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□CO2を削減すれば温暖化は防げるのか
http://env01.cool.ne.jp/global_warming/report/tutida01.htm
『CO2を削減すれば温暖化は防げるのか』掲載に当たって
HP管理者 近藤邦明
IPCC報告をはじめとする地球温暖化論議は,実際の気象観測の結果を無視した,数値シミュレーションによってのみ支持された机上の空論に過ぎない.
温暖化問題は自然現象を理解するための方法論に関わる重大な問題を内包している.自然現象を科学するとき,最も重要なことは観察された事実を収集し,これを帰納的に分析することによって,観測されたデータの背後でどのような現象が起こっているのかを理解することである.
温暖化問題における『CO2地球温暖化仮説』とは,CO2が温室効果ガス(可視光線を透過させ,地球表面からの遠赤外線放射の特定波長のエネルギーを吸収する性質のある気体)であるという事実から演繹的に導かれた一つの仮説である.しかし,観測された過去の気象データにおいて,CO2地球温暖化仮説を立証するような事実は存在しない.
本来ならばこの段階で自然科学における仮説として棄却されるべきものであったにもかかわらず,先進工業国の国家連合の利益代表であるIPCCによって,政治スローガンとして定着させられた.彼らが用いた手法は,仮説を巨大電子計算機を使った数値モデルによるシミュレーションという仮想現実を以って立証するというもので,およそ自然科学の名に値しない.
付け加えるならば,国家ないしこれに準ずる巨大組織しか保有することの出来ない巨大電子計算機による,外部からの検証を封じたシミュレーション結果を『信ずる』ことを強要する体制とは宗教あるいは全体主義であり,もはや科学とは呼べない.
このような全体状況の中で,槌田論文の物理学会誌への掲載はCO2地球温暖化仮説を自然科学の問題として捉えなおす画期的な出来事である.これを契機に,温暖化問題を再び自然科学の問題として捉え,CO2地球温暖化仮説を今一度根本から問い直す作業を開始することを期待したい.
日本物理学会誌 Vol.62, No.2, 2007
CO2を削減すれば温暖化を防げるのか
槌 田 敦 (高千穂大学)
京都議定書が2005年に発行し,この社会はCO2などの排出削減に向けて突っ走っている.
この騒動は,1960年にC.D.キーリングが南極での大気中のCO2濃度の精密測定により「CO2の基準レベルが上昇している」と報告したことで始まった.1) これは産業の放出するCO2の大半が大気中に溜まり続けた場合に推測されるペースとほぼ同じだった.
そして1963年にキーリングらは,民間の自然保護団体の会議に報告書を提出し,予想されるCO2量の倍増により気温が4℃上昇する可能性を示唆した.1)
この化石燃料や石灰石などの使用により大気中のCO2濃度が増え,その結果気温が上昇するという通説をCO2温暖化説ということにする.
CO2濃度は人間の行為とは無関係
大気中CO2濃度の増加は事実である.キーリングが測定を開始した1960年では315ppmであったが,1980年には342ppmとなり,現在(2005年)では379ppmとなった.
そして,世界各地で測定される気温の平均値は,1960年以後現在までの0.5℃も上昇した.2) 確かに,CO2濃度と気温は関係していると言えるだろう.
補足図1(註:原文にはないが補足のために追加.以下同様)
南極ヴォストークでの氷片の分析により,過去22万年にわたって,気温の変化と大気中のCO2とメタンの濃度変化が測定され,CO2やメタンの濃度の高い時期には,気温も高いことが示された.当初この測定結果は,CO2濃度が気温を決める主因であることを示すものと考えられた.そこで,CO2濃度が原因で気温が変わり,気温が変わった結果メタン濃度が変わったと説明されてきた.
しかし,そのような説明をすることは無理である.太古では気温上昇の原因となるCO2濃度の増加の理由が説明できないからである.そこで,太古では気温が原因で,CO2濃度やメタン濃度はともに結果であると説明するほかなかった.けれども,産業革命の後,人間の排出するCO2が増えて,それが大気中に溜まった結果,その原因と結果が「逆転」して,CO2濃度の上昇が,気温の上昇を引き起こしたと説明されるようになった.
この説明は,次のキーリングらによる研究結果で支持されるとした.すなわち,1960年から1987年までの化石燃料の燃焼で排出したCO2の量の58%が大気中に溜まるとすると,大気中のCO2濃度と極めてよく一致する.後に測定点を7年間延ばし,化石燃料の使用により排出されるCO2の55.9%が大気中に溜まると訂正された.3)
この化石燃料などの使用量とCO2濃度の測定値の見事な対応に多くの人々は感激した.そのひとり,有名な経済学者宇沢弘文は,1988年発表の図を見て,「このことだけからでも,化石燃料の燃焼によって,大気中に放出されるCO2のうち,58%が大気中に残って,残りの42%が,海や森林に吸収されるという結論を出すことができるように思われます」と書いている.4)
このようにして,化石燃料の使用が大気中のCO2濃度を上昇させ,その結果気温が上昇したと多数の気象学者が認め,多くの人々に受け入れられ,CO2温暖化説は通説となったのである.
しかし,人間活動には浮き沈みがある.1980年からの世界的な不況とエネルギー転換によって,化石燃料からのCO2発生量は鈍化した.5) 1980年までの化石燃料などの消費により発生するCO2の増加量は年あたり1.4億トンであったが,1980年以降の増加量は0.7億トンと半分になった.1990年以降はそれよりも少ない.これに対して,大気中のCO2濃度の増加率は,1980年では年あたり1.3ppmであったが,1990年では1.55ppm,2000年では1.8ppmと急上昇している.つまり,人間の排出するCO2と大気中のCO2濃度は関係なかったのである.
このように人間の排出するCO2の年あたりの増加量が減っても,これには関係なく大気中のCO2濃度の年あたりの増加率は増えるのであるから,京都議定書によりCO2削減の努力をしたところで,大気中のCO2濃度を減らすことにはならないことが分かる.
CO2温暖化説(人間原因説)にとって,もっと都合の悪い事実は,CO2濃度の測定結果そのものに現れている.フィリピンのピナツボ火山が噴火(1991年)した後2年間,大気中のCO2濃度は増えていない.6)
1991〜3年に人間は化石燃料の使用を中止したわけではないから,人間原因説をとるならば,人間の排出したCO2の全量が行方不明となり,この説は完全に否定される.
補足図2
この現象を理解するには,人間が排出したCO2を含め,余分のCO2はすべて海水などに吸収されたと考えればよい.しかし,そうするとそれ以外の年の大気中のCO2の増加も人間のせいとは言えなくなる.
大気中に溜まった人為的CO2はわずかであった
CO2温暖化説を聞くたびに気になっていたことがあった.それは,人間の排出したCO2が大気中に「溜まり続けた」ということである.一度溜まったらそのままいつまでも大気中に残るというのは無理ではないか.そこで計算した.
大気中のCO2濃度は過去45年間に64ppmも増加したが,すでに述べたようにCO2温暖化説では化石燃料の燃焼などにより排出したCO2の55.9%が大気中に「毎年溜まり続けた」からという.その量は人為的排出量の0.559×45年=25.2年分に相当する.
IPCCによれば,大気中のCO2の量は約730ギガトンであるが,毎年約120ギガトンを陸と交換し,約90ギガトンを海と交換している.2) つまり,大気中CO2は毎年30%が入れ替わり,大気中に残るのは70%である.
人間が毎年排出するCO2についても,その30%は陸と海に吸収され,70%が大気中に残る.この量はCO2温暖化説で大気中に溜まるという55.9%よりも多い.
しかし,今年溜まった70%の人為的CO2がいつまでも大気中に残ることはない.去年の分は70%の70%,つまり49%しか残っていない.一昨年の分は70%の70%の70%,つまり34.3%しか残っていない.
この人為的CO2の大気中に溜まる量の最大値は,
0.7+(0.7)2+(0.7)3+・・・=0.7/(1-0.7)=2.33
と簡単に計算できて,人為的排出で溜まるCO2の量は最大でも2.33年分でしかない.これは一定割合で目減りする(負の利息の)定額貯金のようなものだ.
大気中のCO2で過去45年間に増加した64ppmは人為的排出量の25.2年分に相当するから,2.33年分はその9%である.したがって,全体の増加量64ppmのうち,人為増加量は9%の6ppmで,残りの58ppmは気温などにより陸海から放出された自然増加量だったのである.
このように大気中に溜まった人為的CO2の量はわずかだから,気温上昇の原因を化石燃料の使用のせいにすることはできないのである.7)
現代でも気温上昇が原因,CO2濃度上昇は結果
そもそも,古代では気温が原因でCO2濃度は結果であったが,産業革命以後人間のCO2排出量が増えてこれが大気中に溜まり,論理が逆転してCO2濃度が原因で気温が結果になった,という「逆転の発想」には無理がある.
そのような発想をするのであれば,その逆転することになるCO2濃度はいくらなのか,を説明しなければならない.その説明がないのに,世間はCO2温暖化説を受け入れて,これを通説としたのであった.
このような逆転の発想の無理だけではない.CO2温暖化説は,気温とCO2濃度のどちらが原因でどちらが結果かという問題について,事実による検討をせず,一方的にCO2が原因としていた.
図1 気温変化とCO2濃度変化の関係
(C.D.Keeling;in D.H.Peterson(ed.);Geophysical Monograph 55 (1989)210, Fig.63)
キーリングはこの点に気づき,気温の変化とCO2濃度の変化の関係を分析した.8) 図1はその研究結果であるが,気温の変化はCO2濃度の変化に1年ほど先行する.つまり,気温が原因でCO2濃度は結果であると発表したのである.この事実を認めるならば,CO2温暖化説はこの段階で消えるはずであった.
キーリングはこの研究を発表するにあたり,気温の変動が地球表層のCO2放出源や吸収源に影響を与えた結果,この微妙な不規則変化が現れたとしている.しかし,それ以上の論評をしていない.
このキーリングの研究(1989年)は,長い間,気象学者の間で無視されてきた.日本では1994年に根本順吉著『超異常気象』で紹介された9) 後も,気象学者たちはこのキーリングの研究を論じなかった.
ところが,この本を読んだ読者から質問が相次ぎ,キーリングの発表後16年も経過した2005年に,ようやく日本の気象学会誌『天気』において,気温の変化がCO2濃度の変化に先行するという事実を認めた.10) けれども,先行することは認めても,原因であることについては口を閉ざし,キーリングの発表したこの図では長期的傾向は除かれていると指摘し,CO2温暖化説は否定されていないと説明した.
しかし,長期的傾向でCO2が原因で,気温が結果となるような事実は存在しないし,またCO2が長期的な影響をもたらすという根拠理由もない.この記事のいう長期的影響説は弁解にもなっていない.
ところで,このような弁解もどきの説明が可能なのは,長期的傾向を除くというキーリングによる人為操作が存在するからである.そこで,近藤邦明は,ハワイでのCO2濃度の測定結果,そして日本気象庁の発表した世界の気温と海面水温の生データを用いて,それらの年増分を直接比較して,図2と図3を発表した.11)
図2 大気中のCO2濃度の年増分/世界平均気温偏差の年増分、
(近藤邦明;(2006)私信、http://env01.cool.ne.jp/gloval_warming/report/kondoh01.htm 06/04/17)
図3 大気中のCO2濃度の年増分/世界海面水温偏差の年増分、
(近藤邦明;(2006)私信、http://env01.cool.ne.jp/gloval_warming/report/kondoh01.htm 06/04/17)
これによれば,気温と海面水温は,いくつかの例外を除き,極めてよく対応している.つまり,平均海面水温は平均気温に連動しているとしてよい.そして気温(および海面水温)の変化は,例外はあるが,大気中CO2濃度の変化よりも1年ほど先行している.つまり,気温(海面水温)変化が原因で,CO2濃度変化は結果である.
更に,キーリングは,エルニーニョの後,約1年遅れてCO2濃度が上昇すると言う事実を発表した.8) これは分かりにくい図面なので近藤邦明は図4のように整理して示した.11) エルニーニョとは,赤道海域の温度が上昇することであるから,温度が高くなってこの海域や周辺海域の海水がCO2を放出したと考えれば,この現象は理解できる.つまり原因は気温(海面水温)であって,CO2濃度は結果である.
図4 エルニーニョとCO2濃度の変化の関係、
(近藤邦明;(2006)私信、http://env01.cool.ne.jp/gloval_warming/report/kondoh01.htm 06/04/17)
例外は1964年と1992年である.エルニーニョがあったのに,CO2濃度は増えていない.それは1963年のインドネシア−アグン火山の噴火と1991年のフィリピン−ピナツボ火山の噴火の影響として説明できる.
CO2温暖化説を否定するこれらの事実に対し,CO2濃度が原因で気温が結果であるとする事実は何一つ存在しない.気象学者たちは,人間の排出したCO2による気温の上昇は計算で示されるというが,計算ではパラメーターの値を変えることにより,どのような結果でも作れる.因果関係は事実で示せなければ,どうしようもない.
それだけでなく,CO2による温暖化という未来計算は実は不可能なのである.たとえば,CO2の倍増によって地上および海洋の生態系が変化する.そして,生態系の変化は気温に影響する.このどちらも計算で求めることは不可能である.12) つまり,CO2温暖化説による計算予測など信用できないのである.それにもかかわらず,人類は京都議定書でCO2削減による温暖化防止を最重点課題としたのであった.
ところで,すでに述べたように,キーリングはCO2温暖化説の仕掛け人である.そのキーリングが気温の変化が原因でCO2濃度の変化は結果であると発表したのである.これによりCO2温暖化説は大混乱してしまった.そこで,IPCCをはじめ各国の気象学者は,日本を除いて,現在でもCO2濃度変動と気温変動に関するキーリングの研究を無視し続けるのである.
深刻な影響を残すCO2温暖化説
このような多数の事実を無視するCO2温暖化説は,現代における「壮大な迷信」と言ってよいだろう.そして,この「迷信」を人々が信じたばかりに世界の炭鉱は次々と閉鎖・破壊され,石油枯渇後の貴重なエネルギー資源が採掘不可能に追い込まれている.また,原子力発電が復活し,放射能という猛毒を大量に発生させ,巨大事故の心配を増やし,その後始末を子孫にさせようとしている.さらに,この「迷信」の流行により,人類史にとってもっとも深刻な寒冷化問題(飢餓)を人々は忘れてしまった.
気象学は物理学の一分野である.物理学者がこの問題の多いCO2温暖化説を議論もせず放置するなら,「物理学者の責任」とは何だったかということになる.
参考文献
1) S.R.Weart:"The Discovery of Global Warming" (Harvard Univ. Press, 2003)p.36, p.43
日本語訳『温暖化の発見とは何か』増田耕一訳(みすず書房、2005)p.50, p.59
2) IPCC;"Climate Change 2001"p.26, p.188
3) C.D.Keeling, et al;Nature 375 (1995) 666-670.
4) 宇沢弘文:『地球温暖化を考える』(岩波新書、1995)p.33.
5) 槌田敦:『CO2温暖化説は間違っている』(ほたる出版、2006)p.27.
6) 槌田敦:『新石油文明論』(農文協、2002)p.41.
7) 槌田敦:日本物理学会 2006年秋季大会(千葉大学会場、06.9.25)での口頭発表 25pWA-3.
8) C.D.Keeling et al.; in D.H.Peterson (ed.);Geophysical Monograph 55 (1989) p.210. Fig.63.
9) 根本順吉:『超異常気象』(中公新書、1994)pp.213-215.
10) 河宮未知生:気象学会誌『天気』52 (2005)pp.507-508.
11) 近藤邦明:私信 (2006) http://env01.cool.ne.jp/global_warming/report/kondoh01.htm 06/04/17.
12) 中本正一朗:地球温暖化討論会(2006年2月18日、高千穂大学会場、東京).
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