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【原発】浜岡原発訴訟が結審
2007年06月16日
http://mytown.asahi.com/shizuoka/news.php?k_id=23000160706160001
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地裁判決10月26日/差し止め巡り争い
中部電力浜岡原発1〜4号機(御前崎市)の運転差し止めを市民団体「浜岡原発とめます本訴の会」が求めた訴訟が15日、静岡地裁(宮岡章裁判長)で結審した。差し止めの仮処分申請から5年余り、提訴からは約4年。浜岡原発の耐震安全性や想定される東海地震の大きさなどをめぐって争われた裁判の判決は、10月26日に言い渡される。
15日は、原告、被告双方が最終準備書面を提出し、それぞれ意見陳述した。原告側は意見陳述で「こちらは相当な立証を尽くしたが、被告は安全性確保の立証を放棄しており、耐震設計の安全性を確保できていない。地震と原発事故が同時に発生する原発震災を防ぐために、裁判所に運転差し止めの判決を求める」などと主張した。
一方、中電側は「浜岡原発は、放射性物質の放出を防ぐ対策を講じ、十分に余裕を持った耐震設計をしている。機器の維持管理も法令に基づいている。原告は、抽象的な危険性の存在の根拠も示してない」などとして訴えの棄却を求めた。
結審後、「本訴の会」共同代表の白鳥良香さん(74)は記者会見で「仮処分申請から5年。裁判官が我々の努力を無視することはできないと思う」と述べた。
中電の原田正人・法務部長は会見で「十分な主張、立証ができた。全面勝訴を信じている」と話した。
本訴の進行に伴って中断していた仮処分申請については、判決と同じ10月26日に決定が言い渡されることも決まった。
◆地震への安全 どう判断/住民の訴訟 全国で係争
原発の設置許可取り消しや運転差し止めを求める訴訟は70年代から各地で起き、住民側の敗訴が続いた。ただ、風向きは変わりつつあり、現在は地震に対する安全性が大きな争点になっている。
98年、名古屋高裁金沢支部は志賀原発1号機(石川県)の運転差し止めをめぐる訴訟の判決で、請求を棄却したものの「原発が人類の『負の遺産』の部分を持つこと自体は否定しえない」と指摘した。99年の泊原発(北海道)差し止め訴訟の札幌地裁判決も訴えを退けたが「中止しようという選択肢もあってよい」と言及した。
その後、原発の安全審査の前提を揺るがす出来事が続いた。00年、活断層が見つかっていない場所で鳥取県西部地震(M7・3)が発生。「近くに活断層がない場合、直下10キロのM6・5の地震を想定する」という原発設置時の耐震指針は、全面的な見直しを迫られ、その後改定された。05年の宮城県沖地震(M7・2)でも、女川原発(宮城県)の岩盤で想定を超す揺れを観測した。
06年3月の志賀原発2号機(石川県)をめぐる訴訟の金沢地裁判決は、これらの地震を念頭に国の安全審査のあり方を疑問視。「想定を超えた地震による事故で住民が被曝(ひ・ばく)する具体的可能性がある」として運転差し止めを命じた。被告の北陸電力は控訴したが、判決は原発の耐震性に正面から疑問を投げかけ、電力業界に衝撃が走った。
30年以内に87%の確率で起きるとされる東海地震の想定震源域の真ん中にある浜岡原発は全国の原子力発電所の中で、最も地震のリスクが大きいといわれる。M8が予想される東海地震のエネルギーは阪神大震災(M7・3)の約10倍だ。
東大助手だった石橋克彦・神戸大教授が「東海地震説」を唱えたのは1976年。浜岡原発1、2号機の建設に着工した70年代前半、近くでM8の大地震が起きるとは考えられていなかった。
全国では、柏崎刈羽原発(新潟県)、島根原発(島根県)、志賀原発2号機、六ケ所村の核燃料サイクル4施設(青森県)で設置許可取り消しや運転差し止めを求める訴訟が係争中だ。これらの関係者ら、全国的に注目を集める中で、裁判所が浜岡原発の地震に対する安全性についてどういう判断を下すのか、注目される。(吉野慶祐)
原告側「大きな地震動には不安」 被告側「揺れに強く十分な耐震」/専門家証言
浜岡原発訴訟では、延べ11人による証人尋問が昨年9月〜今年4月にかけて集中的に行われた。証人数の多さは本訴訟の特徴と言え、原発や地震、金属材料など広範囲な分野の第一線の専門家らが東海地震と浜岡原発の安全性についてそれぞれの見地から証言し、今回訴訟の証拠調べの山場となった。
政府の中央防災会議が01年に見直して報告した東海地震のモデルについて、原告市民団体側の証人で、76年に東海地震説を発表した神戸大教授の石橋克彦氏(地震学)は「アスペリティの位置は科学的な根拠で置かれていない。このモデルを基に耐震性を確認するのは不適切」とした。これに対し、被告中電側証人で政府の中央防災会議委員の東大名誉教授の溝上恵氏(地震学)は「(モデルを)現時点で見直す必要はない」と述べた。
耐震設計について、被告側証人で元東大地震研所長の伯野元彦氏(地震工学)は、原発の主要構造部には壁が多く、重心が低くて揺れに強く「十分な耐震安全性がある」と述べた。これに対して、原告側証人の元原発設計技師でジャーナリストの田中三彦氏は「構造設計的に十分な余裕を持って作られているものではない。大きな地震動に耐えられるかどうか非常に不安だ」と主張した。
原告、被告双方が申請した京大名誉教授の入倉孝次郎氏(強震動地震学)は、浜岡原発の立地について「非常にいい場所とは当然思わない」と証言したこともあった。
また、被告側証人の東大教授の班目春樹氏(原子力安全工学)は、地震により安全上重要な機器類が複数同時に機能喪失する可能性を考えるべきだとの原告の指摘に対して「(不具合が)同時に起こらないと考えるのは一つの割り切り」と証言した。
3月19日には、中電側証人である同電力の課長と被告側弁護士との証人尋問の中で、浜岡原発で制御棒が脱落する事故が91年にあったことが明らかにされた。傍聴席で事故について初めて知った原告らは一様に驚き、廷内は一時ざわついた。
◆老朽化や地盤強度 争点
浜岡原発は東海地震の想定震源域の真ん中に位置し、直下でマグニチュード(M)8クラスの地震が起きる可能性が高いとされている。訴訟では、東海地震の規模や浜岡原発の耐震安全性、立地する地盤の強度、老朽化などが争点になってきた。
政府の中央防災会議が01年に見直して報告した東海地震のモデルについて、原告の市民団体側は「安政東海地震(1854年)が南海トラフ沿いのプレート間地震の中で最大の地震とは科学的根拠をもって言うことはできない」とした。そして「中電が耐震設計で策定した基準地震動を超える地震動が発生する可能性はある」と指摘した。
一方、被告の中電側は「安政東海地震の震度分布を再現して大きめに設定した妥当な想定。これを大きく超過するような巨大地震の発生は考えられない」とし、「耐震設計審査指針と科学的知見に基づいて十分余裕を持って設計、建設されており、地震でも能力が損なわれることはない」と反論している。
市民団体側はまた、「複数の機器が同時に故障して事故防止対策が破られ、災害が発生する恐れがある。さらに老朽化による応力腐食割れ(SCC)によるひび割れが無数に見つかっており、不安を与えている」とも指摘する。
一方、中電側は「原告側は抽象的な危険性が否定できないとの主張と、単なる恐れの念の表明を繰り返している」と反論するなど、原告と被告双方の主張が真っ向から対立してきた。
原発の耐震設計審査指針が昨年9月に改訂された。これを受けて中電は、3、4号機の新しい耐震性評価を経済産業省に提出した。アスペリティが直下にある場合でも安全性に問題はないとしている。運転停止中の1、2号機については09年9月までに新指針に基づいた耐震安全性の確認をするとしており、この1、2号機への判断についても注目される。提訴時に工事中だったことなどから本訴訟で運転差し止めの対象となっていない5号機については、今月中に報告する予定だ。(中野渉)
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