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【現地レポート】暮らしの安定が最優先/「変えたい」が「批判」に − 民族時報
http://www.asyura2.com/07/asia10/msg/124.html
投稿者 桐島夏樹 日時 2007 年 12 月 17 日 16:05:28: OiywIqrhKwIs6
 

(回答先: 大統領選挙よりも、注目すべきは、むしろ来年の総選挙 − 辺真一のコリア・レポート 投稿者 kaname 日時 2007 年 12 月 17 日 14:35:01)

   大統領選投票前

 「グローバリズムによる二極化」

 これが、今の韓国社会をあらわす最も適切な言葉といえるのではないだろうか。街なかでは、年金をもらいながら悠々自適に暮らしていてしかるべき老人たちが、地下街の階段に座って、チューインガムやチョコレートを売っている。また、ある地下鉄の駅の階段では、まだ三十代と思われる若者が、地べたに額をくっつけ土下座をした姿勢で物乞いをしている。

 「まだ若いのに、なぜ…」と思った瞬間、ある知人の言葉を思い出した。

 「いま、韓国の就業者のうち、七〇%がパートやアルバイトなどの非正規雇用労働者」だと。

 また別の知人も、韓国の現状について次のように語っていた。

 「今の韓国では、大学卒業者のうち、五〇%がまともに就職できない」「青年層の就職問題は深刻な社会問題になっている」

 一九九七年の経済危機とIMF事態以後、規制緩和と外国資本の無秩序受け入れによって国内の地場産業が破綻、より資本力のある外国企業が市場を独占して利潤のみを追求し、労働者の雇用や福祉をすべて後回しにするという、むき出しの凶暴な資本主義が韓国社会を支配するようになった。グローバリズムとは、強大な資本が世界規模で弱者からの搾取を行うことだ。韓国はまさにこのグローバリズムのなかに完全に組み込まれてしまっている。

 十二月十九日の韓国第十七代大統領選挙は、こうした状況の中で行われる。街なかには、各候補のポスターや横断幕が貼られ、それぞれにスローガンやアピールが書かれている。「家族が幸福な国(鄭東泳)」「世の中を変える大統領(権永吉)」「実践する経済大統領(李明博)」「正しい大韓民国を必ずつくります(李会昌)」

 十二月八日に行われた、東亜日報の依頼によるコリアンリサーチ社の大統領候補者に対する支持率の世論調査では、ハンナラ党の李明博候補が四〇・三%、統合民主新党の鄭東泳候補が一五・三%、無所属の李会昌候補が一三・五%だった。与党系が鄭東泳候補に一本化しても、支持率は李候補四三・五%、鄭候補二四・三%となり、与党系にとってはきわめて厳しい選挙戦になっている。

 十月に開かれた南北首脳会談後、韓国日報(十月八日付早版)に掲載された世論調査結果によると、今回の南北首脳会談について、七四・〇%が「成果があった」と回答し、六二・五%が第一回首脳会談よりも「具体的な成果があった」(経済協力の拡大二四・〇%、平和体制構築一六・〇%)と評価した。また、KBSなど複数の調査でも、首脳会談を「成果があった」と評価する回答が七割を超えた。盧大統領の支持率は東亜日報の調査で、二七・九%から五〇・六%へ急伸した。

 これからわかるように、南北の和解と交流に対する国民の支持と期待は高い。

 しかし、これがそのまま与党系候補の支持にはつながっていない。南北の和解と交流の進展に対しては支持をしながらも、経済格差の拡大と雇用不安、社会の二極化を放置してきた政府与党に対する国民の批判は、きわめて厳しい。「とにかく今の状況を何とか変えて欲しい」という現状に対する閉塞感が、たとえ保守であっても、これまでの執権勢力とは違う政策への「期待」としてあらわれているようだ。したがって、支持率に現れている数字は、李明博候補に対する「支持」というよりは、政府与党系に対する国民の猛烈な批判と見ることができる。

 しかし、李明博候補は、「中小企業の育成」や「庶民の負担の軽減」を公約として掲げながらも、その一方で「外国投資の活性化」やFTA(自由貿易協定)のさらなる推進をかかげ、より規制緩和を進めることを主張している。そもそも、「中小企業の育成」と強者を優遇する「規制緩和」は両立できない。これでは、二極化を招いた韓国社会の問題を根本的に解決できないどころか、結果的には競争力のある外国企業や大企業だけを優遇し、さらなる貧富の格差をもたらすことになるだろう。

 韓国民はこれまでの社会変革運動のなかで、高い民主意識を培ってきた。また南北の交流と協力、平和体制の構築に向けた動きは決して後戻りできない大きな流れとなっており、韓国民の統一熱望はかつてないほどに高まっている。真の韓国社会の変革と祖国の自主的平和統一を実現しうる自主的民主政府の樹立に向けて、自主・民主・統一運動勢力の力量再構築が求められている。

 そのことをソウルの底冷えする街頭で実感した。

(李政秀記者)

http://www.korea-htr.com/jp/121130/112712rp.htm

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