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【天木直人 ニッポン外交の迷走】
2006年10月2日 掲載
「小泉の毒」が回ってくるのはこれからだ
安倍新政権が発足し、その評価が連日メディアをにぎわしている。政治評論家がここぞとばかり与太解説を流し、芸人、タレントまでもが娯楽のネタよろしく言いたい放題だ。しかし、そんな空騒ぎにもかかわらず、どこか熱気と明るさが感じられないのはなぜだろう。人々は肌で感じ取っているのだ。小泉狂騒曲への疲労感と残されたツケの大きさを。
誰が政権をとろうと、どのような人物が大臣になろうが、小泉前首相が壊してしまった日本を回復するのは容易ではない。「小泉の毒」が回ってくるのはこれからである。
「小泉の毒」とは何か。それは自国民の安全と暮らしを米国に差し出した「対米絶対従属の毒」である。汗水流して働いて稼いだ国民の富を、国民の暮らしや景気回復に使うことなく戦費にあえぐ米国経済に回す。そのしわ寄せを増税、年金・社会保障の削減などで国民に押し付ける。自衛隊はもはや米軍の下請け兵となって米国の戦争に駆り出される。鬱屈した国民は現実から逃避するがごとく浮かれ、あるいは凶暴になる。まさに日本崩壊である。
米国が世界に尊敬される立派な国であればまだ我慢もできよう。しかし小泉前首相が熱愛したブッシュ大統領の米国は実はとんでもない国になっていたのだ。この現実を満天下にさらしてくれた衝撃的な本が米国で出版された。ニューヨーク・タイムズ記者ジェームズ・ライゼンの手になる「STATE OF WAR」がそれだ。その邦訳が最近毎日新聞社から「戦争大統領」という題名で出版された。本屋で山積みとなっているその本を一読すればいい。米国はここまで狂っているのかと愕然とさせられるのだ。
たしなめる親父(ブッシュ・シニア)を怒鳴りあげるブッシュ大統領。異を唱える者を次々と排除していくブッシュ大統領。最初から世界をだましてイラク戦争を引き起こしていたブッシュ大統領。イラク情勢の悪化にいらだって「テロとの戦い」にますます強硬になっていくブッシュ大統領。テロリストを憎むあまり拷問、盗聴などのあらゆる違法行為を行うブッシュ大統領。まさに「戦争大統領」なのだ。
小泉前首相は早々と店じまいしてイタリアへオペラ三昧の逃避行を企てる。最初から最後まで自分のことしか考えなかった。その身勝手な「小泉の毒」にやがて安倍政権はしびれることになる。
▼天木直人(あまき・なおと) 元レバノン大使。1947年生まれ、京大法学部中退で外務省入省。イラク戦争に反対する公電を送り、小泉首相の対米追従外交を批判して「勇退」を迫られる。著書に「さらば外務省!」「ウラ読みニッポン」(講談社)など。
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=28635
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