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□「ガリバー旅行記」と復党問題 [毎日新聞・余録]
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/yoroku/
余録
「ガリバー旅行記」と復党問題
「ガリバー旅行記」によると、オランダ人を装って18世紀初めの日本にやってきたガリバーは、江戸の「皇帝」に謁見(えっけん)して踏み絵を免除してくれるよう懇願している。すると皇帝は「踏み絵をそんなに気にするオランダ人はお前が初めてだ」と驚いた様子だった▲信心より実利を優先したオランダ人への英国人作者スウィフトの皮肉だ。結局、皇帝はガリバーの後ろ盾のラグナグ国王への政治的配慮から懇願を認める。だが原則を公然と破るのははばかられたのだろう。「事態処理にはよほど知恵が要る」と、役人に特別扱いを隠すよう命じた▲信心や原則より実利が重んじられるのは、人の世ではありがちなことである。郵政民営化法案への造反議員の自民党復党問題は、民営化賛成を確約した誓約書を「踏み絵」とし、これを提出した11人の復党を安倍晋三首相が認めることで決着した▲復党組は踏み絵などたいしたことはないと見切ったオランダ人のひそみにならい、来年の参院選で造反議員の力を借りたい首相は原則より政治的配慮を優先する江戸の皇帝に学んだのか。誓約書の提出を拒んだ平沼赳夫氏は、ガリバーのようにはうまく踏み絵を逃れられなかったわけだ▲参院選にむけて造反議員の一括復党を求める動きと、復党がもたらす世論の反発への懸念との間の党内の綱引きから生まれた「踏み絵」による決着だ。党執行部も、復党議員も、それで原則と実利との折り合いをつけてみせたのだろうが、国民がすんなり納得したかどうかは心もとない▲「ガリバー旅行記」を書いたスウィフトには、鎖国日本は架空の巨人国や小人国と同じくらい現実離れした国に見えたのだろう。平成の踏み絵騒動が国民にどう見えたかは、これからおいおい分かる。
毎日新聞 2006年11月29日 0時24分
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