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(回答先: 中川昭一と麻生太郎はもっと頑張れ(非公正ブログ3号館) 投稿者 尾張マン 日時 2006 年 11 月 08 日 03:49:44)
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/56/index.html
安倍総理は自らの組閣人事に対して「適材適所」と自画自賛をしたが、どこからどう見てもそうは思えない。既にマスコミでさんざん言われている通り、閣僚のメンバーはタカ派の仲間か総裁選で安倍総理実現に力を尽くした立役者ばかりである。
官房長官の塩崎恭久氏は、安倍総理、根本匠氏、石原伸晃氏とともに、政策グループ「NAISの会」を作った仲間。金融担当大臣に選ばれた山本有二氏は、安倍氏支援の中堅・若手グループである「再チャレンジ支援議員連盟」会長である。
総務大臣は、丹羽・古賀派による安倍支持への流れを作った菅義偉氏。厚生労働大臣には、総裁選で総合選対本部長を務めた柳沢伯夫氏。財務大臣には、森派所属でベテラン議員の束ね役だった尾身幸次氏が任命された。
わたしの専門である経済分野の閣僚を見ていると、少なくとも以上の人物は論功行賞で任命されただけであって、その分野の政策能力が評価されたわけではない。
これを見れば、「この内閣では、大した仕事をする気はない」という安倍総理の意図が読み取れる。
そんな今回の安倍内閣に、わたしは「サブマリン内閣」というニックネームをつけた。
海中深く潜行し、攻撃の時が来るのをじっと待っているサブマリン(潜水艦)を思わせるからだ。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/56/02.html
最大のサプライズは大田弘子 経済財政担当大臣
今回の組閣で、わたしが一番驚いたのは、経済財政政策担当大臣に大田弘子 政策研究大学院大学教授が任命されたことだ。
わたしは10年以上前から仕事上のお付き合いがあり、彼女のことをよく知っているので、これまでの努力が評価されたことに対しては素直に喜びたい。だが、経済財政政策担当大臣という立場で手腕を振るえるかと言われれば、それは難しいと言うしかない。
なぜなら、彼女はあまりにも「いい人」だからだ。
大田さんは、もともとOLをやっていたが、いったん鹿児島に帰郷。1981年からは財団法人生命保険文化センターの嘱託研究員となった。わたしが仕事で知り合ったのも、研究員だったころである。その後、大阪大学の客員助教授、埼玉大学大学院助教授を経て、政策研究大学院大学の大学院の助教授に着任。
さらに、内閣府大臣官房審議官、内閣府政策統括官を経験して、2005年からは政策研究大学院大学の教授となっていた。
こうした経歴を聞くと、だれもが不思議に思うに違いない。一介の研究員、しかも非正規の嘱託から、どうやって大臣まで上り詰めたのか。
それは、小泉内閣につながる大物御用学者のメインストリームである中谷巌、島田晴雄、本間正明、竹中平蔵らからかわいがられたからだ。
かわいがられた理由は、単に小柄で垂れ目で外観が愛らしかったからだけではない。そうした大物学者の使い走りとして比類なき有能さを発揮したからなのである。
例えば、こんなことだ。
偉い先生は普段から委員会や審議会などで忙しく、すべての会議に出席してはいられない。そこで、「僕の代わりに委員をやってくれないか」という電話が大田さんに入る。
もちろん大田さんだって大忙しなのだが、大先生から頼まれれば断るのも難しい。
内心ではどう思っているか知らないが、にっこり笑って、「先生、いつも気にかけていただいて、ありがとうございます」と引き受ける。そういう「いい人」なのである。
竹中平蔵氏が中心となっていた経済財政諮問会議においても、資料作成や準備で大田さんは大車輪の働きをしてきた。どんなに大量の作業を押し付けられても、彼女はにこやかに対応してきたのである。彼女の存在がなければ、会議自体が進まなかったといっても過言ではないだろう。
だが、今回は彼女自身が表舞台に出てきてしまった。
経済財政担当大臣の最大の仕事は、経済財政諮問会議を仕切ることといっても過言ではないが、そこには、日銀総裁、財界代表、学者の代表、経済閣僚といったそうそうたるメンバーが顔を揃える。そうしたうるさ方を仕切ることは、並大抵のことではない。
さらに面倒なのは、自民党や役人との戦いである。様々な圧力や脅しがあるだろうが、それらに屈することなく対処するのは、「いい人」にとって不可能といってよい。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/56/03.html
「いい人」では務まらない重要閣僚のポスト
では、竹中平蔵氏はどうだったか。
彼は、経済政策を小泉前総理から丸投げされ、自分と仲間の学者で何から何まで決め、そのまま正面突破をしてしまった。
これは口では簡単に言えるが、「いい人」には無理な注文である。周囲の話に耳を傾けなどしていたら、何もできない。
もちろん、それを実現するには、役人や族議員の頭越しにすべて経済財政諮問会議で決めてしまおうという小泉前総理のバックアップ体制があったことは言うまでもない。
世の中では、竹中氏の童顔にだまされて、彼を「いい人」だと思っている向きもあるようだが、とんでもない。
わたしが竹中大臣と初めて会ったときのことだ。ある対談の企画があって、わたしが大臣室に入っていくと、彼は童顔に満面の笑みを浮かべながら、握手をしてこう言うのである。
「やあ森永さん。僕たちは経済思想が共通していますね」
わたしは驚いた。ご存じのように、経済・財政に関するわたしと竹中大臣の考え方は、天と地ほども違っている。そんなことは竹中氏も先刻承知のはずだ。
それなのに、よくもまあヌケヌケと言えるものだとわたしはあきれたが、同時に非常に感心もした。そう、この程度のことを平然と言えるくらいでないと、経済財政政策担当大臣など務まらないのだ。
いくら大田さんが有能であっても、こんな白々しいウソをつくことはできまい。
確かに、御用学者たちと交わっているうちに、いつのまにか思想は市場原理主義者になってしまったようだが、性格はどこまでも「いい人」なのである。人を騙したり脅したりできる人ではない。
それを誰もが分かっていながら、なぜ安倍総理は最重要ポストの経済財政政策担当大臣に任命したのか。それが、冒頭で示した「サブマリン内閣」の方針である。「当分は大したことをするつもりはない」ということを示しているのだ。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/56/04.html
サブマリンが浮上して何が起きるのか
では、今回の安倍内閣では、なぜ「大したことをしない」のか。その目的が、来年7月の参議院選挙に勝利することだからである。
そのためには、波風を立てないよう深く潜行することが第一だ。国民に痛みを与えることはもちろん、タカ派の正体がばれるようなことは一切してはならない。
あくまでも爽やかで、優しくて、そして頼りになる総理大臣を演出するのだ。
中川昭一政調会長や麻生太郎外務大臣が、「核武装の議論をするべき」と述べて物議をかもしているが、そもそもそれは安倍総理の持論だ。現に、副官房長官時代には「現行憲法の下でも核武装することは可能だ」とも述べている。
だが、今回の騒動で安倍総理は、「非核三原則は国是である」と答弁して火消しに躍起になっている。
まさにサブマリンである。だが、そんな簡単に人間の本性が変えられるものだろうか。いや、そんなことはできるわけがない。
期が熟せば潜水艦は浮上する。参院選で自民党、公明党が勝てば、サブマリンは一気に浮上するだろう。そのとき、国民は安倍内閣の本当の姿を目にするに違いない。
参議院選挙に勝利すれば、間違いなく内閣改造を行って、本格的な実力派内閣を立ち上げるはずだ。そこで、まず行われることが確実なのは大増税である。
尾身財務大臣は、就任会見で「消費税率の引き上げ論議は来年秋以降に行う」と語っている。見方を変えれば、参議院選挙が終われば消費税率の引き上げをしますよということにほかならない。
小泉内閣で進められた弱肉強食の経済構造改革も、急ピッチで進められることだろう。格差はどんどん広がる。だが、わたしが本当に心配なのは、日本が戦争に巻き込まれる事態である。
安倍総理は、「日本国憲法の枠内でも集団的自衛権の行使は可能である」という考え方を持っている。これに従えば、わざわざ憲法を変えなくても自衛隊は戦争に参加できることになる。米軍に付き従って行動しているうちに、集団的自衛権を行使せざるをえない状況に陥り、自衛隊が、そして日本という国全体が、いつのまにか戦争に巻き込まれていたという可能性は十分にある。
戦後60年あまり、日本はいま最大の戦争リスクにさらされているといってよいだろう。
そう考えると、来年夏の参議院議員選挙は、日本の命運を決める大きな選挙となるといっても過言ではないのだ。
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