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(回答先: 撤退後のサマワ:自衛隊の残したもの/1(その1) 「贈り物」野ざらし―「毎日新聞」 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 10 月 03 日 12:28:14)
撤退後のサマワ:
自衛隊の残したもの/1(その2止)
「役に立たない」発電機
<1面からつづく>
◇背景に弱い行政基盤
「動かない支援」はイラク南部サマワの砂漠に放置されたアスファルト製造機だけではない。低所得層360世帯が暮らすサマワ市エリアット・サカエア地区の集合住宅群。3階建ての住宅敷地内にフェンスで囲まれた発電機が置かれてから1年以上、ごう音を響かせたことは一度もない。
「エアコンが要る夏の間、発電機は何の役にも立たなかった。どうして日本はこんな物を贈ったのか」。住民のユセフ・カードムさん(26)が不満をもらす。外務省は昨年6月、ムサンナ県を通じてこの住宅群に発電機9台(契約額約1億4000万円)を供与したが、今では燃料も入れられず、「宝の持ち腐れ」状態が続いている。県が「地元業者が納入した発電機が中古だった」として契約違反で業者を刑事告訴した上、損害賠償を求め民事訴訟を起こしているのだ。
タヘル・アリ・ハッサン県電力配電局長(51)は「問題の所在は業者にある」としながらも、外務省の業者選定に疑問を投げる。「なぜこの業者を選んだのか。日本が選んだ業者には(今回に限らず)ほとんど経験のない企業もあった。だまそうとする業者が多いことを知るべきだった」
◇ ◇ ◇
復興事業は地元業者との契約に基づいて実施されたが、業者選定を巡っては不満を抱く住民や地元自治体関係者が多い。サマワで建設業を営むハーディ・カルナンさん(71)もその一人だ。「自衛隊に雇われていたイラク人の技師と通訳が選定にあたり大きな力を持っていた。彼らにカネを渡さなければ仕事が取れなかった」と主張する。
自衛隊幹部は「仕事をまかせる業者は工事の実績などを精査して決めており、偏った業者選定はしていない。自衛隊が手がけた工事は完成時に点検もしており、ずさんなものはない」と説明、「不平は工事が取れなかった業者から出ているのではないか」と推測する。だが、土木業者の一人は「旅券でも何でもイラクで偽造できないものはない。実績を偽るのはたやすい」と反論する。
セメント製造以外ほとんど産業のないムサンナ県に自衛隊駐留は、かつてない「特需」をもたらした。旧フセイン政権時代には20軒ほどしかなかったサマワの土建業者は今、1000軒以上を数えるという。「日本の仕事を取るために経験のない者が会社を作る例が相次いだのだ」。カルナンさんが指摘する。
◇ ◇ ◇
支援空転の背景には現地行政基盤の弱さがある。ムサンナ県が「中古品」と主張する発電機について外務省は「部品の製造番号などを調査した結果、新品だと考えられる」との立場だ。燃料代などの運転・維持費が予想以上にかかったため、県が「言いがかり」をつけたとみている。
アスファルト製造機に関しても外務省筋は「責任を取れるサマワ市幹部がいれば問題は大きくならなかった」と語る。旧フセイン政権崩壊後、行政能力の高い旧バース党員が公職追放され、法整備も進まず、政府・自治体の能力に問題が多いのは否定できない。
だが、イラク側に落ち度があったとしても、支援の恩恵をこうむるはずだった住民の間で「日本への失望」が募るという不幸な結果を招いている。【サマワで小倉孝保、社会部・反田昌平、外信部・草野和彦】=つづく
毎日新聞 2006年10月3日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/archive/news/2006/10/03/20061003ddm002010033000c.html
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