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兵力、戦備とも圧倒的に優勢なイスラエル軍は何故ヒズボッラーに互角以上の戦いを許したのか?30日付のイスラム・オンラインは、死を恐れないという果敢な戦闘精神以外の戦術的理由を詳述したムハンマド・アブドルハリーム編集委員の評論を掲載した。
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軍事専門家の見方では、ヒズボッラーがレバノン戦争で使用した戦術の最重要要素は、数年前から入念なイスラエルとの戦闘準備態勢の構築してきたことだ。確かにミサイルを中心とする武器弾薬の形でイランから支援を受けて、シリアがそれらの持込で協力してきたが、どのように使いこなしたのか?
最新式ゲリラ戦争では、ヒズボッラー組織は戦士を4階級に分ける。
1)特別兵と呼ばれ、正規軍で6年の高度な訓練を受けた職業兵士である。訓練はシリアやイランのようだ。
2)普通兵と呼ばれ戦闘経験が無いか乏しい。通常兵站、後方支援など戦闘以外の任務に就くが、時に応じて戦闘にも加わることもあり得る。
3)第一予備軍と呼ばれ、組織での軍事訓練を終了し、兵役を離れて4年以下の兵士で、兵站業務や情報収集に従事し、前線に出ることは稀。
4)第二予備軍と呼ばれ、第一予備軍と異なるのは、兵役を離れ4人以上経っている点。両予備軍とも(実戦配備されるには)戦闘意識を呼び覚ますために1-3ヶ月の体系的な訓練を受けねばならない。
上記4階級の他に、少数の隠密精鋭部隊として知られている特攻隊がある。彼らは目立たぬように行動する能力に長け、訓練も受けず、信仰と隠遁、瞑想に明け暮れる。
ヒズボッラーは、西洋ではヒット・エンド・ランと呼ばれる「襲撃直後に退却」戦術に長けている。秘密組織の世界で「ブドウの房」と呼ばれるものに似た5-6人で構成される少数集団で、各集団はそれぞれ独立している。
それぞれの集団には戦闘前や戦闘中に状況に合せて、合意された行動計画の大まかな枠組みが指示されるのみだ。そのため司令部基地との通信や戦場での通信が完全に遮断しても行動に支障をきたさない。イスラエルがレバノン南部町村と首都ベイルートとの道路を爆破した非常時に、これが役立った。また、この方式だと集団内の協議内容を誰も盗聴出来ないし、成員がイスラエルの捕虜になっても、自己が所属する集団の情報しか吐くことは無い。
各集団はオートバイで移動するためレバノンの自然状況に合せて極めて柔軟に対応できる。成員の基本装備は、軽量拳銃や小型機関銃、対装甲車砲弾、手榴弾だ。
『ミサイル攻撃の方法』
イスラエルが特殊軍団を地上戦に投入し、猛烈な空爆やミサイル、砲撃を敢行し、海上を封鎖し、人工衛星や偵察機による卓越した偵察能力を有しているにもかかわらず、ヒズボッラーがイスラエルの都市・村落を継続的に攻撃でき理由は何か?
レバノンと西側の軍事情報筋によると、4台のオートバイが次のように機動的に行動する。
1)偵察機やアパッチ・ヘリコプターを監視兵が身を潜めて見張る。
2)オートバイに乗った2人組がミサイル発射台を5秒で設営する。発射装置にミサイルは装着しないで直ちに引き上げる。
3)オートバイに乗った別の2人組がミサイルを現場に運び3秒で降ろす。
4)別の2人組が、10-20秒で発射装置にミサイルを装着し、発射後直ちに立ち去る。
5)最初の組が戻り発射台を引き上げ、発射装置を取り外す。監視兵が空中に敵機が見えず安全だと告げると、次の作戦で使用するためにこれらを地中に埋め、各組は四方に散開する。
オートバイ部隊はまた、敵の戦車や装甲車の前に姿を現し、事前に用意した待伏せ場所や、地下通路に隠れ対戦車砲を携帯した味方兵士の射程距離内に誘き寄せもする。地下通路はとても長く隣村まで発見されずに移動できるほどだ。そして空中写真情報に依存している敵兵の前に突然出現するから、被害は甚大だ。
『発明した戦術』
また抵抗戦士たちは、通常のゲリラ戦のヒット・エンド・ラン方式だけでなく、直接に侵入軍に立ち向かい、極めて少数の集団が敵背後に回りこみ撹乱、急襲し、撤退する戦術や、敵を包囲、追い詰め殲滅するなど多様な戦術を駆使するため、敵には戦術の予測が付かず混乱した。敵の前進時には、有線、無線、携帯電話などで操作する道路脇爆弾も使用した。 敵戦艦サアルにはミサイルを2発撃ち込むという巧妙な策略を使った。戦艦付属のレーダーが上空から飛来する1発目に対応している隙に、水面すれすれに飛来する2発目が着弾したのだ。 21世紀の戦争形態は形式・内容とも変化した。世界は武装集団や擬似国家による非伝統的戦闘、第4世代戦争などと呼ばれる戦争形態が、国家の正規軍に勝る時代に向かっている。世界中の軍事専門家集団が今次のイスラエル、ヒズボッラーとの戦争をこのように総括している。http://www.islamonline.net/arabic/politics/ArabicAffair/Topic_12/2006/08/14.shtml
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道路脇爆弾などイラク抵抗勢力の戦術も多く使っているようだ。注目されるのは、パレスチナのハマースがヒズボッラーの成功を見て、今後この戦術を真似ると語っていることだ。
【アラビア・ニュース】 齊藤力二朗 会員以外の転載希望者は個メールで受付http://groups.yahoo.co.jp/group/arabianews/
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