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日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書 2003年10月24日
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投稿者 てんさい(い) 日時 2006 年 7 月 26 日 08:47:35: KqrEdYmDwf7cM
 

(回答先: 日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書 2004年10月14日 投稿者 てんさい(い) 日時 2006 年 7 月 26 日 08:45:06)

日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書

2003年10月24日

http://72.14.235.104/search?q=cache:DeJgNN-btDgJ:tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20031024d1.html+site:tokyo.usembassy.gov+%E6%94%B9%E9%9D%A9%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8+2003&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=1

 ブッシュ大統領と小泉総理大臣が、規制改革および競争政策に関する分野別および分野横断的な問題に焦点を絞ることにより経済成長や市場開放を促進するとの目的で設置した「日米規制改革および競争政策イニシアティブ」(改革イニシアティブ)は、今年で3年目を迎える。

 米国は、日本が有意義な経済改革を達成するための努力を継続していることを歓迎し、本年9月22日に小泉総理大臣が、新内閣は「引き続き規制改革に力を注ぐ」とともに、「改革なくして成長なし」という政策を堅持するとの表明をしたことを心強く感じる。

 本要望書に盛り込まれた提言は、主要分野や分野横断的課題にかかわる改革措置を重視しており、日本経済の持続的な成長路線への復帰と日本市場の開放を促すものとなっている。さらに、米国は、通信、情報技術(IT)、医療、エネルギー、競争政策など、小泉内閣が改革に重要であると位置付けた分野の問題に焦点を当てた。

 本年の要望書において、米国は、地方における規制緩和および構造改革により成長を促すという革新的取り組みである構造改革特別区域(特区)に特段の関心を寄せた。米国は、現在までに小泉総理大臣によって迅速に設立された164の特区を歓迎するとともに、この取り組みの成功を確実にするため、引き続き構造改革特別区域推進本部と協力できることを期待している。米国は日本に対し、特区で成功した措置が速やかに全国に拡大されることを要望する。

 米国は、総合規制改革会議が、広範な規制改革および構造改革を強力かつ積極的に提唱してきたことを称賛する。米国は、日本が同会議(2004年3月31日に任期終了)を引き継ぐ新機関を設置するとともに、改革の提言を実現するにあたり、積極的かつ有効な役割を果たすことができるよう、その権限を強化することを要請する。また、米国は日本に対し、煩雑な規制を撤廃するという重要な職務をより効果的に遂行できるよう、十分な職員数と予算を新機関に確保することを求める。

 提言の概要と詳論に盛り込まれた要望事項は、改革イニシアティブの下に設置された上級会合および作業部会における今後1年間の議論のたたき台となるべく日本政府に提出された。これらの会合は議論の結果に基づき、第3回年次報告を大統領と総理大臣に提出する。この報告書には、イニシアティブの下で達成された進展が明記され、また両国政府が講じる改革措置も含まれる。

 改革イニシアティブの最初の2年間では、民間部門の代表が作業部会に参加し、広範な課題に関して貴重な専門知識を提供し、所見を述べ、提言を行った。米国は今後、引き続き積極的に同イニシアティブへの民間部門の参加を促すため日本と協力する。

 米国政府は、日本政府に対し本要望書を提出できることを喜ばしく思うと同時に、日本からの米国に対する改革要望を歓迎する。

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目次

提言の概要
詳論
電気通信
情報技術(IT)
エネルギー
医療機器・医薬品
金融サービス
競争政策
透明性およびその他の政府慣行
法務サービスおよび司法制度改革
商法
流通 電気通信
情報技術(IT)
エネルギー
医療機器・医薬品
金融サービス
競争政策
透明性およびその他の政府慣行
法務サービスおよび司法制度改革
商法
流通

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提言の概要


電気通信

 日本政府の政策と規制改革を促進しようとする努力がその成果を見せはじめるにつれ、日本の電気通信分野における競争的な環境は、この数年で着実に発展してきている。このことはDSLやFTTHなどのサービスの人気増大など数多くの先進電気通信技術の発展を見れば明らかである。日本はまた、無線インターネットサービス分野では最先端にあり、IT戦略本部が最近仕上げた「e-Japan II」および2003年7月の情報通信審議会の「電波政策ビジョン」においてこれらを重要な分野と認定している。2003年7月に国会において承認された電気通信事業法の改正は、支配的事業者規制を適切に維持しつつ競合事業者への規制緩和を行うことによってその流れに貢献した。

 「e-Japan II」は、日本の政策がインフラ・レベルでの競争からサービスやアプリケーションにおける競争へ焦点を移すべきであるという前提に基づいてつくられている。しかしながら、どちらの分野においても現状に挑戦し、先進ネットワークとサービスへの移行を容易にし、市場の力を変化の主体とし、競争環境の発展を阻害している古い規制を取り除いていくためにも大胆な改革がいまだに必要である。改革と技術革新から刺激を受けることによって構造改革が現在日本で進められていることを認識しつつも、本要望書によって日本が、非差別的な扱い、透明性、規制の独立および説明責任という諸原則をどのように維持していくかを、より綿密に検討するよう米国は提言する。

 この1年で達成した進展を基に、米国は、電気通信作業部会に引き続き政府および民間から専門家を招待し、先進無線技術・サービスなどの新たなかつ両国にとり重要な案件についてその見解を提供してもらう対話の場を設けることを提言する。さらに、米国は日本が以下の改革を2004年に行うことを提言する。

提言の概要

非支配的事業者への規制緩和 規制義務を市場力と結び付け、市場力を持たない事業者の書類提出や報告義務を撤廃する、もしくは軽減する。


規制の独立 規制機能を省の権限下から独立した機関へ移行し、NTTの業務上の意思決定への総務省の管理を廃止する。


透明性と説明責任 総務省の規制および政策決定における一般の人々の参加を増やし、総務省の規制決定の再考および司法チェックをしやすくする措置を取る。


競争上のセーフガードの強化 市場力を保有する事業者によるその力の乱用を防止するため、支配的事業者セーフガードを強化する。


固定系相互接続 効率的に競争を促進させる、コストに基づく合理的な相互接続料金設定の奨励を目的として、透明で客観的な見直し方法によって2003〜2004年の接続料金算定方法の構造的欠陥と取り組む。


携帯着信料金 NTTドコモのネットワークへの着信料金が合理的で、競争的な水準に設定されているかどうかを調査し、小売料金設定における競争的中立性を確保する。

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情報技術(IT)

 日本は、2005年までに世界的なITリーダーとなるという本来のe-Japan戦略に掲げていた主要政策目標の幾つかを既に達成しており、高速ブロードバンド・アクセス等のITのための先進基盤を発展させることに成功してきた。E-Japan戦略の第2ステージの一環として、日本のIT戦略本部は「e-Japan重点計画−2003」を公表し、IT利用の拡大に焦点を当てた。米国は、IT分野が構造および規制改革を促進する主要な役割を担うことをIT戦略本部が認識していることを支持する。米国はまた、日本政府がIT分野の成長に拍車をかける必要性と日本経済を活性化させる基礎として、デジタル・コンテンツなどの知的財産を保護する重要性を認識していることを称賛する。

 2003年重点計画を作成する上で、日本政府は、ITがいまだ公的分野においても民間においても十分に利用されていないままであり、幾つかの主要分野において電子商取引の利用を促進し、IT利用を発展させる必要性がまだあることを認識していた。本年の提言は、(1)オンラインの事業者間(B to B)および事業者・消費者間(B to C)取引をしやすくし、(2)魅力的なコンテンツを発展させ、(3)人々の日々の必要性に直結した政府のオンラインサービスなどに新しい情報システムを育成し、(4)効率性と安全性を強化することに焦点を合わせながら、2003年重点計画を補完し、支持している。さらに、米国は、日本がもともとのe-Japan戦略の主要目的である電子商取引を、引き続き阻害している法的およびその他の障壁を完全に排除するよう求める。

 2003年重点計画に掲げられている通り、日本は日本経済を活性化へと導けるIT分野の大きな成長潜在力をうまく実現できるかどうかの重要な岐路に立っている。IT利用を最大限に活用するため、米国は日本政府が2003年重点計画および各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議の「電子政府構築計画」を遂行する上で、技術的中立性、民間分野の指導力、透明性(パブリックコメントの機会)を確保するよう求める。最後に、IT活用の拡大において知的財産が不可欠かつますます大きな役割を担っているため、米国は知的財産戦略本部およびIT戦略本部が、知的財産権を適切に保護し強化することを確保する具体的な措置を打ち出す上で、緊密に調整を取り合うことを提言する。米国は建設的で生産的な形で日本政府、IT戦略本部、知的財産戦略本部およびCIO連絡会議と協力していくことを期待している。


提言の概要

規制その他の障壁 ITおよび電子教育を促進するため特別区域を全国的に拡大し、恒久化する。「B to B」や「B to C」の電子商取引を妨げる既存の障壁を排除する。IT政策決定過程において民間の意見の収集を拡大する。


知的財産権の保護 日本の音声録音およびその他の作品の著作権保護期間を延長する。デジタル・コンテンツの保護および知的財産権侵害に対する執行制度を強化する。


電子商取引の促進 民間によるプライバシー保護自主規制措置と裁判外紛争処理を支持する。日本の新たなプライバシー法およびネットワーク安全指針の実施において透明性と省庁間調整を確保する。


政府IT調達 開かれた競争、技術的中立性、透明性および民間主導の革新の原則を基に、IT調達手続きの改革を実行する。

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エネルギー

 米国政府は、日本政府が2003年6月に「電気事業法およびガス事業法の一部を改正する等の法律」(以下「法律」)を採択したことを称賛する。この改革により、日本の電力小売市場においては2005年までに約63%(現在の2.4倍)、ガス小売市場においては2007年までに約50%(現在の1.25倍)まで自由化範囲を拡大するという道筋ができた。

 エネルギー市場の継続的な自由化は、電力コストを国際競争力を持つレベルまで削減し、一般消費者や業務用ユーザーのコスト削減を促進する。これはまた、日本の産業の競争力を高め、経済をより早く持続的成長へと回復可能にする。真に競争力のある市場を達成し、効率性を高め、投資環境を改善するため、米国政府は日本に対して、新しいエネルギー改革法の目的が完全に達成されるような方法で、迅速に透明性をもって具体的かつ詳細な省令等を実施するよう求める。米国政府による以下の提言は、「法律」が描いている公平で、透明で、競争的で活気のあるエネルギー市場促進のための日本政府による努力の支援を目的としており、また全体として、この重要な分野で進行中の改革プロセスを支援することを意図する。

提言の概要

独立した規制当局 経済産業省の電力市場整備課とガス市場整備課が、政界や業界から不当な影響を受けないよう具体的な措置を取る。


改革のスケジュール 電気事業分科会および都市熱エネルギー部会において打ち出された自由化のスケジュールを成文化することにより、電気およびガス市場の迅速な改革を確保する。


電力とガス分野におけるインフラ設備の妥当性 競争的な電力市場を支えるのに必要な接続容量に不備が無いかを査定する調査に取り組む。導管網が未整備な地域における新規導管建設のための投資に対してインセンティブを付与する。


電力分野における公平性と透明性 市場参加者の信頼性を促進させる手段を講じる。例えば、送配電部門の会計分離を行う。また、それが公平で透明な市場の形成に役立たない場合は、運営上の分離へと方向を転換する。


電力分野における中立性とアクセス 中立機関(NSO)に対する政府の有意義な監視を確保する。すべての市場参加者の送電線アクセスを促進するため、送電ルールを見直す。


ガス分野における公平性と透明性 料金認可の査定や監査の一層厳格な実施のための仕組みを設立し、強化する。また、中立で公平な事後監視を行なう。


ガス分野における中立性とアクセス 一般ガス事業者以外の者のガス供給用導管の建設と改良を促進する。LNGターミナル保有者とLNGターミナルの第3者利用者間の交渉が非差別的に行われることを確保するため、詳細なルールを設定する。

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医療機器・医薬品

 日本は、医療制度に非常に大きな負担をかける人口統計上の問題と直面しながら、重要な医療改革を推し進めている。現在の労働人口は退職者1人に対し5人であるが、25年後には、その割合は退職者1人に対しわずか2人となることが予測される。日本はその課題に対し、医療保険制度体系の変革、新たな老人医療保険制度の創設、診療報酬体系の見直しに焦点を合わせた、広範囲な医療改革計画で対応している。また、日本は医療機器・医薬品産業の国際競争力の改善に焦点を合せた「産業ビジョン」という本格的な政策文書を発表した。米国政府は、医療改革計画と産業ビジョンを、日本が最も革新的な医療機器・医薬品の早期導入を促進することに全力を傾けているという証拠として歓迎する。米国政府は、財政、薬事規制、保険償還、知的財産権の制度を改革することにより、日本が産業ビジョンを政府の政策とするよう求める。

 産業ビジョンの中で、価格算定制度改革への包括的な手段を述べている。その中には、業界と医療機器・医薬品の保険償還についての協議をし、革新の価値を認識する価格算定政策を実施することが含まれる。米国政府は、このアプローチを歓迎する。また、米国政府は、日本が診療報酬、長期入院期間、そして、高い医療費など相互の関連性を含む構造的な問題を検討していることに意を強くしている。米国政府は、日本政府に対し、短期的な財政削減を目的として実施され、革新性を減退させる結果となる恣意的な政策を排除するよう求める。

 もうひとつの医療制度改革の重要な措置として、日本は薬事法を改正し、医薬品・医療機器の市場導入前および承認を所管する新たな機関を設けた。米国政府は、承認審査の迅速化、医療行政の改善、そして、日本がバイオ・ゲノムの新しい時代に対応できることが期待されるとして、医薬品医療機器総合機構の設置を歓迎する。日本が、信頼性、効率、調和、そして、最新の国際的に認められた科学の理念を取り入れた医療制度の構築に向け努力するに当たり、米国政府は、これらの原則を基に早急に新たな措置を取るよう求める。


提言の概要

価格算定改革 革新的製品の価値を十分に認める医療機器・医薬品の価格算定ルールを確立し、革新的で安全な製品をより早く必要とする患者ニーズを考慮する。医薬品研究や医療技術の進歩に報酬を与え、促進するため、加算ルールを含む価格算定ルールを最大限に利用する。革新性の価値を罰する、または、認識をしないルールを廃止する。


薬事制度改革 新たに設置される医薬品医療機器総合機構を通して、医療機器・医薬品の承認および市場導入前の期間の迅速化をはかる。同機構が設置されるに当たり、引き続き業界との開かれた対話を続ける。実績、透明性を基準とし、承認過程の速度と質の向上ならびに市場導入後の安全性の改善に直結するような手数料体系を確立する。


血液製剤 需給計画の実施が外国製品を差別せず、価格ルールが公平に透明性をもって適用されることを確保する。


栄養補助食品の自由化 栄養補助食品の販売規制をさらに緩和する。


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金融サービス

 米国政府は、日本が1995年の「金融サービスに関する日米両国政府による諸措置」の実施や、日本版ビッグバン構想の下で今日までに講じてきた措置などを通じ、金融システムを国内外からの競争に開放する上で進展が見られてきたことを歓迎する。さらに、1998年に設立された金融庁は、日本の金融に関する規制の専門性と透明性を着実に高めた。

 監督、会計基準、規則の透明性の改善や、競争への障壁となっていた数々の規制排除に伴い、日本金融市場における公平なビジネスの展開が促進され、金融部門で際立った変化が見られるようになった。証券会社、保険会社、金融機関の重要な買収が行われたこともあり、日本金融市場における外国企業のプレゼンスは高まっている。

 しかし、監督と開示は改善されたものの、国際的な基準とベストプラクティスに沿った形で、金融機関に対するわかりやすく整合性のある規制と監督の確立に向けて、日本がさらに前進することは肝要である。また日本は、消費者保護と同様に安全性と健全性を確保する目的に合致するよう、競争への障壁となる不必要な規制を排除する努力を継続することが大切である。金融部門がより効率的になり競争力を持つことは、日本が潜在成長力を完全に取り戻すための極めて重要な役割を果たすことになる。

提言の概要

ノーアクションレター制度 ノーアクションレター制度が、金融サービス部門における規制の明瞭性を確立するための有効な手段となるために必要とされる措置を取ることにより、透明かつ効率的な規制過程を促進する。


確定拠出年金 拠出限度額の拡大や、企業拠出に相応する従業員拠出の許可、および中小企業が低コストで利用できるよう、確定拠出年金プランの提供事業者が作成するひな型(プロトタイプ)となるプランを認可することを通じて、同年金プランの発展と採用を奨励する。


投資信託 投資顧問や投資信託管理活動を規定する規制の枠組みにおける不整合や重複を排除し、グローバル・ベストプラクティスに基づいた投資信託パフォーマンスの基準を決める。


電子通知 利用者が合意している場合、電子通知により、貸金業規制法に定められている開示要件を貸し手が満たすことを認め、借り手のセキュリティー、プライバシー、情報への容易なアクセスを促進する。


自主規制機関 自主規制や投資家保護あるいは他の公共政策的な役割を担う業界団体について、その運営と意思決定過程の透明性と開放性を拡大する。


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競争政策

 先頃、公正取引委員会(公取委)委員長が、「日本における構造改革およびその重要な一部である競争政策等強化」の必要性を指摘した。積極的な競争の推進や保護は、新規参入や革新を助成し、効率的で国際的な競争力のある企業の成長を促すことにより、日本経済の回復に拍車をかけるであろう。最も重要なのは、公取委の執行権と資源および独占禁止法(独禁法)の刑罰の強化による独禁法違反の排除と抑止である。日本政府が、再活性化計画に必要な公的資金を奪い、経済改革の基礎を危うくする談合制度を排除する努力を強化することもまた重要である。最後に、日本は、その規制緩和計画中に、市場に基づいた競争原理を取り入れ、規制改革措置の効率性を最大限にすることを確保する必要がある。

 従って、米国は、日本が以下の措置を講じることを要望する。

提言の概要

独禁法違反の防止 行政上の罰金(課徴金)の水準を売り上げの約20%に引き上げ、3年間の課徴金適用上限を排除し、違反を繰り返す者に、より厳しい措置を課し、一層の刑事告発を促し、独禁法違反者に服役刑の判決を下すよう裁判官に勧奨する。


公取委の執行力の強化 独禁法法人措置減免制度計画を導入し、公取委に国税庁のような調査権限を与え、公取委の経済分析能力を高め、刑事告発手続きを正常化させ、排除措置命令の時効期間を3年に延長する。


公取委の資源 高度な法律や経済の教育を受けた者や公益事業市場の詳しい知識を持った者を含む公取委の職員と予算を増やす。


談合の排除 談合をした者には、全国的に最低9カ月間にわたり政府契約の指名を停止する。職員の談合への関与を禁止する法律の下、省庁および地方政府の長により調査報告書を作成する。国土交通省が、談合の再発を防止するため、その関係機関である財団法人経済調査会および財団法人建設物価調査会に対して講じた措置を公表する。


競争の促進 電気通信、エネルギーおよび他の規制緩和された産業への新規参入に対する反競争的・排他的行為を行う既存の支配的企業に対して、公取委が独禁法を執行できるような措置を実施し、競争原理および分析が、規制緩和の過程に取り入れられることを確保するという公取委の役割を強める。
 


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透明性およびその他の政府慣行

 長年、日本は公平性、予見可能性、説明責任を確保する透明性の高い規制制度の確立に向けて努力してきた。その進展は見られたものの、消費者、投資家、事業者の信頼に大きく依存する長期的な成長へと日本が復帰するには、更なる努力が必要である。日本は、国内・国外双方の企業が規制・意思決定過程に参加するための情報や機会に完全にアクセスする方法を示すことで、より魅力的なビジネスや投資環境を創出し、それによって経済成長を促す。さらに、構造改革特別区域(特区)の設定や特殊法人の民営化を含む広範な経済改革策についても、透明性の確保は極めて重要である。

 透明性を欠く日本の規制制度に対する継続的な懸念は、多くの場合、パブリックコメント手続きの運用に関するものである。同手続きは効果的に運用されれば、透明性の高い規制・意思決定制度を確立する上での重要な要素となりうる。日本政府は、1999年の同手続き採用以降も、その運用効果と公正さを高めるための努力をしてきたが、総務省による実施状況調査によると、同手続きの欠陥が繰り返し明らかとなっている。総務省による2002年度における「規制の設定または改廃に係る意見提出手続」の第4回の実施状況調査は、日本の規制制定過程が依然として不透明であり、所管省庁の裁量に過度に左右されているとの懸念を深めるものであった。同調査の結果によれば、提出された意見が最終規制に取り入れられた事例は依然として少なく、取り入れられた場合の多くにおいてもそれらは本質的なものではなかった。また、パブリックコメントの対象とされた案件のうち、意見募集期間を少なくとも30日間と設定していた事例は半数しかなく、34.6%の事例においてはその意見募集期間は21日未満であった。多くのパブリックコメント案件が極めて複雑な問題であることに鑑みると、これらの複雑な課題に対して詳細なコメントを提出するには、この募集期間は明らかに不十分である。このため、米国は、すべての参加者が政府の情報・政策決定過程に適切、効果的、かつ平等にアクセスできるよう、日本政府が下記の改善に取り組むことを提言する。

提言の概要

パブリックコメント手続き 最低30日間の意見募集期間の設定を義務付けることにより同手続きの有効性を高め、同手続きの機能を広く議論するための公開シンポジウムを政府、ビジネス、その他の関係者の参加のもとに開催する。


構造改革特別区域(特区) 市場参入の促進に焦点を当て、特区が透明かつ非差別的な形で今後も設定されることを確保し、また、新たに設立された評価委員会は透明かつ建設的な評価を行い、特区での措置が成功した場合には、その措置をできる限り迅速に全国レベルに拡大することを確保する。


市民参加による法案策定 政府が法案を国会に提出する前の法案作成段階において、一般市民が法案に対してコメントする更なる機会が与えられるよう措置を取る。


特殊法人の民営化 特殊法人の再編や民営化のプロセスにおける透明性および民間部門が意見表明できる意義ある機会を確保する。


郵便金融機関 郵政事業の民営化が透明な形で実施され、郵便金融機関の取扱商品の拡大を抑制し、民間の同業者に適用されているのと同一の規制基準が郵便金融機関にも適用されることを確保する。


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法務サービスおよび司法制度改革

 日本において、規制改革と構造改革を支援し、国際ビジネスのニーズを満たす法務環境を創造することは、日本の経済回復や構造改革にとって極めて重要な要素となる。日本の司法制度は、国際法務サービスの効率的提供を求める市場のニーズに対応できるものでなくてはならず、規制緩和が進展するなかでの企業取引に対し、健全かつ効果的な基盤を提供するものでなければならない。

 米国は、日本が最近、「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法」と「弁護士法」を改正することにより、外国法事務弁護士(外弁)と日本弁護士(弁護士)との間の提携の自由に関する規制を実質的に取り除いたことを評価する。しかし、日本における法務サービスの利用者が、最近のこうした法改正の恩恵を最大限に享受することを可能にするためには、更なる自由化措置が必要である。同様の趣旨において、米国は、日本が司法制度改革の分野において成し遂げつつある進展を高く評価し、この分野、特に行政機関の行為に対する司法による監視効果の増大という点について、日本の継続的努力に期待する。

 これらの理由により、米国は、日本が以下の措置を講じることを提言する。

提言の概要

提携の自由 日本弁護士と外弁間の提携の自由を認めた最近の法改正が、2004年9月までに施行されるように必要な措置を取る。日本弁護士連合会(日弁連)および地方弁護士会が、改正法の実施に伴う規則および規制の採択に際して、外弁が完全な投票権を有する会員として参加することを認めること、また、規則・規制の原案を公表し、パブリックコメント手続きに付すことを確保する。


外弁の資格基準 外国弁護士が日本において原資格国法に関する業務をおこなったすべての期間を、外弁資格における3年の職務経験要件に算入することを認める。


専門職法人と支店 日本弁護士と同等の位置付けで、外弁が専門職法人を設立することを認める。日本弁護士による専門職法人と同等の位置づけで、日本弁護士と外弁によって、あるいは外弁のみによって形成される法律事務所が、日本全国において支店を開設することを認める。


司法による行政機関の監視 行政による規制行為の結果、損害を被ったすべての人々が裁判所に提訴することを可能ならしめるために、行政による規則・決定に対する司法チェックを求める人々に課せられた現行の要件について、必要な修正を検討する。

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商法

 積極的な企業再構築とより良い企業統治は、日本経済を再活性化し、持続的な成長路線への復帰を助ける。この再構築を達成するためには、近代的な合併手法が日本でより容易に利用できなければならない。改正産業活力再生特別措置法のもとで、三角合併および現金合併を認めることにより、日本は最近有益な第一歩を踏み出したが、これらの手法を利用する際の障害は依然として残っている。また、同法の範囲外において合併を模索する企業は、それらの手法を利用できない。優れた企業統治機構の導入も、また、生産性の向上と経済的に健全な意思決定を通じて、経営者が株主利益を最大限に高めようと努力することを確保し、日本企業の業績を改善する。優れた企業統治には、株主、特に年金基金や投資信託などの大規模な法人株主による経営への積極的な参加が必要である。優れた企業統治は、また、株主や規制当局が経営に対して適切な監督を行使しうることを確保することを目指し、企業による法律および規制の順守違反を報告する内部告発者を奨励し、保護することによっても促進される。最後に、日本は、企業が効果的かつ経済的に紛争を解決することを助ける裁判外紛争処理 (ADR)のための環境づくりが必要である。

 以上の理由により、米国は日本に対して、以下の措置を講じることにより、商法改革に向けたこれまでの措置をさらに積み重ねるよう求める。

提言の概要

近代的合併手法の導入 より広範囲にわたる近代的合併手法の使用を認めるという提案を、2003年末までに発表される2004年度商法改正の中間試案に含めることを確保する。これらの合併手法を利用する際の障害を排除する。


委任投票を通じた株主利益の促進 すべての政府系年金基金、投資信託、登録された投資運用会社が、投資利益を最大限にすることを目指した株主委任投票方針を採用し、それらの方針と実際の投票記録を公表することを確保する。民間年金の資金運用責任者に対して、委任投票の方針あるいは指針を採用し、受益者の利益のために議決権を代理行使することを奨励する。


内部告発者の保護を通じたより良い企業統治の推進 企業による証券取引法に関連する法律や規制違反、あるいは株主に対する不正行為、不実告知の証拠を通報した従業員を報復から守るための法律を2004年3月までに導入する。株式公開会社に対して、従業員が企業による不正行為あるいは証券取引に関する法律や規制違反を、秘密裡に匿名で通報することを可能にするためのメカニズムを確立することを義務付ける。


裁判外紛争処理 (ADR) メカニズムの促進 非弁護士がADR手続きにおいて仲裁者、調停者、その他の中立的役割を果すことを認める法案を2004年中に提出すること。日本が提案するいかなるADR体制も、ADR中立者あるいはサービス組織に対して強制的免許制を求めるものではなく、また、ADRの規則、手順、基準は、ADR手続きを利用する関係者によって柔軟に調整できることを確保する。


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流通

 商品を迅速に安価な料金で配送する能力が、近代経済には不可欠である。例えば、健全な航空貨物産業によって可能となった「ジャスト・イン・タイム」供給システムは、小売業者、製造業者、消費者に恩恵をもたらした。航空貨物産業は近年急激な成長を遂げ、現在では、国際的な事業展開や商品・情報の迅速な流通に欠くことのできない手段となった。米国は、今年前半から実施されている国際物流特区における時間外手数料の削減措置を称賛する。しかし、航空貨物産業がもたらす経済的利益を最大限享受するため、さらなる措置が必要である。通関手続きの一層の近代化に加え、米国は日本に対し、国際空港の着陸料を合理的な水準に改めるよう求める。

 世界的な、クレジットカード、デビットカード、ATMカードの利用の急速な増加に伴い、消費者の利便性が向上し、小売業界は恩恵を受けている。北米および欧州では、全購入の34%がこうしたカードでなされるが、日本では8%のみである。以下は、米国政府からの規制および政策に関する提言である。これらが実施されれば、商品の移動を迅速にし、消費者の利便性を改善し、消費者の選択肢拡大につながるはずである。


提言の概要

空港着陸料の改革 成田空港と関西国際空港の着陸料を速やかに引き下げる。オープンかつ透明な方法で、実際のサービス提供コストに基づいた着陸料を設定する。


航空会社による航空券の販売 消費者に恩恵をもたらすような競争市場を創出するため、航空会社の航空券に対するIATA運賃の70%割引下限の強制をやめる。


価格設定に関する2重の足かせ 航空会社が、市場状況に応じてより柔軟に運賃価格設定が行えるよう、30日前の運賃変更届出制を廃止する。


税関の時間外手数料 国際物流特区における時間外手数料をさらに引き下げる。


U申告利用の拡大 「U申告制度」を東京航空貨物ターミナル以外の他の保税倉庫にも拡大する。


通関情報処理システム(NACCS) Air-NACCS料金体系の更改と改善に関する中間よび草案段階の最終報告書に対するパブリックコメントの機会を設ける。


フレイトフォワーダー契約 外国航空会社が日本国内の宅配便に関する契約を日本の航空会社と結ぶ権利を認める。


課税計算にFOB価格(本船積み込み渡し価格) 輸入商品のコストを低減するため、課税計算にFOB価格方式を取り入れる。


クレジット・デビットカードおよびATMサービス 日本の小売業者と消費者双方に恩恵をもたらすよう、クレジット・デビットカードの利用を促進する。

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詳論


電気通信

I.不必要なルールの排除、規制の独立性の強化、さらなる透明性の促進

 昨年始まった改革を基に、総務省は事業者がビジネスコストを減らし、顧客が求めるサービスをより迅速に提供することを可能にする、不必要な規制の排除への法的基盤を確立した。総務省がこの規制緩和を実行するため、以下の措置を取ることを提言する。

I-A. 競合事業者への規制緩和 総務省が競争的市場において非支配的事業者のために以下の措置を取ることを米国は提言する。

I-A-1. 電気通信サービス提供者によるいかなる申請も義務づけない分類免許を与える。

I-A-2. 約款認可義務をインターネット上の告示に変え、総務省の事前手続きを撤廃する。

I-A-3. 契約サービスについては、すべての許可、届け出義務を撤廃する。

I-A-4. 相互接続、委託およびその他の競合事業者間の事業取り決めについては、すべての許可、届け出義務を撤廃する。

I-A-5. 固定系サービスプロバイダーの最初の免許取得については、サービスの一般的範囲やネットワークの説明を超えた詳細なコストの理由付け、経理の前提やネットワーク計画情報を提供する義務を撤廃する。

I-A-6. 固定系サービスプロバイダーのネットワークの拡大については、すべての認可手続きを撤廃し、一般的な短い説明を求める届け出義務に限定する。

I-A-7. 事業者に対して、サービスを提供するために波長ベースのIRU(無効にできない使用権利)を獲得し、使用することを認める。

I-B. 透明性の促進および規制の独立性の強化 総務省およびその前身である郵政省は長い間規制決定過程を既得権者の影響から守ることの困難を経験してきた。新規参入者の犠牲を基に、政府との結びつきの歴史を持つ大企業に恩恵をもたらしてきた最近の決定は、規制の独立性とアカウンタビリティ(説明責任)を支持する措置の大きな必要性を強調している。規制の独立性と透明性を強化するため、米国は以下の措置を日本が取ることを提言する。

I-B-1. 規制機能を、直接的な政治のコントロールを受けている省庁の権限から離し、完全なる独立機関へ移行する。

I-B-2. NTT株の日本政府保有要件および外国資本によるNTT株保有や経営上の役割を制限する要件を廃止する。

I-B-3. 事業計画や人事決定を含むNTTの経営運営に対する省庁の干渉を排除する。

I-B-4. 反競争的行為を処罰するための意味ある制裁権限(罰金徴収、損害の支払命令、免許の差し止め等)を確立し、行使する。

I-B-5. これらの目的のために、以下を含む中期的措置を取る。

I-B-5-a. 紛争処理行為の透明性を最大化するなど、日本の電気通信事業紛争処理委員会の運営およびその実行力を強化する。

I-B-5-b. 特定の電気通信事業者と何らかの財務的結びつきのある職員がその事業者の競争的立場に影響を与える決定においていかなる役割も担わないことを確約する基準を公表する。

I-B-5-c. 規制案件においてなんらかの役割を持つ総務省幹部職員に、彼らの規制管轄下にある会社との関係を示す財務上の宣誓供述書を提出させる。

I-B-6. 更なる規制のアカウンタビリティの促進のために、規制決定の再考および司法によるチェックを可能とする具体的な措置をとり、規制当局者と裁判所が合理的な時間の枠組みの中で効果的にそのような案件を採り上げられるようにすることを確保する。特に、

I-B-6-a. 規制当局者の判断や決定によって圧迫を受けたいかなる人も、その判断や決定を再考するように請願できる透明な手続きを採用し公表する。

I-B-6-b. 規制当局者の判断や決定によって圧迫を受けたいかなる人もその判断や決定を司法チェックにかけるよう求められる透明な手続きを採用し公表する。

I-B-6-c. 判断や決定の基となる公的記録すべてを入手可能とし、特別な利害が規制過程に優先的に入り込まないようにする透明な手続きを採用し公表する。

I-B-6-d. 総務省主催の研究会の人選プロセスをオープンにして、すべての利害関係者が参加できる機会を与えられるようにする。

II. ネットワークアクセスおよび競争促進

 ボトルネック設備への競合事業者のアクセスは、日本政府の主要目標である施設ベースおよびサービスベースの競争促進のために必要不可欠なものである。2003年7月に出された「IP化等に対応した電気通信分野の競争評価手法に関する研究会」の提言にあるとおり、総務省は変化しつつある市場において競争政策の見直しの重要性を認識している。この状況に鑑み、日本が電気通信のための競争的環境を改善するための具体的な措置を取ることができると米国が信じる分野を引き続き確認していく。関連案件は以下の通り。

II-A. 支配的事業者規制および競争セーフガード 米国政府は、改正された電気通信事業法に基づく規則と省令が日本市場において支配的な地位を保持する事業者に義務を保持させ、適切な組織にこれらの義務を執行させる権限を与えることを提言する。特に、米国は日本が以下の措置を取ることを提言する。

II-A-1. 電柱、管路、とう道、線路敷設権への非差別的なコストベースのアクセスを法律あるいは規則において確保し、それらのアクセスに透明な価格設定方法を適用する。

II-A-2. データサービス同様、音声サービスについても支配的供給者による価格設定の乱用を評価する方法を確立する(例えば、インピュテーションテスト)。

II-A-3. NTT東西が新しい種類のサービスへ業務拡大する際のパラメーターを順守しているか否かについての毎年の調査の中で、ネットワークアクセスおよび競争事業者への扱いに関する数量的データを公表する。

II-A-4. 競争事業者によって利用されている専用線が合理的で競争的な価格によって提供されているかを評価するため、公表された情報に基づく透明な措置を確立する。

II-A-5. 支配的事業者が、規制を受けていないサービスを補てんするため、規制を受けているサービスからの収入を反競争的に利用することがないようにする規則を設ける(例えば、関係会社との分離取引ルール)。

II-A-6. 報告義務を含め、競争関係実施測定基準および基準不履行への金銭的罰則を整備する。このような基準は、競合事業者が必要とするすべてのネットワークおよび施設の提供、サービスの質および修理や保守において、支配的事業者が自社あるいはその関係会社への扱いと競合者への扱いを同等にするためのものである。

II-A-7. 支配的事業者が彼らの伝統的な独占的サービス以外に業務拡大を求めている場合、ひとつの市場における独占的地位を、市場力を獲得するために乱用させない適切なセーフガード措置を順守させるようにする。

II-B. 固定系相互接続 総務省が(専権事項として)最近、長期増分費用方式(LRIC)の実行方法を変えたため、接続料金が大幅に値上がりし、新規参入者のNTTグループ会社と競争する力が深刻に侵食されることが予測される。効率的な競争を確保するのにこの料金設定過程を改革することは、外資系および国内のすべての競合事業者にとって重要な優先問題である。特に、米国は総務省が以下の措置を取ることを提言する。

II-B-1. 2003年度からの従量接続料金からどのようにNTSコストを排除するかを決定するため、すべての利害関係者のコメントおよび見解に公開する形で、接続料金とその体系の一般による見直しを実行する。

II-B-2. 何らかの新しい制度を導入する前に、NTT東西が既存の月額料金からNTSコストを吸収できるかどうかを客観的に評価することを開始し結論を出す。

II-B-3. NTT東西に、透明で公的に立証できる方法で以下の項目を文書で証明することを義務づける。

II-B-3-a. 正確にどのコストが月額の加入者線料金から回収されているのか。

II-B-3-b. それらのコストが、異なるサービス間(ISDN、DSL、専用線等)でどのように特定され、配分されているのか。

II-B-3-c. 特に、すでに施設設置負担金で達成されているコスト回収、減価償却率と減価償却方法、許容範囲の利益マージンなど、そうしたコスト回収の前提は何か。

II-B-4. トラヒックデータが料金精算をすべきと示す場合、精算を行う前に以下の措置を取る。

II-B-4-a. そのようなデータを規制者が独立的に監査し、その測定方法を公的に文書で提出し、公表しコメントを募集する。

II-B-4-b. トラヒックデータの入力値の変更に関連し、そうした変更の前に、機器単価などの他の入力データも調整する機会を提供し、すべての変化を盛り込む。

II-B-4-c. IP電話への移行や他の先進技術サービスなどの変化によって影響を受けるすべてのネットワーク費用計算に、そのような新しいサービスの成長を助けているネットワーク要素からNTTが得ている追加的な収入を考慮する。

II-B-5. NTT東西に対してそれぞれの地域におけるコストの違いを考慮して、コストに基づく接続料金をそれぞれに設定させる。また、必要に応じ、地域事業者間で接続料金に違いをもたせる際には反競争的な価格圧縮の危険(およびそれを防止する措置)を検討する。

II-B-6. さまざまなネットワークアクセス機能への「ビル・アンド・キープ」コスト回収方法への移行を検討する。

II-B-7. NTT東西間の相互補助の源として接続料金収入を利用する現在の体系を廃止し、そのような補助が競争的に中立なユニバーサル・サービス基金から支払われるようにする。

II-B-8. 支配的事業者の市場力を考慮して、IP電話を提供する事業者間同様、アナログとIPベースの音声電話ネットワーク間の接続協議に関する紛争を解決するため、事業者が電気通信紛争処理委員会に助けを求められることを確保する。

II-C. 携帯着信料金 米国は日本が以下の措置を取ることを提言する。

II-C-1. 支配的な無線ネットワークへの競争的な接続料金を確保する日本の電気通信事業法とその2002年の日本の確約に従い、携帯無線着信料金がコストに基づいて設定されているかどうかを評価する客観的で透明な方法を整備し、交渉が失敗した場合仲裁を求められるようにする。

II-C-2. 携帯事業者との相互接続を固定事業者が求める場合、携帯事業者が小売料金を設定する自動的な権利を排除することによって競争的中立性を整備する。

II-D. サービスの質における非差別 アンバンドル化が求められる施設において、日本がNTT東西に以下の措置を取ることを要求するよう米国は提言する。

II-D-1. NTT東西がサービスの混乱や質の悪化に対応しなければならない期間を明記した、小売顧客へ提供されているものと同様のサービス水準合意(SLA)を、その接続約款に盛り込む。

II-D-2. 卸売り顧客に対し、施設への合理的なアクセスを条件として、施設を自ら保守する選択肢を与える。

II-E. ネットワーク回線端末装置(NCTE) 日本政府は端末装置市場における競争を確保する目的と一貫する形で、1990年のNCTE合意を合理化する選択肢の提案を求められている。その際、支配的事業者による公的ネットワークに敷設されたインターフェースへの管理乱用に対するセーフガードを含めるべきである。

III. 先進無線技術とサービスを促進するための措置

 「e-Japan II」において日本は、電波認証(REID)やワイヤレスLANなどの台頭しつつある無線技術が「ユビキタスネットワーク社会」においてそれぞれが特別な役割を担うであろうことを認識している。日米電気通信作業部会は両国の経験について見解を交換し、台頭しつつある先進無線技術の拡大と利用へ貢献する市場ベースのアプローチを明らかにし、両国の規制過程の相互理解を促進できる時宜を得た機会を提供する。

III-A. 民間からのインプット 米国は、可能であるなら、作業部会が、政府および民間から専門家をゲストスピーカーとして招待し、その見解を聴き、対話を強化することを提案する。

III-B. 特区 米国は、2003年6月のWRC合意に従い、日本が特区において5GHz帯における無線アクセスシステムの利用を促進する経験および、そのようなシステムの全国的拡大計画を報告することを提案する。

III-C. 免許不要の小電力機器への電波分配 日本の柔軟な電波配分の政策目標と一貫する形で、日本政府は小電力機器の免許不要で電波を使用することを望む企業に時宜を得た客観的で透明な手続き過程を確保する措置を、その周波数帯の現在の利用者に対しても十分な配慮をはかりながら、取ることを提案する。総務省はもし十分なデータがない場合、干渉を評価するための更なる検査あるいは試験的プロジェクトを認めるべきである。


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情報技術(IT)

I.規制障壁および非規制障壁の除去

 電子商取引を促進させることは、「e-Japan重点計画-2003」(2003年重点計画)における日本の優先政策のひとつである。日本は電子取引用にインターネットの利用を促進する環境を成功裡に育成させてきた。しかしながら、電子商取引の成長を阻害する法的およびその他の障壁がいまだに存在している。さらに、日本が2003年重点計画の下、医療や金融分野などの主要な分野においてITの利用を促進し始めるなか、その実行を成功させるためには過度の規制を避けるとともに、透明性と意味あるパブリックコメントの機会が必要である。日本の重点計画に沿って、米国は日本政府に以下のことを要請する。

I-A. 事業者間(B to B)や事業者・消費者間(B to C)電子商取引において、対面取引や書面による取引を必要条件とすることやその他の障壁など、既存の法律や規制においていまだに存在する、電子商取引を妨げる障壁を除去する。現在除外されている分野における電子通知や電子取引を認めるよう、法律や規制を必要に応じ改正する。

I-B. 2003年重点計画および「e-Japan II」を実行するための新しい法律、省令および指針が、日米が相互に認識している民間自主規制の原則に則り、技術中立性を維持し、またIT利用を促進し、過度に規制したり電子商取引を阻害しない真の具体的な改革を提供することを確保する。

I-C.  IT促進のための特区および電子教育活用のための教育特区をつくる現在の規制緩和措置を、適切な場合、全国的に拡大し恒久化する。

I-D. 関係省庁間で「e-Japan」のために必要な実施措置の管理や調整に必要な資源と調整メカニズムをIT戦略本部に提供し、支持する。

I-E. 以下に掲げるものを含め、構想から実施に至るまで、政策決定プロセスにおけるすべての段階で、民間の意見の取り入れを拡大するための措置を講じる。

I-E-1. 官民間の対話を双方向かつ透明性のあるものにするよう、情報技術を活用する。

I-E-2. 2003年重点計画、「e-Japan II」の政策目標およびすべての関係措置および目的を実行するため、準備されるいかなる内閣令、省令、通告、指針等も、パブリックコメントにかけることを確保する。最低30日間のパブリックコメント期間を設け、提出された意見が真剣に検討され、最終的に実施される措置や行動に適切に反映されることを確保する。

I-E-3. IT戦略本部の新しい専門調査会に非日本団体からの専門家を選出し、参加させることを確保する。


II. 知的財産権の保護の強化

 日本は日本経済を活性化するため、ITとともに知的財産の経済的重要性を認識しており、知的財産推進計画を通じて知的財産の創造、活用、保護において指導的立場に立とうと努力している。これらの目標および知的財産推進計画に沿って、米国は日本が以下の措置を取ることを提言する。

II-A. 著作権保護期間の延長 一般的な著作物については著作者の死後70年、また生存期間に関係のない保護期間に関しては著作物発表後95年という、現在の世界的な傾向との整合性を保つよう、日本の著作権法の下、音声録音およびその他の作品の著作権保護期間を延長する。

II-B. 法定損害賠償 侵害行為に対する抑止力となり、侵害により被った損失に対し権利保有者が公平に補償されることを確保し、また実際の損害・利益を立証・計算するという、費用がかかり、かつ困難な負担を除くことで、司法の効率を向上させる法定損害賠償制度を採択し、知的財産の侵害に対する執行制度を強化する。

II-C. デジタル・コンテンツの保護 以下の措置によって、デジタル・コンテンツの保護を強化し、オンライン上の著作権侵害を防ぐため日本政府が達成してきたことをさらに積み重ねていく。

II-C-1. すべての政府機関および公的機関が、著作権侵害によって複写された作品の蓄積と発信あるいは政府支援のIT資源に対するその他の侵害行為を、効果的に防止し罰することを確保する措置を取る。

II-C-2. プロバイダー責任規則等のデジタル・コンテンツの著作権侵害を防止する現在の措置を必要に応じてモニターし強化する。

II-C-3. 「一時的蓄積」は複製権を含意するとの日本政府の重要な認識を、誰でも入手できる公式声明として公表する。これは、一時的複製の保護の範囲を明確にし、権利保有者に確実性と明確な指針を与える。

II-C-4. 技術的保護措置を強化する。

II-D. 著作権法への教育例外条項の実施 日本の著作権法第35条および36条の改正によって複製および発信の例外に限界があることを明確にし説明する権威ある政府規則あるいは指針や例示を、教育機関、教師および学生向けに発表する。

II-E. インターネット上の放送TV信号およびコンテンツの伝送 「e-Japan II」にある「著作権契約システム」には、放送TV信号およびコンテンツをインターネット上に配信できる義務的、非自主的あるいは法的な免許を含まないことを確保する。インターネット配信のための著作権契約システムは、放送事業者および著作権保持者双方の同意が必要であることを確保する。そのようなシステムへの具体的な措置は、意味あるパブリックコメントの対象とすることを確保する。

II-F. デジタル権利管理システム いかなるデジタル権利管理システムも市場主導で、政府によって強制されるものでないことを確保する。

II-G. 知的財産推進計画および知的財産政策 知的財産戦略本部は「知的財産の創造、保護および活用に関する推進計画案」を2003年6月20日にパブリックコメントに付した。最終的な推進計画およびその他の知的財産政策を実行する際に、日本政府が以下の措置を取ることを米国は提言する。

II-G-1. 最終的な知的財産推進計画や「知的財産政策大綱」の政策目標およびその他の知的財産関係措置および目的を実行するため、準備されるいかなる内閣令、省令、通告、指針等も、パブリックコメントの対象とする。最低30日間のパブリックコメント期間を設け、提出された意見が真剣に検討され、最終的に実施される措置や行動に適切に反映されることを確保する。

II-G-2. 措置および政策目標の実行において、国際的義務や標準、そして規範を順守する。

II-G-3. 特に重要な知的財産政策案件を見直し議論するための政令第45号に基づく新しい「専門調査会」に、非日本団体から専門家を招待する。

II-G-4. 知的財産戦略本部に、関係省庁間で措置を実行するための管理や調整に必要な資源と調整メカニズムを提供し、支持する。

III. 官民による電子商取引の利用の促進

 日本は電子商取引のために先進基盤を成功裡に発展させてきたが、環境は十分には利用されていないままである。効率性と安全性を改善することはオンライン環境への信頼を高め、人々の日々の必要性に直結したオンラインサービスへの需要と供給を刺激するであろう。民間が電子商取引の成長に主要な責任を担っている一方で、政府は深く介入しないままで民間の電子商取引の成長を促進する政策を採用することにより、電子商取引の利用を促進することができる。米国は、革新と市場の力によって民間の自主規制枠組みおよび技術的に中立な解決策を重視しながら電子商取引の発展を奨励する重要な役割を日本が担うことを求める。

III-A. プライバシー 国会は2003年5月23日、民間における個人情報を保護するための基本的枠組みを確立するため個人情報保護法を成立させた。米国は以下の措置を日本が取ることを提言する。

III-A-1. 「B to B」および「B to C」電子商取引を阻害する可能性のある過度の負担あるいは矛盾のある要件を防止するため、透明で調整された形で実施ガイドラインを作ることを確保する。米国は、透明性を促進し、民間からのインプットを最大限に活用するため、日本がどの官庁が実施ガイドラインを出すのかをできるだけ速やかに明らかにすることを提言するとともに、すべての実施ガイドライン案は、最終ガイドラインに適切に反映されるよう意味あるパブリックコメントに付すよう日本に求める。

III-A-2. 個人情報保護法およびその実施ガイドラインが、すべての現在および将来の技術によって共有されるあらゆる個人情報に適用されるのかどうかを明確にする。業界および非政府団体からのインプットを、新しい技術に対するいかなるプライバシー・ガイドラインの実施においても真剣に考慮することを米国は日本に求める。

III-A-3. 2004年末までにプライバシーに関する案件について日米共同官民ラウンドテーブルを開催する機会を検討する。

III-B. 裁判外紛争処理(ADR)の促進 2003年8月、司法制度改革推進本部はADRについての報告書をパブリックコメントに付すため発表した。報告書とパブリックコメントはADR法案の基礎となる。すべての最終的な法律や規則に適切なコメントと提言を反映することにより、利害関係者からの具体的なコメントに対応するよう、米国は日本に求める。オンラインの「B to B」および「B to C」取引の発展に必要なオンラインでの紛争処理の枠組みを促進する目的のために、開かれた、そして柔軟なADR制度を日本が採用することを米国は提言する。オンライン紛争処理の枠組みは以下のことを可能にすべきである。

III-B-1. ADR中立者および組織について自己規則および自由意志による私的認定に主に依存する。

III-B-2. 当事者が一般的に、ADR手続きで用いられる規則、プロセス、基準を決定する。

III-C. ネットワーク・セキュリティー 米国は、日本が中央・地方政府機関によって使用される情報システムの安全性と信頼性を改善し確保する努力を歓迎する。2003年9月9日のグローバル・サイバー・セキュリティーの促進に関する日米共同声明の精神に基づき、米国と日本は適切な2国間および多国間の場で民間とさらなる協力をしていくべきである。さらに、米国は幾つかの省庁が既に彼ら自身の使用のためにネットワーク・セキュリティー標準や指針を作成しはじめていることを認識している。民間部門に予測可能性を与えられるよう、標準や指針は矛盾がないことが極めて重要である。そのため、各省庁が前進する際、日本はその標準や指針が以下のようであることを確保するよう米国は求める。

III-C-1. 調整された形で作られ、中央政府の機能や財産を支える情報資源への効果的な管理を確立し保証する包括的な枠組みを確保する。

III-C-2. 技術的に中立で、取引を制限せず、電子商取引の利用を促進する。

III-C-3. 国際標準機構(ISO)等の自主的業界標準団体によってつくられた標準にできる限り調和するようにする。

III-C-4. 透明な方法で作成し実施する。国内外のすべての利害関係者が意味あるパブリックコメント過程に参加できることを確保する。

IV. 情報システムの調達改革の促進

 電子政府計画および2003年の重点計画において示されているとおり、日本はすべての政府レベルにおいて行政手続きのデジタル化を引き続き行う。さらに、電子政府計画によると、すべての省庁はその「古いシステム」を完全に更新し、政府全体で相互運用性を高めることを目的としている。米国は、この変革により、日本がその電子政府システムの開発において独占技術への依存を減らすかもしれないことを認識している。政府による既存の商業製品の利用拡大への移行は調達者間における革新と競争を刺激し、その結果、市場アクセス機会を創造することができる。IT調達分野における公平な活動を確保するため、日本は引き続き、IT調達手続きにおいて積極的に改革を実行することによって、開かれた競争、透明性、技術的中立性、民間主導の革新の諸原則を促進しなければならない。米国は日本政府が以下の措置を取ることを提言する。

IV-A. 2003年5月19日に省庁が採択した了解覚書に列挙されている措置の実行と効果をモニターし評価する。特に、米国は以下のことを日本に提言する。

IV-A-1. CIO連絡会議に対し、省庁間の調整を改善し、非差別、透明で公平な情報システム(製品およびサービス)の調達を確保するため、IT調達改革を監督する権限を与える。

IV-A-2. 低い価格の入札やその他の反競争的行為を防止するための措置の効果を客観的に評価する方法を整備する。

IV-A-3. (2003年の両国首脳への報告書に従い)省庁がすべての新しい手続きをどのように実行しているかのフォローアップ調査から得たデータを公表する。

IV-A-4. 了解覚書によって実行されているIT調達手続きを改善する方法について民間からフィードバックを得るため、2003年度中にパブリックコメント手続きを行う。

IV-A-5. 政府に価値ある民間の専門知識をもたらすCIOの補佐に、その職務を公平にまた客観的に行うための明確な指針を提供する。

IV-B. 政府のIT調達改革を強化するため、以下の措置を含め、追加的措置を実行する。

IV-B-1.調達獲得に関する情報を、タイミング良く、透明で誰でも入手できる形で公開する。

IV-B-2. 総合評価落札方式(OGVM)調達のためのSDRを引き下げ、より広く実行可能とする。

IV-B-3.入札評価をプロジェクトの初年度予算ではなく所有権の全コストにより行うことで、情報システムの調達においてライフ・サイクル・コストの使用を奨励するため、より柔軟な予算手続き(例えば、複数年契約)を促進する。


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エネルギー

I. 独立した規制当局

 「日米間の『規制改革および競争政策イニシアティブ』に関する日米両国首脳への第2回報告書」(以下「両国首脳への第2回報告書」)において、日本政府は、厳正な市場の監視を行なうにあたり必要な人員、専門的知識および独立性を備えた執行メカニズムの重要性を認めた。公平で、効率的かつ安定的なエネルギー市場を確保するための日本の新しいエネルギー改革法の有効性は、そのような厳正な市場監視と、日本の規制当局によるガイドラインや規制等の精力的な実施能力に依存する。従って、米国政府は日本政府に以下の提案をする。

I-A. 経済産業省電力市場整備課およびガス市場整備課への専門家スタッフ配属の妥当性を調査した上で、「電気事業法およびガス事業法の一部を改正する等の法律」(以下「法律」)において規定している監視・実施責任の規模と人員に一貫性を持たせるよう、具体的な手段を講じる。

I-B. 適切な実施と監視を可能にするよう、これらの部署に独立した予算を配分する。

I-C. エネルギーまたはエネルギー・サービス供給者からの出向者を控える。またこれらの部署の職員に、エネルギーまたはエネルギー・サービス提供者にかかわる財政的利害がある場合は、それを公表する義務を課し、彼らを財政的利害を持つ案件の意思決定から外す。

I-D. 「法律」の施行省令等において、経済産業省におけるこれらの部署と政策策定部署との間の規制権限と責任の範囲・分担を明確に定義する。

II. 改革プロセス

 米国政府は、電力とガス分野の規制改革プロセスが前進する中で、法改正の際、例えば電気事業分科会の報告書案(「今後の望ましい電気事業制度の骨格について」)や都市熱エネルギー部会の報告書案(「今後の望ましいガス事業制度の骨格について」)に対してパブリックコメントを募集したのと同様に、引き続き(パブリックコメント手続きなどを通して)有意義な一般からの意見提出の機会を設けるよう、日本政府に求める。

III. 電力分野

III-A. 「法律」が、日本における健全で競争的で安定した電力市場の発展に有効であるためには、施行省令等の透明性のある策定と効果的な実施に依存する。従って、米国政府は、「法律」の目的を達成する具体的で詳細な省令等を迅速に発令するよう、日本政府に求める。

III-A-1. 公平性と透明性 「法律」は、送配電分野の公平性と透明性により市場参加者の信頼を促進するような、日本における規制枠組みの強化を目指している。「法律」のこの側面を効果的に実施するため、米国政府は、以下の事項を実現する具体的で詳細な省令等を採択するよう、経済産業省に求める。

III-A-1-a 託送業務において知り得た情報の目的外利用を禁止する。

III-A-1-b. 送配電部門と他の電力部門との内部相互補助を防止するため、会計分離を行う。また、会計規則や分離会計の詳細を公表する。

III-A-1-c. 一般電気事業者の送配電部門による、特定の電気事業者に対する不当に差別的な取り扱いを禁止する。

III-A-1-d. 供給区域を越えて送電するごとに課金する方式(パンケーキング)を廃止し、そのような料金を、パブリックコメント手続きを経て採用された送電料金算出方法に替える。

III-A-1-e. 厳正な市場の事後監視を行い、規制にかかわる紛争を中立かつ公平な方法で解決し、また、経済産業省がこれらの仕事を遂行するのに必要な人員、専門性および独立性を所持することを確保する。

III-A-1-f. 市場参加者の受益と負担の関係を踏まえ、送電設備増強のための費用を分配する。

III-A-1-g. 自由化によってもたらされる利益を需要家が完全に享受するために不可欠な、相互に接続された送電網を通じた多数の電源へのアクセスを、次の方法によってつくりだす。

III-A-1-g-(1) すべての市場参加者に、透明性のある送電設備接続手順と接続料金体系を提供し、ロードバランスやロードフォローなどの送電補助ネットワークサービス(例えば、アンシラリー・サービスなど)の価格設定と提供に関する規則を出すことによって、広域において経済効率の良い電力取引を可能にし、そうした取引の支援に必要な場合、送電線関連施設のタイミングの良い建設を可能にするシステムを確立する。

III-A-1-g-(2) 国内の既存発電能力が、需要変動に対応すべく最も望ましい状態で常時利用された場合(例えば、地域間経済融通)や、送電容量が常に手ごろな価格で入手可能な場合、結果としてどのような発電パターンが得られるかを見極める調査に取り組む。具体的には、もし国内電力取引市場が設立された場合のように、日本が発電インフラ設備を最も経済的な方法で運営するにあたり、十分な接続容量があることを証明するための電力フローの調査に取り組む。もしその調査によって、競争力のある国内電力取引市場を支えるために必要な接続容量に不備があると判明した場合、経済的に可能な限り、その不備を改善する具体的な措置を策定する。

III-A-1-h. 行為規制と事後監視の有効性の調査を実施する。

III-A-1-i. もし行為規制や事後監視が不十分であると証明された場合は、不当に差別的な取り扱いを禁止するためのより構造的な方法を規定する。(例えば、多数の送電システムの管理を、単一の送電料金を提供する唯一の送電サービス提供者となる独立した中立のオペレーターに移す等)

III-A-2. 中立性とアクセス 「法律」では、市場の中立性とオープンアクセスを促進するための中立機関の設立を規定している。米国政府は、以下の項目を達成するよう、経済産業省が具体的で詳細な省令等を実施するよう勧める。

III-A-2-a. 強力な執行能力に支えられた、中立機関の意思決定過程の公平性と透明性に関する政府の有意義な監視を確保する。

III-A-2-b. 中立機関のメンバーについて、特定のセクターが意思決定過程に支配力を持たず、多様な構成からなるよう、メンバー指名にかかわる執行可能な基準を策定する。(すなわち、メンバーは、一般電気事業者だけでなく、新規参入者、ネットワークに接続している自家発電設置者、卸電力事業者および専門的知識を有する学識者を含むべきである)

III-A-2-c. 中立機関が、公平かつ透明なプロセスにより、効率的で安定的な送電設備の運用と建設を促進するためのルールを策定し、公開することを義務付ける。

III-A-2-d. 中立機関に、あらゆる送電需要家に代わって、送電線の送電可能容量を含む送電ネットワークに関する透明な情報公開システムを運用させることを義務付ける。

III-A-2-e. 中立機関の有効性について定期的に調査し、タイムリーで明確な決定を行えないと証明された場合は、中立機関の解散を検討し、市場参加者を含まない真に独立した偏見の無い機関が取って代わるとの規定を義務付ける。

III-A-3. 新規参入 需要家の選択肢を増やし、日本の電力市場への新規参入を推進し、市場の競争状況を改善するため、米国政府は日本政府に対し、電源開発株式会社の民営化が市場に与える影響を十分に考慮し、独占禁止法に適法な形で同社が民営化されるよう勧める。

III-B. 「両国首脳への第2回報告書」の中で、日本政府は、電気事業分科会の「今後の望ましい電気事業制度の骨格について」に記載されているいくつかの重要な要望を強調した。米国政府は、これらの要望を「法律」の施行省令等に成文化するよう、日本政府に求める。

III-B-1. 公平性と透明性 米国政府は、日本の電力市場の公平性と透明性を確保するため、日本政府が、スポット市場取引を扱う全国規模の私設・任意の卸電力取引市場を整備するための具体的で詳細な省令等を実施するよう提言する。

III-B-2. 中立性とアクセス すべての市場参加者の送電線アクセスを増やすため、現行のバランシングルールを30分3%同時同量から、予定電力量と実際の電力注入量の変動範囲を需要の3%から10%まで幅を持たせるよう弾力化する措置や、変動範囲を超えるインバランスに対する事故時バックアップ扱いの廃止などの系統利用ルールの変更を行なうため、米国政府は、日本政府に対し、具体的で詳細な省令等を実施するよう求める。

III-B-3. 自由化の継続 日本の電力市場において需要家の選択肢と投資家の信頼を拡大するため、米国政府は、「今後の望ましい電気事業制度の骨格について」の中で以下のとおり決められている自由化のスケジュールと一致するように、具体的で詳細な省令等を設定するよう日本政府に求める。

III-B-3-a. 500kW以上の高圧需要家を含めることにより、2004年4月までに、電力小売自由化範囲を市場の約40%まで拡大する。

III-B-3-b. 50kW以上の高圧需要家を含めることにより、2005年4月までに、電力小売自由化範囲を市場の63%まで拡大する。

IV. 天然ガス分野

IV-A. 「法律」が日本における健全で競争的で安定したガス市場の発展に有効であるためには、施行省令等の透明性のある策定と効果的な実施に依存する。従って米国政府は、「法律」の目的を達成する具体的で詳細な施行省令等を迅速に発令するよう、日本政府に求める。

IV-A-1. 公平性と透明性 米国政府は、日本のガス市場の公平性と透明性を確保するため、日本政府に対し、以下の項目を達成する具体的で詳細な省令等を実施するよう求める。

IV-A-1-a. 料金認可の査定・監査を一層厳格に行い、市場での自由な競争の結果として生じる紛争を処理し、高度な専門性と独立性を持って中立・公正な事後監視・紛争処理を行う仕組みを確立、強化する。

IV-A-1-b. 経済産業省内の当該の仕組みが、このような目的を果たすために必要な職員数、専門的知識、および独立性を有することを義務付ける。

IV-A-2. 中立性とアクセス 米国政府は、「法律」の目的を履行するため、以下の項目を達成するような具体的で詳細な省令等を公布するよう、日本政府に求める。

IV-A-2-a. 現行制度では一般ガス事業者のみに付与されている公益特権(例えば土地収用権)を、第三者がガス供給用導管を建設する際にも付与することにより、一般ガス事業者以外の者のガス供給用導管の建設と改良を促進する。

IV-A-2-b. 現行制度では国内大手4社のみに適用されている託送義務を、ガス供給用導管を保有または運営するすべての者に適用する。

IV-A-2-c. 原則として、ガス供給用導管を保有または運営する者すべてに対し、託送約款の作成・届出・公表を義務付ける。

IV-A-2-d. 会計分離、情報遮断、および特定の託送利用者に対する差別的な扱いの禁止を規定する実施規則等の作成を規制当局に義務付ける。

IV-A-2-e. 行為規制および事後監視の有効性の調査を実施する。

IV-A-2-f. もし行為規制や事後監視が不十分であると証明された場合は、不当に差別的な取り扱いを禁止するためのより構造的な方法を規定する。

IV-A-3. 自由化の継続 日本のガス市場において需要家の選択肢と投資家の信頼を拡大するため、米国政府は、以下の項目を達成する具体的で詳細な施行省令等を実施するよう、日本政府に求める。

IV-A-3-a. 現行の大口供給の事前許可制を届出制にし、規制当局が変更命令や中止命令を出す権限を保持する。

IV-A-3-b. 現在は大口供給のみに要求されている託送約款の作成義務を、卸供給を目的とした託送にも拡大することで、卸市場を活性化させる。

IV-A-3-c. 現行の卸供給届出制度を廃止する。

IV-B. 「両国首脳への第2回報告書」の中で、日本政府は、都市熱エネルギー部会の「今後の望ましいガス事業制度の骨格について」に記載されているいくつかの重要な要望を強調した。米国政府は、これらの要望を「法律」にかかわる施行省令等に成文化するよう、日本政府に求める。

IV-B-1. 中立性とアクセス 米国政府は、日本政府に対し、すべての市場参加者についてLNGターミナルを含むガス導管システムのあらゆる部分へのアクセスを増やすため、経済産業省と公正取引委員会の共同ガイドラインを公表することで、LNGターミナルの保有者(または運営者)と第三者利用者との間の非差別的な交渉を確保する、具体的で詳細な省令等を含めるよう提言する。米国政府は、非差別的アクセスの目的を達成するため、日本政府が以下の事項を行なうよう要請する。

IV-B-1-a. LNGターミナルの保有者が、ターミナル利用の条件と手続きを明瞭に説明する文書を作成し、すべての利用希望者に提供することを義務付ける。

IV-B-1-b. LNGターミナルの保有者が、利用の申し込みを拒否した場合は、その拒否事由を文書により相手方に通知することを義務付ける。

IV-B-1-c. 導管網とLNGターミナルの利用状況の情報開示に関するガイドラインを策定する。

IV-B-1-d. LNGターミナル保有者による潜在的な利用者への差別を防止するために必要な政府の責務を明記し、執行メカニズムを明確に定義する。

IV-B-1-e. 「法律」が導管網に課している、競合するガス供給者からの接続要請に対応する義務を明確化する。

IV-B-2. 新規参入 米国政府は、日本政府に、需要家の選択肢を促進し、日本の電力市場に新規参入を推進し、市場の競争状況を改善するため、以下の事項を達成する具体的で詳細な施行省令等を発令するよう提言する。

IV-B-2-a. 導管網が未整備な地域において新規導管の敷設や、いくつかの需要地を連結する基幹導管の敷設に対する投資優遇策を設定する。

IV-B-2-b. そうした規則に、優遇策の対象となる導管プロジェクトおよび適用期間を明記する。優遇策には以下のものを含みうる。

IV-B-2-b-(1) 対象導管の保有者および運営者に、託送約款の作成・届出・公表義務を免除する。

IV-B-2-b-(2) 対象導管の保有者および運営者に、託送料金設定の際、高めの収益率の設定を認める。

IV-B-2-c. 既存導管の保有者が、必要な新規導管の建設を妨害したり延期させる手段として当該規定を利用しないよう、新規導管敷設にあたり既存導管の有効利用に関する意思決定過程を用心深く監視する。

IV-B-3. 自由化の継続 米国政府は、日本のガス市場において需要家の選択肢と投資家の信頼を拡大するため、日本政府に対し、都市熱エネルギー部会の「今後の望ましいガス事業制度の骨格について」の中で以下のとおり決められている自由化のスケジュールと一致するように、具体的で詳細な省令等を制定するよう求める。

IV-B-3-a. 2004年までに、年間契約ガス使用量50万?以上の需要家を含めることにより、小売自由化の範囲を市場の約44%まで拡大する。

IV-B-3-b. 2007年までに、年間契約ガス使用量が10万?以上の需要家を含めることにより、小売自由化の範囲を市場の50%まで拡大する。

IV-B-3-c. 年間契約ガス使用量が10万?未満の家庭用および小規模業務用需要の自由化の時期および方法については、それまでに実施された自由化の成果と問題点を評価、検証するとともに、ガスの調達構造の変化や海外における自由化の経験に留意しつつ、時機を逸することなく結論を出す。

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医療機器・医薬品

I. 医療機器・医薬品の価格算定改革と関連事項

 日本は包括的な医療制度改革、そして、医療機器・医薬品市場および産業の国際競争力強化に取り組んでいる。日本は、そのための提言を医療制度改革計画および医療機器・医薬品産業ビジョンの中で述べている。革新的な医療機器・医薬品を迅速に入手可能とし、広範囲に使用することは医療の質を改善する一方で、全体的なコストを抑制する。米国政府は、日本が、革新の重要性という産業ビジョンの原則を導入し、短期的な財政削減を目的として実施し、革新性を阻害する結果となる恣意的な政策を排除することを促す。日本が改革を進めるにあたり、米国産業を含む業界が意見を表明する有意義な機会が与えられることが重要である。米国政府は日本政府に対し、2003年日米官民会議が提言しているように、産業ビジョンの計画の実行を迅速に行い、特許期間または製品寿命にわたり、世界的に競争力のある報酬を与えるような保険償還政策の導入を検討するよう求める。米国政府は、官民会議の提言の遂行に向け以下の措置に取り組むよう提言する。1)革新的製品の加算ルールの適用を増やす、2)最も効果的で評判の高い製品の価格を不当に下げる措置を排除する、そして、3)原価計算方式、その他の価格算定ルールにおける非生産的な変更を差し控える。日本政府が医療制度改革を進め、医療機器・医薬品産業の国際競争力強化に取り組むに当たり、米国政府は以下の措置を講じるよう求める。

I-A. 製品の売上高に基づく市場拡大の再算定基準は、適応(効能・効果)に変更があった場合の再算定も含めて廃止する。また、比較薬が市場拡大再算定を受けた場合の再算定も廃止する。再算定における市場拡大基準の利用は、革新を促進するという日本の目標に反するものである。というのは、それは、価格削減を行うことで、市場で成功し需要の高い革新的製品に対して、不利益となるからである。

I-B. 医薬品研究や医療技術の進歩など、革新性を認識し促進するため、加算ルールを含む価格算定ルールを最大限に利用する。新しく拡大された加算ルール適用の結果を、それらが革新性を十分に認識し促進するために使われたかどうかを確認するため、定期的に見直す。加算は、すべての算定ルールと計算がされた後に適用する。これにより、加算がその後の計算により減少することを防ぐ。

I-C. 市場導入順位により製品の革新性を評価する方法を止める。新しい製品の価格を決定する際、製品の導入日ではなく、その製品の特質一式を考慮する。革新性は市場導入の順番に左右されないので、このような政策は、革新性の価値を評価する価格制度の機能を高める。

I-D. 医療機器分野の革新を促進するため、新たな価格区分の適応数を増やし、さらに透明で時宜を得た新製品の保険収載制度を利用する。C1の医療機器を1年に4回、C2の医療機器を1年に1回保険適用する。

I-E. 診断機器(例えば体外診断薬や画像診断機器)の透明性のある償還方法を確立する。革新的で、医師や患者に、より高い有用性を与える診断機器が、適切に評価されることを確保する。

I-F. 価格データの採取方法を含め、償還価格設定手続きの透明性を改善する。その過程において、以下の措置を取ることにより、業界に積極的な意見表明と参加の機会を提供する。

I-F-1. 算定価格を提案する過程において、申請者に、価格算定にかかわるすべての厚生労働省の職員と協議をする機会を提供する。

I-F-2. 薬価算定組織と保険医療材料専門組織の最初の会合で、申請者に、意見の表明をさせることにより効率性と透明性の向上を図る。

I-G. いかなる価格算定の政策変更の前でも、米国産業を含む業界に対し、協議への参加と意見を表明する有意義な機会を与える。

I-H. 日本市場に製品導入をする際の特定の費用を考慮しない上限価格を課すことを控える。

I-I. 後発品が存在しない長期収載品の再算定をするという計画の可能性を否定することにより、革新的なバイオロジック製品の開発と導入を促進する。このような計画は将来の生命科学の革新の価値を害するだろう。

I-J. 特定機能病院医療包括制度(DPC)や診断群別支払い方式(DRG)、定額支払方式(PPS)、その他可能性のある支払い制度について、米国業界を含む業界に対し、意見を表明する有意義な機会を与える。

II. 医療機器・医薬品の薬事規制改革と関連事項

 薬事法の改正と、2004年4月までに設立される医薬品医療機器総合機構(PMDO)は、日本の薬事制度の敏速な対応と効率性を改善し、革新的な製品をより広く、より早く患者に提供する歴史的な機会を提供する。米国政府は、日本が、信頼性、効率、調和、そして、最新のグローバルスタンダードである科学理念を取り入れた規制制度を構築する努力を支援する。そして、日本政府が、より良く、より安全で、より革新的な製品の開発を促進するため、産業ビジョンに提言された目標を実施するための措置を取ることを促す。また、米国政府は日本に対して、2003年日米官民会議が提言したように、産業ビジョンの実施を迅速化し、そして、知的財産権の保護と施行の強化を検討するよう求める。日本が、改定薬事法を実施し、同機構の設立をするにあたり、米国政府は以下の措置を講じるよう求める。

II-A. 医薬品医療機器総合機構の設立、手数料の構築、そして、薬事法の改正について、既に行われている業界との開かれた対話を続ける。規制の改革について、業界が意見を表明する有意義な機会が与えられることを確保する。

II-B. 医薬品医療機器総合機構が、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構と医薬品医療機器審査センターの、市場導入前と審査活動の全面的な機能的統合により設立されることを確保する。同機構の中に適正な技術的知識をもって評価、承認、協議をするための治療分野検討チームを創設する。

II-C. 新たな医療機器と医薬品の審査の迅速化に専念するため、適切な専門的知識を持つ人材を含む資源の増加を目的として、同機構の予算を補完するため、すべての手数料を利用する。さまざまなサービスに対する、容易で明確に定義された手数料体系を確立し、手数料を公表する。手数料体系のいかなる変更についても、業界と議論し、それは、同機構が達成した、合意された評価指標に直接関連するよう確保する。

II-D. 確立された基準のある、透明な評価指標を構築し、2004年4月より実施する。そこには、申請品目の承認期間の改善のための特定の数量的な目標を同指標に含める。同指標の達成度と手数料収入の利用率について毎年報告する。

II-D-1. 医薬品の評価指標 新規申請(NDA)のさまざまな評価指標の中に申請から面接審査会まで最大180日の期間を含める。新規化合物(NCE)が 、2004年4月1日から5年間の段階的な改善を経て、12カ月の経過時間で承認されることを確保する。例えば、12カ月以内に2004年度までに全体の10%、2006年度までに60%、そして2008年度までに90%を完了する。審査が審査・承認時間の基準より遅れないことを確保する。業界との協議を通じて6カ月の経過時間で完了する「優先審査」の基準を構築する。優先審査には、新規化合物(NCE)と同様の5年の評価目標を使う。

II-D-2. 医療機器の評価指標 医療機器申請のさまざまな評価指標の中に、新医療機器について、最大150日の申請から中間審査会までの期間を含める。2004年4月1日から5年間の段階的な改善を経て、すべての種類の申請が、特定の期間内に承認されることを確保する。

II-E. 開発、承認審査、市販後の段階で、申請者と医薬品医療機器総合機構の意見の相違を仲裁する、時宜を得た、透明で効率的な不服申し立ての仕組みを設立する。

II-F. 有害反応を分析し対応する過程を通して、製造業者が中心的な役割を果たし、厚生労働省・医薬品医療機器総合機構の安全問題の担当官(内部および外部専門家)との協議に有意義に関与することを確保する。国際的に受け入れられたベストプラクティスに基づき、時宜を得た、入念で科学的な方法で有害反応を評価する。

II-G. 品質管理制度(QS)が設立されるに当たり、米国政府は以下の措置を講じるよう提案する。

II-G-1. 限られた査察の人的資源を節約するため、例えば、承認前の品質管理査察を臨床データが求められる高リスクの製品に限り行う。

II-G-2. 第三者機関のサービスを、外国の製造業者の査察と適合性評価の報告書を入手する手段として利用する。そして、さらなる国際整合性のために、そのような第三者機関に査察をさせ、医療用具規制国際整合化会議の提案に基づき、査察結果を報告する。

II-H. 統一書式の概念(例えば、新薬承認申請のコモン・テクニカル・ドキュメントや新医療機器申請のサマリー・テクニカル・ドキュメント)を順守し、追加の概要や資料の要求を差し控える。

III. 血液製剤

 日本は「日本の患者への血液製剤の安定的供給の確保」に寄与することを目的に需給計画を導入した。米国政府は以下の措置を講じるよう求める。

III-A. 需給計画の実施が外国製品を差別せず、日本の国際貿易の義務と完全に一致していることを確保する。

III-B. 価格ルールを公平かつ透明性をもって適用する。

III-C. 米国業界を含む業界に対し、血液および血液製剤の規制について、意義のある意見や情報の提供の機会、そして、定期的に透明性のある相談の機会を提供する。

IV. 栄養補助食品の自由化

 日本が栄養補助食品市場を自由化し続けるにあたり、米国政府は以下の措置を講じるよう求める。

IV-A. 米国業界を含む業界に対し、栄養補助食品の規制について、意義のある意見や情報の提供の機会、そして、定期的に透明性のある相談の機会を提供する。

IV-B. 厚生労働省の承認リスト(食品添加物、新規成分等)に成分を含めるかどうかについての決定は、健全な科学に基づくことを確保する。

V. 構造改革の提案された特区

 米国政府は、構造改革イニシアティブで提案されている特区を支持する。そして、厚生労働省に、提案されている重要な関連分野についての特区を、真剣に考慮することを求める。


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金融サービス

I. 個別措置

 米国は、以下の分野における規制改革が可能な限り早期に実施されることを歓迎する。

I-A. 投資顧問や投資信託管理活動を規定する規制の枠組みを見直し、不整合や重複を排除する。

I-B. グローバル・ベストプラクティスに基づいた基準を設定することにより、投資信託パフォーマンスの開示ルールを強化する。

I-C. MMF(マネー・マネジメント・ファンド)の時価評価、組み入れ資産の償還期間、格付け、および組み入れ資産の分散化などのルールをさらに改善する。

I-D. 被雇用者にとって確定拠出年金が退職後の有力な貯蓄手段となるよう、拠出限度額を引き上げる。拠出限度額の引き上げ方法として、事業主の拠出に相応する被雇用者の拠出を認める。被雇用者に確定拠出年金と確定給付年金の選択を与えている企業において、確定拠出年金が確定給付年金の有力な代替案となりうるレベルにまで、確定拠出年金の拠出限度額を引き上げることを確実にする。

I-E. いったん認可されたひな型(プロトタイプ)に沿った確定拠出年金プランは、中小企業が当局へ通知し、待機期間経過後は、基本骨格案の審査や認可をあらためて求められることなく低コストで採用できるよう、確定拠出年金プラン提供者がそうしたひな型を審査・許可のために申請することを認める。

I-F. 利用者が合意している場合、電子通知により、貸金業規制法に定められている開示要件を貸し手が満たすことを認める。この改定は次の点からも適切である。1)データ保護へのアプローチに関し、利用者の選択を拡大する個人情報保護法案が新しく成立。2)ローンの保証人に関する開示要件の改正が行われてから3年経過。3)貸金業者の行為を改善する法律が新たに成立。

II. 透明性

 金融分野での規制・監督に関する慣行の透明性を改善するため、米国は以下の措置が可能な限り早期に実施されることを歓迎する。

II-A. 特殊法人等の事業を詳細に見直し、 民間との競合を回避するとの公表された目標に整合するよう、米国は、既存の競争状況に影響を与えるような、郵便金融機関(郵貯ならびに簡保)による新たな金融サービス事業案に関連するすべての報告書、商品やサービスに対する認可要求や立法措置が、導入前に、時宜にかなうようにかつ完全に公示されパブリックコメントや検討の対象となるよう要望する。

II-B. 自主規制や投資家保護あるいは公共政策的な役割を担う業界団体の運営と意思決定は、透明かつ開かれた方法で行われるべきである。具体的には、米国は以下の提言を行う。
II-B-1. 業界団体による規則制定案すべてにパブリックコメント手続きを取り入れるべきである。業界団体の会員規則の最終的な取りまとめに際しては、一般から受け取ったコメントを真剣に検討すべきである。

II-B-2. 規制、監督基準等のガイダンス、運営規則・手続き、市場調査、その他の統計資料を含む文書類は、一般の人々が妥当な製作・複製費用で入手できるようにすべきである。

II-C. 自主規制機関を補うため、日本の金融当局が、会員企業の見解や専門的意見を全面的に代表する民間の金融業界団体を支援し、協力することを米国は要望する。

II-D. 導入されているノーアクションレター制度は限定的であり、広範には利用されていない。そのような状況で、ノーアクションレター制度は、革新的な商品等に対する規制障壁の緩和や日本金融市場の効率改善には十分寄与していない。ノーアクションレター制度を金融サービス部門の規制の透明性を促進するための効果的な手段にするため、本要望書の「透明性およびその他の政府慣行」でも提言されているものも含め、必要な措置を日本政府が取ることを米国は要望する。

II-E. 金融庁が新しい金融規則を採択・実施する方法は、透明性が不十分であり、焦点は限定的(選ばれた金融企業のみが、時折相談を受けるのみである)となっている。この方法にとって代わるものとして、行政手続法の下で、公聴会も含めた公式の金融庁規則決定手続きを採択するよう求める提言を、既存および新しい規則やガイドラインとの関連で、日本政府が検討することを米国は要望する。

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競争政策

I. 独禁法違反の防止

 独占禁止法(独禁法)の悪質な違反を抑止することは、効果的な競争法の執行制度にとって最も重要である。しかし、独禁法に規定されている現在の課徴金の水準は、効果的な抑止となるには、あまりにも低すぎる。また、明らかに悪質な独禁法違反に対する刑事告発は少なく、東京高等裁判所が独禁法を犯した企業や個人に科す刑罰は軽く、悪質な独禁法違反の抑止効果は限られている。したがって、米国は、日本に対して、以下の措置を要望する。

I-A. 課徴金の支払金額の水準を大幅に引き上げる。(共謀による売り上げの約20%)

I-B. 課徴金の支払い命令を現在の独禁法の規定する過去3年間のみではなく、違法な談合のあった全期間の売り上げに適用する。

I-C. 独禁法違反を繰り返す企業に対し、さらに厳しい措置を課す方法を検討する。

I-D. より積極的に独禁法の刑事規定を執行する。

I-E. 独禁法違反で有罪となった被告に対し、同法が有罪の被告を実際に服役させることを命ずるとおり、懲役を科すことを裁判官に勧奨する。

II. 公正取引委員会の執行力の強化

 公正取引委員会(公取委)が、しばしば秘密裏に行なわれている非競争的行為に対する独禁法の執行において、効果的であるためには、他の主要国の反トラスト執行当局が享受している自由な調査・執行権限の整備が必要となる。従って、米国は、日本に対して、以下の事項を要望する。

II-A. 公取委が内部告発者に対し、課徴金支払い命令を減免または全免することならびに刑事告発を差し控えることを認める法人措置減免制度計画を公取委が採用することを許可する。

II-B. 公取委の調査権限を日本の国税庁や証券取引等監視委員会が現在享受しているものと同等に強化する。

II-C. 公取委の経済分析能力のさらなる向上のための努力を強化する。

II-D. 刑事告発手続きを国内の他の経済犯罪に使われる手続きと矛盾しないよう見直す。

II-E. 公取委の調査への妨害や非協力行為に対する罰則を強化する。

II-F. 公取委が発動する排除措置命令を違法行為の終了後3年まで認める。


III. 談合の排除

 談合は、日本に依然として起きている問題であり、必要な経済構造改革の基礎を危うくし、日本の消費者や納税者に損害を与えている。日本の談合制度をさらに効率的に解体するため、米国は、日本に対し、以下の措置を要望する。

III-A. 談合に関与した企業に対する指名停止期間を最低9カ月間まで大幅に引き伸ばす。

III-B. 談合の関与が発覚した企業に科された指名停止は、全国を対象にする必要がある。

III-C. 省庁や地方政府の長による政府職員の談合関与調査の終了後、入札談合等関与の排除および防止に関する法律によって要求されているとおり、調査の最終報告書を公表することを確保する。

III-D. 国土交通省が財団法人経済調査会および財団法人建設物価調査会による違法談合行為の再発防止のために講じた措置ならびに同違法行為について責任を負うべき職員に対して取った処置の報告書を公表する。

IV. 規制緩和が行なわれている産業の競争促進

 日本の規制改革は、市場原理を理解し、日本の独占禁止政策に矛盾しない方法で行われれば、最も成功するであろう。日本の規制改革への努力を最大限に効果的にするため、米国は、日本に対し、以下の措置を要望する。

IV-A. 通信やエネルギー等の規制緩和が行なわれている産業において新規参入が既存の支配的 企業の反競争的・排他行為により締め出されないよう確保するため、公取委が効果的に 独禁法を執行するのに必要な措置を講じる。

IV-B. 競争原理および分析が、規制緩和の過程に十分に取り入れられることを確保するため、日本の規制改革計画の整備と実施に関する公取委の役割を強化する。

V. 公取委の資源

 公取委は、効率的に調査を行い、反競争的行為を取り除き、日本経済に競争を促進するため、引き続き資源の増加を必要とする。特に、公取委は、法律や経済の専門知識ならびに複雑な公益事業分野の構造や活動に精通した職員を増やす必要がある。よって、米国は、日本に対して、引き続き公取委の職員と予算を十分に、着実に増やし、高度な法律や経済の教育を受けた人員および電気通信やエネルギーを含む公益事業市場の詳しい知識を持った職員の数を増やすことを要望する。


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透明性およびその他の政府慣行

I. パブリックコメント手続き

 日本のパブリックコメント手続きは1999年に導入されたが、同手続きは通常日本の規制制度の透明性を大幅に改善する形では実施されていない。総務省が2003年8月22日に公表した同手続きの実施状況調査では、この手続きの活用に当たり、依然として深刻な欠陥があることが明らかになった。2002年度にパブリックコメントの対象となった399案件のうち、意見募集期間が少なくとも30日に設定されていた案件はおよそ半数にすぎず、さらには、行政機関が提出された意見を最終規制に取り入れた比率はわずか14.5%という非常に低いものにとどまった。この調査結果は、同手続きの運用が不適切であり、政府機関は、規制草案をパブリックコメントに付す前に特定利益団体とその草案を策定(事実上最終承認)しているのではという見方を強める。こうした懸念に対処し、同手続きを有益かつ効果的な規制メカニズムにするため、米国は、日本政府が以下の措置を講じることを求める。

I-A. パブリックコメント手続きの運用を改善し、同手続きの効果的かつ広範な活用を促すため、規制の設定または改廃の際には、全省庁が同手続きを通して幅広く意見や情報を積極的に収集すべく下記の措置を講ずる。

I-A-1. 緊急を要する案件以外は意見募集期間を最低30日間と義務付け、そして標準的な意見募集期間を60日間とするよう提言する。

I-A-2. 草案に対して提出されたすべてのコメントを、適切な範囲内において、最終的な規制案に取り入れることを義務付ける。

I-A-3. パブリックコメントの提出にあたり、枚数の制限や80字以内の要約等の過度に厳しい要件ならびに同手続きの趣旨に反するその他の要件を課すことを禁止する。

I-A-4. 一般市民が容易に(パブリックコメント手続きの適用対象の当否にかかわらず)審議会、研究会、勉強会およびその他の検討会による意見募集案件を含む、意見募集案件を1カ所で知ることができる中央システムを構築する。

I-A-5. 政府設立機関や認可された自主規制機関によって提案された規制・規則等はすべてパブリックコメントに付され、提出された意見が最終案に適切に反映されるよう真摯に検討することを義務づける。

I-A-6. パブリックコメント手続きを、行政手続法に組み入れるために必要な法的措置を講じ、単なる指針から法律にして強化する。

I-B. 米国政府は、日本の意思決定過程における公平さや透明性を促進し、パブリックコメント手続きの有効性を増大させることを引き続き提言する。米国は、総務省が在日米国大使館とともに、一般市民が規制制定過程に参加することの意義に関するシンポジウムを共催することを提言する。このシンポジウムで、総務省は同省の最新のウェブサイト、パブリックコメント手続きの運用方法、提出された意見の採用有無の判断、および規制制定過程の改善に向けた今後の取り組み等を説明し、シンポジウムの参加者は総務省に問題提起をしたり、パブリックコメント手続きに関する質問や同手続きの改善に向けた提案を行える。

II. 構造改革特別区域(特区)

 日本全国に特区を設立することを目指した日本政府の現行の取り組みを、米国政府は引き続き注視している。特に、現在までに小泉首相により164の特区が設立されたことを米国は歓迎する。規制撤廃・緩和および構造改革に向けたこの新しく革新的な取り組みは、日本が持続可能な成長に復帰するための重要な機会を与えこととなる。日本がこの計画を実施するにあたり、米国は以下のことを提言する。

II-A. 今後も特区が透明な形で選定され設立される。

II-B. 市場参入機会の拡大に焦点を当てる。

II-C. 国内外の企業双方が、特区内で事業展開できるよう非差別的なアクセスを確保する。

II-D. 特区内で成功した措置については、可及的速やかに全国規模で適用する。

II-E. 構造改革特別区域推進本部は、米国企業も含め外国企業が特区提案の提出、既存の特区への参加、および特区設立にかかわるすべての過程に参加するにあたり、引き続き協力する。

II-F. 評価委員会が特区の成功の是非および全国展開すべき特区の判断を行う際に以下のことに取り組む。

II-F-1. 特区の成功の是非を判断するにあたり開催した会合および利用した情報を公開し、適切であれば、評価プロセスの中で一般市民から意見を募ることにより、特区の評価プロセスの透明性を確保する。

II-F-2. 一般市民や特区にかかわる者の評価プロセスに対する十分な理解を促すために、評価が決定した際には、決定評価と関係資料を公開する。

III. 市民参加による法案策定

 米国は、日本の省庁が、法案が国会に提出される前の作成段階で、一般市民に意見表明する機会を提供する頻度が増えつつあることを評価する。米国は、日本の省庁がこの慣行を引き続き実施することを奨励し、法案が作成される初期の段階で法案に対し意見表明できるより多くの機会を期待する。法案作成に対する一般市民の意見提出の機会が必要とされる具体的事例2件は以下の通り。

III-A. 生命保険契約者保護機構 生命保険契約者保護機構(生保PPC)に資金提供を行なう現行制度は、2006年3月末に失効する。米国は、日本政府に対し、セーフティーネットの仕組みを徹底的に見直すために速やかに金融審議会を召集するとの約束を実行するよう求め、より効率的で持続的なセーフティーネット制度を確立するための法律を、2006年3月に現在の暫定措置の期限が失効する前に制定するよう求める。生保PPCの改革のための法律は、国内生保および外資系生保の双方の財政基盤、運営、ひいては生保業界に対する国民の信頼にも大きな影響を与える可能性がある。従って、米国は、日本政府に対し、パブリックコメント手続きを最大限に利用・実施するよう求め、生保業界(国内生保および外資系生保)とすべての利害関係者が、保険業法の改正案、生保PPCの改革法、または、生保PPCにかかわる他の既存の法律や規制に関し、それらが国会に提出されたり実施される前の段階で情報を入手し、コメントし、政府関係者と意見交換を行なう有意義な機会が確保されるよう求める。これらの機会には、日本政府が召集する可能性のあるワーキング・グループやそれらのグループの構成部分に貢献する等、生保PPCを改革するための審議に積極的に貢献することを含む。

III-B. 損害保険契約者保護機構 米国政府は、損害保険契約者保護機構(損保PPC)に対する資金提供に関する法律が検討される場合には、日本政府に対し、上記III-Aの生保PPCの事例と同様に取り組むよう求める。

IV. 特殊法人の民営化

 米国は、日本道路公団や日本郵政公社の民営化を含む日本の特殊法人を民営化および再編するという小泉首相の取り組みに引き続き関心を持つ。米国はまた、この改革が積極的に推し進められれば、競争が促され、また資源のより生産的な活用をもたらすような重要な影響を日本経済に与えることになると考える。特殊法人改革にあたり、米国は、日本に対し、以下の措置を引き続き求める。

IV-A. 特殊法人の民営化および再編を透明な形で行う。

IV-B. 特殊法人改革によって影響を受ける、あるいはその可能性のある国内外の民間機関に対し、パブリックコメント手続きの活用などを通して、意見を提出する意義ある機会を確保する。

V. 郵便金融機関

 郵便金融機関(郵便貯金「郵貯」および簡易保険「簡保」)が日本の金融市場の効率的な運営に与える影響について、日本経団連やその他の機関が表明している懸念を、米国政府は引き続き共有する。

V-A. 透明性 簡保商品および日本郵政公社による元本無保証型の「郵貯」投資商品の開発および販売にかかわる法律の改正案の策定につき、米国政府は、総務省が、関連分野における民間活動に影響を及ぼしうるあらゆる面について、一般市民(外国保険会社も含む)への十分な情報提供および意見の収集を行う手段を講じることを求める。それは、保険業界や他の民間関係機関(国内外を含む)が以下の事項に関し、意見を述べ、また総務省の職員と意見交換する有意義な機会を提供することを含む。

V-A-1. 国会提出前の総務省の計画や法案

V-A-2. パブリックコメント手続きの最大限の活用と実施を伴う、実施段階前のガイドライン案やその他の規制措置

V-B. 同一基準 米国は日本に対し、郵便金融機関と民間の競合会社間の公正な競争確保のため、郵便金融機関に民間と同一の法律、税金、セーフティーネットのコスト負担、責任準備金条件、基準および規制監視を適用することを提言する。

V-C. 拡大抑制 米国は日本に対し、郵便金融機関(簡保と郵貯)は、民間が提供できるいかなる新規の保険商品の引き受け、あるいは新規の元本無保証の投資商品を提供することを、上記にあるように公正な競争が確保されるまでは、禁ずることを求める。そのために、米国は日本政府に対し、新規の商品に関し、1994年の日米保険協定に規定されている新規商品の検討および認可手続きに関する日本の約束を再確認するよう求める。

V-D. 民営化 米国政府は、2007年4月の郵政民営化を目標に、小泉首相が竹中経済財政・金融担当大臣に簡保、郵貯を含む郵政3事業の民営化プランを、2004年秋までに作成するよう指示したことを特筆する。現行制度のいかなる変更も日本の広範な保険市場における競争およびその効果的な運営に重要な影響を与えるため、民営化に関するすべての意思決定および実施についてはオープンで透明性のある方法で行われることが重要である。これには、上記のV−Aに述べられているものと同様の措置が含まれる。

VI. 共済 同一基準

 共済は、民間と直接競合する各種の保険商品を提供し、日本の保険市場において相当な市場シェアを有している。管轄省庁が規制をしている共済(例えば、農林水産省は農業共済を規制している)もあれば、全く規制を受けていない共済もある。共済に対する規制制度の欠如および、その他の共済に対する弱い規制制度は、健全かつ透明な規制環境を企業や保険契約者に提供する日本政府の能力を損なうものであり、また、共済がビジネス、規制および税の観点から民間の競合会社に対し大幅に有利に立つ要因となっている。米国は日本に対し、共済と民間競合会社間の公正な競争確保のため、すべての共済事業者に民間と同一の法律、税金、セーフティーネットのコスト負担、責任準備金条件、基準および規制監視を適用することを提言する。

VII. ノーアクションレター手続き(法令適用事前確認手続き) 

 行政機関による法律や規制の解釈、の事業取引計画や事業活動計画で許認可の取得が必要か否かについて疑問を抱く規制された企業は、ノーアクションレター手続きに基づき、所管行政機関に対して当該事項に関する事前確認を求めることができる。同制度の導入から2年以上が経つが、同手続きはほとんど活用されていない。米国は、この現状は3つの主たる要因によるものではないかと考える。a)規制当局との非公式の話し合いの場において、照会者が、当局の公式見解が否定的なものになると認識し、照会を取り下げるため、b)規制当局が、照会に関する質問は照会者自身が判断すべきであるという理由で照会を受け付けないため、つまり、照会者自らが法律を解釈せねばならないが、後に規制当局者の検査対象となる。c)規制当局が照会事項は現行の事業活動の範囲にあり新規事業に該当しないとの理由で照会の受け付けを拒否するため。照会が非公式に拒否されたり事前審査を受けるということは、一般市民にとり入手可能で指針となる規制の解釈体系が確立されていないことを意味し、規制プロセスの明確さや透明性の低下を意味する。例えば、自己判断に任せるという規制当局のあいまいな対応のため、照会企業は検査や執行段階において制裁措置を受けるのではないかという懸念から、自己判断を行うことに当然消極的になる。

VII-A. 透明性 米国は、日本の省庁が、ノーアクションレター手続きを通して行われた照会を歓迎するという旨を明確にするとともに、当該照会内容が管轄外であるか、または、すでに回答が出ている(以前の照会を含む)場合を除き、所管省庁はすべての照会を受理し正式に検討することを要請する。また、米国は、所管省庁が照会は自己判断事項であるとの回答を行う場合には、その旨を文書化し公的記録として公表するよう要請する。さらに、米国は、新規事業および現行の事業活動に関する照会も同手続きの対象となるよう、同手続きおよび法令解釈判断の対象を拡大することを要望する。

VII-B. 効率的規制 米国は、規制プロセスの効率を高めるために、ノーアクションレター手続きの活用を大幅に拡大することを要請する。同手続きは、特定の規制解釈に関して、極めて集中的かつ事実に基づく形で、規制当局者と照会者が合意を得る効率的な機会を提供する。また同時に、同様な状況にある規制された企業に対し、一般的な指針を提供する。公式な手続きは、規制された企業に公平な競争の場を確保するとともに、規制当局が法令解釈を公開することを通じて、長期的には企業が当該法令を自主順守することを促し、結果、規制当局は、より広範な規制作成および政策課題に資源を集中させることが可能となる。

VII-C. 是正措置 米国政府は、規制政策に関する重要な指針を企業に提供するため、ノーアクションレター手続きが広く活用されていない業界について、総務省の独立行政法人評価委員会が極秘に評価するよう求める。同委員会による評価は、ノーアクションレター制度が十分活用されていない理由に焦点を当て、有意義な目標の設定を含めた是正措置を取ることにより、多くの照会が規制当局によって処理される効果的な制度を構築すべきである。そのような措置には以下の事項を含む。

VII-C-1. 在日米国商工会議所および国際銀行協会を含む業界団体が、会員の特別な関心事項に関しノーアクションレター手続きに基づいた照会を行うことを許可する。

VII-C-2. 法律事務所、会計事務所、ビジネスコンサルティング会社、その他同種の会社を含む、専門サービス組織が、匿名の顧客に代わりノーアクションレター手続きに基づいた照会を行うことを許可する(照会内容が仮定のものではなく、また、特定の取引に関する許可申請に際しては、関係者情報の公開が必要であるという認識のもとで)。

VII-C-3. ノーアクションレター制度をいかに改善し、日本の規制制度改善のために活用しうるかについて産業界の意見を聞くため、総務省と規制当局が共同して年次の合同会議を開催することを奨励する。

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法務サービスおよび司法制度改革

I. 法務サービス

I-A. 提携の自由 米国は、日本が2003年夏に「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法」(外弁法)を改正し、外国法事務弁護士と日本弁護士による提携の自由に関する規制を実質的に取り除いたことを高く評価する。このことは、非常に大きな影響をもたらし、また、日本の消費者が統合された国際的法務サービスを効率的かつ適時に利用することを可能ならしめるために、ぜひとも必要とされる。しかし、この法改正は、速やかに、かつ、改正法の自由化に向けた目的を損なうことなく実施されるべきである。従って、米国は日本に対して、以下の措置を講じることを提案する。

I-A-1. 改正外弁法の「提携の自由」にかかわる条項が、2004年9月までに施行されるように、必要なすべての措置を講じる。

I-A-2. 日本弁護士連合会(日弁連)および地方弁護士会は、登録された外国法事務弁護士 (外弁) が投票権を有する会員となることを認めること、 また、外弁が外弁法および弁護士法の改正に伴う規則、規制の素案作成にかかわるすべての委員会、研究会に完全な形で参加することを認めること、さらに、日弁連がそのような規則および規制の素案をパブリックコメントに付すため、最終決定がなされる代議員会および、あるいは、総会に相当期間先立って公表することを確保する。

I-B. 専門職法人および支店 外弁および外国法律事務所は、日本弁護士が日本において法務サービスを提供する業務形態と同一の形体を選択することが許されるべきである。米国は、外弁による専門職法人設立の制度化について検討を行うとする日本の公約を歓迎する。この関連で、米国は日本に対して、以下の措置を講じることを要請する。

I-B-1. 外弁が、原資格国における組織の支店を日本において開設することの代案として、日本弁護士による専門職法人と同一の位置付け、また、利便をそなえた専門職法人を設立することを許可する。

I-B-2. 外弁による法律事務所および「共同事業」が、日本弁護士による専門職法人と同一の位置付けで、その支店を日本全国に設置することを可能とする。

I-C. 外弁に関する資格基準の最小化 日本に対して長期的な関心を有し、外弁資格を取得しようとする外国弁護士を励ますために、米国は日本に対して、外国弁護士が日本において原資格国法に関する業務を行ったすべての期間を、外弁資格の3年間の職務経験要件に算入することを認めることを求める。

II.司法制度改革:司法による行政機関の監視 

 法の支配に基づく近代的司法制度の基本原則は、行政による決定あるいは行為により不利益を被った者は、裁判所あるいはその他の独立機関によるそうした決定や行為の効果的な審査を求めることが可能なことである。これに関連して、米国は、既存の行政訴訟制度を包括的に見直し、2004年11月30日までに必要な改善を行うとする日本の公約を評価する。米国は日本に対して、以下の措置を講じることを求める。

II-A. 行政による規則や決定に対する司法による審査を求める者に課せられた既存の要件に必要な修正を加え、行政による規制行為の結果、根本をなす法制度の広範にわたる利害関係の範囲に属する損害を被った者は、そのような行為を適切な裁判所に提訴することができるものとする。

II-B. 司法制度改革推進本部がこの分野において提起する改正案の詳細をパブリックコメントに付すため公表する。

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商法

I.近代的な合併手法の採用

 日本経済の再活性化は、企業再構築を奨励し、内外からの投資を拡大することによって促進される。対価や取引構造の形態にもよるが、近代的合併手法が利用できるかどうかは、再活性化の過程において極めて重要である。日本は、改正産業活力再生特別措置法のもとで行われる企業再編において、三角合併および現金合併を認めることにより、その第一歩をしるした。しかし、外国投資家がこれらの合併手法を使用する場合には障害があり、また、同法の範囲外において合併や再編を模索する企業にとっては、これらの合併手法を利用することができない。従って、米国は、近代的合併手法、特に三角合併および現金合併(ショート・フォーム マージャーを含む)を、日本で事業あるいは投資活動をしているすべての企業が、法的にも実際にも利用できるようにするため、日本が必要な手段を講じることを提言する。この目的のために、米国は日本に対し、以下の措置を講じることを求める。

I-A. 2003年末までに、パブリックコメント手続きに付すために発表される2004年度商法改正の中間試案の中に、(三角合併および現金合併手法を利用可能とするため)合併対価の柔軟性を導入し、ショート・フォーム(スクイーズ)マージャーを導入する提案を含む。

I-B. 改正産業活力再生特別措置法の関連条項の実施状況を点検し、国内およびクロス・ボーダー取引の双方において、前述の合併手法の最大限の利用を妨げる障害を特定し、2003年度末までに、改正産業活力再生特別措置法あるいは改正予定の商法に従って、前述の合併手法の利用に関する障害を軽減あるいは排除するために適切な行動を取る。

II. 積極的な委任投票による株主利益の拡大

 高齢化する国民の引退後の快適な生活を確保するにあたり、日本は多くの深刻な課題に直面している。この課題を解決するひとつの重要な方法は、公的および民間の年金基金、また投資信託による投資が、慎重かつ最大の利益をもたらすことを確保することである。調査によると、株主による積極的な議決権行使を通じて、企業経営者に説明責任を課すことを確保するような優れた企業統治制度を持つ企業は、そのような企業統治制度を持たない企業より業績を上げている。年金基金や投資信託などの大規模な機関投資家による積極的な株主権利の行使は、日本国民が手にする投資収益に直接的に影響を与える。従って、米国は日本に対して、以下の措置を講じることを求める。

II-A. 公的年金基金 年金資金運用基金、国民年金基金、厚生年金基金、その他の政府系年金基金が、受益者を代表し彼らの投資価値を最大限に高めるための株主委任投票の方針あるいは指針を採用、または、基金運用責任者にその採用を義務付けることを確保する。そしてそのような方針指針、また実際に行った委任投票の記録を公表することを確保する。

II-B. 民間年金の資金運用責任者 民間年金の資金運用責任者に、委任投票の方針あるいは指針を採用し、それらを顧客および受益者が利用できるようにし、受益者の利益のために議決権を代理行使することを奨励する。

II-C. 投資信託および登録された投資運用会社 投資信託および登録された投資運用会社に、委任議決権行使の方針および手続きを採用し、公表すること、また実際の委任投票の結果を保管、公表することを義務付ける。

III. 内部告発者の保護を通じた優れた企業統治の促進

 法律や規制に対する企業の順守に関して、株主や経営者への情報の流れを阻害する企業文化は、企業が問題を迅速かつ効果的に解決することを妨げ、また、投資に関する意思決定を行う際に、誠実な情報開示に依存する日本(および外国)の株主に損害を与える。企業の従業員が、報復や差別を恐れることなく、企業による法律や規制の順守不履行に関する情報を、経営者あるいは規制・捜査当局に通告することができれば、それは企業自身また社会全体の利益となる。従って、米国は日本に対して、以下の措置を講ずることを求める。

III-A. 企業による証券取引法に関連する法律、規則、規制に対する違反行為、あるいは株主に対する不正行為、不実告知などの証拠を通告した従業員に対し、企業、役員、他の従業員が、当該従業員の解雇、降格、その他の不利益処分を行うことを禁ずる法律を2003年度末までに導入する。その法律は、以下の措置を規定すべきである。

III-A-1. 補償的損害賠償と違法行為がなかった場合の当該従業員の先任権の復活を含む民事的救済

III-A-2. 違法行為に関わった自然人および法人に対する刑事罰

III-B. 株式公開企業に対して、従業員が、不正行為、証券取引法あるいはその他の規制違反に関して、適切な役員に秘密裡に匿名によって通告できる制度を採用することを義務付ける。

IV. 裁判外紛争処理手続き(ADR)の育成

 ADRメカニズムは、個人や企業が、効果的かつ経済的に紛争を解決することを助ける上で重要な役割を果すことができる。米国は、日本が国内におけるADRの役割を改善するために取りつつある措置に勇気づけられる。認められた国際慣行に完全に一致し、利用者のニーズに柔軟に対応できるようにするためにADRメカニズムの自由な発展を可能にする日本のADR体制は、商業部門のみならず日本社会全体にとって極めて大きな恩恵をもたらす。これに関して、米国は日本に対して、以下の措置を講じることを求める。

IV-A. 非弁護士が、調停、仲裁あるいはその他のADR手続きにおいて、一般的に、中立的立場で行動することを認める法案を2004年に提出する。

IV-B. 「原則自由、例外規制」の方針に基づき、一般的に自己規制また高い水準のADRサービスが利用できることを確保しようとする競争市場の圧力に依存するADR体制に移行する。特に、新しいADR体制は、以下の点を満たすべきである。

IV-B-1. ADR中立者あるいはADRサービス機関に対して、強制的ADR中立免許制を制度化することを避ける。

IV-B-2. ADR手続きを利用しようとする関係者が、一般的に適用される規則や手順、そして基準について合意することを認めることによって、ADR手続きが個々の状況に柔軟に対応することができることを確保する。


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流通

I.空港着陸料の改革

 成田空港と関西国際空港の着陸料は世界で最も高い水準にある。着陸料引き下げは、消費者に恩恵をもたらし、航空業界の財務体質改善を促し、広く経済一般の成長を刺激することにもなる。

 米国は日本に対し、以下のことを求める。

I-A. 日本の消費者と産業界に恩恵をもたらすよう、成田空港と関西国際空港の着陸料を速やかに引き下げる。

I-B. 日本の国際空港の着陸料計算に使用されている計算方法に関し、パブリックコメントの機会を設ける。

I-C. 着陸料計算は透明性のあるものとし、内部相互補助を禁じる国際航空運送協会(IATA)の指針に従い、空港滑走路と施設利用に関連したコストのみを含むものとする。

II.航空会社による航空券の販売

 日本は、航空会社により販売される航空券に対して、IATA運賃の70%割引下限を決めている数少ない国のひとつである。これは、航空会社が競争力のある割引運賃を提供する妨げとなっている。この慣行をやめれば、旅行の選択を旅行者自身がより自分でコントロールでき、多種類の運賃にアクセスが可能になり、旅行需要が創出される。航空券のIATA運賃70%割引下限を強いる慣行をやめることで、インターネットや航空会社による他の公示航空券販売の競争市場をつくり出すことを、米国は日本に求める。

III.価格設定に関する2重の足かせ

 現行の国土交通省の規則では、航空会社によるすべての航空運賃変更は、30日前までに届け出なければならないこととなっている。実際には、この規則は場当たり的にしか運用されず、インターネットやコンピューター申告制度が利用可能な時代に、旧態依然としている。世界でのビジネスの速度を考えると、日本は、日々変化する競争市場において、航空会社による航空運賃の設定能力への足かせとなっているこの時代遅れの慣行を排除する必要に迫られている。現行制度は消費者と航空会社の出費を増やしている。さらに、日本は、IATA運賃下限設定の場合と同じように、このような古い慣行を維持している数少ない国のひとつである。現在の慣行に規則を合わせるよう、米国は日本に対して、30日前の航空運賃変更の届出制度を廃止するよう求める。

IV.国際物流特区における時間外手数料のさらなる低減

 2003年4月に実施された国際物流特区における時間外手数料の削減は、日本の国際港の競争力を強化した。米国は日本に対し、通関時間外手数料を無料にし、成長へ向けた措置を取り続けることを要望する。

VI.通関情報処理システム(NACCS)

VI-A. 米国は日本に対し、Air-NACCS料金体系の更改と改善に関する中間報告書(2004年3月頃の予定)に対するパブリックコメントの機会を設けるよう求める。

VI-B. また、米国は日本に対し、日本が最終報告書を完成させ、2004年9月にその提言を実施する前に、同年6月が締め切りとなっている最終報告書の初期草案をパブリックコメントに付すことを求める。

VII. フレイトフォワーダー契約

 外国航空会社が 「戸口から戸口までのサービス」を提供できるよう、日本国内の宅配便に関して、外国航空会社が、日本の航空会社と契約できる権利を認めるよう米国は日本に求める。

VIII. 課税計算に関しCIF価格からFOB価格への移行

 国際配送商品の課税計算に日本がCIF(FOB価格、保険料、運賃)価格を使用していることで、配送される物品に保険料と運賃が付加されている。その結果、課税最低価格である1万円を超える配送品の数が増加する。米国は日本に対し、税関および関税局の担当者の処理効率を向上させ、日本への輸入コストを低減させるために、通関時の商品評価の際にFOB(本船積み込み渡し)価格方式を採用するよう求める。

IX. クレジット・デビットカードおよびATMサービスの利用および受け入れ促進

 世界的に、クレジット・デビットカードおよびATMカードの利用は急速に増加している。これらのカード利用は、消費者の利便性向上につながり、小売部門に恩恵をもたらしている。北米および欧州では、全店舗の90%がクレジット・デビットカードを取り扱い、購入全体の34%がこれらのカードで行われる。日本での店舗の取り扱いは、わずか45%であり、これらカードでの購入は8%にとどまっている。カード取引ができる小売店やATMが少ないことは、日本への海外からの訪問者に共通する不満である。米国は日本に対して以下を求める。

IX-A. 企業によるクレジット・デビットカードの利用と政府サービス料金のカードによる支払いの促進

IX-B. 日本のATMネットワークが国際PINセキュリティーおよびネットワーク暗号化標準に強制的に準拠するようにする。

IX-C. クレジットカード取引ターミナルの標準化と維持管理における日本クレジットカード協会(JCCA)の役割を免除し、「クレジット認証ターミナル」システム(CAT共同利用システム)ではなくむしろ、国際的に受け入れられているシステムの利用を促進する。

IX-D. クレジットカード不正利用に関する法規制を厳しく実施する。

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