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イスラエル人の「軍隊的思考」と「被害者意識」(1)【OhmyNews】
http://www.asyura2.com/0601/war84/msg/185.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 9 月 01 日 12:02:21: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://www.ohmynews.co.jp/HotIssue.aspx?news_id=000000000431 から転載。

イスラエル人の「軍隊的思考」と「被害者意識」(1)

テルアビブ在住女性のレポート
桐島けい

 イスラエルとイスラム教シーア派武装組織ヒズボラとの間で始まったレバノン紛争では、レバノン側で約1150人、イスラエル側で約160人(AFP通信)の死者を出し、レバノンのインフラ設備を破壊、民間人にも甚大な被害をもたらした末、ようやく停戦実施にこぎつけた。イスラエル・レバノン両国民とも安堵の表情を見せているようだが、局地的にイスラエル軍とヒズボラ間での戦闘は発生、事態はいまだに予断を許さない。

 「ヒズボラが国境線を越えてイスラエルに侵入し、拉致した兵士2人を救出するため」と始まったレバノン紛争。しかし戦闘が長引くにつれ、イスラエル国内では「これはイスラエルの生存をかけた正義の戦い(Just War)だ」「イスラエル対ヒズボラの戦争ではない。イランを中心としたテロリズム国家と自由・民主主義世界の戦争だ」との論調が支配的になった。1000人を超したレバノン民間人殺害への国際的批判とは裏腹に、「ヒズボラを追い立てることでシリアやイランの恐怖、圧政からレバノン人を解放し、彼・彼女らに自由な民主主義国家を打ち立てる機会を提供するのだ」「イスラエルとヒズボラの違いは民間人を標的にしているかどうか。イスラエル軍は一度も民間人をターゲットにしたことがない世界で最もモラルの高い軍隊で、犠牲者はヒズボラが市民を人間の盾として利用したせい。すべてヒズボラの責任だ」(国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの調査で、「人間の盾」説は明確に否定されている)などとの主張が洪水のようにメディアにあふれ、国連や海外メディア等が批判すれば「イスラエル側の被害を無視している。アンティ・セミティズム(反ユダヤ主義)だ!」の大合唱。一般市民もそれらの主張に賛同しているようで、新聞やネットの市民コメント欄には同様の意見が並び、停戦間近でさえ90%以上の人々が攻撃続行を支持していた。

検問所に立つイスラエル兵(ロイター)

 私から見れば「なぜヒズボラと関係のないレバノン市民が殺されなければならないのか」「米国のブッシュ大統領が『テロとの戦争の一環』と言った以外、誰もイスラエルに自由とデモクラシー世界を代表して戦ってくれと言っていない」「かえって世界を不安定化させているようにしか思えないのだが」と首を傾げざるを得ないが、交渉や停戦を説く我々はイスラエル人の友人によると「現実的ではない」らしい。

 今回のレバノン紛争激化の背景には、ヒズボラのイスラエルの予想を超えた攻撃力、イスラエル人犠牲者数の増加、選出後間もないオルメルト首相やペレツ国防相の権力基盤強化への思惑、軍隊経験のほとんどないオルメルト首相やペレツ国防相が軍関係者を抑え切れなかった、などの分析もある。しかしなぜイスラエルの一般市民が過剰なまでの軍によるレバノン攻撃をここまで支持したのか。イスラエル人の市民心理に限ってここでは考えてみたいが、その背景には主に、1)隅々にまで入り込んだ軍隊的思考回路と、2)異常なまでに強い被害者意識、の2点が挙げられるのではないかと思う。

 第1点目の軍隊的思考回路だが、イスラエルの17歳以上の若者はほとんど、男性でおよそ3年、女性で2年の兵役に就く。人格形成にとって非常に重要な時期に、いつ攻めてくるか分からない「敵」と対峙する国境線やパレスチナ自治区内のチェックポイントに立ち、軍隊の主論理である「勝つか負けるか」「やられたら数倍にしてやり返せ」「力がすべて」といった思考回路を身につけていく。

 アラブ系イスラエル人の平和活動家、フルド・バドウィさんは「イスラエル人の主な経験知は軍隊です。軍隊の人権意識やモラルは明らかにゆがんでおり、常に『我々にとって何が良いか』『力と軍隊』しか念頭に置かず自己中心的です。言葉や対話以上に力を重視する、軍事的思考回路はすべての社会規範にまで及んでいます」と指摘する。

 「軍隊ではパレスチナ人(アラブ人)は同じ人間じゃないと思わせるような訓練を受けます。例えば、占領地の道端で何か不審物を見つけたとする。イスラエル国内ならロボットなどを使って破壊しますが、占領地では近くを歩いているパレスチナ人を呼んで確認させる。なんでもなければそれでいいし、もし爆発したらそれで終わりというまでです。石を手にした少年や農地を横切ろうとした老人を撃ち殺しても『正当防衛』で終わり。このようなことが日常茶飯事で、それが当たり前と思うようになってしまうのです」と、占領地の実態を証言する元兵士のグループ「沈黙を破れ」のイェフダ・シャウルさんは証言する。これは極端な例かもしれないが、パレスチナ・アラブ人を「同等の人間」と見なさない心理が働いていれば、「奴らには対話は通じない。力で分からせるのみだ」と力の論理のみで動く姿勢に拍車がかかるのも想像に難くない。

 さらに、建国以来、「外敵」から「国を守ってきた」軍に対する信頼感の高さも並大抵ではない。

 イスラエルの英字紙「ハーレツ」のイツハク・ラオル記者は「イスラエル軍はイスラエルの『自我理想』。我々の最善のもの、人生を犠牲にし、合理的に、知的に、論理的に、効果的に物事を考え、そして最終的に未来を予知できるめったにない能力を備えたものだとイスラエル人は考えている」と8月上旬のコラムで指摘した。敵と味方、やるかやられるか、の視点しかなく、他の視点で物事を見られないのはイスラエルが陥っている本当の落とし穴だと彼は警告しているが、イスラエルの個々人、社会に備わった軍人気質と軍への異常なまでの信頼感の高さが、一般社会で日常的に行われている「交渉」「妥協」「加減」といった余地を生じさせず、レバノンの空港、発電所、橋を破壊し、多数の民間人を殺しても、「ヒズボラが使う可能性があった」「ヒズボラは国会に議席がある、だからレバノン全体に責任がある」と軍が極端な行動に走っても、市民もそれを支持する結果となる。反対、疑問を唱えれば、すぐ「売国奴」「裏切り者」だ。


イスラエル人の「軍隊的思考」と「被害者意識」(2)

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