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『マネーを生み出す怪物』
G・エドワード・グリフィン著 吉田利子訳より引用します
入植地の経験
現在の通貨システムは700年も前の軍事支配者が施行していたものと変わりありません。現在と同じような問題を抱えていたことが、どの歴史書からも窺えます。初めて不換紙幣が大々的に使われたのは13世紀の中国でした。樹木の芯と分厚い樹皮の間にある細かな白い繊維で作られ、加工され、黒い紙片が出来上がると丁重に管理され、一枚一枚にしかるべき役人が自分らの名前を記し、印章を捺します。すべてが滞りなく完了するとカーン皇帝の命を受けた主席官僚が職責上委ねられた印章を真紅で捺し、このとき初めて通貨は本物になります。
カーン皇帝は毎年大量の紙幣を発行し、皇帝はすべての支払いをおこなうとともに、全領内にこれを通用させ、これを拒否すれば死を免れません。勿論、偽札はそれに匹敵するほど重罪でした。中国に続いて不換紙幣を流通させたのはアメリカでした。マサチューセッツ湾岸の入植地です。これは『アメリカの紙幣の起源であるだけでなく、大英帝国における紙幣の起源、そしてキリスト教世界における起源といっていいくらいでしょう』(*Ernest Ludlow Bogart,Economic History of American People(New York:Longmans,Green and Co.,p.172(『アメリカ経済史』細野武男訳、1941年))
1690年、マサチューセッツ州はフランス植民地ケベックに武装攻撃を仕掛けました。前にもそんなことはあり、その度に遠征費用に見合うほどの略奪品を手に入れてきました。ところがこのときの略奪は大失敗で、人々は手ぶらで帰ってきました。兵士達が賃金を要求したとき、マサチューセッツの金庫は空でした。不満を抱く兵士は手に負えなくなる危険があります。そこで役人たちはあわてて資金を調達しようとしました。増税はきわめて不評であるのがわかってますから、紙幣を印刷することにしました。兵士や市民を納得させるため、政府は神妙に二つのことを約束しました。
(一)税収が充分な額に達したらすぐ紙幣を金貨か銀貨と交換すること、
(二)これ以上の紙幣発行は絶対にしないこと、です。
しかしながら、どちらの約束もすぐに反故にされました。ほんの数カ月後、政府は当初発行した紙幣は政府債務を弁済するのには足りなかったと宣言し、六倍近い紙幣を発行し、流通させました。この紙幣は40年近く兌換されず、そのころには約束をした人々はとっくに舞台から消えていました。
典型的なパターン
他のほとんどの入植地もたちまち印刷機の魔術に目覚めました。その後の歴史は典型的な因果関係のパターンをたどることになります。政府は不換紙幣を発行して、人為的にマネーサプライを増大させます。次は不換紙幣を強制的に受け入れさせる通貨法制定です。それから金貨や銀貨が個人に退蔵されたり、本物の貨幣を要求する外国商人の手に渡って消えていきます。入植地の多くはそれまでのマネーを廃止して、新しい高額紙幣を発行し、こうして政治不安と市民の不服従が起こります。いずれも激しいインフレと経済混乱でサイクルが終了することになります。1703年、サウスカロライナは同州の通貨が「弁済手段として法的に有効である」と宣言し、さらにこのマネーの受け取りを拒否する者は「拒否された額の二倍」に相当する罰金を科されると付け加えました。1716年、罰金は「三倍」に引き上げられました。
印刷機とインフレ
このころベンジャミン・フランクリンは不換紙幣の熱心な擁護者で、自らの影響力の大きさを利用して人々にこの考え方を売り込んみました。1736年にフランクリンが『ペンシルヴェニア・ガゼット』紙上で、この新聞の発行が定期的でないことを謝り、理由は印刷機が「もっと多くの通貨を印刷して、公共の福利に役立つために忙しい」からだと説明していることを見ても、当時のフランクリンの7)熱狂ぶりは想像がつきます。マネーの印刷はどうやら時問のかかる大々的な作業だったようです。1737年、マサチューセッツ州は不換紙幣の価値を66パーセント切り下げ、旧紙幣3ドルを新紙幣1ドルと交換すると発表しました。そのときの約束では5年後に新紙幣は銀か金と交換できるということでしたが、約束は守られませんでした。
1750年代の終わりに、コネティカット州では物価が800パーセント上昇しました。カロライナ州では900パーセント。マサチューセッツ州1000パーセント。ロードアイランド州2300パーセント。当然このようなインフレはいつかは止まるし、そのときには同じように大規模なデフレと不況が襲いました。現代のエコノミストが好んで「野放図な自由市場」のせいにしたがる典型的な好不況の波でしたが、植民地時代にすでに需要供給の法則から逸脱した不換紙幣の増大縮小の直接的な緒果として起こっていたことがよくわかります。このころまでには、硬貨は完全に姿を消していました。一部は個人に退蔵されたのですが、ほとんどは外国に流出し、植民地としては不換紙幣を使うか物々交換をする以外、選択肢が残されていませんでした。しかし、外国の商人は不換紙幣にも物々交換にも関心がありませんでしたので、国際的な交易はほとんど途絶しました。
長いこと現金に兌換されていない国債や株の終焉が気になります。永久国債も販売を控えてますし。永久する借金、それは永遠に返されない借金というものになります。せっせと銀行に金利分のみを運ぶことになります。その金利は疑いなく国費から出されるものでしょう。やはり銀行の『原資』を膨らませるために市場の拡大、マネーサプライ操作はあるのでしょう。原資さえ安定的な供給場所を構築できれば暴落の心配はなくなります。しかし、税金は誰が払うのか??
国債の金利分さえ税金収入は得ていません。借金が多すぎると法人税は払わなくてすむという法律もありますし。早い話、国債や株を転がし続ければ税金は発生しないですむということですよね、現金に兌換されないということですから。現金に兌換されるとしたら最安値を付けて引き受け手がみつかったときでしょう。
暴落予備資金の積み増しのために増税があり、消費税が増大されるのであれば、購買能力は極端に衰えます。しかし、関税の預かり消費税で支払い消費税を相殺できるシステムが既に構築されてますので、安い生産地で生産され、ブリックスなどの急成長地域で販売し、国内の本社で決算されるのであれば、国内で預かった消費税が高いほど受け取った預かり消費税分をせしめることが出来ます。税引き後最終利益が上がるトヨタがいい例でしょう
コングリマリットが消費税分の利益をせしめるために、消費税増税があるのです。ならば、一体誰が税金を支払うのでしょう。焼け太りする国債。債権を転がすだけの団体が一番多くの税収を得ていることは事実です。彼らが途上国に入植し、その国を借金体質に変え、高くなった債権をせっせと銀行窓口で換金をせがり、円で利益を受け取っています。換金されなかったとしても、焼け太った債権で、購買力が低下し価格が下落した製造業株を買占め、コングリマリットの資金源に変え、せっせと税金の受け取り政策を続けるのでしょう。
永久国債を認めるのであれば、このシステムの焼け太りを認めることになります。強者に利益を吸上げられ倒産企業が増えるのであれば、この野獣のエサ場の構築になりますし、企業再生機構にも10兆近い税金が投入されています。
国内に対し罰則が厳しく、入植者に対し、ひたすら甘い植民地政策は半永久的なのでしょうか。