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(回答先: 『死んだ１０万人の声』 今に…【声だけならば死んだ十万人の声になる】―「東京新聞」東京 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 3 月 10 日 21:35:28)
◇東京大空襲 若者なりの追体験
レゲエ音楽と東京大空襲−。そんな奇抜な組み合わせで、戦争の悲惨さを語り継ごうとするイベントが十日夜から、東京都墨田区で開かれた。主催したのは、二十代の若者たちのサークル「Ｐ魂ｓ（ピーソウルズ）」。六十一年前の三月十日。米爆撃機Ｂ２９の焼夷（しょうい）弾が下町を焼き尽くした悪夢の一夜を、音響や映像で追体験しながら、踊り、歌うオールナイトのイベントは十一日早朝まで続いた。 （橋本 誠、佐藤 敦）
「レゲエに合わせて学びもやるし。歌って踊って飲もう」。十日午後十時十五分、東武伊勢崎線曳舟駅に近いショットバー「Ｘ−ＲＡＹ」。主催者の合図で東京大空襲を考えるイベント「Ｒｅｄ Ｎｉｇｈｔ（レッド・ナイト＝炎の夜）」は始まった。
「Ｐ魂ｓ」は、高校のころに平和活動で知り合った仲間が、五年前に結成したサークル。大学生、保育士、会社員、公務員など十五人のメンバーの職業は多彩だ。結成以来、東京大空襲の被災者らと交流を続け、証言に耳を傾けてきた。
レゲエグループ「大和音（やまとね）ＳＯＵＮＤ」が登場すると、フロアを埋めた何十人もの若者が、重低音に合わせて体を揺らし始める。茶髪にピアス、ニット帽。今風の若者ばかりだ。
「おれらは銃なんて持たないってやつは、ガッツン踊ってほしい。でもこの辺り一面が、空襲で焼け野原になったことだけは忘れないでくれ」
音楽に合わせて、メンバーのユウキさん（２４）が語りかける。「やっぱレゲエって、ラブ＆ピースなのよ。地球全体が平和であってほしい」
「Ｐ魂ｓ」がこのようなイベントを企画したのは今年が初めてだ。中心メンバーの一人、正岡義之さん（２４）は言う。
「平和を考えるイベントに友達を誘っても、とにかく『クライ』って来てくれなかった。空襲を体験した人と今の人との間には断絶があるし、これまでのやり方じゃ絶対ダメだと思った。だったらイメージを壊して、今の人向けに楽しいイベントにしてやろうと。こうしなければ空襲の体験は伝わらない」
一時間ダンスを踊ったあとは「学びタイム」。赤いセロハンを目に当てて炎に包まれた光景を想像し、氷水に手を入れて飛び込んだ川の冷たさを少しでも感じようとした。
犠牲者の数と同じ十万人分の顔写真のコピーを掲げ、一人一人の死の重みを考えた。エッセイストの海老名香葉子さん（７２）ら空襲体験者が語る“あの日”を、ビデオで流した。東京大空襲を知るそんな学習の時間は、朝までに五回を数えた。
「今の話を聞いて、思ったことがあったら言ってくれ」
司会者の呼びかけにマイクを握ったのは、沖縄県浦添市出身の鶴渕鉄平さん（２２）。「またあの時代に戻るのではないかと危惧（きぐ）してるじいちゃん、ばあちゃんに、安心して長生きしてもらえるようにしたい」と語りかけた。「Ｐ魂ｓ」のメンバーも、自分の言葉で語った。「憲法九条が変えられようとしている。戦争をしたくてしょうがない人がいるんだよね。でも戦争始まって行かされるのは私たちなんだ」
イベントの最後にはグループ「海楽歌人（からかっと）」が、アコースティックギターの音に乗せて「東京大空襲の歌」を歌った。
＜僕らはもう見たくはない／空襲の地獄の夜を／許してはいけないことに／立ち上がれ世界＞
夜明け。夜を徹したイベントは予定を一時間ほどオーバーして午前五時半すぎに終わった。白んだ空の下で、正岡さんは「不安だったけど、やってよかった。ほとんどの人が東京大空襲を初めて知ったはずなのに、最後まで残ってくれた。戦争って何だろうって考えてくれたと思う」と安堵（あんど）の笑顔を見せた。
帰りがけの二人が満足そうに話しているのが聞こえた。
「何だかさ、可能性感じましたね」「だから難しくないんだって、平和って。マジで」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060311/eve_____sya_____001.shtml
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。