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投稿スタイルが議論版には不向きかも知れませんが、様々な議論のありうる事柄と思い此処にアップします。読売新聞の記事です。
(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070202ik07.htm)
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腎臓売買、比が公認へ…外国人患者対象
年内導入目指す、闇取引に歯止め
【マニラ=遠藤富美子】フィリピン政府は、腎臓移植を希望する外国人患者に対し、一定の条件を満たせば腎臓提供を認める新制度を導入する方針を固めた。
闇で横行する臓器の国際取引を事実上公認するもので、10日に保健省が公聴会を開いて各界の意見をくみ上げた上で、今年中の制度実施を目指す。外国人を対象とする政府公認の臓器売買は世界に類例がなく、実際に制度運用が始まれば移植待機者が1万人を超す日本から患者が殺到することも予想される。
ドナー支援など費用600万円
新しい生体腎移植制度案は、外国人患者に〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人分の移植手術代――を支払わせるのが骨子。ドナー生活支援費などが1万2000ドル(約144万円)、フィリピン人患者の移植代が円換算で96万〜120万円相当とされ、外国人患者の手術・入院代とあわせ、外国人患者は総額5万ドル(約600万円)を支払うことになる。仕組み全体は政府が管理し、ドナーは民間のドナー支援団体「腎臓財団」を通じて生活支援を受ける。
保健省のジェイド・デルムンド次官は本紙の取材に「新制度導入で闇の売買横行の余地は消え、ドナーは搾取されずに、恩恵を受けられる。臓器売買ではない」と述べ、新制度の狙いが闇取引撲滅と比国民の保護にあることを強調した。
フィリピンの人身売買禁止法は、臓器売買を禁じているが、昨年は仲介業者1人が同法違反で逮捕されただけ。世界各地の深刻なドナー不足を背景に、闇の腎臓売買が貧困地区ではびこっているのが実態で、犯罪組織介在も指摘される。
比保健省はまた、「外国人の移植数は移植総数(2005年には630件)の10%」という上限を設けているが、実際には国内患者より高い「外国人価格」目当てに上限に違反する施設も多く、移植総数の3割程度が中東出身者を中心とした外国人と見られる。
ただ、国による臓器売買の実質公認となる制度については「先進国による搾取」との反対論も根強く、内外の反応次第では見直しを迫られる可能性もある。
[解説]日本人、国内法抵触か
フィリピンの新制度が導入されると、日本の移植医療に大きな影響を及ぼす。まず、日本人が移植を受けた場合、国内の臓器移植法に違反しかねない。腎臓提供者が受け取る金銭の詳細は未定だが、医療費以外の生活支援が含まれるとしたら報酬と見なされる。これは国内外に関係なく、売買を伴う臓器提供を禁じる同法に抵触する可能性が高い。
また、大挙して日本人が渡航した場合、国際的な批判もでるだろう。
しかし、移植を長期間待つ患者も放置できない。臓器提供の拡大を図る臓器移植法改正案は、審議が進まず、患者団体の不満も高まっている。「金で臓器を買う民族」というレッテルが張られる前に、臓器不足解消に早急に取り組まなくてはならない。(科学部 高田真之)
(2007年2月2日 読売新聞)