緯があり、墨塗の面接記録票上では、他にも違法な対応が行われていたのではないか?
B男性は4月まで生きていた?
北九州市生活保護問題全国調査団が10月24日に、餓死事件が発生した門司区後楽町団地の住民懇談会の際に、高齢の女性から「ケースワーカーから足を蹴られた」などの発言のほか、「男性を4月ごろ見かけた」という証言が出されています。
国の検証結果では、死亡推定時期は1月となっており、死亡時期に大きな疑問が生じています。もし4月に亡くなっていた場合は、まさに福祉事務所の対応次第で、男性を餓死に追い込むことがなかったことになります(門司福祉事務所は12月6日の申請面接を最後に、男性宅への連絡や訪問など一切行っていない。ワーカーの義務である民生委員会議への出席さえ怠っている)
C近隣住民の証言をなぜ聞かない?
末吉北九州市長は「法の執行に問題はない。地域住民の支えあいの弱さに問題があったのではないか」との見解を取り続けています。社会福祉の行政責任を地域住民の相互扶助に転嫁する、いわゆる「地域福祉の北九州方式」には大きな疑問がありますが、百歩譲ってそれに一理あるとするならば、国の検証結果では、男性を心配し続けた民生委員、自治会長、近隣住民の意見を聞き取るべきではないか?
D国はあらためて現地調査を行うべき
総じて国の「検証」は、当然ながら現地調査が原則です(福岡県でいえば、障害者施設カリタスの家での虐待事件、嘉穂郡での中学生自殺事件等)。
国は北九州市の役人のそろえた資料と一方当事者の証言だけで検証を行っているため、国民と関係者を納得できない中途半端な検証結果とならざるを得ない状態となっています。
国はあらためて北九州市の事件現場と門司福祉事務所を訪れての、現地調査による詳細な検証を行うべきでしょう。
<しんぶん赤旗12月27日一面>
北九州 生活保護拒まれ餓死
“対応次第で防げた”厚労省検証
北九州市で一人暮らしの男性=当時(56)=が五月、生活保護が受けられず餓死状態で発見された事件で、厚生労働省は二十六日、「対応次第では本事例のような結果にならなかった可能性がある」とする調査結果を明らかにしました。「対応に問題はなかった」としていた北九州市は是正を迫られることになります 。
国会で検証を求めた日本共産党の仁比聡平参院議員に同日、調査結果の詳細を報告したもの。
男性は、昨年夏に職を失って生活に困り、水道をはじめとするライフラインがすべて止められてしまいました。九月と十二月の二度にわたって生活保護を受けたいとケースワーカーや福祉事務所に訴えましたが、市は申請書さえ渡さず拒否。「申請権の侵害が男性の死を招いた」との社会的批判を浴びています。
調査報告書では、初期の対応や九月の申請時について申請権の侵害にはつながらないとしています。しかし、十二月の申請時の対応について「ライフラインが止められたままであったこと等から、長男の扶養の可能性の如何(いかん)に拘(かか)わらず、男性の生活歴、現在の資力の有無等、詳しい話を聴く必要があった」と指摘。「福祉事務所の関係各課の連携等の対応次第では、本件事例のような結果にならなかった可能性がある」と結論づけました。
この問題で厚労省は、高橋千鶴子衆院議員の質問に「(二度目のときに)もう一歩踏み込んでより詳しい話を聞く必要があった」と答弁していました。
事件の深刻さと世論反映の結果 仁比参院議員が談話
市の対応に反省点があるとしたことは、事件の深刻さと運動、世論を反映した結果です。厚労省は申請権の侵害がなかったといいますが、検証でも本人の申請意思の確認をしておらず、長男の扶養が見込める積極的事実がないことが明らかになりました。申請を認めない、いわゆる「水際作戦」の問題が浮き彫りになりました。この問題の糾明を含め、本来の生存権保障の実現のために力をつくしたい。
<同 五面>
北九州市の生活保護餓死 厚生労働省の検証結果
市の対応 問題点鮮明に
厚生労働省は26日、北九州市の一人暮らしの男性(当時56歳)が生活保護が受けられず餓死状態で5月に発見された事件で、「申請の侵害はなかった」とするものの、「対応次第では本事例のような結果にならなかった可能性がある」とする調査結果を明らかにしました。生活保護法と憲法に反する同市の保護行政の問題点を明らかにしています。(矢藤実)
<衰弱しきって>
亡くなった男性は昨年夏に仕事を失い、収入が途絶え、二男らの差し入れるわずかなパンや水で飢えをしのいえでいました。水道はじめライフラインはすべて止められ、昨年9月28日に衰弱しきった状態で発見されます。
その二日後に連絡を受けた福祉事務所は、ケースワーカーと保健師を訪問させます。同日とさらに12月6日の2回にわたって男性は、ケースワーカーや福祉事務所を訪ね、生活保護がうけたいと訴えます。しかし、福祉事務所は申請書さえ渡さず受け付けを拒否します。
厚労省の調査は、適切な相談、面接、助言が行われたか、申請権の侵害はなかったか、などを検証するためのものでした。検証結果は、「申請権の侵害につながる問題はなかったと思われる」としました。
しかし、こう結論付けた厚労省の説明からも、申請権の侵害が浮き彫りになりました。とくにライフラインが止められたままで二男の援助も途切れると男性が生活保護を求めて訪れた12月6日の対応に問題があることが明らかになりました。
<意思は未確認>
日本共産党の仁比聡平参院議員にたいして26日、説明した厚労省の担当者によれば、本人に生活保護の申請意思の有無の確認はしていませんでした。「説明に納得して帰られた。だから申請権の侵害にはあたらない」との北九州市の言明は福祉事務所側の主観でしかありませんでした。
さらに長男の扶養の可能性が少なく、ライフラインが止められていることを知っていながら、お金の持ち合わせも確認していませんでした。
これらの事実から調査報告は、「男性の生活歴、現在の資力の有無等、詳しい話を聴く必要があった」としました。
この指摘の根拠について厚労省担当者は「生活保護法によるものである」ことを認めました。12月6日の対応が生活保護法に抵触しかねないものであったことをする抵触しかねないものであったことを示しています。その背景には生活保護数を制限する数値目標があります。「違法、不当とはいえないが同市の対応に反省点がある」とする厚労省の検証は、北九州市でおこなわれているあまりにも露骨な生活保護の申請拒否を厚労省も追認することはできなかったことを示しています。
今回の事件について報告は「福祉事務所の関係各課の連携等の対応次第では、本件事例のような結果にならなかった可能性がある」と結論づけました。とくにライフラインが止められている世帯からの生活保護の相談などにはきめ細かな対応をすることを求めています。
<厚生労働省発表の検証結果>
社会・援護局
北九州市における死亡事例にかかる調査結果について
1 門司区の市営住宅での死亡事例
死亡者/男性(56歳)
生活状況/独居世帯(男性の長男、次男及び元妻はしない近隣で生活し、経済的支援等の実績あり)
死亡発見/平成18年5月23日(死亡推定時期:平成18年1月頃)
発見者/付近住民
2 調査の目的
ライフラインが停止されるなど生活が困窮している一人暮らしの要援護者の発見及び発見後の適切な援助が行われたかについて、検証する(福祉事務所、民生委員、地域福祉施策等)。
特に、福祉事務所は、生活保護の実施について適切な相談、面接、助言が行われたか、保護申請にかかる申請権の侵害は無かったかについて詳細に検証する。
3 検証結果(概要)
○ 要援護者発見(平成17年9月30日)から初期の緊急対応
緊急対応マニュアル(北九州市作成)に沿って、保健師とケースワーカーが訪問し、健康状態等をチェックし、入院の必要性がないことを確認した上で、生活の相談のため福祉事務所への来所を助言するなど、行政として、必要な支援が行われている。
○ 9月30日に男性と次男が福祉事務所に来所した際の対応
今後の生活について親族間で話し合い、その結果次第で再来所するよう助言しており、申請権の侵害につながる問題はなかったものと思科される。
○ 9月30日以降の対応
保健師が週1回程度訪問(11月10日で終了)し、健康状況、生活状況を確認しているが、訪問結果が保護課へ情報提供されていないなど、関係各課との連携が不十分であったことが認められる。
○12月6日に男性と次男が生活保護の相談に来所した際の対応
長男へ今後の援助の可否を確認して、援助が困難であれば来所するよう助言。
なお、本事例については、ライフラインが止められたままであったこと等から、長男の扶養の可能性の如何に拘わらず、男性の生活歴、現在の資力の有無等、詳しい話を聴く必要があったことは、結果論であるが否定できない。
○民生委員については、男性に対して訪問等による必要な支援は行われている。
また、12月29日頃には、男性に歳末見舞金による必要な支援が行われている。その後、民生委員自身の病気により、訪問活動による男性の見守りが行えなくなり、男性の死後5月まで発見が遅れる一因となったことは残念なことである。
今後、民生委員が病気等で活動できなくなった際のバックアップ体制に、係る指導の徹底を図る必要がある。
○以上のことを総合的に勘案すれば、福祉事務所関係各課の連携等の対応次第では、本事例のような結果にならなかった可能性があることも否定できない。
ついては、特にライフラインが止められている世帯からの生活保護の相談等には、きめ細やかな対応をするとともに、保護課及び関係各課の連携を一層強化する必要があると考える。