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履修不足問題 教員は加害者?被害者? [PJニュース]
http://www.asyura2.com/0601/social3/msg/563.html
投稿者 white 日時 2006 年 10 月 27 日 10:00:40: QYBiAyr6jr5Ac
 

(回答先: <単位不足>10県65校、生徒数は1万1000人に [毎日新聞] 投稿者 white 日時 2006 年 10 月 25 日 22:19:28)

□履修不足問題 教員は加害者?被害者? [PJニュース]

 http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2633090/detail?rd

履修不足問題 教員は加害者?被害者?
【PJニュース 10月27日】− 富山県の県立高校で、必修とされている世界史を履修させていなかった問題は、一夜にして全国の60を超える高校でも同様に必修科目の履修不足を抱えている現状が明らかになるなど、波及を見せている。大学受験シーズンを目前にしたこの時期に、受験生たちにとってはきわめて深刻な事態である。26日午前の段階でのマスコミ各社の独自取材では、各社はそれぞれ北海道・東北・北陸の各地方を中心に必修科目の未履修の高校があることを報じている。なぜか、都市部の高校は少ないようだが、私見では、都市部の都府県は学校数が多いため調査が間に合わないだけのことで、実は調査が進めば同じ問題を抱える高校の数はさらに激増するのではないだろうか。
 “卒業できないかもしれない”と聞かされた高校3年生の生徒たちの精神的な動揺や負担は、想像に余りある。彼らは間違いなく「被害者」である。しかし、社会に出ても通用する人材育成のためには、高等教育の中で最低限の教養を身につけさせるのは当然であり、とりわけ「歴史」や「地理」といった社会的な知識を高校生活の中で習得することは、日本社会の知的水準の維持の観点からも欠くべからざる要素であると考える。生徒たちを無事に卒業させるためには、未履修の科目をこれから強引に履修させる措置をとらなければならないことはやむを得まい。
 問題は、今回の混乱を生じた責任の所在である。高校生の側からすれば、所属する高校の不手際であることに違いなく、関係科目の教職員や校長は「加害者」と言えよう。だが、混乱の全国的な波及を見ると、単純に個別の高校の教職員の属人的な責任を追及することには違和感を覚える。
 そもそも必須科目の未履修の実態を各高校の校長が知らぬはずもなく、「履修した」と虚偽の報告を受けていたとする各県の教育委員会とて、これまで未履修の実態に気づいていなかったのかどうかは疑わしい。本当に知らなかったのだとすれば、職務の怠慢である。ともすれば、東大合格者数や大学進学率が高校としてのブランドやその県の教育水準の尺度となる中、教育委員会や各校の校長が「組織ぐるみで黙認してきた手法」というのが実態ではないか。 
 
 わたしはこれまでもPJオピニオンとして“中学生自殺 学校週5日制の問題点(9月4日)”、“管理教育が「いじめ」陰湿化を助長か(10月21日)”という論考を掲載したが、結局、今日的な日本の教育にまつわるほとんどすべての問題は、中長期な展望を持たぬ中央官僚の文部行政の「ぶれ」に端を発しているように思う。
 国公立大学が前期と後期の2種類の選抜を行う方式から相次いで撤退表明しているように、ここ20、30年にわたる教育改革は、東大を頂点とする大学入試の実態の質的な転換を図ることなく、むしろ、かつての入試方式に回帰する情勢である。大学卒業生を受け入れる学歴偏重社会の実情にも大きな変化があったわけではない。それにもかかわらず、「ゆとり教育」や「学校週5日制」を導入したところに、そもそものボタンのかけ違いがあった。一方で、最近は「子どもの学力低下」が問題となり、前述の東大合格者数や大学進学率などの数値目標を掲げて公立高校の復権を目指す動きが全国的に顕著である。学校側にしてみれば、「いじめ撲滅」のような課題の数値目標は、「0です」と虚偽報告すればクリアできるが、「大学進学」はある程度客観的な実績を作る必要がある。
 授業数を減らすことによって実現したことになっている「ゆとり」と、合格者数を増やすことによってのみ得られる「進学実績」という、相反する2つの目標を内包した教育現場が、受験に関係のない科目を切り離そうと思いついたとしても、何の不思議もない。必修科目をまじめに履修させているほかの学校との不公平が生じるにせよ、2つの目標を両立させるわかりやすい方法ではある。それに、少ない授業数であるにもかかわらず、より多くの科目を履修させた高校の各科目の授業の質や生徒の知識の定着度が高いかどうかという問題も別にある。いずれにせよ、個人的・主体的な言動が許されざる環境にある教職員の立場をあらためて考えれば、現場の教職員もまた、「加害者」と言うよりは、文部行政や教育委員会に振り回された側という面があることは確かである。
 問題がこれだけ広がりを見せていることについて、文部科学省はみずからの責任、教育行政のミスを検証すべきである。「虚偽報告をした現場が悪い」では、生徒も教職員も救われないばかりでなく、問題の根本的な解決にもならないであろう。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJニュースはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 成越秀峰【神奈川県】
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2006年10月27日06時43分

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