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20行で5000万円の請求、烏賀陽さんの闘い(下)「知る権利」は企業メディアだけのものか?「日刊ベリタ」2007年03月
http://www.asyura2.com/0610/hihyo4/msg/730.html
投稿者 Kotetu 日時 2007 年 3 月 08 日 22:34:59: yWKbgBUfNLcrc
 

(回答先: 20行で5000万円の請求、烏賀陽さんの闘い(上) 「オリコン訴訟」に大手芸能事務所の影 「日刊ベリタ」2007年03月 投稿者 Kotetu 日時 2007 年 3 月 08 日 22:32:11)

2007年03月08日掲載 無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200703081045134
検証・メディア
20行で5000万円の請求、烏賀陽さんの闘い(下)「知る権利」は企業メディアだけのものか?
 烏賀陽さんの訴訟をめぐる連載の後半は、いつもながらの大手メディアのニブさを報告する。東京地裁に訴訟を起こした場合、社会性のある提訴については、司法記者クラブで会見するのが通例だ。ここで烏賀陽さんは、ルーティーンに忙殺されている記者たちの質の低さを目の当たりにした。(ベリタ通信=中邑真輔) 
 
▼大手メディアの無関心 
 
 ところで2月中旬、自衛隊の1等空佐が読売新聞の記者に防衛関係の秘密を漏らしたとして、事情聴取された。大手マスコミは早速、「知る権利が危うい」のキャンペーンを始めた。読者に代わって権力と対峙しているつもりでいるからだ。 
 
 なかでも、烏賀陽さんの古巣である朝日新聞は、2月17日付朝刊の総合面で、一面をさいてこの問題を取り上げた。《文民統制を損なう恐れ》という見出しの編集委員の記事や、《メディアを萎縮させる》とする大学教授のコメントなどを掲載したほか、《知る権利が危うい》と社説でも論じる手厚さ。 
 
 社説には次のようなくだりがある。 
 
 《しかし、(読売の)記者を罰しないとしても、情報を漏らした自衛隊員を罰すれば、取材に対する萎縮効果は大きい。それは結果的に取材や報道の自由を妨げかねないことを忘れてはいけない》 
 
 それでは、防衛庁の「秘密」漏洩と烏賀陽さんの訴訟を比較し、前記の社説を次のように改めてみる。「しかし、サイゾー編集部と発行元は訴えないにしても、コメントを提供した烏賀陽さんを訴えれば、取材(またはコメントする人間)に対する萎縮効果は大きい……」 
 
 2つの問題の本質は同じだと言えないか。だが、権力相手になると力んだポーズを見せる朝日新聞は、烏賀陽さんの訴訟はベタ記事で扱ったのみ(アエラは1ページ割いて報道)。はたしてこれで新聞は弱者の見方などと言えるのだろうか。 
 
 上記の社説をネット上で検索してみたところ、あるブロガーが朝日新聞の主張する知る権利について、以下のように書いているのが見つかった。批判のための批判を展開するよりも、一般読者は大手マスコミの体質をすでに見透かしている事実を示す例として引用する。 
 
 《「知る権利」というのはマスコミが良く使うことばでもある。自分たちの立場が危うくなると使いはじめる。ここで言う権利とは、決して国民が知る権利ではなく、あくまでも新聞社等が知る権利=自分たちだけを守る権利だと思うが?都合の悪いことは報道せず取材せず・・・自分たちの思いだけで記事やニュースにする体質。こんないい加減なマスコミでは国民は賛同はしない。》(ブログ・斜めに見る 2月17日付エントリーより) 
 
 一方、烏賀陽さんによれば、この問題に対する大手メディアの記者の感度の鈍さと、記者一般の質の低下が著しいという。 
 
 例えば毎日新聞の司法記者は、2月8日の反訴の会見を第1回口頭弁論と勘違いしたまま記事にした。烏賀陽さんが記事を書いた記者本人に問い合わせたところ、「(裁判の日程や弁護士の名前などが書かれた)期日簿を見ていなかった」と答えたという。 
 
 このほかにも、昨年末にオリコンが提訴した際、共同通信の記者は、同社の発表文だけを見て烏賀陽さんに電話でコメントを求めた。「民事訴訟は訴状を読んだうえで原告、被告双方の言い分を取材して記事にするのが基本」(烏賀陽さん) 
 
 「通常、東京の司法記者クラブと言えば、各社の社会部のエース級が担当しているはず。記者としての足腰が弱っている人たちが多いと感じた。私は約20年間マスコミ業界にいるが、この間の記者の質の劣化は想像以上」 
 
 烏賀陽さんは自著でこう警告したことがある。 
 
 《記者クラブさえあれば、新聞社が記者の人材に投資しなくても、日々の新聞を発行するという業務は成立してしまう。こうして記者クラブなしでは読者に商品価値を認めてもらえる記事など書けない記者を大量に抱えている。もし記者クラブを廃止してしまえば、どんな破局が彼らを待ち受けているか、想像するのはたやすい。》(『「朝日」ともあろうものが。』・徳間書店) 
 
 烏賀陽さんによれば、2月末の時点でテレビ局からの取材申し込みはゼロ。大手出版社の週刊誌も、企画を寄せ合う編集会議の段階で却下され、記事の掲載にはいたっていない。 
 
 「インディペンデントのジャーナリストやブロガー、インターネットのメディアが取り上げてくれることに期待するしかない」 
 
▼訴訟の支援体制に問題も 
 
 もう一つ問題がある。今回の訴訟に詳しい関係者によると、烏賀陽さんのコメントを載せたサイゾーの編集部や発行元の支援体制が、必ずしも十分ではないという。 
 
 すでに烏賀陽さんが明らかにしているように、コメント内容は、《ぼくが話したことから比較すると、正確度は半分以下です。しかも、死活的に重要なセンテンスが(ぼくは電話口でしつこいくらい強調した)、意図的かそうでないかは分かりませんが、削られている。》(烏賀陽さんのウェブサイトより)。 
 
 要するに、担当編集者(すでに退社)が自分の望む内容に、コメントを“加工”したのである。 
 
 人の“嘴”(くちばし)を借りて批判はしながら、都合が悪くなれば切り捨てる。かりにそうであれば、将来の執筆者、コメンテーターの信用はもちろん、読者の支持すら失うだろう。サイゾー編集部がそうした愚挙に及ばないよう願いたい。 

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