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(回答先: 【全訳】『アングロ・アメリカのテロ戦争:概観』byミシェル・チョスドウスキー(3) 投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2006 年 1 月 04 日 09:46:44)
バルセロナより愛を込めてさん、こんばんわ。ご翻訳お疲れさまでした。
このような論文は多くの人々(特に「対テロ戦争」を信じている人々)に読んで欲しいと思います。
★ご紹介の記事は9.11事件前後から現在に至る流れのなかで世界の動向を綿密に分析し、「概観」として解りやすく整理した論文としてはピカイチだと思います。なかり長い論文ですが、読んでみると複雑で難解な多くの事象をジグゾーパズルのようにつなぎ合わせ、よくこれほどまでコンパクトに要点をまとめ上げたものだと感心します。米ネオコン政権(とシオニスト勢力)が戦争の目的を達成するために、いかに事実捏造・諜報工作・人道的犯罪を行ってきたかを罪状を読み上げるかのごとく列挙し、それを許している国際社会の構造的欠陥を浮き彫りにし、今後我々がこれにどう対処してゆくべきなのかについて指標を示しています。
世界情勢の「概観」を論じた記事はいくらでもありますが、国内外を問わずその多くが限られた情報に基づくもの、根拠に乏しいもの、論旨に矛盾があるもの、論点そのものがずれているものなど、多かれ少なかれ不満というか違和感が付きまとう内容でした。それに比べこのミシェル・チョスドウスキー氏の論文は非常に私の感覚にしっくり馴染むというか、書かれていることが私なりに見聞きしてきたすべてのヒントから導き出されるイメージにピタリと重なり、またおそらくはここ★阿修羅♪サイトの戦争板等にこれまで集められた膨大な情報を綜合したときに浮かび上がってくる世界像(この掲示板から立ちのぼる総意のようなもの)と一致する気がします。プロパガンダに染まったような論説が世に溢れる中、「やはり有るところには有るものだなぁ」と思いました。
この論文は何よりも真実を追求するうえでの、おそらくもっとも正しい出発点と方向性かつ辿るべき道筋を明示していると思うので、これから国際情勢の裏を知ろうという人々にとっても絶好のテキスト(教本)になると思います。全編を通して読めば「概観」として俯瞰的に一連の流れを掴むことができ、さらに取り上げられている個々の事象に関しては、蓄積された過去の記事から適切な引用がなされていたり、リンクから過去の記事へと飛んで、事の詳細を読むことができるように書かれています。GlobalResearchサイトの過去記事は貴重な情報の宝庫で、新しく書かれる記事の論拠として大きな説得力を与えています。有るところには有るのに(しかも無料で公開されているのに)なぜ自称評論家たちはこのような情報に目を向けず、蒙昧な主張を繰り返すのか理解に苦しみます。もし何らかの意図をもったあちら側の人間でないのなら、まずはこの論文を読んで十分に吟味してからものを言うことを言論人にはお勧めしたい。
この年末年始にもいくつか国際情勢を語り合うテレビ討論が放送されていましたが、NHKにしろ民放にしろ、出演している評論家・政治家・タレントたちの発する言葉に大差は無く、あれではいくら喧しい論争を繰り広げても、けっきょく不毛な議論に終わるのは最初から目に見えており、事実そうなります。
たとえばある番組では「テロとの戦い」という概念がすでに前提化していて、それ自体を疑うことなく、テロとどう戦うかの方法論が争点となっていました。片やタカ派の「先制攻撃・予防戦争もやむなし」という意見と、もう片方はリベラル・左派によくみられる「戦争によってでは暴力の連鎖を生むだけで何も解決しない。テロの温床となっている貧困を解消することに務めるべきだ」という対立軸の論争を延々とやっています。ここでのタカ派側の無茶苦茶さは言うに及ばず、リベラル・左派側もまるでイスラム教徒が勝手に貧困に陥り(イスラエルによるパレスチナへの入植地建設の実態も知らないようだ)そこから自然発生的にテロリストが育ってくるので米国は寛大な心で彼らにものを恵んでやって生活を向上させてやればテロは無くなるとでも言わんばかりです。イスラム過激派組織への長年にわたる(いや設立からの)CIAの支援や、米英による戦争遂行のための謀略テロの可能性には全く考えが及ばないらしい。
また別の番組では憲法改正をテーマに、憲法と自衛隊との矛盾を無くすために第九条を書き換えるか、それとも自衛隊を解散して「駐屯地をすべて田んぼにする」(つまり完全に丸腰になる)かの極端な二元論で25人ものタレントやゲスト議員がお正月セットのスタジオでガヤガヤとやった挙句、投票を行い15対10で戦力保持派が勝つという論点をずらした世論誘導的な進行。その中で名前は挙げませんが戦力保持派側の30代半ばの女性タレント(米国出身)は「私も平和を愛しています。やっぱり戦争には反対です。ですけどアメリカの9.11みたいに例えば六本木ヒルズに飛行機が飛んで来ました... 。自衛隊もいない、私たちに武器も無いではどうやって守るんですか?今の日本は自衛心がすごく低い!」などと発言していました。憲法改正の是非はさておき、このような発言が跳び出すところをみると、9.11事件とその後の恐怖扇動は確実に米国のみならず日本の大衆にも浸透中で、普段は忘れていてもこういうときに(投票で二者択一を迫られたときなどに)一定の影響を及ぼすことが考えられます。米軍再編によって自衛隊が徐々に米軍の戦略に組み込まれようとしている動きの中で、このように冷静さと自覚を欠いた、虚構に惑わされた形での重大決定(例えば憲法改正)の押し切りがいい結果を生む筈はありません。
こうした状況をみれば、ミシェル・チョスドウスキー氏が論文の最後のほうで結論として述べている言葉が、いっそう重く感じられます:
「どのようにしたらこの戦争と警察国家を効果的に打ち破ることができるだろうか。基本的には、米国の安全保障ドクトリンのまさしく土台を形作る「対テロ戦争」を論駁することによって、である。」
<中略>
「結局のところ、継続する反戦の計画のためには、ニュー・ワールド・オーダーの機構と協力体制を武装解除する第一歩として、高い地位にいる戦争犯罪人たちをその席から引きずりおろす必要があるのだ。」
彼の言うように我々が世界平和を望むのであれば、まず定着化しつつある「対テロ戦争」という概念を根本から突き崩し、それが虚構であることをより広く一般に伝えてゆく活動が必要でしょう。そして究極的には9.11事件が自作自演であることを解明し真犯人を暴き出し、戦争犯罪と合わせて裁くことを目標とすべきで、そのために国際的な司法制度を再構築するなり、米国国内での告発の動きを盛り上げてゆく努力を重ねるべきではないかと思います。
★それから、英国王室軍警察の特別捜査支部指揮官ケン・マスターズという人物が例のバスラでの偽テロ未遂事件に関する調査を命じられ、まもなく不自然な状況の下で死亡したとの情報は初めて知りました。『アングロ・アメリカのテロ戦争:概観』の補足部分の翻訳と以下の記事のご紹介にも感謝いたします。
British Chief Police Investigator in Basra dies under mysterious circumstances [GlobalResearch]
http://globalresearch.ca/index.php?context=viewArticle&code=CHO20051017&articleId=1100