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食の安全学 番外編  /北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)
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投稿者 kamenoko 日時 2007 年 5 月 10 日 05:39:28: pabqsWuV.mDlg
 

(回答先: 中国の毒物(ジエチレングリコール)、パナマで100人以上の子どもを殺す 原因は偽グリセリンの混じった風邪薬シロップ→加筆 投稿者 kamenoko 日時 2007 年 5 月 10 日 05:36:40)

食の安全学 番外編
2007/05/08 21:50

■パナマの咳止めシロップ事件、これは他国のことながら大事件だ。中国国内ではニセ薬による中毒や中毒死は、結構普遍的にあるが、海外にまで波及するとは。2002年の被害が日本人にもおよんだニセダイエットカプセル以来の広域事件だ。


■もうネットでけっこう話題になっているので、ご存じの方も多いかもしれないが、簡単に説明をば。

昨年9月ごろ、パナマ市の病院でで呼吸困難など中毒症状にみまわれた子供らが次々と運び込まれる事件があった。原因を調査したところ、政府が配布した咳止めシロップに含まれていたディエチレングリコールという化工物質によるものだった。これは不凍液などにつかわれ、食用が禁止されている毒性のある物質という。死者は確認されただけで100人以上、死亡を申告した数を含めると360人以上という。

このディエチレングリコールは、医療用につかうグリセリンと表示された容器に入っており、これを原料に咳止めシロップが製造されたわけだ。このディエチレン・グリコールを製造した企業は、江蘇省泰興市のグリセリン工場。そしてグリセリンの瓶につめられたディエチレン・グリコールをグリセリンとして輸出したのは中服嘉遠公司という貿易会社であることは突き止められた。どうやら悪徳業者が、グリセリンの半分の値段のディエチレン・グリコールを、味も似ているし(あまったるい)、よくにているからばれないだろう、と偽って輸出したらしい。


■さて、この件について、5月8日、中国側の姿勢が公式にだされた。

中国外務省報道官室によれば。
「昨年10月、米国FDAから中国国家食品薬品監督管理局から手紙をもらい、パナマで発生した咳止めシロップ・ライノプリ(?)による死亡で、シロップ中に使用されていた中国泰興グリセリン工場生産のTDグリセリンについて報告があった。国家食品薬品監督管理局はこの事件について調査を行った。その結果、泰興市のグリセリン工場は薬品生産企業に属さず、中服嘉遠公司も薬品経営企業に属さないことが判明した。両企業は国家食品薬品監督管理局の監督の範囲内にない。

 TDグリセリンは、グリセリンの代用に使われたとしても、一種の混合物であり、グリセリンとは同じではない。この製品は有効期限1年で、泰興市グリセリン工場が工業標準に従って生産している一種の化工原料であり、薬品生産原料ではない。

 薬品管理法、薬品管理法実施条例、薬品登記管理弁法、薬品生産質量管理規範などの法律法規の規定で、わが国薬品生産企業の原料薬および薬用補填材料の購買にたいし、厳格な規定を設けている」


■はあ?この、他人ごとな対応っぷり。子供が100人以上死んでいる事件に対し、「中国の食品医薬管理当局の範疇外だから、うちら関係ないもん」と、まず言い訳からいうこの姿勢。ちょっと、ぶちっときた。危機意識のまったく感じられない。確かに、厳密にいえば当局の管理責任外の事件かもしれないが、せめて、もうすこし本気で調査し、ニセ薬の氾濫する中国市場に対する、認識だとか遺憾だとか、対策だとか、言えないものかね。

■しかも、この公式コメントによれば、10月時点で、中国産グリセリンもどきが、パナマの咳止めシロップ大量中毒死事件と関連があることが米国からの通報でわかっていたのに、完全に隠蔽したな!


■昨年10月、パナマの咳止めシロップ中毒死事件は、新華社はじめ、中国メディアがみょうに詳しく報道し、意外に思ったが、ひとっことも、中国企業が関係あるなどとは書かれていない。こちらの理解としては、チチハル第二製薬のニセ薬事件が広東を中心に全国を震撼させたばかりなので、「こういうニセ薬事件は、他の国でもあるんだ。中国だけじゃないんだよ」という、そういう言い訳めいたことをいいたいのかな、と感じていた。


■しかし、中国当局は、この時点で、チチハル第二製薬ニセ薬事件と、パナマの毒咳止めシロップ事件が実は関連があることがわかっていたのだ。パナマの事件の原因物質をつくったグリセリン工場があるのは江蘇省泰興市。チチハル第二製薬のニセ注射薬事件も、同じ泰興市の化学工場がつくったジエチレングリコールが中毒の原因原料だった。チチハル第二製薬事件では、泰興市の化学工場で作られたジエチレングリコールが、プロピレングリコールと偽ってチチハル第二製薬に売られていた。、

■広東省で十数人の犠牲者を出したチチハル第二製薬事件が最初に発覚したのは昨年5月ごろだから、泰興の周辺の化学企業などもふくめ、きっちりと原因調査と処理、対策を講じていたら、泰興からニセの医療用原料が外国に輸出されていたことなども、つかめて事件の予防ができたのではないだろうか?

■それは無理だとしても、10月に米国からパナマの事件について、通告を受けていたなら、もっと敏速に対応してもいいのではないかい?それとも、パナマとは正式な国交がないから、しらんぷりしてもいいと。

■中国人には、どこか国内でニセモノが氾濫していても、「中国だもの仕方ないわ」といった諦観がただよっている。本気で取り締まろうとしているのか、ニセモノを無くそうとしているのか、ときどき疑問に思う。しかし、ニセ薬、ニセ食品などは、人の健康を害し、ときに命を奪う。私としては、こんなものの存在をゆるしてはならない、ともっと怒りに燃えてほしいのだ。

■中国政府は、うちらの管理外の事件なんて、いわず、中国国内のむちゃくちゃな市場化経済が、国外に波及し死者まで出したことについて、もっと重く受け止めるべきではないか。米国で発生したペットフードによる犬の中毒死問題もそうだが、「中国の責任じゃない」などと、責任のがればかりして、がんがん海外メディアに責め立てられてやっと、重い腰をあげて、じゃ、協力してやるか、というのではなく、目の前におこった危機にすばやく対処すること、それをのりこえ、状況を改善するための措置などを、もっと積極的に考えるべきではないか。とにかく、フットワーク重すぎるよ。一応、大国崛起の真っ最中なんだろ、大国の対応というのをやってみせろよ、といいたくなりました。
http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/167366

福島香織さん

産経新聞中国総局記者。平成13年に香港支局(すでに閉局)勤務、14年から北京駐在。北京の銀座と呼ばれる王府井近くに一人暮らし。趣味は美食、読書、旅行、観劇。目下、中国の人口、女性、貧困、環境、ネット、言論問題などが取材上の関心事。好きな言葉。「逃げない、はればれと立ち向かう」(岡本太郎)


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