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(回答先: 在日米軍再編と沖縄(下)―「山形新聞」 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 4 月 08 日 23:09:15)
「基地の島・沖縄」が今、クローズアップされている。在日米軍再編による普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部への移設問題。移設案に反対する沖縄県、地元と日本政府との調整が暗礁に乗り上げているからだ。
先月末、共同通信加盟社論説研究会が沖縄で開かれた。「在日米軍再編を考える」シンポジウムに参加。日米政府が合意した移設先の名護市辺野古区を見た。沖縄戦終結から60年を過ぎたが、沖縄の人々にとっては、基地と隣り合わせの生活は厳然と続いている。「なぜ沖縄の現実が、思いが、本土の人々に伝わらないのか」。シンポジウムでパネリストは訴えた。駆け足の研修だったが「基地の島・沖縄」と向き合う貴重な時間を持てた。(2回にわたりコラム・リポート)
那覇市から北へ65キロ。那覇自動車道、国道329号を経て車で約1時間半。人口約1500人の辺野古区の集落がある。
北東の台地から岬までを占有するキャンプ・シュワブ。施設面積は2000ヘクタール。嘉手納飛行場の総面積に匹敵する。弾薬庫地区、演習場からなる米海兵隊の総合訓練基地だ。実数は定かでないが、約2800人の海兵隊員が駐留するとみられる。
目の前に広がる海は、サンゴ礁を抱く淡いブルーと深緑の色の層に輝いていた。辺野古漁港のすぐ近くに「ヘリポート建設阻止協議会 命を守る会」の“団結小屋”がある。当山栄事務局長(65)は、地元漁民らの反対運動について語った。
普天間飛行場の名護市辺野古沿岸域への移設は、1997年の日米政府の基本合意や翌98年に県知事選に当選した稲嶺恵一知事の受け入れ表明などをベースに具体化した。2004年4月、那覇防衛施設局は現地でのボーリング調査に着手しようとした。地元住民は港での座り込みで抵抗。その後、海上4カ所にやぐらが建てられたが、根強い反対運動で翌年9月すべて撤去された。結局、防衛施設局は1本のボーリングも打てなかった。
小屋には毎日、地元住民が交代で詰めているという。その小屋から200メートル東側の砂浜に立ち入り禁止を示す鉄線が張り巡らされていた。その先には、キャンプ・シュワブの施設。沖合にはジュゴンの餌場である藻場がある。当山事務局長は「ジュゴンの生息する海を守ることは、豊かな漁場、われわれの暮らしを守ることだ」と強調した。
沖合埋め立てによるジュゴン藻場の破壊、飛行ルート直下の住民の騒音、安全問題など地元の反対の声は強まる。普天間飛行場の移設をめぐる地元住民と日米合意との隔たりは、埋めることができないほど大きいように思えてならない。
日米両政府が昨年10月末に合意した在日米軍再編の中間報告では、3月末まで実施日程を盛り込んだ最終案を作成するとされた。
日本政府は地元との調整難航を理由に、関係自治体との同意取り付けを断念し、最終報告同意へ見切り発車を決めていた。しかし、米政府の要請で3月開かれる予定だった審議官級協議が延期され、最終合意は4月以降にずれ込む見通しとなった。
一方で自民党の山崎拓前副総裁、額賀福志郎防衛庁長官が島袋吉和名護市長らと会談。沿岸部移設案から沖合にずらす修正案、住宅に飛行ルートがかからないような滑走路の修正案を提示し調整を図っている。しかし、歩み寄る道筋はまだ見えていない。
在日米軍基地の75%が集中する沖縄県。基地の再編が果たして周辺住民の負担軽減になるのか。基地を抱えていない全国の自治体住民は安全保障をどう考えればいいのか。基地問題の解決は簡単ではない。「沖縄の思いが、なぜ伝わらないのか」の声は、米軍基地のない、われわれに対する厳しい問い掛けだ。
2006/4/1