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「エドワード・オールビー 動物園物語」稽古ノート (3)
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 12 月 20 日 03:17:28: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: 「エドワード・オールビー 動物園物語」 稽古ノート(2) 投稿者 愚民党 日時 2006 年 12 月 20 日 00:45:05)

動物園物語2

「エドワード・オールビー 動物園物語」稽古ノート (3)

【動物園物語】
   鳴海四郎/訳  2006年11月30日発行 ハヤカワ演劇文庫 
                         早川書房
                         
 アパートの部屋ではセリフが入れられない。乱雑すぎて古いモノたちに占領
されている。インターネットとパソコンから離れないと無理だ。電磁波が唸り
をあげ耳鳴りがする。いままでもセリフは外で入れてきた。電車の中とか雑踏
の中とか、おらは外でセリフを入れる体質がある。

93年東京劇術劇場小ホールで公演したサルトルの戯曲『キーン 或いは 天才と
狂気』のときは、主人公キーンが演じる劇中劇にヤジを飛ばす役だった。主人
公キーンの長セリフを入れないと、ヤジは飛ばせない。職場に通う電車の中で、
テキストを何回も読み、体に入れた。それがおらの訓練となった。93年41歳の
夏だった。記憶違いで、芝居の世界に入ったのは37歳ではなく、92年の40歳の
ときだった。40歳代は動物としての勢いがあった。

セリフをパソコンで書きながら入れるようになったのは、97年の「小栗判官と
照手姫ー愛の奇跡」からであったと思う。劇団主宰者の台本原稿をパソコンで
打ち、活字書体へと変換するのを、制作の女子大学生と協働してやった。

1、動物園へ行ってきたんです。動物園へ行ったんですよ、動物園。
  あのね、動物園へ行ってきたんだ!
  
  ジェリーの最初のセリフ。
  動物園「に」行ってきたんです、ではない。
  動物園「へ」行ってきたんです、である。
  「に」は内向しモノローグとなるが、「へ」は外へ向かう。
  「へ」は他者へと投企する。「へ」は観客に存在と実在を強調する。
  ジェリーは行動的な人間として登場する。
  
  オールビーの指示では、ジェリーは30代の終わりの男。
             ピーターは40代のはじめの男。
  どちらにもまだ男としての動物的エネルギーがある。
  男が衰亡するのは50代からである。
  
  ジェリーは事件を起こす構えが最初からあり、計算頭脳回路が高度なインテリ。
  他方、ピーターは「あいまいな主体」をもった受動的従属的な人間である。
  ピーターに階級意識はないが、ジェリーにはおのれの出自を普段に問う階級
  意識がある。
  
  ジェリーは動物園の檻の中の生物を見ながら、そこで自己は檻の中の動物で
  あることを悟ってしまった絶望する人間として、公園にやってきた。
  すでに事件は動物園で起動していた。
  檻の中の動物と檻の外のジェリーの沈黙の対話で、事件は起動している。
  
ゆえに、 動物園「へ」行ってきたんです。観客とともに幕を切って落とす
   セリフとなる。最初のセリフは劇的狂気の全体を暗示させる。
   戯曲の最初のセリフは小説の最初の1行である。
   
   「ゾーンは絶望する人間しか通さない」
   タルコフスキー監督の映画「ストーカー」のセリフを思いだす。
   
   俳優は内的動機をもった人間となる。それが演技だ。 

動物園物語3



エドワード・オールビー(1)

アメリカ演劇と「再生」


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