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http://www.roc-taiwan.or.jp/news/week/07/070614a.htm
「一国二制度」に潜む深い矛盾(一)参政権の剥奪
香港が中国に移管されて10年となる。国際社会は香港に対して繁栄を維持できるかどうか関心を持ち続けており、香港もまた経済面では十分活力があることがいくつかの数字にはっきりと現れている。例えば香港の2006年度の経済成長率は6.8%であり、失業率は4.8%まで下がり、香港の失業率は最近5年間で最も低い数字であった。香港の株式市場は昨年の資金調達額がニューヨークを抜いて、ロンドンに次ぐ世界第2位となった。国際通貨基金(IMF)は香港における今年の中長期経済成長を楽観視している。
政治面では、現在の曽蔭権(ドナルド・ツァン)行政長官(特首)が就任以来、香港市民の政府に対する満足度を高い水準で維持しており、社会は「競馬が続き、ダンスも旧来通り踊る」かのようであり、裁判所は変わらず機能し、旅行業も勢いよく発展しており、マスメディアは時には中国共産党や香港政府への論評を報道し、中国共産党や香港政府に抗議するデモ集会も見られる。また、米英など国際的な香港情勢に関するレポートでもその多くから「概ね良好」という評価を得ている。
しかし、台湾は長期的に香港地区の発展情勢を注視しており、その問題点を指摘する責任がある。中国の強権体制の本質と民主改革の矛盾によって、「港人治港(香港人が香港を治める)」や「高度な自治」という公約を遵守することは難しく、香港の人々の権利は移管前よりさらに制限を受けるようになっている。われわれは、「一国二制度」そのものに矛盾があり、香港および中国の民主化を支援することのみが、「一国二制度」に潜在する深い矛盾を解決することができると認識している。台湾は過去20年間、世界の第3の民主化の流れの中で輝かしい1ページを切り拓いた。われわれは、香港および中国の民主化の推進を支援するために、民主化の発展の経験を提供することを強く望んでいる。
香港民主化の圧迫と住民参政権の剥奪
香港の民主化については、香港基本法に香港特首および立法会議員は最終的に普通選挙(直接選挙)によって選出されると書かれているが、中国はずっとその実現を引き伸ばしているため、香港市民の参政権は剥奪されたままとなっている。
中国の施策の下で、香港は特殊な身分からなる800人が選挙委員会を組織し、特首を投票で選出する役割を担っている。このような選挙方式は、市民一人一人の票によって選ばれるものではなく、「小サークルの選挙」や「鳥かごの民主主義」と皮肉られている。立法会の選挙においては、1995年の選挙で、英国はすでにすべての兼職議席および任命議席を取りやめ、すでに普通選挙を達成していた。しかし、中国は民主派が圧倒的勝利を得ることを強く恐れたため、普通選挙の議席に上限を定めた。1997年以降、民主派の議員の総得票率は60%を超えているにもかかわらず、議会では少数の議席しか得ることができない。
香港市民の参政権が剥奪されているため、この数年来、7月1日の香港移管記念日には多くの市民が全面的な普通選挙を求めるデモ行進を行なっている。世論調査も長期的に6割を超える香港市民ができるだけ早く全面的な普通選挙の実施を希望している。中国は香港にはまだ条件が整っていないと理由をつけ、普遍的な価値観である民主主義政治の実現を引き伸ばしている。しかも、「全国人民代表大会常務委員会」が香港基本法の最終権力であると解釈して、その法解釈を盾に、2007年までの全面的な普通選挙実現を否決してしまった。中国の横暴は、香港の「高度な自治」を「中国の高度な統治」に変えてしまった。
香港中文大学の世論調査によると、18歳から29歳までの若者は、8割に達する人々が2012年またはそれ以前に普通選挙を実現することを望んでいる。8割の香港社会の未来の中枢を支える人々が2012年またはさらに早く普通選挙の実現を主張しているが、中国政府は故意に無視とごまかしを続けている。これは香港政治の発展の深い矛盾と内憂である。
【行政院大陸委員会 2007年6月】