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共謀罪、「米国留保」に外務省は立往生(議事録付き) (保坂展人のどこどこ日記)
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 11 月 21 日 18:25:21: 2nLReFHhGZ7P6
 

(回答先: 共謀罪 政府説明と矛盾、米2州、罪種20以下―東京新聞 夕刊(11/20) 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 11 月 21 日 18:14:03)

共謀罪、「米国留保」に外務省は立往生(議事録付き)

共謀罪 / 2006年11月21日

教育基本法が野党欠席のままに与党単独採決を強行されて、沖縄県知事選挙に与党候補が勝利して、「次は共謀罪か」と市民側の懸念が高まっている。今日の昼は衆議院議員面会所で開かれた市民集会で共謀罪をめぐる状況について報告した。先週、信託法を委員会採決を行った衆議院法務委員会に残っている法案は、継続審議となっている共謀罪と、本会議趣旨説明と質疑を行って委員会では趣旨説明を行っていない少年法改正案の2本となっている。もうひとつ、グレーゾーン金利撤廃の
貸金業規制法改正に関わり、利息制限法は法務省、出資法は法務省・金融庁と所管しているために、財務金融委員会との連合審査も行うべしと野党では要求している。「司法制度改革タウンミーティング」を徹底検証する集中審議も必要だと考えている。ただ今の段階で、国会審議は衆参両院でストップしたままだ。野党側では、「タウンミーティング」「未履修問題」などで予算委員会を開催して集中審議をせよと要求し、与党はこれを突っぱねるという応酬が続いている。だから、この隙に「共謀罪」を走らせるのではないかという心配の声もあるが、おそらく今日の段階ではその可能性は低いと思う。明日は、どうなるか分からない。野党側の審議復帰条件があまりに情けないものだと、与党は足元を見て強気の国会運営をはかるという可能性もあるだろう。

ところで、昨日の東京新聞の夕刊に気になる記事が掲載された。見落とした人もいるだろうから、ここに引用して紹介しておくことにする。今後の共謀罪の論議に関わる根底的な問題を含んだ事実が明らかにされている。

『米2州、罪種20以下 共謀罪───政府説明と矛盾』

 米国が「国際組織犯罪防止条約」批准(2005年11月)の際、共謀罪導入を留保した問題に関連し、新たにバーモント、アラスカの各州には5−20種類の犯罪に関する共謀罪しかなく、六百種類以上の犯罪に共謀罪を創設する日本の共謀罪法案(政府案)と大きく異なることが分かった。米国は、この二州などに配慮して留保を行っており、野党から「日本も同様の措置を取るべきだ」との声が上がっている。

 共謀罪を大がかりに導入しないと条約批准ができないとしてきた政府・与党は説明責任を問われそうだ。

 米国では複数州にまたがる犯罪以外は州刑法が適用されるが、日弁連や野党の共謀罪問題担当者の調べでは、バーモント州刑法で共謀罪がつけられているのは殺人、放火など五つの罪種だけ。アラスカ州刑法は第一級殺人、パイプライン破壊など二十罪種だった。

 日本の政府案は、最高刑が懲役四年以上の犯罪に共謀罪をつけるが、アラスカ州刑法はC級重罪(法定刑五年以下)にも共謀罪をつけていない。また、日本政府案は窃盗罪に共謀罪をつけたが、アラスカ刑法はつけていない。

 条約5条は「条約締約国は次の行為を犯罪とするため、必要な立法、その他の措置をとる」とし「次の行為」に共謀罪が列挙されていたため、政府・与党は、これを根拠に共謀罪を推進している。(『東京新聞』11月20日夕刊)

少し解説しよう。米国政府は「連邦法」に共謀罪規定があり、アメリカ各州の州法にも共謀罪があるので、おおよそ条約が求めている趣旨に応えることは出来るのだが、連邦の中には「共謀罪規定」が極めて限定的にしかない州が存在し、それらの州では、「純粋ローカルな犯罪」については共謀罪が出来ていない。州と州をまたぐ犯罪や国際的な犯罪については、それらの州でも連邦法が適用されるから問題はないが、「純粋ローカルな犯罪」には連邦法の適用はない。とすると、共謀罪はそれらの州では限定的にしか存在しないことになり、条約を丸ごと批准するとこれらの州政府に州法改正を要求することになる。しかし、これは連邦制の根幹に関わる重大問題なので、一部の州で「共謀罪規定」が限定的にしかなくても条約の趣旨・目的に背くものでもなく、この点を留保した上で条約を批准することにしようというのが、アメリカの留保理由だ。ここまでは、外務省との間で争いがない。

ところで「一部の州」とはどこだ? と聞いて、1カ月以上かかって出てきた回答が「アラスカ・オハイオ・バーモント」の3州だった。だったら、問題は簡単だ。これらの州法を点検して、いったい何種類の罪種に共謀罪があるのかを確認して実態を見るのが一番いい。この点を、『共謀罪、米国留保の分析』にも詳しく書いておいた。また、後日、法務委員会の一般質疑でも、この点をさらに追及した。


昨日、外務省の組織犯罪対策室を呼んで説明を聞いた。「至急、調べますと言ってから、すでに2週間が経過したのだった。担当官は元気なく入ってきた。「資料は持ってきていただけましたか?」と問うと、「いやまだ何も持ってきていません。精査をしています」との返事。『東京新聞』の夕刊記事も話題になり、口頭で「アラスカ州・バーモントの州法上の重大な犯罪で共謀罪の対象となっているものは、それぞれ15前後。重大な犯罪の中で、共謀罪の対象とならない犯罪がアラスカで38、ボーモンドで129」との概算を示してくれた。これは、確定的なものではなく現在の調査中の口頭中間報告と受け止めておこう。

「それじゃ、ボクの言った通りじゃないか」と言うと、「いや、州法上の共謀罪の対象にならない犯罪が、連邦法上の共謀罪の対象になっているのかどうかをひとつひとつ検討調査しています」という答えだった。いったい誰に、調査を依頼しているのかというと、在外公館から米国の弁護士資格を持つ人としか言わない。連邦法については国務省に聞いて、州法については州政府・司法当局に聞けば、すぐわかるんじゃないの? とヒントを与えるが、やる気はないようだ。つまり、外務省はこのまま宿題を提出しないでのらりくらり調査中という看板を出しておくという腹づもりなのだろう。『米国の留保についての政府の考え方』という出来の悪いホームページは早く訂正した方がいいと思うが、それも放置されている。

外務省がいかに混迷しているか、2週間ほど前に法務委員会で取り上げた。信託法の審議の最中に、「どうしても聞いておきたい」と切り出したものだった。06年11月7日の衆議院法務委員会における議事録をお読みいただきたい。(ちょっと長いですが外務省のモタモタぶりがわかります)

○保坂(展)委員 外務省からも来ていただいていますので、その後どうなったかを伺いたいのです。十月二十日の法務委員会の質疑におきまして、アメリカが国際組織犯罪防止条約を留保していたということをテーマにしました。その留保の内容について具体的にどうなのかということをいろいろ見たところ、アメリカの州法、具体的には、答弁があったのは、アラスカ、バーモント、オハイオというのはわかったということなんですが、いわゆる共謀罪の規定がすべてはないというような話でしたね。

 これに対して、大至急調べて回答させていただきたいというようなお答えだったんですが、二週間以上たちましたけれども、何らかわかったのであればお答えいただきたいと思います。

○西政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生おっしゃられましたように、アラスカ、オハイオ及びバーモントの三州に関しましては、共謀罪が特定の犯罪類型についてだけ設けられている、こういう形の州と説明させていただきました。

 しかるがゆえに、共謀罪の対象とならない犯罪についてどのようなものがあるのかということでございましたので、在外公館を通じて調査をかけておりますが、申しわけございません、まだ結果がまとまっておりませんので、いましばらく御容赦いただければと思っております。

○保坂(展)委員 これは一応日本の外務省ですからね、在外公館を通して大至急調べて回答させたいと、松島さん、大臣政務官も、そうさせます、そういう議論がありましたので。大至急ということは、二週間以上たっているわけで。

 もう一点聞きますけれども、要するに、アメリカの留保によって、いわゆる条約には入ったけれども犯罪にならない、つまり、アメリカが留保しているから、その州法の改正はないわけですね。この三州において犯罪にならない行為、これは何かという質問でしたけれども、では、共謀罪が限定的にしかないというのは、どういう共謀罪があるんですか。

 つまり、ないものを出せというのは難しいという話なんですよ。しかし、あるものというのはわかるでしょう。それはお答えできるんじゃないですか。例えば、オハイオ州、あるいはアラスカ州でもいいですよ、時間がありませんから、一州でもいいから、どんなものが共謀罪の対象になっているのか、それだけでも教えてください。なっていないものを確定するのは難しいというお話だったと思います。

○西政府参考人 今先生お尋ねになられました点、例えばアラスカ州でございますと、対象となる犯罪、共謀罪の規定及びその対象となる犯罪ということで私ども承知しておるのは、例えば殺人罪がございます。他方、こうした犯罪に含まれないものというものも出てまいりますが、同時に、連邦政府の方から、先生に先般御説明申し上げましたように、連邦法上、共謀罪が、まず法律集第十八編三百七十一条で、すべての連邦に対する犯罪はこれは共謀罪がかかるというふうになっております。それ以外にも、一般にRICO法と申しております法律集十八編千九百六十二条、これでありますと、殺人、誘拐、賭博などいろいろな犯罪が入っております。

 こういうような形で、その州では共謀罪の対象ではなくても連邦法がかかってくるものというものが出てまいります関係上、申しわけございません、調査に手間取っておるような次第でございます。

○保坂(展)委員 アメリカで弁護士をされていた方の話によると、連邦法でかかる問題もあるでしょうけれども、ほとんどの犯罪は州法で裁かれているというふうに聞いています。

 今、殺人という話が出ましたけれども、非常に限定されていますね。日本で提案されている六百種類以上の共謀罪とは雲泥の差なわけですけれども。

 いつまでに回答できますか。ちょっと時間がないので、それだけ答えてください。もう二週間以上前の問いですから。

○西政府参考人 恐れ入ります。

 私どももそのめどをきちんとさせないといけないと思っておりますので、その点もあわせまして、今、調査をかけているような次第でございます。御容赦くださいませ。

○保坂(展)委員 一応、こういう委員会で大至急調べますというときには、通常、そう答弁された省庁の担当の方は、今こんなぐあいですとか、ここまでわかっていますとかいうことは、連絡は大体くれるものなんですね。外務省は違うのかもしれませんけれども、しかし、全く連絡はない。

 今のお話ですと、州法というのは法律としてあるわけですね。その州法を読んで、どんな共謀罪がかかっているのかなと。つまり、共謀罪がかかっている犯罪類型について幾つなんだというのは、これはあしたにでも出せるでしょう。このぐらいはできるんじゃないですか。

 ここまで来れば、いつまでということをきちっと言ってほしい。もう二週間以上たっているんですから。答弁してください。

○西政府参考人 その折、私ども、調べなくてはいけないということで申し上げましたのは、州法で共謀罪がかかっておらなくても、その行為によって連邦法が適用されるものがある。そのような場合、例えば、先般御答弁申し上げましたように、詐欺的な行為を行うために郵便、電信などの利用があれば、郵便、電信等は連邦が扱う事業でございますので、それによっておのずと連邦法上の共謀罪が適用になってまいります。

 ということで、具体的に個々の州法だけというわけにまいりませんで、しかも、国際的な組織犯罪ということに関して考えれば云々と先般御説明させていただきました米国政府の見解、これは犯罪の態様によって連邦法がかぶってくるということが説明にあったわけでございますので、その点を踏まえてお答え申し上げませんと十分なお答えにならないのではないかと恐れておる次第でございます。

○保坂(展)委員 とんでもない答弁ですね。では、問題を簡単にしましょう。

 前回、ほとんどないという議論をした。要するに、今の西さんの答弁は、アメリカの州法の中に共謀罪がちょこっとしかない、しかし、他の類型については、ないということは、連邦法がみんなかかっているから、そこを精査しないと言えないんですということなんでしょう。違いますか。

 つまり、連邦法がすべて、州法の中で共謀罪がないものについてもかかっているという理解でいいんですね。後で全然違う事実を出してもらいたくないので、それだけ確認します。

 つまり、アメリカの州法に限定的にしか共謀罪がなくても、他の類型の犯罪の中に連邦法がすべてかぶさっているので、だから、ほとんどないんだ、例外化される行為はないんだというふうに断言できますか。

○西政府参考人 先生に御指摘ちょうだいしておりますように、連邦法、それから五十州のうち四十七州、これが一般的な共謀罪の規定を設けておるところでございます。それに対して、犯罪類型による共謀罪を設けているところが三州あると先般お答えさせていただきました。さらに、その三州で行う行為に関しましても、当該行為の態様によって連邦法がかかる場合については、これは連邦に対する犯罪ということで共謀罪がかかってまいります。(保坂(展)委員「かからないのはないんですかと聞いております」と呼ぶ)

 申しわけございません。そのまさに、かかるもの、かからないもののところの調査をしております関係で、今手間取っておると申し上げたような次第でございます。

○保坂(展)委員 では、もう一問だけ。歩きながら聞いてください。

 要するに、「ほとんどない」とホームページに書いてあるんですが、ほとんどないかどうかを調べているんですね。

○西政府参考人 先生、先般お尋ねがありましたのは、ほとんどないということは少しはあるんだろう、このようにお尋ねをちょうだいいたしました。そのほとんどないという対象が、では、少しあるとすればどういうものなのか。それが、先ほど申しましたように、犯罪の態様によって変わることも出てまいります。よって、今、そこを調べているような次第でございます。

 時間がかかっている点、重ねておわび申し上げます。

○保坂(展)委員 時間が来ましたので、ぜひ、この点については重大なので、委員長にもお取り計らいをお願いします。

○七条委員長 今審議をいただきましたが、資料をできるだけ出せることがあれば出していただけるように要請いたしておきます。

(議事録終了)

http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/3892a2ac79babdd4d6bfb1d23a9a4929

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