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ユーモアとウソ【中日新聞】
2007年7月28日
「英国人のように料理がうまく、ドイツ人のようにユーモアがあり、フランス人のように運転が穏やかで…」
パリ特派員のとき、知人が教えてくれた小咄(こばなし)「完全なるヨーロッパ人」である。
腹を抱えて笑ったあと、知人に尋ねてみた。「『日本人のように』を付け加えて小咄『完全なる世界人』をつくるなら?」。彼は答えた。
「ドイツ人に勝るユーモアを持ち」
どうやら、日本人にはユーモア感覚がまるでないというのが世界の常識らしい。落語や狂歌など、ユニークな笑いの伝統文化を持っているはずなのに、なぜだろう。
「明治以降、日本が『追いつけ、追い越せ』となって、余裕をなくしてしまったからやね。動物の中でも笑うのは人間だけ。笑いには、人や物事を対象化し距離をとるという心の働きが必要で、ゆとりがないとあかん」
腹に落ちる解説をしていたのは、先日亡くなられた心理学者の河合隼雄(はやお)さんだ。
一度、食事をともにさせてもらったが、ご本人が駄じゃれを連発し、座は笑いっぱなし。文化庁長官の肩書など消え、とびきりおもろい一人のおじいちゃんがいた。
何しろ、自称「日本ウソツキクラブ会長」。ユーモア精神は半端じゃない。例えば、こんな随筆が記憶にある。
米国へ招かれた際、友人の教授宅に滞在し、趣味のフルートを吹いていると、小鳥たちが寄ってきて、庭の木でさえずり出す。うれしくなってある時、窓を開けて吹いてみた。すると、小鳥が耳元に来てささやいた。「フルートを吹くときは、窓を厳重に閉めてください」−。
しかし、この会長も、最近はしきりに嘆いていた。
「このごろの世の中は『悪質なウソ』がはやりすぎる。新聞を見るとよくわかるだろう。自分の利益を計るためにウソをつく。わがクラブは、ユーモアのあるウソを大切にしているのだが」(『ウソツキクラブ短信』講談社)
あすは、いよいよ参院選の投票日。「自分の利益を計るため」だけの「悪質なウソ」は、有権者がしっかりと見極めなくてはならない。
(名古屋本社編集局長・加藤 幹敏)
http://www.chunichi.co.jp/article/column/desk/CK2007072802036568.html
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