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利上げ見送り 市場が振り回された 国交省談合 捜査当局の出番では  【朝日新聞・社説】
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投稿者 愚民党 日時 2007 年 1 月 19 日 07:11:02: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: 待った日銀、読めぬ「次」 追加利上げ見送り  【朝日新聞】 投稿者 愚民党 日時 2007 年 1 月 19 日 07:05:28)

【社説】2007年01月19日(金曜日)付

利上げ見送り 市場が振り回された 国交省談合 捜査当局の出番では


利上げ見送り 市場が振り回された

 利上げか、見送りか――。ぎりぎりの調整の末、日本銀行は、金融政策決定会合で短期金利の据え置きを決めた。

 景気は上向いたが、個人消費や物価の動きは力強さに欠ける。極めて難しい判断を迫られたのは確かだが、当の日銀は1週間前に開かれた支店長会議の報告などで消費は底堅いと判断、利上げの環境は整ったとの認識を深めていた。市場も利上げを織り込んで動いていた。

 それなのに結局、福井俊彦総裁は利上げを避けた。会合後に会見した福井総裁は「経済情勢をなお見きわめたいという委員と、もう十分という委員の間で微妙な差があった」と説明した。

 採決の結果、6対3で利上げは見送られたという。もし福井総裁と2人の副総裁が利上げに賛成していれば、逆の結論になっていた計算だ。

 金融市場の巨大化とグローバル化に伴い、中央銀行にとって「市場との対話」が重要になっている。判断がぶれず、先々の経済情勢を見越した手を打つという基本に照らすと、今回の決定は結果的に市場を振り回し、日銀への信認も揺るがしたのではないか。

 あわせて重要な中央銀行の独立性に絡んでも気がかりなことがあった。

 超低金利を追い風とした「上げ潮政策」を掲げる自民党の中川秀直幹事長は、政府に認められた議決延期請求権の行使までちらつかせて利上げに反対した。大田経済財政相も「消費は弱くなっている」と牽制(けんせい)していた。

 市場に「政治の反発に押されたからではないか」「金融政策を決めるのは、日銀か、政府か」といった声が渦巻くのも仕方がない。

 今回の決定がこれほど注目されたのは、2月以降の利上げはさらに難しくなると見られるからだ。4月に統一地方選、7月に参院選が控え、景気を冷え込ます危険を伴う利上げへの政府・与党の抵抗が一段と高まるのは避けられない。

 しかし、いつまでも今の金利水準を続けるわけにはいかない。超低金利の副作用が大きくなっているからだ。

 東京の都心部では不動産バブルが懸念されるまでになった。安い金利で調達した円資金がドルに替えられ、世界各地で投機的な取引を膨らませている。一方、預貯金の利息はわずかで、金利生活者には厳しい状況が続く。

 金融政策をあずかる日銀としても、景気が後退した時に備え、金融緩和の余地を少しでも広げておきたいところだ。

 2月中旬には、06年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報が出る。ここで消費の好調などが裏付けられた場合、日銀は果断な判断を下すべきだが、果たしてそれができるのか。

 村上ファンドへの投資問題で窮地に陥った福井総裁が続投を許されたのは、政策運営の手腕に対する市場の評価があったからだ。利上げ見送りで、あらためて鼎(かなえ)の軽重が問われることになった。


国交省談合 捜査当局の出番では

 やはり国土交通省も官製談合に手を染めていた。

 河川の水門工事で、土木業界の世話役から落札予定者の報告を受けて了承する。ときには自ら落札業者を指示したり、天下ったOBを介して「天の声」を伝えたりする。

 そんな実態が公正取引委員会の調べで明らかになった。公取委は中央省庁に初めて官製談合防止法を適用することを決めた。談合の事実を国交省に伝え、改善措置を求める。

 国交省は政府予算の公共事業のうち、8割にあたる5兆6千億円分を扱っている。それだけでなく、他の省庁や自治体に談合防止を求める権限を与えられている。お目付け役が自ら法を犯していたのだから、あきれてしまう。

 93年のゼネコン汚職事件以降、官製談合の事例が次々と明らかになった。このため、02年に官製談合防止法がつくられた。それでも、国交省は談合をやめなかったのだ。根がいかに深いものかを改めて思い知らされる。

 その背景には業界への天下りがある。防衛施設庁の発注工事をめぐる談合事件で、元技術審議官に懲役1年6カ月の実刑判決を言い渡した東京高裁は「職員の再就職先確保の見返りに多額の公金を無駄にした」と指摘している。

 国交省から水門工事を受注した上位20社のほとんどが天下りを受け入れている。こうした官民の癒着構造をこわさないかぎり、問題の根本的な解決にはならない。この際、天下りをきっぱりとやめたらどうか。

 それにしても、納得しがたいことがある。

 今回、公取委がつかんだ水門工事の談合でかかわりが明らかになっているのは、当時の本省の課長補佐とすでに亡くなっている近畿地方整備局の管理官の2人だけだ。一連の官製談合は彼らだけの行為だったとはとても思えない。前任者や上司は知らなかったのか。組織ぐるみで進めていたのではないか。

 別の水門工事では、技術系のトップだった元技監のほか、元国土地理院長が官製談合にかかわっていた疑いが持たれている。2人の関与は退官後で、現職だけを対象とする官製談合防止法は適用されないというが、本当に現職時代にはかかわっていなかったのか。

 いずれの事件でも、公取委は全容を解明しなければならない。

 とはいえ、この法律は発注側の自主性に委ねるだけの「ザル法」といわれ、罰則が設けられたのは昨年12月だった。今回、罰則は適用されない。

 罰則がないので、これ以上は追及できないというのなら、公取委は検察当局に告発すればいい。これまでも検察当局は官製談合防止法にこだわらず、独占禁止法違反の共犯や刑法の競売入札妨害罪を適用して官製談合を摘発してきた。

 法に限界があるからといって、事件の解明をあいまいにしてはならない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html

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