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(回答先: Re: コンピュータは所詮コンピュータでしか無い 投稿者 Kotetu 日時 2007 年 6 月 14 日 22:32:18)
二酸化炭素地球温暖化仮説と巨大マスコミと学者たち
中本 正一朗
財団法人地球科学技術総合推進機構主任研究員 (不当解雇撤回係争中)
国立工業高等専門学校機構 沖縄工業高等専門学校機械システム工学科教授
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T. 2006年2月18日のNHKスペシャル番組
人類が化石燃料を燃焼させたために大気中に蓄積された二酸化炭素が原因で過去100年間の大気温度が上昇したとする二酸化炭素温室効果仮説は気象学者や海洋学者などの学者たちだけでなく政治家や産業界やマスコミ産業に係わるジャーナリストやテレビタレントまでもが叫ぶ時代である。
昨年(2006年)2月18日のNHKスペシャルは「スーパーコンピューター地球シミュレーターがブラジル沖に発生する台風を1年前に数値気候モデルで予測しただけでなく、日本列島を2095年に襲う大型台風までも予測した」かのようにテレビ視聴者を信じ込ませる効果を狙ったのではないかと私には思われる全国放映のテレビ番組だった。なぜなら現代の気象学の知識を使ってNHKテレビで放映されたような巨大な暴風雨をコンピューターで予言できるなどとは私が知っているどのような気象学者でも人前では主張しないからである。
また東京の高千穂大学で昨年の同じ日(2月18日)に開かれた二酸化炭素温暖化公開討論会でノートパソコンを持ち込んで飛び入り講演を行った環境保護団体は「人類が大気に放出した化石燃料起源の二酸化炭素が過去100年間に観測された気温上昇の原因である」と主張した。私はこの高千穂大学での公開討論会に参加して「巷で風評のとんでいるような将来の地球の気候を予言する能力を現在の気候モデルは持っていない」ことを主張した。私が知っているどの気象学者も海洋学者も実際に測定された二酸化炭素濃度と気温のデータを用いて「人為起源の二酸化炭素が過去100年間の大気温上昇の原因である」と証明できる人はいないのである。「二酸化炭素地球温暖化の完全な説明はコンピュータ以外ではできないということのどこが悪いのか」と居直って「地球の気候問題にも予防原則を採用すればそれで充分だ」というのは人間として正直な態度ではないと私はここで強く主張したい。
それでは人類が化石燃料を燃焼させたために地球の気温が上昇したと説明する二酸化炭素温暖化仮説はどのような論理に基づいているのか?化石燃料由来の二酸化炭素が温室効果ガスであることは間違いではない。「二酸化炭素が過去100年間の気温上昇の真犯人であることを観測データで直接に証明することは不可能である」ことは気象学者も認めることである。しかし「観測データを用いて地球温暖化理論の検証することはもともと不可能だから」と言って簡単な数学方程式をコンピュータに解かせた結果にすぎないことを「このまま化石燃料由来の二酸化炭素を大気中に放出すれば2095年に大型台風が日本列島を襲う」と言ってNHKスペシャルというテレビ番組で全国放映させてしまうのは演繹主義の行き過ぎと誤りをNHKテレビ番組製作者にだけでなくNHKテレビの視聴者たちにまで感染させてしまうのではないか?(注1)
私は化石燃料由来の二酸化炭素が過去100年間に大気中で増加しているかどうかをここで議論しているのではない。「その問題について責任ある発言をするのは化学者や生物学者や生態学者に任せよう」と私は考える。
しかし私は1995年から海洋科学技術センター(JAMSTEC)においてはじまった旧科学技術庁の地球シミュレーター事業の実態と地球シミュレータ事業に由来する財団法人地球科学技術総合推進機構(AESTO)が進めている温暖化予測研究センターとNHKの二酸化炭素温暖化番組の全国放映の意味をこの国の納税者に報告する私の義務をはたしたいと思う。いったい今回の地球シミュレーターを使った二酸化炭素地球温暖化予測事業とは何なのか?
「地球シミュレータによる地球温暖化予測研究事業」はこの国の革命を唱えた小泉政権の下で「リサーチのレボルーション2002(研究の革命2002年)」と称して財団法人地球科学技術総合推進機構(AESTO)と気象研究所と宇宙開発事業団(NASDA現在のJAXA)の3者が仕組んだAESTO財団の財政救済事業でもあったことがAESTOの常務理事の裁判証言から読み取れる(平成18年11月29日付けの東京地裁の平成17年(ワ)第26412号地位確認など請求事件における証人等調書の33ページに記載されている財団法人地球科学技術総合推進機構常務理事の西村良弘証言を参照せよ)(注2)。
私は地球の大気や海洋の運動を学者たちが勉強することに反対しているのではない。勉強の好きな人は勉強したら良い。しかし、自分の勉強の成果が政治家や産業家やテレビタレントたちによって世論の操作や洗脳の道具として利用されてはいけないと主張しているのである。(2006年2月18日のNHKスペシャルの番組がどのような影響を与えたかを考えて見ればよい。(注3))
U.日本物理学会環境物理シンポジウムでの槌田敦の主張について
IPCC(気候変化政府間パネル)が主張するCO2温暖化仮説に共通して流れる精神(または気候モデル研究の哲学)は真鍋叔郎氏の1961年の論文に現れていると私は思う。私の連載記事「気候シミュレーションとは何か?」の読者から私は「気候シミュレーションという科学の成立は可能か?」を問う以下のような質問を受けたのである。
「私が常々不思議に思っていることは、二酸化炭素温暖化説を主張する人が、数値計算した結果を、一気にパラメータ調整やフラックス調整で、計算から求めたのではない観測値あるいは経験値で平気で置き換えてしまうことです。これでは数値計算した意味がなくなってしまいます。一体何のための数値計算なのでしょうか?数値計算結果が現実を表現していなければ、モデルを根本的に見直し、改良することによって現実に迫り、現象に対する理解を深めるというのが通常のプロセスだと思いますが、平気でカンニングを許す現在の気候モデルでは、現象にたいする理解を深めるのではなく、とりあえずそれらしい数値を求めることが優先されているごまかしであり、科学などと呼べるものではないと考えます。」
つまり、「気象モデルや海洋モデルや気候モデルなどの環境シミュレーション数値モデルを用いて『モデルは自然現象を再現した』と学者たちは主張するが、実際はこれらのモデルの計算結果(たとえば対流圏の温度構造)が現実を表現していなくても彼ら学者たちは観測値や平均値(たとえば大気の二酸化炭素濃度分布や湿潤断熱減率)でモデルの物理量を置き換えてモデルの計算結果を現実に近づける操作を行っているのではないか?」と問うているのである(注4)。
2007年春の日本物理学会で槌田敦は真鍋叔郎氏の論文に現れているモデル化の手法を取り上げて、「水平方向の変化を無視して雲を扱うことができない放射対流平衡モデルで、大気が水蒸気をふくむとした湿潤断熱減率Γを導入したり、一定値=Γ=6.5K/(km)を用いたり、湿潤断熱減率Γの値いろいろ変化させて対流圏の気温の鉛直構造を絵に描いてみせるのは演繹主義の限界を無視している」と主張したのである。実験室で条件を制御しながら自然現象を調べる物理学とは異なり、「気候予測は人間が勝手に与えた条件にしたがってコンピュータ計算した結果を信じるという信仰によって成り立っている」と槌田敦は現在の気象学者たちの気候温暖化予測事業を批判するのである。
かつて物理学者が自然哲学者と呼ばれていたころには、人間は自然現象を生命現象と非生命現象とに区別して自然現象を細分化して細かく深く調べていた。自然現象をこのように部分に分割し部分同士を切り離した個別の理論が科学(サイエンス)という行為の始まりであった。これら個別の理論を構成していくときに理論構成に邪魔になる観測事実が切り捨てられることは避けられない。
槌田敦は石油を燃焼させて大気中の放出した二酸化炭素が原因になって過去100年間の大気温度が上昇したという仮説に頼っていたら「人類が石炭や石油を知らなかった5億年前には現在よりも地球は温暖化していたという地質学上の観測事実を説明できない」と主張する。つまり気象学者が主張する二酸化炭素の温室効果による地球温暖化仮説によって「現在の地球の気温上昇が石油起源の二酸化炭素に起因するのか、それとも地球や宇宙空間の外部擾乱により地球の気温が上昇したのか?」という質問に答えを出すことはできないと主張し、「大気温度が上昇すれば海洋に溶解している二酸化炭素が大気中に放出される過程が重要である」と主張する。
そしてコンピュータを使った気候予測数値シミュレーション結果だけを唯一の根拠にして「このまま人類が石炭や石油を燃焼させて大気中の二酸化炭素濃度の上昇させると近い将来には大気温度が上昇して世界中が混乱する」とまで主張する二酸化炭素悪者説は学問の成立条件をみたしていないと批判する。
つまり人類が石油を燃焼していなかった地質時代や1万年前や紀元後数世紀の間は地球の気温は現在よりも高かったこと、二酸化炭素もメタンも水蒸気も温室効果ガスであること、対流圏における水蒸気や雲と大気の物理学が未知であること、地球の生物と非生物の相互作用が未知であることを槌田敦は指摘し、温室効果を論じる場合は水蒸気と雲の役割を議論したあとで、雲よりも温室効果の弱い二酸化炭素の影響を論じるべきだと主張するのである。
地球の気候シミュレーションを我々が本当に科学の段階にひき上げたかったら、我々はコンピューターを使った数値気象学の限界を認識し、我々がコンピュータモデルと現実の気候現象との違いを知ることが如何に重要であるかを槌田敦はわれわれに教えているのだと私はおもう。
V.1980年代の核兵器廃絶運動に参加した米ソの気候学者たちが果たした役割
槌田敦は「演繹主義がいかに我々を盲目にするか」について、我々に問いかけていると私は思う。我々が自然現象を観測し、観測された量の間に成り立つ関係性のことを我々は自然法則と呼んでいる。観測データを整理して自然法則にまとめる段階では我々は帰納主義を実践している。したがってこの段階では我々が観測する自然現象の厳密な意味での因果関係は問わない。つまり帰納主義の段階では観測データを用いて観測量の間に成り立つ関係を記述するのである。このことをハートは自然現象のダーウィン的な記述方法と呼んでいる(ハート、ニュートン的手法とダーウィン的手法の統合、邦訳「パリテイ」、2003年;Harte, "Synthesis between Newtonian and Darwinian World Views, Physics Today, October, 2002)。これらの諸現象の観測量間に成り立つ関係式を用いて観測量が時間とともに発展するからくりを微分方程式の形にすれば、この微分方程式と初期の観測量を用いた将来予測(つまり将来の観測量を予言すること)ができる。こうして物事の原因と結果が特定できる。この因果関係を使って観測事実を説明しようとするのが演繹主義の立場であり、ニュートンの運動方程式は演繹主義の立場にたってずいぶんとわれわれの役に立ってきたのである。
地球の気候を物理学の理論によって説明しようとする気候物理学は自然改造計画が議論されたロシヤ革命後の旧ソ連で創始されたといってよい。1980年代になると米ソの学者たちは「大規模核爆弾の爆発に拠る核戦争が地球の生物を絶滅させる」と主張して旧ソ連首相ゴルバチョフと米国大統領レーガンを説得したが、そのときにソビエト−アメリカの気候学者たちは「核戦争によって地球が破滅することの学問的な根拠」として「核爆発で大気に放出される二酸化炭素の温室効果とエアロゾールの日傘効果」を主張した(注5)。
世界中で核兵器廃絶運動がさかんだった1980年代に「核戦争で地球が寒冷化すれば人類も絶滅する」と言ってモスクワの政治家たちを洗脳し、結局は旧ソ連を崩壊させて核兵器を事実上は解体させたのがソ連の気候学者ブデイコたちである。もちろんこれにはアメリカの団塊世代(ベイビーブーマー世代)の科学者たちも大きな貢献をしている。
つまり、アメリカの団塊世代でヴェトナム反戦活動家だった科学者たちとソ連の科学者たちが協力して、気候理論で武装して1985年には米ソ合同会議を開き、そこで米ソの核兵器廃絶運動を米ソの気象学者たちが応援したといえる(注6)。
このときの気候理論はレーガンとゴルバチェフに大規模核戦争の準備を放棄するように説得する反戦運動から来ているのだから、この段階では地球の対流圏大気温度に果たす水蒸気の役割についての議論は主役を演じない(注7)。1985年の「大気中の二酸化炭素量の上昇に関する米ソ合同会議」では二酸化炭素による温室効果を議論するという議題をつけてはいるが、実際は「核爆発による二酸化炭素の温室効果を議論したのではなく、核爆発によるエアロゾールによる日傘効果を議論し「日傘効果により地球が寒冷化すれば生物が絶滅する」という結論を導いている。つまり地球の生命は二酸化炭素濃度の増加で絶滅したのではなく、米ソの核戦争によって大気中に放出されるエアロゾ−ルによる気候の寒冷化が地球生態系の破局をもたらすと主張したのである。
気象学者たちは過去5億年間の地球の観測データにもとづく地質学上の知識に基づきながらも、コンピュータシミュレーションを使った「核爆発およびその後の火災で発生する光化学スモッグデータの詳細化と、気候変化(とくに気温変化)の時間空間的分布については本質的に大きな困難に直面している」と書いてある。すなわち、「気候モデルが成功したのは過去100年以上にわたる世界気象観測のデータが、モデルの作成とチェックにうまく利用されたためである。したがって現在の気候理論モデルを用いて核戦争時に発生する将来の大気過程をある程度詳細に説明できるかどうかは、かなり疑問がある」とブデイコは正直に気象学者の悩みを告白している(注1:ブデイコ・ゴルツイン、イズラエル共著、「エアロゾルによる地球的な気候破極――大噴火・天体落下・核戦争」の119ページの「第2.3節:結果の信頼性」の記述を参照せよ。)
このような過去の米ソの気象学者たちの政治的活動から我々は何を学ぶことができるのか?1980年代に米ソの団塊世代科学者たちが世界的な核兵器廃絶運動に協力して核戦争の不条理について米ソの政治家たちを教育したのと全く同じ気候理論にもとづきながらも、現在の科学者たちは政治家や産業家たちと協力して、20年前とは全く別の結論(エアロゾールの日傘効果で人類が絶滅するのではなく二酸化炭素の温室効果によって世界が破滅する)を主張しているのである。それでよいのだろうか?
ゴルバチェフに核兵器廃絶を説得したソビエト気象学者の悩みは気候理論に使われている数学原理の困難についてであることがブデイコの正直な告白から読み取れるではないか。この数学原理の困難はこの20年間で解決されてはいないのである(連載記事「気候シミュレーションとは何か」を参照)。
天気予報を数学の力を借りて簡単な微分方程式を使ってコンピュータ計算させることは重要な実用課題である。しかし2095年の日本列島をおそう台風を予言するという誤った情報を気象学者たちがNHKテレビで全国放映させるのはこの国の戦前の731部隊における医学者たちの政治活動と通じるものがあるように私にはおもわれる。
W.結論
ラプラスは「私に初期値をあたえよ。さすれば将来を予言して見せよう」と言ったそうである。たしかに潮汐はラプラスの潮汐方程式で予言できる。また第1次世界大戦中にリチャードソンという人は流体力学方程式を解いて天気予報ができるはずだと考えた。高気圧や低気圧の移動がわかれば天気が予報できる。したがって天気予報も流体力学方程式を解くことにより、2週間程度の天気予報が可能になる。したがって私は天気予報の精度を向上させようと努力している人たちを攻撃しているのではない。
私は2週間程度の天気予報ができる流体力学の数学をそのまま使って2095年の暴風雨が予測できると思わせるようなコンピュータ計算結果をマスコミに発表することをぜひやめて欲しいと気象学者たちに訴えているのである。ブラジル沖の台風を予測し2095年に日本列島を襲う巨大台風を予測したような印象を与えるテレビ番組をNHKが作成したとき、そのような番組をNHKが全国放映することにたいしてなぜ気象学者たちが反対しなかったのかを聞いてみたい欲求にかられるのである。
「地球の気候を予測してみせると自分から言ったことは一度もない」と気象学者たちは言うのだろうか?「NHKが勝手にそんな番組を作成して全国放映したのだ」と主張するのだろうか?自分が心の中で何を思おうが、地球シミュレーターを使った気候予測モデルで将来の地球の気温を予測できると信じているような人たちがNHKにもフジテレビにも多すぎるとは思わないのだろうか?私はもういちど私に寄せられた質問をここで再録しておきたい。
「一体何のための数値計算なのでしょうか?数値計算結果が現実を表現していなければ、モデルを根本的に見直し、改良することによって現実に迫り、現象に対する理解を深めるというのが通常のプロセスだと思います」
私は地球シミュレーターを使って温暖化予測研究を行った気象学者たちはマスゴミや政治家や産業家たちからの圧力を受けてNHKスペシャル番組の制作に協力させられたのではないかと想像している。したがって私は彼ら地球シミュレーターを使った地球温暖化予測事業に動員させられた気象学者たちには同情を禁じ得ない。
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【注1】 私は旧科学技術庁の認可法人海洋科学技術センターJAMSTEC(現在の独立行政法人海洋研究開発機構JAMSTEC)で1995年から1999年までの5年間で2億5000万円の開発費を使って始まった地球シミュレーター用次世代海洋大循環モデル開発事業の初代責任者である。初年度(1995年)に5000万円の予算を使って気候シミュレーター用次世代海洋大循環モデルの基本構想に基づく基本数値モデルの仕様書を作成し、その作業をFに発注したのは私である。したがって私は気候予測を行うために必要な海洋表面の温度がどのようにコンピューターで計算されるのかをコンピューターコードの1行づつ熟知している。現在の気候予測モデルに組み込まれている海洋モデルは人工衛星から観測された植物プランクトンの濃度を考慮するだけで全く異なった結果を出すことも私は知っている。
海洋における植物プランクトンの生態が海面水温に影響を与えることは海洋生物学者や海洋化学者は知っている(国際地球圏生物圏プログラムIGBP.の統合的海洋生物化学生態系研究IMBER報告書 No.52 http://www.imber.info/products/IMBER_SPIS_Final.pdf を見よ)。しかし残念ながら地球シミュレーターを使って2095年に日本列島を襲う台風を予言した学者は植物プランクトンなんか無視してNHKスペシャル番組で放映するための予測をしたのである(財団法人地球科学技術総合推進機構(AESTO)の温暖化予測研究センターの温暖化予測事業の成果をNHKスペシャルという番組で全国放映しなければならなかったのは何故か?)。
【注2】 ときの政権をおだてるジャーナリストたちが「小泉革命」と叫ぶや否や旧科学技術庁官僚は学者を集めて「リサーチレボルーション2002研究革命2002」と題した5年間の「地球シミュレータによる地球温暖化予測研究事業」を始めたのだ。この「リサーチ・レボルーション2002.RR2002」という名前の国家事業は財団法人地球科学技術総合推進機構(AESTO)と気象研究所と宇宙開発事業団(現在のJAXA)の3者が仕組んだAESTO財団の財政救済事業だったのである(平成18年11月29日付けの東京地裁の平成17年(ヮ)第26412号地位確認など請求事件における証人等調書の33ページには以下のような証言が記載されている。
原告は 中本 正一朗(財団法人地球科学技術総合推進機構主任研究員)
証言者は被告AESTOの常務理事 西村良弘(1998年に旧科学技術庁からJAMSTECへ天下りし、その後でAESTO常務理事になった、いわゆる天下り官僚)
被告AESTO側証人 西村良弘が、経営不振になった財団法人地球科学技術総合推進機構(AESTO)の運営経費、一般経費などにつて証言した後で以下のように証言している:
原告代理人質問:温暖化研究センターですか、あれは、あなたが事務局長になってから、AESTO(地球科学技術総合推進機構)のほうでとってきた仕事ですか?
被告側証人西村良弘:さようです。事務局長でもありますけど、常務理事ですね。
原告代理人質問:AESTOのほうで最初からとってきたのですか?
被告側西村良弘:これは気象研究所、それからわたしども、それから現在のJAXAですね。当時はNASDAと言っていましたが、その3者でジョイントを組んでやろうじゃないかという話があって、それで我々が乗っかったというのが正解かと思います。
原告代理人質問:先生は一緒にやったのですか?
被告側西村良弘:私もです。もちろん。
原告代理人質問:それは、今でもつづいているのですね?
被告側西村良弘:もちろん、そうです。
以上は平成17年(ヮ)第26412号 地位確認等請求事件(東京地裁の民事36部)における財団法人地球科学技術総合推進機構(AESTO)常務理事の西村良弘の証言記録である。
「2002年の小泉革命政権下で研究の革命を行う」と言い放ち、その革命事業に「研究革命2002リサーチ・レボルーション2002共生プロジェクト」というあだ名をつけたのは誰だろうか?
財政難だった財団法人地球科学技術総合推進機構(AESTO)に国家事業としての研究革命事業地球温暖化研究センターを運営させることを気象研究所と宇宙開発事業団(NASDA)が計画し、AESTOを誘ったのだ」と西村良弘は証言したのである。
NHKスペシャル番組作成に協力した気象学者や番組に出演した気象学者たちはこの「共生プロジェクト」という名前の温暖化予測事業案を作成する際にどこまで深く関与し参加したのか?気象研究所の学者たちが小泉革命政権の下での「研究の革命」や「共生という流行語」の洗脳効果を主張したのだろうか?
AESTOは2003年3月31日に主任研究員中本正一朗を整理解雇した。この解雇を不服として中本は解雇撤回を求めて東京地裁に提訴した。しかし、東京地裁の民事36部裁判長 知野 明 は「AESTOによる中本の整理解雇は合法である」として中本の提訴を2007年3月18日に却下した。
AESTOは旧科学技術庁の"国策会社と同じ役割を果たしている財団法人"だから経営不振になるはずはない。したがって(雇用期間の定めが無い正規の)主任研究員を経営難を理由にして解雇できると主張するAESTO側の論理は間違いだと私はおもっている。AESTOにもJAMSTECにも労働組合が無かったために私がAESTOの天下り官僚から首を切られたことを私がいまさら嘆いても遅すぎるのだから私は嘆きはしない。しかし、この国の天下り官僚の行動は私が裁判をすることによってのみ納税者民衆に公表することができると私はおもっている。
中本は東京地裁民事36部の裁判長 知野明 の判断は誤っているからこの判決に不服であるとして、AESTO理事長坂田俊文を相手取って中本の解雇を撤回を求めた民事裁判を東京高等裁判所に控訴した。
【注3】 2006年2月18日のNHKスペシャル番組に登場したAESTOの気象学者も番組作成に協力した人たちも全国放映された巨大台風襲来の予測番組がテレビ視聴者に与えた影響と彼らの役割については沈黙している。石炭や石油の燃焼による二酸化炭素が地球を温暖化させるというテレビ番組が全国放映され、政治家やテレビタレントたちまでもが二酸化炭素削減を主張し未来の気候を予言することは何を意味するのか?納税者に向かって「気候温暖化を防ぐために二酸化炭素を削減しよう」という共同声明を発表するこの国の学者たちの精神状態は何なのか?
【注4】 大気温度の鉛直方向の変化(大気の鉛直構造)を説明するために大気中における放射過程と対流過程のみを考慮して、地球の気温は定常であると見なすモデルのことを(定常を平衡という言葉でおきかえ)放射対流平衡モデルと呼んでいる。このようなモデルは水平方向の温度変化は扱わないで、大気の成分が変化したら気温の鉛直構造がどう変化するか(つまり地表面が温暖化するかどうか?)を考える際に我々の思考の道具になるという意味で、コンピューターモデルとは玩具のモデルであると私は主張しているのだ。
以下の議論には放射対流平衡モデルがなぜ演繹主義の典型であるかが現れている。
水平方向を無視して鉛直方向の温度分布を
T(z,t+凾煤j=T(z,t)+(∂T/∂t)凾煤{(対流調節)
(∂T/∂t)=g凾q/(Cp凾o)
ここで
T は薄い大気層の温度
Z は地上から計った大気層の高さ
t は時間 凾q = (薄い層の上端でのR)−(薄い層の下端でのR)
R = 放射の上向きフラックス{(地球放射)−(太陽放射)}
g = 重力常数
Cp = 定圧比熱
凾 = (層の上端での圧力)−(層の下端での圧力)
対流調節は鉛直方向の気温分布がある臨界値を超えると対流が起こるというパラメータ化技術を採用する。つまり
−∂T/∂Z <Γ なら何もしない
−∂T/∂Z >Γ なら −∂T/∂Z=Γ とする
水蒸気が無いモデルではΓ=乾燥断熱減率とする
しかし、水平方向の変化を無視したモデルでは雲を扱うことができないので、水蒸気をふくむモデルの場合は湿潤断熱減率をつかったり、一定値 6.5K/(km)にしたり、Γの値をいろいろ変化させたときに放射対流平衡モデルがどんな結果を出すのかをしらべるのである。
大気の上端での境界条件は正味の日射と地球放射の合計がゼロになることである。
地表面の熱容量はゼロとして、地表面にたいする放射加熱はすべて大気を暖めるとする。
このようにして上のT(z,t)を計算し、T(Z,t+凾煤j−T(z,t)があらかじめ設定した誤差の範囲内ならば平衡にたっしたと見なして計算を終わるのである。
現実の地球大気でエネルギー吸収物質(水蒸気、CO2,O3)の分布を入れて、放射対流平衡過程の演繹モデルをコンピュータ計算した結果が、槌田 敦の本「温暖化仮説は間違っている」にでている真鍋とシュトリークラー(1964)のグラフである。このグラフではΓ=6.5K/(km)を採用したモデルが現実の気温分布に近いようである。
【注5】 ブデイコ、ゴリツイン、イズラエル共著「エアロゾールによる地球的な気候破局ーー大噴火、天体落下、核戦争」、学会出版センター、ISBN 4-7622-1569-4, 1988年、2000円
【注6】 1985年の米ソの反体制科学者たちは核兵器廃絶運動に参加するだけでなく、ソ連のブヂコ博士などは自ら率先してモスクワにいき「米ソによる大規模核爆弾の爆発により地球は寒冷化して地上の生物がだんだん弱くなりついには生物が絶滅する」と言ってソ連共産党中央とゴルバチェフを洗脳し、「核兵器廃絶の気候学的根拠」をソ連共産党中央を説得した。当然のこととして当時の反核運動に協力した科学者たちは米ソ政府と緊張関係を強いられた。
しかし、いつの世の中にも御用学者が活躍するのである。ローレンス・リバーモアー国立研究所で権力をふるっていたエドワードテラーは1985年のソビエトアメリカ合同会議報告書を嫌い、アメリカ大統領レーガンに「スターウオーズ宇宙戦争」と名づけたミサイル防衛計画を提言した。「スターウオーズ宇宙戦争」計画の成果はミサイル防衛網として完成し、2005年のブッシュ政権は全米をミサイル防衛網で覆う予算を認可する。しかし2007年になると日本はアメリカのミサイル防衛網を無理やりに(または自発的に)購入させられ、かくして日本民衆の財政は疲弊する。小泉政権や安部政権の周りを取り巻く学者たちは自分が日本の納税者民衆にたいしてどのような役割を果たしているかを考えてほしい。
【注7】 このソビエトーアメリカ合同会議が二酸化炭素の温室効果とエアロゾールの日傘効果を論じる会議でありながら、この会議に基づいた本では水蒸気の役割を議論していないが、当時の気象学者たちは「地球大気中での熱放射の吸収は主として水蒸気によっておこる。」いう文章を書き込むことを忘れてはいなかった。
http://env01.cool.ne.jp/simulation/report/report01.htm
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