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「灰色金利」はなぜ5年間も残されたか 借金苦「弱者」を黙殺した奴らの名前
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投稿者 黄昏時のパルチザン兵士 日時 2006 年 9 月 30 日 18:00:26: WCbjO5fYf.pMQ
 

業界側の立場をとった4人の政治家。高金利を下支えする銀行と生保――これが内幕だ


グレ―ゾ―ン金利撤廃≠ノよって、多重債務者たちを直ちに救うはずではなかったのか。自民党から提出された改正案では、現状の高金利が5年間も延命される。借金苦に死を選ぶ人々を横目に、この改悪≠ノ手を貸したのは誰なのか。

今年5月、関東地方に住む59歳の無職女性が自宅物置で首を吊って自殺した。女性は、23歳の息子(会社員)が消費者金融5社から借りた310万円の借金に悩まされていた。遺体のそばには「私の生命保険で(借金を)支払いなさい」と書かれた遺書が
残されていた――――。
このケ―スは債務者の母が死を選ぶまでに追い詰められたものだが、債務者本人が自殺し、借金の形≠ニして消費者金融に支払われていた実態が判明し、物議を醸している。
被害者団体「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」の事務局長・本多良男弁護士が憤る。
「うちの会にも、自殺しようとして死にきれなかった≠ニ、手首に包帯を巻いて相談に来る人が多いんです。今後、5年間もグレ―ゾ―ン金利≠ェ残るなんて納得できない。債務者を見殺しにする気なのか」
グレ―ゾ―ン金利とは、利息制限法の上限金利(年15〜20%)と出資法の上限(同29・2%)の間を指す。貸金業者の貸出金利は利息制限法で規制されていたものの、出資法の上限を越えなければ刑事罰に問われないため、多くの業者は29%近い高金利で貸し出してきた。そのため撤廃に向け法改正が進められていた。
しかし、15日に発表された自民党改正案は、「準備期間として3年は今の金利体系を残し、その後も2年間に限り1年間以内・30万円≠フ融資なら25・5%の金利が取れる」というもの。
つまり、5年間もグレ―ゾ―ン金利を残し、「即時撤廃」の当初の方針は骨抜き≠ノされてしまったのだ。
自民党案よりもさらに貸金業界寄りだった金融庁改正案に抗議し、内閣府政務官を辞任した後藤田正純代議士も、いらだちを隠さない。
「金融庁の有識者会議ではグレ―ゾ―ン金利撤廃でまとまっていたのにこうなってしまった。業者側の論理≠振りかざし撤廃に反対する勢力があるんです」
反対勢力≠ノついて、後藤田氏は明言を避けたが、複数の自民党議員を取材した結果、中心的存在として浮かび上がってきたのは、保岡興治、太田誠一、西川公也、塩崎恭久の4名の自民党議員である。たとえば保岡は『週刊エコノミスト』(6月13日号)のインタビュ―で、「単純に一律に引き下げるだけでは、貸金業を健全な業界として育成できないだろう」と、貸金業者を擁護。また、他の3名も、保岡とともに、「被害者を出さない健全な消費者金融を考える会」という貸金業者に配慮したかのような勉強会に名を連ねている。
4名に取材を申し込んだところ、太田は秘書を通して「貸金業者寄り≠ニは誤解。引き下げ反対ではなく、あくまで単純な金利下げ論には慎重ということ」と回答。他の3名からは「総裁選で忙しい」などの理由で、締め切りまでに回答を得られなかった。
後藤田氏の言。
「反対勢力の言い分は、グレ―ゾ―ン金利をなくすと業者の貸し渋りが起こる≠ニいうもの。しかし、一番の問題は自殺者がこれだけ多く出ているということ。それを解決するためには、一刻も早く即時撤廃が必要なのです」

命を担保にするシステム
自殺者が続出する背景には生保の存在もあると、多重債務者問題に詳しい宇都宮健児弁護士が指摘する。
「消費者金融は無担保を売りにして、高金利での貸出金額を増やし莫大な利益を上げてきた。ところが実態は、借り手に十分な説明もなく生命保険に加入させ、命を担保にしてきたのです。生保側にも、生命保険加入者の意思確認を貸金業者任せにしていた責任があります」
この保険は「消費者信用団体生命保険」と呼ばれ、消費者金融が保険料を負担し、債務者が死亡すると消費者金融に保険金が支払われる仕組みで、ほぼ全債務者が加入させられていた。
生保各社が引き受けた同保険の保有契約高は8兆4322億円(06年3月末、生命保険協会調べ)に上る。
昨年だけで消費者金融大手5社が生保から受け取った死亡保険金は3万9880件。そのうち自殺は1割近い3649件に達する。
しかし、ほとんどの借り手は、この生命保険加入に無自覚である。ある消費者金融の利用者がいう。
「契約書を見ても、たくさんの契約条項の中に紛れて本当に小さい字で書かれているだけ。生命保険をかけられているなんて、全然気ずきませんでした」
保険評論家の大地一成氏は生保の姿勢に疑問を呈する。
「一般の保険が保険金の支払いに当たって死亡診断書などの提出を厳格に求めるのに対し、この保険では消費者金融が契約者の死亡を確認できる住民票を添付すれば保険金が支払われるようになっていた。保険金不払いが問題になっているが、一方で消費者金融にはスム―ズに支払っていたとなれば大問題といえます」
さらに、この生保と銀行が消費者金融各社の資金調達を支えてきた点も見逃してはなるまい。
消費者金融大手4社(アイフル、アコム、武富士、プロミス)の公表資料によれば、06年3月末で消費者金融が生保から調達した資金は4769億円に上る。
同じく大手4社が都市銀行から調達した資金は3651億円、信託銀行からはさらに多く、8613億円にも上る。
「生保や銀行から消費者金融各社への貸し出し金利は、1〜3%程度と非常に低利。ただし、取りはぐれがなく、安定した収益源になっている」(メガバンク幹部)
金融ジャ―ナリストの須田慎一郎氏も指摘する。
「三井住友銀行がプロミスに20%、三菱東京UFJ銀行がアコムに13%、それぞれ出資している。銀行は消費者金融の審査ノウハウを手に入れ、消費者金融は銀行の信用力をバックに業績を拡大する。利害の一致する両者はもはや切っても切れない関係にあります」
さらに多重債務者、そして自殺者を増やしかねないグレ―ゾ―ン金利の延長。反対勢力≠ノは、庶民の悲鳴が聞こえないのか。

週刊ポスト 06 10 6

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