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ロンドン:架空のテロ、現実の戦争
ユルゲン・エルゼッサー
仏『ヴォルテールネット』(8月17日)に、《ロンドン未遂テロ》についてのドイツのジャーナリスト、ユルゲン・エルゼッサーの論文が掲載されている。表紙に「集団殺戮の戦略」とデカデカと書いた週刊誌『デル・シュピーゲル』など、有力メディアの大掛かりな情報操作を告発し、その危険を警告している。すでにどこかの媒体で報じられている箇所を除き、要旨を紹介する。
《トイレの中で作られる爆弾》
もっとも重要なことは、英国政府が事実の詳細やわずかの証拠も示さないのに、すべてのメディアがセンセーショナルなやり方でこの巨大な企みの物語を繰り返し報じ、飾り立て、さらに膨らませていることである。メディアのこのヒステリー症状は、かつてのベルリン国会議事堂炎上事件の直後とそっくりだ。
大体、航空機を何機ハイジャックしようとしたのか分からない。最初3機と言い、次に10機、しまいに1ダースと発表した。のみならず、いつ決行するつもりだったのかも不明である。また『シュピーゲル』誌も認めざるを得なかったことだが、今のところ、犯人が機内に持ち込もうとした液体爆弾であるゲートレードのレモネードの瓶を見た者は誰もいないのである。
テロリストが航空機を爆破しようとしたやり方に関する公式見解は滑稽である。もし新聞記事に従えば、機内で合成するという液体爆弾の成分は何なのか。ニトログリセリンとニトロメタンだという。この二つの薬は映画『恐怖の報酬』でみなが見たように、少しのショックでも爆発する極めて危険なものである。だが『シュピーゲル』は、ニスの溶剤を基にして容易に製造できるTATP、トリアセトントリペルオキシド(過酸化アセトン)ではないかと書いている。《しかしTATPは製造にたいへんな時間がかかる。試験管の中で爆薬が形成されるまでに優に数時間かかる。にもかかわらずその反対に、合成時の無数の爆発事故がこの成分の製造に当たっての致命的な不安定を証明している》そこで考えるべきことは、テロリストは、混合したカクテルが要求される力まで達しないうちに指の間から爆発しないようビクビクしながら、長い時間飛行機のトイレの中に閉じこもる必要があるということだ。
《好戦的プロパガンダ》
イギリス当局は、情報をパキスタンの諜報機関ISIから得たと言っている。しかし、ドイツのSpringer系の扇情的な新聞は別のバージョンを披露している。それは、追加的情報源としてモサドを介入させていることである。《8月初め、イスラエルの特殊部隊がある病院を占拠した。ヒズボラのテロリストをそこから追い出すためである。もし英国の専門家を信ずるならば、その作戦の実行時にたまたまイスラエルの諜報機関は3台のコンピュータを見つけた。ハードディスクには、英国にいる20人以上のテロリストの細胞に関する情報が入っていた。8月6日、モサドの中枢部にイスラマバードから緊急の情報がもたらされる。アルカイダが英国のテロリストたちに実行の準備をせよという命令を発したというものだ。直後、モサドの首脳はそれを仲間の諜報機関MI6に知らせる》
記事が言わんとしていることは明らかだ。イスラエルの隣国に対する国際法違反の血なまぐさい攻撃が、ヨーロッパにおける血の雨をを防いだというわけだ。要するに、米国とその同盟国がスエズ運河からペルシャ湾に至る地域で行なっている戦争はヨーロッパをも利していると言いたいのである。
新聞はムードに乗って書いている。《至る所、危機と紛争、戦争だらけである。アフガニスタン、イラク、そして今はレバノン。われわれは、自由世界が狂信的ムスリムに対抗する第3次大戦の前夜にいるのだろうか》さらに《テロの主な資金源はイランである。西欧はイランにより厳しい手段で対処せねばならぬのだろうか》
このような疑問形で、すでに答えは出ている。
http://www.voltairenet.org/article143087.html