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<イスラエル>クラスター弾を使用 レバノン民間人居住区に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060728-00000057-mai-int
【ベイルート高橋宗男】レバノンへの軍事攻勢を強めるイスラエル軍が国境付近の民間人居住地域に向け、一つの砲弾から大量の子爆弾を広範囲に拡散させる「クラスター弾」を撃ち込んだ疑いが強まっている。レバノン南部国境付近で負傷したレバノン人男性は27日、「地下室に落ちてきた小さな爆弾が爆発した」と毎日新聞に証言した。今月12日のイスラエル軍の攻撃開始後、レバノンで調査を続けている国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)は「民間人居住区へのクラスター弾の使用は国際法に抵触する可能性がある」とイスラエル軍を非難。市民を巻き込む形の無差別攻撃に対する懸念が強まっている。
レバノン南東部のイスラエル国境に近いブリダ村の運転手、アフマド・アリさん(45)によると、イスラエル軍の砲撃を避け、自宅の地下室に避難していた19日午後3時ごろ、破損した天井から小さな爆弾が転がり込み爆発。室内にいた16歳から1歳の子供7人を含む12人全員が負傷したという。アリさんは21日にベイルートに運ばれたが、両足を切断した。
レバノンで人道的見地からの被害調査を実施しているHRWもアリさん一家から聞き取り調査を行い、クラスター弾による被害とみている。HRWは国境のイスラエル側で子爆弾88個を内蔵する米国製砲弾「M483A1」が配備されているのを確認、写真撮影した。
HRWのピーター・ボカート緊急事態担当部長は毎日新聞に「クラスター弾は子爆弾を広範囲に拡散させる無差別兵器だ。民間人居住区での使用はジュネーブ条約に抵触する可能性が濃厚」と指摘し、イスラエルに民間人居住区へのクラスター弾の使用中止を求めた。
同氏はまた「米国によるイラク戦争などでは民間人被害が出た場合でも一定の軍事的意図が読み取れた」としたうえで、「レバノン南部やベイルート南部での家屋やビルの徹底的な破壊はヒズボラへの攻撃という目的をはるかに超えており、イスラエル側がどのような軍事目的を有していたか理解に苦しむ」と指摘。イスラエル軍による無差別攻撃を示唆した。
イスラエル軍は「クラスター弾は国際法で使用が認められた通常兵器で、国際的な基準にのっとって運用している」と反論。使用については認めたが、使用地域の特定は拒んでいる。
【クラスター弾】 親爆弾が一定の高度で開き、内包された多数の子爆弾が飛び散って人間や車両を破壊する集束爆弾。ベトナム戦争から米軍が使い始め、湾岸戦争、コソボ紛争、アフガニスタン攻撃、イラク戦争などで使われた。子爆弾の不発率が高く、拾った民間人を殺傷する危険性が高いことから“第2の地雷”と呼ばれ、赤十字国際委員会などは「非人道的兵器」として規制を求めている。日本を含む56カ国が保有。
(毎日新聞) - 7月28日18時56分更新