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(回答先: 週刊誌の記事から政権が倒れることがあってもよい(天木))【展望社:天木・筆坂熱血インターネット対談】 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 12 月 08 日 10:47:45)
イラク問題と日本外交―筆坂さんに答えて
天木直人
私はブッシュ政権の犯したイラク攻撃の誤りは、さきの米国中間選挙でブッシュ共和党が民主党に大敗した時点で歴史的判断が下ったと思っている。あれほど信頼していたラムズフェルド国防大臣をあっさり更迭し、超党派のイラク研究グループをつくって対応策を任せたのも、もはやイラク問題を解決できない事をブッシュ自身が認めたことに他ならない。
あの時、「これであなたが正しかった事が証明されましたね」と何人かの人が声をかけてくれた。報われた思いだった。しかし私はそれでもブッシュの敗北を手放しで喜ぶ事は出来なかった。ブッシュの歴史的間違いは証明されてもイラク情勢が改善する事にはならないからだ。ブッシュの誤りでおびただしい数のイラク人が無意味な犠牲を強いられた。しかもその犠牲は今も毎日のように増え続けている。それを思うとき、私は悲しさを通り越して、戦争犯罪をなんら罰されないブッシュ政権の責任者に言いようのない怒りを覚える。
大げさにメディアが報じているイラク研究レポートは、実は何の解決案も示していない。そもそも米国にイラク情勢を解決する能力はない。共和党も民主党もイスラエルの安全保障を最優先する立場に変わりはない。「テロとの戦い」に負けるわけには行かないのだ。だからこそこの期に及んでもイラクからの撤兵に踏み切れない。それは敗北を認めテロを勢いづかせると思っているからだ。
しかしこの認識こそ米国の傲慢さであり勘違いなのである。イラク情勢を改善させる唯一の方法は、米国がその誤りを世界に詫び、即時撤兵することしかない。そしてあらゆる中東問題の根源をなすパレスチナ問題の解決に向けて米国が公正な立場から平和の実現に取り組む決断をすることだ。これが出来なければイラク情勢も中東情勢も解決しないであろう。それどころか事態はますます悪化していく。更なる犠牲が重ねられていくことになる。
米国、英国を含め、あの当時イラク攻撃を支持した国の指導者たちは、いずれも国民の審判によってその誤りを厳しく非難され、政治的責任を取らされることになった。唯一日本の小泉元首相だけが無傷のまま逃げてしまった。為政者の誤りを唯一日本の国民だけが許してしまった。その背景にはメディアの無責任がある。権力者におもねって小泉外交を追及してこなかったわが国のメディアにとって小泉外交を本気で追及することは出来ないのだ。
私は過去三年間、イラク戦争に対する、この日本の鈍感さを、あらゆる機会を捉えて大声で糾弾してきた。中間選挙でブッシュ大統領が国民に見放され、世界が米国の間違いを公言するようになった今、その米国に無条件に追従した日本外交を、もはや私は声高に批判するつもりはない。私が批判しなくても、これからは時がたつに従って日増しに客観情勢が批判を強めていくことになると思うからである。
ところが昨日のニュースで久間防衛庁長官が、「イラク戦争支持は政府の公式見解ではなく、小泉首相(当時)の個人的見解である」との考えを示したことを知って驚いた。その発言は国会(参院外交防衛委員会)という最も公的な場でなされたのだ。
しかもこの発言を聞かされた安倍首相は、首相官邸で記者団に、「イラクへの武力行使に日本は支持をした。あの段階では問題なかった判断だった」と答えた。なんという閣内不一致であることか。野党はこれを絶対に放置してはならない。絶好の機会が訪れた。今こそ野党は小泉前首相を国会に証人として招致し、あの時日本政府はどのような議論を重ねて米国を支持する結論に達したのか、その判断は正しかったと思うのかを迫るべきだ。米国のイラク攻撃が誤りであったことが世界中で認められた今、日本政府の立場を国民と世界の前で明らかにすべき時が来たのである。
http://www.tembosha.com/kd_diary/kd_diary.cgi?20061208
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