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イタリアでのナポリターノ新大統領の選出を祝す(五十嵐仁の転成仁語)
http://www.asyura2.com/0601/war80/msg/656.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 5 月 11 日 22:48:05: KbIx4LOvH6Ccw
 

(回答先: 伊大統領にナポリターノ議員、プロディ氏の首相就任近づく(ロイター) 投稿者 gataro 日時 2006 年 5 月 11 日 20:42:52)

http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm から転載。

5月11日(木)

懐かしい名前を目にしました。イタリアで新大統領に選ばれたジョルジョ・ナポリターノさんです。
 私がナポリターノさんの名前を見て「懐かしい」と感じたのは、以前から、その名を知っていたからです。


 チャンピ大統領の後任を選ぶ大統領選挙の第4回投票が行われ、先の総選挙で勝利した中道左派連合が推す終身上院議員のジョルジョ・ナポリターノさん(80歳)が選出されました。ナポリターノさんは左派連合内の最大政党である左翼民主党のメンバーで、イタリア初の旧共産党出身の大統領として注目を浴びています。
 8日から始まった投票では、ベルルスコーニ暫定首相が率いる中道右派連合は旧共産党出身であることを理由にナポリターノさんの支持を拒否し、3分の2以上の得票が必要な初めの3回の投票では決まりませんでした。条件が過半数に下げられた4回目で大統領に選出されたというわけです。


 ナポリターノさんは、1976年にE.J.ホブズボームと一緒に『イタリア共産党との対話』という本を出しています。山崎功さんの訳で岩波新書として出されたこの本を、私も大学院生時代に興味深く読みました。
 その著者であり、当時はイタリア共産党の若き理論家として知られていたナポリターノさんが、30年後に大統領になるとは!? 当時の私には、思いもよらないことでした。
 この本を訳したイタリア専門家の山崎さんは、泉下でさぞや喜んでいることでしょう。イタリアの左翼勢力に、大きな期待をかけていましたから……。


 やはり歴史は動いている、と感ずるのは、こういうときです。かつてなら思いもかけなかったような新しい事態が、予想を超えて生まれてくるときです。
 1月19日付HP「どうして、日本ではそうならないのか?」(http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/jingo601k.htm)で紹介した、チリの大統領選挙の時もそうでした。ピノチェト軍事独裁政権下で拷問を受け、海外へ亡命した経歴を持つ社会党員で女性医師のバチェレさんが大統領に選ばれています。
 1973年に、軍事クーデターでアジェンデ民主連合政権が倒されたとき、空軍の将軍だった彼女のお父さんは軍事政権による拷問で殺されています。その娘が、33年後に、チリの大統領になったというわけです。このときのアジェンデ政権の崩壊を目撃し、バチェレさんと同い年である私としては、ひときわ大きな感慨を味わった次第です。


 イタリアでのナポリターノ新大統の誕生とそれに先立つチリでのバチェレ大統領の選出。どちらも、私にとっては、とても嬉しいニュースでした。
 南米とヨーロッパ。遠く隔たってはいても、非米・民主主義の波は、相呼応しながら、うち寄せてきているようです。

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