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□近聞遠見:良い子・悪い子・普通の子=岩見隆夫 [毎日新聞]
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/iwami/kinbun/
近聞遠見:良い子・悪い子・普通の子=岩見隆夫
昨年、中国の胡錦濤国家主席が訪米、ブッシュ大統領と会談した折、ブッシュが
「ミスター・コイズミはなかなかいい男だから、会ってやってほしい」
と日中首脳和解の仲介をしようとしたが、胡錦濤は反応せず、やおらテーブルの上の紙片に、
<変人>
と漢字で書いた、という秘話が伝わっている。小泉純一郎の変人呼ばわりも国際的になっていた。
ポスト小泉の3候補に変人タイプはいない。小泉と比べれば、3人とも常識人に映る。だが、イメージはそれぞれだ。
3日、盛岡市で開かれた自民党総裁選の東北ブロック大会、1300人が出席したが、閉じたあと、年配の参会者の一人が、
「ありゃなあ、良い子、悪い子、普通の子だわ」
とつぶやいて、会場をあとにした。それを小耳に挟んだ某自民党幹部が、
「言い得て妙……」
と口コミで伝え、永田町で広がっている。
大まじめに、明快に主張する谷垣禎一財務相が良い子、毒舌たっぷりに切りまくる麻生太郎外相が悪い子、清らかに軽やかにしゃべる安倍晋三官房長官が普通の子、ということらしい。
語り口だけでなく、人物評でもある。優等生ムードの谷垣、アクがありわんぱく風の麻生、そして、首相まぢかを意識したのか、安倍は次第にカドが取れてきた。つまり<普通の>に。
「『子』としたところが面白い。『大人』までいってないということじゃないの」
と意地の悪い見方もあって、このレッテル、いろいろに解釈され、かつての変人・凡人・軍人より上出来かもしれない。
3人1組のトリオで登場する回数が多すぎるのも、一人前のイメージを薄めている。このところ、発言が似てきた印象もあって、
「そろい踏みで安倍新首相のお披露目に歩いているみたい」
と皮肉な声も聞かれる。
総裁選の様変わりなのだろうが、かつてはこんな仲良しトリオの風景は見られなかった。並んで街頭演説など出来る雰囲気ではない。候補同士の接触も少なく、敵意むきだしの本格戦争だった。
先日死去した長老、松野頼三が、34年前、ポスト佐藤の総裁選のことを著書「保守本流の思想と行動」(朝日出版社・85年刊)のなかで書いている。
このときは、<三角大福>の4人で争い、松野は福田赳夫の陣営で、三木派を担当していた。<角福>の対決のなかで、三木派に多数派工作を仕掛けるためだった。しかし、
<私は三木・福田会談をやってもらおうと思い一生懸命だったけど、できなかった>
と記している。三木武夫に会い、口説いても、三木は、
「どうしても佐藤(栄作)とは合わない。福田じゃ佐藤亜流になる」
と聞き入れない。
「田中(角栄)の方が佐藤直系じゃないですか」
「いや、直系じゃない。田中は思想は固まっていないが、自由にやれる政治家だ」
とすれ違いで、会談に応じようとしなかった−−。
昔の争いの一コマでしかないが、政治路線を巡る熱い戦いが伝わってくる。今回は重要閣僚3人が職にとどまったまま、という前例のない内輪の争いだから、戦意が高まらないのは仕方ない。
小泉が政敵を党外に追いやったことから、すべては始まっている。躍動感に欠けるマイナー・ゲームになった。変人が産み落とした子供たち、最年少が長男になっている。二男はどちらか。(敬称略)=毎週土曜日に掲載<え・西村晃一><題字は新川晴風>
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岩見隆夫のホームページはhttp://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/iwami/kinbun/
毎日新聞 2006年9月16日 東京朝刊
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