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日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書 2004年10月14日
http://www.asyura2.com/0601/senkyo24/msg/486.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2006 年 7 月 26 日 08:45:06: KqrEdYmDwf7cM
 

(回答先: 日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく 日本国政府への米国政府要望書 2005 年12 月7 日 投稿者 てんさい(い) 日時 2006 年 7 月 26 日 08:30:35)

http://72.14.235.104/search?q=cache:Ap7UQONeBDkJ:tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041020-50.html+site:tokyo.usembassy.gov+%E6%94%B9%E9%9D%A9%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8+2004&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=1

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書


2004年10月14日

(仮訳)

 ブッシュ大統領と小泉総理大臣は、規制改革・競争政策に関する分野別および分野横断的な問題に焦点を当て、経済成長や市場開放を促進するため「日米規制改革および競争政策イニシアティブ」(規制改革イニシアティブ)を2001年に設置した。今年で4年目を迎えたこのイニシアティブは、日米間の貿易と経済関係をさらに強化する役割を引き続き果たしている。

 米国は、小泉総理大臣の思い切った経済改革の課題を強く支持しており、その 課題への取り組みにより促された最近の日本経済成長を歓迎する。また、米国は2004年10月12日に小泉総理大臣が国会における所信表明の中で、「構造改革なくして日本の再生と発展はない」ことを再確認し、日本が意義ある経済改革を達成する努力を継続していることを歓迎する。さらに米国は、広範にわたり規制と構造改革を強く主張してきた規制改革・民間開放推進会議の任務を更新し強化した日本の決定を称賛する。

 本要望書に盛り込まれた提言は、主要分野や分野横断的課題に関わる改革措置を重視しており、現在の日本の経済成長支援および日本市場の開放促進を目的としている。さらに、米国は、通信、情報技術(IT)、医療、エネルギー、競争政策など、小泉内閣が改革に重要であると位置付けた分野の問題に焦点を当てる努力をした。

 本年の要望書において米国は、日本郵政公社の民営化計画が進んでいることを受け、勢いを増している日本における民営化の動きに特段の関心を寄せた。これに関して、日本経済に最大限の経済効果をもたらすためには、日本郵政公社の民営化は意欲的且つ市場原理に基づくべきだという原則が米国の提言の柱となっている。

 米国は、地方レベルで構造改革および規制緩和を通じ成長を促進する画期的な取り組みとして、日本の構造改革特別区域制度を引き続き支援する。また米国は最近の日本の独占禁止法強化に向けた努力を歓迎するとともに、そのためには現在検討されている措置の早期施行をこの提言の中で要望し、日本が着実に独占禁止執行制度を改善することを支援する。さらに米国は、増加する農業分野における規制障壁への対応に向けた提案措置を初めて含めた。

 提言の概要と詳論に盛り込まれた要望事項は、規制改革イニシアティブの下に設置された上級会合および作業部会における今後1年間の議論のたたき台となるべく日本政府に提出された。これらの会合により、大統領と総理大臣へ提出する第4回年次報告が作成され、両国政府が講じる改革措置も含め、本イニシアティブの下で達成された進展が明記される。

 改革イニシアティブの最初の3年間では、民間部門の代表が作業部会に参加し、広範にわたる問題に関して貴重な専門知識を提供し、所見を述べ、提言を行った。米国は今後とも引き続き積極的に同イニシアティブへの民間部門の参加を促すため日本と協力する。

 米国政府は、日本国政府に対し本要望書を提出できることを喜ばしく思うと同時に、日本からの米国に対する改革要望を歓迎する。

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目次

提言の概要

電気通信
情報技術(IT)
エネルギー
医療機器・医薬品
金融サービス
競争政策
透明性およびその他の政府慣行
民営化
法務制度改革
商法
流通

詳論

電気通信
情報技術(IT)
エネルギー
医療機器・医薬品
金融サービス
競争政策
透明性およびその他の政府慣行
民営化
法務制度改革
商法
流通


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提言の概要

電気通信

 この数年の間、日本政府が政策及び規制改革の促進に尽力したことで具体的な成果がもたらされ、電気通信の重要分野において競争が大幅に促進された。DSL、FTTH、VoIPを含めた、数々の革新的な技術や安価な先進的サービスが実施された事からこれは明らかである。2004年4月より実施された電気通信事業法の改正もまた、この分野の競争的な環境を改善した。

 競合する事業者への要求が著しく緩和された一方で、米国は、総務省が支配的な事業者の規制及び競争のセーフガードを一層強化するよう提言する。このような措置なくして、競合する事業者(国内及び外資系事業者)が、NTT東西及び携帯電話事業者に比べて、魅力的な代替サービスを提供する事は依然として難しいままだろう。さらに、既存の事業者の利益となるような規制が不公平に決断されないよう、更なる透明性と説明責任の強化が必要である。総務省は、先進的な無線サービスの中でも特に周波数に関連した分野について、免許が必要か否かに関らず、より透明性が高く競争を促進する方策を実施することで、競争的な環境を大幅に改善出来るだろう。

 昨年の進展を受け、電気通信作業部会が引き続き政府及び民間部門から専門家を招いて、新規の、又、双方にとって重要な課題に対し所見を述べる事を米国は提案する。更に米国は、2005年に日本が以下の改革を実行するよう提言する。

提言の概要

· 独立した規制:規制機能を省庁の管轄から独立した機関へ移行し、NTTの経営意思決定への総務省の介入を廃止する。

· 透明性の促進と説明責任:総務省の規制及び政策判断への民間の参画を増やし、規制判断の見直し及び司法上の再審理が促進されるよう取り組む。

· 競争セーフガードの強化:市場力を持つ事業者による弊害を避けるための支配的事業者に対するセーフガードを強化する。

· 固定系相互接続:2003〜2004年の相互接続料算定方法の構造的欠陥を解決することで、コストに基づき妥当な相互接続料金の実現を促進し、その結果効率的な競争を促進する。

· 携帯着信料金:NTTドコモのネットワークへの着信料金が、妥当で競争的な水準であるか否かを検証し、小売料金設定における差別を排除する。

· 電波政策:日本の電波管理政策及び業務(免許付与、周波数割当て、試験及び利用料に関するもの等)がより透明性を持って運営され、技術の革新と事業間の競争そして(免許が必要か否かに関らず)有効な電波利用を促進し、技術的中立性の原則が確実に順守されるよう保証する。

· 端末機器の認証:通信機器分野に於いて貿易の円滑化を促進するため、相互承認協定を日米間で締結する。


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情報技術

 e-Japan戦略に掲げられた「2005年に世界最先端のIT国家となる」という目標を達成するため、日本はここ数年間に数々の規制障壁を除去し重要な進展を図った。この結果、ブロードバンドが広く普及し、世界においても最も安価で最速のブロードバンド利用を可能にするなどめざましい変貌を遂げた。また、民間、政府ともに、ITの利活用を拡大させ手続のオンライン化を推進したため、日本の電子商取引市場は世界でも最も大きな市場のひとつにまで成長した。e-Japan重点計画 2004 (重点計画 2004)は、日本の目標を再確認すると同時に、安全で安心なネットワークの確保、IT利活用の促進、知的財産の保護、コンテンツ開発の奨励、電子政府の利用の促進といった目標の早期達成を目指し、戦略的に優先すべき措置を明確にしている。同計画はまたIT利活用の促進に向けた民間部門の主導的役割や電子商取引のグローバルな性質を認識している。重点計画 2004の中で、日本政府はまた、IT利活用のより急速な拡大を阻む法的およびその他の障壁が引き続き存在することを認識した。米国は、これらの障壁の除去に向けた日本の取組みを支持するが、日本が最大限の柔軟性を民間に与えイノベーションを奨励するには、重点計画 2004の実施に向けて策定する新たな戦略、法律、政省令、ガイドラインが、特定の技術を過度に推進、或は、強制しないことを確保することが大変重要である。(技術的中立性)

 本年の提言は、上記の目標を支援するため、次の事項に焦点を当てた。1)電子商取引を引き続き阻害する法的およびその他の障壁を除去する、2)民間部門の柔軟性、イノベーション、自主規制、リーダーシップを最大限に発揮させる、3)IT関連政策や規制の策定過程および調達改革への民間の参加を拡大させる、4)経済のあらゆる分野でオンライン取引を促進し効率性と安全性を向上させる法制度を構築する、5)国際的慣行に整合する協調的政策を策定する、6)知的財産を振興し保護する。

提言の概要

· 規制その他の障壁:電子商取引を妨げる既存の法律や規制を排除する。新たな法律や政策が国際的規範に沿い、民間部門のイノベーションや自主規制を奨励することを確保する。あらゆる分野での電子的保存やデータ交換に関する柔軟な法的枠組みを構築する。民間部門の要請に対応する、効果的かつ協調的IT政策を策定する。

· 知的財産権の保護:音声録音およびその他の作品の著作権保護期間を延長し、知的財産権の保護を強化する。オンライン上のデジタル・コンテンツの著作権侵害を阻止するためのより強力な施策を実行する。世界、特に、アジアにおける知的財産権の一層の保護を促すため、二国間、地域間、多国間協議の場において米国と連携する。

· ITと電子商取引の促進:個人情報保護法が、国際的規範に沿い、透明性が高く、一貫性のある形で施行されることを確保する。国際的電子商取引を支援するオンライン紛争処理体制を推進する。公的部門のネットワーク・セキュリティ基準や指針が民間部門の十分なインプットとともに、統一的かつ技術的中立に策定されることを確保する。自主規制の原則を奨励し、スパム対策に向けた技術革新を推奨する。

· 政府IT調達:開かれた競争、技術的中立性、透明性および革新的オンライン・サービス・ソリューションの市場アクセスを拡大することに焦点を当て、電子政府に係る情報システムの調達に関して、具体的成果に基づく改革を実施する。


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エネルギー

 日本は、電力小売市場においては2005年までに約63%(2003年の水準の2.4倍)、ガス小売市場においては2007年までに約50%(2003年の水準の1.25倍)まで自由化範囲を拡大するという明確な道筋を作った。これらの改革は、日本が国際的競争力を持つ水準までエネルギー産業コストを削減し、消費者や業務用ユーザーにより経済的な電力・天然ガスの利用を促進する過程において重要な一歩であり、米国政府は歓迎する。

 自由化の数多くのメリットを実現するために必要な前提条件は、透明で信頼性があり、公平で新規市場参入に有意義な機会を提供する真に競争的なエネルギー市場である。競争的な市場を維持するために必要な他の必須要素としては、効果的な監視と当局による規制の実施、また状況を常に査定し、必要に応じて改善を行なう仕組みの開発が挙げられる。

 米国政府は日本政府の改革のプロセスを支持し、また真に競争的なエネルギー市場の確保を支援する意図をもって提言を作成した。これらの提言はまた、家庭需要家までを含むより大きなエネルギー市場の自由化への道筋をつけることを意図している。米国政府はまた、新規のビジネスチャンスを開く鍵であり、転じて競争の促進と革新を通して効率性を高めることになるエネルギー分野における第三者アクセス(天然ガス源へのアクセスを含む)を改善するための新規の追加的手段をとるよう日本に求めている。

提言の概要

· 天然ガス設備への第三者アクセスの拡大:LNGターミナルと導管に対し、非差別的で透明で信頼性のある第三者アクセスを提供する料金構造を含む規制の枠組みを整備する。これは、エネルギー市場の真に効果的な競争に不可欠な前提条件である。

· 新しい電源の機会:コジェネレションや他の小規模電源の余剰電力を市場で販売するための有意義な機会を提供する規制環境を整備する事により、競争とエネルギー効率を押し上げる。

· 市場自由化改革の効果の監視:電力とガスの自由化が市場に有意義で競争促進的な影響を与えることを確保するため、独立した市場監視などの査定および監視の仕組みを整備する。また、市場において不都合が起こった場合にそれを確認し改善する。

· 新規供給者の機会:送電や導管の運営者と関連のある事業者が、関連の無い事業者よりも有利にならないよう、情報共有に関する厳しい行動規範を導入する。

· 送電・配電設備への公平なアクセス:提案されている中立機関(NSO)において、規則と公平性を監督し執行するための手順を整備し、送電網への信頼性のある第三者アクセスを確保するための方策をとり、運営上の分離の導入を検討する。

· ガス分野における公平性と透明性:料金認可の査定や監査の一層厳格な実施のための仕組みを整備、強化する。また、中立・公平な事後監視を行なう。

· 効果的な規制のための資源の増強:効果的な規制機能と監視制度の開発、導入を行なうために十分な資源が提供される事を確保する。規制者と監視者の独立性を確保するための方法を開発する。


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医療機器・医薬品

 日本は、ひっ迫する財政と急速な高齢化に対応するため、医療制度の改革を引き続き推し進めている。注目すべきは、日本における平均的高齢者の医療費は65歳以下のそれに比べて5倍以上で、それが過去10年間に渡り高齢者医療費を年率8パーセント押し上げている。医療機器・医薬品の薬事規制と償還価格制度を改善する事が、日本の医療制度改革の鍵となる要素である。例えば、日本は新たな製品の審査を迅速に行なうために薬事法の改正を行なっている。そして、その目的を推進するため、2004年4月に“医薬品医療機器総合機構”(以下、総合機構)という新たな独立行政法人を設けた。総合機構の予算は、医薬品・医療機器製造業者からの増加した手数料で補完されており、同機構は薬事承認を迅速化するという重要な目標を設けた。それに加え、厚生労働省は日本の医療機器・医薬品産業の国際競争力の強化を目的とする計画の概要“産業ビジョン”を公表した。厚生労働省は、その中で、革新の価値と償還価格が革新的な研究開発投資に与える影響について認識している。

 しかしながら、米国政府は日本政府に対し、その医療政策を達成するためには、医療機器・医薬品に関する薬事規制と償還価格に問題を引き続き解決する努力を活発に行うことを求める。例えば、薬事承認の継続した遅れは、日本でビジネスを行う際のコスト増につながり、患者の革新的な製品への早期アクセスを否定する。それらの革新的製品は、医療の質を高め長期的に医療費削減に貢献するものである。また、日本の償還価格制度は革新性を適切に評価していない。その結果、業界の日本における研究開発を抑制し、国際競争力を改善するという日本の意欲をも妨げている。米国政府は、薬事および保険償還の政策が、日本での革新的製品の導入を促進するよう措置を講じるよう求める。

提言の概要

· 価格算定改革:医薬品研究や医療技術の進歩に報酬を与え、促進するためにより適切に加算を適応する。革新的製品の価値を十分に認める医療機器・医薬品の価格算定ルールを確立し、革新的で安全な製品をより早く必要とする患者ニーズを考慮する。

· 薬事制度改革:総合機構の立てた重要な目標を順守し、審査と承認を迅速に行なう。総合機構が製品審査の迅速化に成功したかどうかを評価する効果的方法を、業界との対話を通じ確立する。海外監査や工場査察が新製品の承認を遅らせないことを確保する。第三者認証機関による医療機器製造所の監査結果を受け入れる。審査官の専門性を強化する。審査及び安全対策に関連する不服申し立ての過程を確認し明確にする。

· 血液製品:需給計画が海外製品を差別しない事を保証する。血液関連製品に関する事項に取り組むにあたり業界と作業を行う。

· 栄養補助食品の自由化:栄養補助食品の販売規制を緩和する。


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金融サービス

 米国政府はここ数年、日本の金融システムを国内外からの競争に開放する上で進展が見られてきたことを歓迎する。わずか6年前に設立された金融庁は、日本の金融に関する規制の専門性と透明性を着実に高めた。監督、会計基準、規則の透明性の改善や、競争への障壁となっていた数々の規制排除に伴い、日本の金融部門で際立った変化が見られるようになった。外国企業のプレゼンスの高まりをうけ、日本金融市場は基準と参加企業の多様化という面でさらにグローバル化された。

 国際的な基準とベストプラクティスに沿った形で、金融機関に対するわかりやすく整合性のある規制と監督の確立に向けて、日本がさらに前進することは肝要である。また日本は、消費者保護と同様に安全性と健全性を確保する目的に合致するよう、競争への障壁となる不必要な規制を排除する努力を継続することが大切である。金融部門がより効率的になり競争力を持つことは、日本の長期にわたる潜在成長力の強化に向け極めて重要な役割を果たすことになる。

提言の概要

· 金融規制の透明性:より広範で明解なガイドラインの公表やインターネット上に質疑応答のページを創設するなどの方法を通じて、金融法の一連の書面での解釈拡充により、ノーアクションレター制度の設置に始まった進展を継続する。規制制定やガイドライン作成にあたり、金融機関および協会の意見や懸念を慎重に検討し、公開ヒアリングや意見提出の機会を引き続き拡大する。

· 個人情報保護:金融庁の個人情報保護に関するガイドラインが、日本の消費者への斬新な商品やサービスの提供を妨げることなく、プライバシー保護システムの確立に合致することを確保する。ガイドライン作成にあたり、金融機関および協会を含む関係者の意見を慎重に検討する。

· 信託法:兼営法に従って、国内銀行と対等の立場で、外国銀行の支店が信託と銀行業務を同時に従事することを認める。

· 投資信託:投資顧問や投資信託の活動を規定する規制の枠組みを一本化する。投資信託契約の統合を許可し、早期償還の障害を削減する。

· 電子通知:貸金業法が定めるディスクロージャーの要件を電子的通知により具備することを貸金業者に認めることにより、また、貸金業者や借金取りの悪用から消費者を守るために規則を強力に順守させることで、有意なディスクロージャーを確保しつつ、消費者のプライバシーと安全を保護する。

· 確定拠出年金:拠出限度額のさらなる引き上げや事業主の拠出に相応する被雇用者拠出を認めることにより確定拠出年金プランの発展と採用を奨励する。


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競争政策

 積極的な競争の促進は、新規参入および発明を奨励し、効率的で競争力のある会社を育てる経済環境を創造することにより、日本経済の回復を強化する。競争政策の成功は、日本の市場において反競争的慣習を暴き、それに挑戦するための正しい装備が施された強力な独占禁止法(独禁法)および公正取引委員会(公取委)に掛かっている。それはまた、公的財源を絞り取り、日本経済改革の基礎を危うくする談合慣習を排除するための、およびそれらの民営化ならびに規制改革の試みにおいて市場に基づいた競争原理を取り入れるための他の日本の諸官庁からの支援にも掛かっている。最近日本では、独禁法を強化する新たな処置が激しい議論の焦点になっている。一組の処置が、今秋の国会に提出されるものと期待されている。米合衆国は、これらの処置の早い制定を期待していており、日本が同国の独占禁止施行制度をしっかりと改善し続けることを望む。

 よって米国は、日本に以下の処置を講じることを要望する。

提言の概要

· 独占禁止の施行:(課徴金を)実質的に引き上げ、くり返す違反者に対して通常よりも高い行政的罰金(課徴金)を科すために独禁法を改正する。一番目の内部告発者を課徴金および刑事告発から免除する法人措置減免制度を導入し、公取委に犯則調査権限を与え、捜査妨害に対する刑罰を強化する。日本における競争過程を明らかに損なう行為に対し、公取委の捜査に優先権を与える。独禁法違反に対する刑事上の量刑の改善を目指した検討に着手する。独禁法の適用除外の更なる範囲の制限や削除を検討する。公取委の資源、特に経済学の高等学位を持った公取委の職員の数を増やす。独禁法の指針の発布または拡大および経済界に効果的な法人順守制度を奨励することにより、独禁法の順守を促進する。

· 公取委の施行手続きの公平性:審判官を勤める裁判官および弁護士の数を増やす。何故公開警告が行われるべきでないかについて議論する機会を会社に与える。

· 談合の防止:談合の扇動を試みる政府職員に対するより厳しい制裁を含む官製談合に対する処置を強化する。談合を一番目に報告した会社への指名停止を免除し、内部告発者の身元を保護する行政措置減免制度を導入する価値を検討する。総務省による追加的処置と通して地方政府段階で談合に対応する。談合に従事したと確定した会社に対する行政制裁の透明性を改善する。談合を更に困難にするよう設計された新たな入札手続きの採用を検討する。

· 競争の促進:最も競争的な方法で民営化を進める方法について公取委の意見を強く求め、それらが反競争的行為に従事しないことを保証するために、公取委が民営化の過程にある機関を監視することを保証する。分野の改革を検討している検討委員会における公取委の積極的参加を求め、公取委に規制改革・民間開放推進会議の活動を援助させる。


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透明性およびその他の政府慣行

 米国はここ数年、「透明性およびその他の政府慣行」の下、広範にわたる問題を取り上げ、そのねらいとして、公平性、予見可能性、説明責任を確保したより透明性の高い規制制度を日本が確立するよう提案してきた。例えば、過去の要望書の中で、パブリックコメント手続き改善のための提案、ならびに規制緩和の特区設置を通じた地方経済活性化に向けた構造改革特区推進本部の革新的な努力を支持する提言を大きく取り上げた。米国がこの分野における進展を重視していることを示すべく、パブリックコメント手続きと特区に関する改革案を今年の要望書に再び表記する。

 また、この章にいくつか新しく追加した点があり、その一つとして、アジア太平洋地域諸国の法体制においてAPEC透明性基準完全実施に向けて、どのように日米で協力できるかを規制改革イニシアティブのもと考える提案をしている。また、日本が保険商品の銀行窓口チャンネルにおける販売を3年以内に一律に自由化し、顧客に対する保険のダイレクト マーケティングを妨げる規制の緩和を米国は提言する。さらに、米国は日本の農産品輸入の妨げとなっている技術的障害を除去する手段をいくつか提案する。

提言の概要

· パブリックコメント手続き: 意見募集期間は60日間を標準とするか最低30日間の設定を義務付ける。法の拘束力を与えるためパブリックコメント手続きを行政手続法に取り入れる。

· APEC透明性基準 : 米国と共にアジア太平洋地域においてAPEC透明性基準の完全実施に向け努力する。

· 構造改革特別区域(特区): 今後とも透明性が特区制度の中核とされること。市場参入の促進に引き続き焦点を当て、成功した特例措置の迅速な全国適用を優先する。

· 市民参加による法案策定 政府が法案を国会に提出する前の法案作成段階において、一般市民が法案に対してコメントできるよう更なる措置を講ずる。

· 保険の窓販:保険商品の銀行窓口チャネルにおける販売は、3年以内に一律に自由化する。顧客に対する保険のダイレクトマーケティングを妨げる規制の緩和を行なう。

· 共済:保険を提供するすべての共済と民間会社の間の競争条件の同一化を確保する。競争条件の同一化の改革を行なうため、根拠法を有する共済の見直しを始める。

· 農業分野における政府慣行:農産品の輸入を妨げる技術障害を除去する。


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民営化

 米国は、小泉首相の公社・公団の再編と民営化の取組みに関心を持ち続けてきた。この改革イニシアティブは、競争を刺激し、資源のより有効的な利用につながるなど、日本経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。米国政府は、日本郵政公社の民営化という小泉首相の意欲的な取組みに特に関心を持っている。日本の郵便生命保険事業と郵便貯金事業が世界最大の生命保険事業者と預金制度にまで成長しているため、これらの事業の民営化は、それぞれの分野で営業をしている会社に巨大な影響を与えると考えられる。2007年に開始予定の日本郵政公社の民営化は、民間の宅配便業者にも大きな影響を与える可能性がある。

 本年の米国の提言の柱は、日本郵政公社の民営化が日本経済に最大限の経済的利益をもたらすためには、意欲的かつ市場原理に基づいて行われるべきであるという原則である。真に市場原理に基づいたアプローチというものは、日本の保険、銀行、宅配便市場において歪められていない競争を確保することを含まなければならない。日本郵政公社に付与されている民間競合社と比べた優遇面の全面的な撤廃は必要不可欠である。これらの優遇面は、米国系企業および日本企業の双方にとって同様に、長年の懸念となっている。経済財政諮問会議は、9月10日に発表した「郵政民営化の基本方針」において、日本郵政公社と民間企業との間の「競争条件」の均等化の重要性を確認することにより、重要な一歩を踏み出した。

 米国は、日本郵政公社と成田国際空港、日本道路公団等の他の組織の民営化が成功することを期待している。これは、複雑で挑戦的な取組みではあるが、効果的に実行できれば日本経済と日本の企業、消費者に大きな利益をもたらすことになる。本年の民営化にかかわる提言の重要項目は下記のとおりである。

提言の概要

· 競争条件の均等化:保険、銀行、宅配便分野において、日本郵政公社に付与されている民間競合社と比べた優遇面を全面的に撤廃する。民営化の結果、歪められていない競争を市場にもたらすと保証する。

· 保険と銀行の公正な競争:日本郵政公社の保険および貯金事業においては、真に同一の競争条件が整うまで、新規または変更された商品およびサービスの導入を停止する。これらの事業に、民間企業と同一の納税条件、法律、規制、責任準備金条件、基準、および規制監督を適用するよう確保する。

· 宅配便サービスの公正な競争:郵便業務の規制当局は日本郵政公社から独立しかつ完全に切り離された機関であることを確実にし、民間部門と競合するビジネス分野における競争を歪曲するような政府の特別な恩恵を日本郵政公社の郵便事業が受けることを禁止する。

· 相互補助の防止:日本郵政公社の保険および銀行事業と公社の非金融事業の間で相互補助が行われないよう十分な方策を取る。競争的なサービス(すなわち、宅配便サービス)が、日本郵政公社が全国共通の郵便事業で得た利益から相互補助を受けるのを防止するため、管理を導入する。

· 完全な透明性:民間の利害関係者が、関係する日本政府の職員と民営化について意見交換を行い、政府が召集する関連の委員会の審議に貢献する有意義な機会が提供されるよう確保する。パブリックコメント手続きの十分な利用を保証する。


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法務制度改革

 日本において必要とされる効率的な国際的法務サービス並びに法的係争を迅速かつ廉価で解決できるメカニズムに答えうる法務環境を創造することは、日本経済の健全性、特に日本市場において安全で効果的な商取引活動を確保する上で重要である。米国は、2003年に日本がいわゆる「外弁法」を改正し、日本の消費者の利益のために、外国弁護士が日本弁護士と自由に提携を結ぶことを可能にしたことを賞賛する。米国は、これらの改正事項が、自由化に向けた改正法の精神とその文言に則って実施されることを期待する。米国は、また、日本国民が紛争を迅速かつ廉価で解決することを助ける裁判外紛争処理手続(ADR)を整備するとする日本のコミットメントを歓迎する。

 これらの理由で、米国は、日本が以下の措置を講じることを要望する:

提言の概要

· 提携の自由:日本弁護士と外国弁護士間の提携の自由を認めた2003年の改正「外弁法」を、2005年4月1日までに完全に実施する;日本弁護士連合会が、その会則・規則を改正法の自由化精神に則って実施することを確保する、特に(i)外国弁護士パートナーは、彼らのいかなる外国弁護士アソシエイトの権限内である外国法事件を受諾できることを妨げない、(ii)日本弁護士と外国弁護士に対して、倫理規則を平等に適用する、(iii)弁護士と依頼人間のコミュニケーションに関する義務を、近代的かつ国際的慣行に沿ったものに限定し、過度に負担となるものとしない。

· 専門職法人とその支所の設立:外国弁護士が、日本弁護士と同等に、また、同等の利益を享受できる形で、専門職法人を設立することを認める;日本で活動する外国法律事務所及び外国弁護士が、日本の専門職法人の設立を要求されることなく、支所を設立することを認める;

· 裁判外紛争処理(ADR)手続:国際基準・慣行に合致するADRの基本的枠組みを採用する、ADRを使用しようとする関係者が、その規則、課程、適用される基準について、彼ら自身で合意することを認める、そして国際的要素を含む全てのADR課程において、外国弁護士が関係人を代表することを認める;非弁護士が、弁護士法違反の危惧や、日本弁護士の監督の必要無しに、ADRプロセスにおいて中立者(すなわち仲裁者、調停者、仲介者)として活動することを認める;いかなるADR免許制度も、完全に自主的なものであり、非免許人ありいは組織によって提供されるADRサービスが適法であることを妨げる効力を有するものではなく、外国人、日本人そして組織に平等に開かれたものであり、さらに、不合理に負担とならない免許及び報告手続・基準を設定することを確保する。

· 外国弁護士の資格基準:日本において行なった原資格国法に関する全ての実務期間を、外国法事務弁護士資格に必要な三年の職務経験要件に算入することを認める。


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商法

 効果的な企業再構築やより良い企業業績は、21世紀の世界経済の中で求められているように、日本がその地位を復権し、経済を再活性化することを助ける。例えば、日本の商法に近代的な合併手法を導入することは、企業再構築や投資を促進することを通じて、経済を強化することに大いに役立つ。さらに、より良い企業統治メカニズムの導入は、生産性の向上や経済的に健全な経営判断を通じて、経営者が株主利益の最大化のために働くことを担保し、企業業績の改善をもたらす。企業統治改善のための鍵は、株主、特に年金基金や信託基金などの大規模な機関投資家による積極的な参加である。米国は、公的年金や投資信託による委任投票の促進など日本がこれまで講じてきた施策を歓迎するが、さらに多くの行動が必要である。また、増大する外国人投資家による日本企業の株式保有を考えれば、外国人株主が委任投票権を円滑に行使できるようにすることも重要である。

 これらの理由で、米国は日本に対して以下の措置を講じることを要請する:

提言の概要

· 近代的合併手法:三角合併、キャッシュマージャー、株式交換、また、ショート フォーム(スクイーズアウト)・マージャーを認めるために必要な合併対価の柔軟化を含め、日本の商法に近代的合併手法を導入するための法案を次期通常国会に提出する;近代的合併手法に対して適切な税制上の措置を提供し、同時に、新しい合併手段の有効性を不当に制限しかねない特異な条件を排除することを含め、日本におけるM&Aを促進するためのその他の必要な措置を講じる。

· 積極的な委任投票を通じた株主価値の増大:厚生労働省の支持のもとで公的年金の運用責任者の委任投票政策を公開すること、また、民間年金基金運用責任者に対して、受益者を代表して委任投票を行使する受託者義務を制定するかについての検討を行なうことを通じて、公的及び民間年金基金の運用責任者による健全な委任投票政策を促進する;信託基金運用責任者が、実際の委任投票に関する記録を公開することを奨励する;代理保管人及び国際的保管人による委任投票行使に関する法律並びに規則に必要な変更を加えることを検討することにより、海外の株主による委任投票権行使を円滑化する。


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流通

 米国政府は日本の新規制改革・民間開放推進3か年計画に流通関係の項目が入ったことを歓迎し、流通分野で規制改革を推進させる日本国政府の今後の努力に期待を寄せる。商品を迅速かつ安価に通関させ、消費者の手に渡るように動かすための有効な手続きは、経済効率向上への肝要な手段である。米国政府は通関手続きの改善や全国におよぶ通関手数料の削減により、日本の国際港の競争力を高めるために日本国政府が取った方策を歓迎する。しかし、経済および消費者益のために、商品の流れを促進するようさらになすべきことがある。それゆえに、米国は日本に対し、国際空港における着陸料を引き下げ、航空券価格および運賃届出制に関する政府規則を削減し、また通関の過程および手続きを改善することを求める。同様にクレジットカード、デビットカード、ATMカードの利用拡大は消費者に対する恩恵とより円滑な経済運営をもたらし、このようなカードによってもたらされた効率はさらにクレジット・カード、デビット・カード、ATMカードの世界的な利用拡大につながった。それにもかかわらず、日本の昔からの店舗やATMでのカードの受け入れが低い率であることは、日本に居住する人々にとって不都合であり、また海外から日本を訪問する人たちの共通の不満である。米国政府は、公立病院のいくつかでカードの受け入れが伸びているという最近の動きを歓迎するとともに、ビジネスによる、また政府サービスの支払いに利用するクレジットカードおよびデビットカードのセキュリティーを向上させ、利用をさらに促進することを要望する。

提言の概要

· 空港着陸料の改革:日本における国際空港の着陸料およびその他の航空会社の空港使用料を直ちに引き下げ、これら料金設定に使用されている計算方法を公表し、パブリック・コメントを募集する。

· 航空会社による航空券の販売:消費者に恩恵をもたらし、日本への旅行客を増加させるため、航空会社の航空券に対するIATA運賃の70%割引下限の実施を取りやめる。

· 30日前の運賃届出制:航空会社による運賃価格設定に関し、市場状況への対応をより柔軟に行えるよう30日前の運賃届出制を廃止し、またダブルアプルーバル(両当事国承認)制度も廃止する。

· 課税計算に関するFOB価格(本船積み込み渡し価格):税関職員の作業を軽減し、日本への輸入コストを低減するために、小額商品の課税計算に関してCIF(運賃保険料込み価格)からFOB価格方式へ移行する。

· 免税輸入限度額:関税定率法による免税輸入限度額を1万円から3万円へ引き上げる。

· 税関手数料の削減:国際物流特区における一定の通関手数料をさらに低減し、ゼロにする。そしてその適応をやがては全国へ拡大する。

· 通関情報処理システム(NACCS):NACCS料金体系の将来のいかなる更改に関しても、通関情報処理センターが利用者のコメントを考慮に入れることを確実にする。

· クレジット/デビットカード:観光を促進し、経済の効率を向上させることにより経済に恩恵をもたらすべく、商品とサービスへの支払手段としてのクレジット/デビットカードの受け入れとセキュリテイを改善させる。


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詳論

電気通信

I. 規制の独立性の強化、透明性の促進

 総務省は長年、規制決定プロセスから党派的な影響力を排除することに苦慮してきた。政府とのつながりを長年維持してきた大企業を優遇し、新規参入企業を犠牲にした過去の決定案件は、規制の独立性及び説明責任を改善する方策が必要であることを裏付けている。

I-A. 米国は、日本が規制の独立性を強化するために以下の措置を取ることを提言する。

I-A-1. 規制機能を、政治的に直接コントロールされやすい省庁の権限から切り離し、完全なる独立機関へ移行する計画を策定する。

I-A.2. 日本政府が特定数のNTT株を保有すること、外国資本による株式保有、あるいは経営参加への制限等の要件を廃止する。

I-A-3. 事業計画や人事決定を含むNTTの運営に関する政府の干渉を排除する。

I-A-4. 反競争的行動を処罰するための有意義な制裁権限(罰金を科し、損害の支払いを命じ、免許を差し止めるなど)を確立し、実行する。

I-A-5. これらの目標を達成するために、下記を含む措置を暫定的に取る。

I-A-5-a. 日本の電気通信事業紛争処理委員会の運営、実効性および権限が強化されるよう、紛争処理を行う際の透明性の最大化を含め、方策を講じる。

I-A-5-b. 総務省の産業振興プログラムの恩恵を受けている企業が、規制の特権的な待遇を受ける事がないよう、産業振興と規制措置を明確に分け隔てる垣根を設定する。

I-B. 更に規制の説明責任を強化するために、米国は日本に、決定された規制の再検討と法的側面からの見直しに向けて具体的に取り組み、規制と司法の両機関が適切な時間内に問題に効果的に取り組めるよう資源の確保を保証することを提言する。具体的には、

I-B-1. 決定及び決断事項を裏付ける全ての公開される記録が存在する事及び特別な利益団体が法規制の構築プロセスに接近を許される様なことのない事を保証するために、透明性ある手続を導入かつ公表する。

I-B-2. 関心を有する全ての利害関係者が参加の機会を与えられるように、総務省が主催する作業部会のメンバー選出プロセスを開放する。

II. ネットワークアクセスおよび競争促進

 電気通信事業法が2004年4月に改定されたことにより、競争的通信事業者の規制緩和において日本は大きな成果をあげた。しかしながら、施設ベース・サービスベースの競争促進のためには、ボトルネック設備へ競合事業者がアクセス出来る事が今もって必要不可欠であって、それが日本政府の主要な目標である。総務省は、支配的事業者への規制を強化し、固定系通信サービスの相互接続料金を低く抑え、更にその他の競争的環境を改善する事によって電気通信分野における競争を保証する措置を講じる事が可能である。

II-A. 支配的事業者規制および競争セーフガード 米国は改正電気通信事業法下の規制や省令で、日本市場において支配的な地位を保持する事業者に特定の義務を課し、適当な機関にこれらの義務を守らせる権限を与えることを保証するよう提言する。特に米国は日本に以下の措置を取ることを提言する。

II-A-1. 2005年3月までに、その市場支配力と妥当な改善措置について再考すべき全ての市場と下位市場を特定し、例えばEUのような他市場の政策立案者及び規制当局者の経験を参考に、かかる調査が迅速に実施されるよう計画を策定する。

II-A-2. 電柱、管路、とう道、線路施設権への非差別的でコストに基づいたアクセスを法律あるいは規則、あるいはその双方により保証し、それらのアクセスに透明な価格設定方法を提供する。

II-A-3. データサービス同様、音声サービスについても、支配的事業者による価格設定の濫用を評価する方法(例:インピュテーションテスト)を確立する。

II-A-4. 毎年、NTT東西が新規ビジネスへの展開の規定条件を満たしているか否かを見直す際、ネットワークアクセスや優遇措置が施された競合する事業者に関する定量的データを公開する。

II-A-5. 競合する事業者が利用するNTT東西の専用回線が妥当かつ競争的な料金によって提供されているか否かを、公表される情報に基づいて評価する、透明な方法を確立する。

II-A-6. 支配的事業者が、規制を受けていないサービスを補てんするために、規制を受けているサービスからの収入を反競争的に利用することがないよう、規則(例えば、関係会社との分離取引ルール)を設ける。

II-A-7. 報告義務を含め、競争関係実施測定基準および基準不履行に対する金銭的罰則を整備する。このような基準は、必要なすべてのネットワークサービスおよび施設の提供、サービスの質および修理や保守において、支配的事業者が自社あるいはその関係会社への扱いと競合事業者への扱いを同等にすることを確保するためのものである。

II-A-8. 支配的事業者が従来から独占的に提供するサービスの他に新たなサービス展開を試みる場合、適当なセーフガードの実施によりその市場での独占的な立場を利用して反競争的な効果が望めないよう保証する。

II-B. 固定系相互接続 情報通信審議会は2004年7月に、2005年度から3年間適用されるよう改定された相互接続料金算定モデル(長期増分費用方式或いはLRIC )の提案書へのパブリックコメントを募集した。米国は提案書を相互接続料金が受け入れ可能なレベルまで引き下げられる為の適当な措置として歓迎し、様々な利害関係者の意見を反映した上で2004年10月に発表される改定された提案書に期待している。米国は総務省が改正されたモデルの実施省令を起草する際に次の提案を真摯に検討するよう提言する。

II-B-1. NTSコストの除去 米国は日本に、移行期間を設けないで2005年度の従量接続料金からNTSコストを取り除く事を提言する。

II-B-2. NTT基本料の見直し NTT東西の月額基本料を最大490円まで値下げする決定を受けて、総務省はNTT東西に以下の項目を透明で検証可能な方法で文書化し公開するよう求めることを提言する。

II-B-2-a. 正確にどのコストが月額回線使用料から回収されているのか。

II-B-2-b. 先頃発表された小売サービスの月額基本料の値下げと卸売料金(相互接続料金)の値上げの動きが侵略的、排他的と目されない理由。

II-B-2-c. 卸売サービス(ドライカッパー)の月額使用料が小売料金の値下げ分に比例して引き下げるべきではない理由。

II-B-2-d. 月額基本料のコストがどのように特定され、異なるサービス間(ISDN、DSL、専用回線等)でどのように配分されているのか。

II-B-2-e. 基本料のコスト回収の前提、特に既に施設設置負担金で回収されているコスト(加入権利もしくは施設設置負担金)、減価償却率と償却方法、許容範囲の利益マージンはなにか。

II-B-3. NTT東西間の交付金の廃止 米国は日本に以下の措置を提言する。

II-B-3-a. NTT東西が日本のWTO義務に従って、各地域によって異なるコストを考慮しつつ、コストに基づいた相互接続料金を設定し、反競争的な値下げの危険性(及び防止する手段)を検討しつつ、必要に応じて、各社が異なる料金を設定する事を許可する。

II-B-3-b. 接続料収入をNTT東西間の交付金の収入源とする現在の用途を廃止し、必要と目された交付金は競争上の中立性を保持するユニバーサルサービス基金から拠出する。

II-B-4. 新しい市況への適用 競争と技術革新の促進によって日本の固定系通信分野の構造が著しく変化する中で、米国は日本に以下の措置を提言する。

II-B-4-a. 「ビル・アンド・キープ」コスト回収方法への移行を、出来る限り広範囲のネットワークアクセス機能について検討する。

II-B-4-b. アナログシステムとIPネットワークを接続する場合のみならず、IP電話サービスを提供する事業者どうしの接続においても、支配的な事業者の市場力を考慮しながら音声通話の接続料交渉に関する紛争処理をするよう、電気通信事業紛争処理委員会が支援を依頼出来ること事を保証する。

II-C. 携帯着信料金 米国は日本に以下の措置を提言する。

II-C-1. 支配的な無線ネットワークへの競争的な接続料金を保証する日本の電気通信事業法と2002年の取り決めに従い、携帯電話の着信料金がコストに基づく水準に設定されているか否かを評価する為に客観的で透明な方法を規定し、また交渉が妥結されない場合はこれを仲裁手段の根拠とする。

II-C-2. 携帯電話事業者との相互接続を求める固定通信の事業者のために、小売料金の設定時における携帯電話事業者による差別的な扱いを許している現在の慣行を排除することで競争上の中立性を確保する。

II-C-3. 携帯電話市場におけるNTTドコモの支配的な立場を分析すると同時に、全携帯電話事業者が下位市場において携帯着信料金に対してどの程度の市場力を発揮しているのかを分析する。

II-D. 携帯電話市場における競争の促進 非常に普及率が高く、小売料金の高い日本の携帯電話市場において、2010MHz及び800MHzの周波数帯を含めた市場へ新規事業者が参入できる機会を広げることを検討するように米国は日本に提言する。既存事業者が周波数の有効利用を怠っていたり、利用者を異なる周波数帯の新サービスへ移行させる過程に在ったりする場合、総務省は移行する周波数帯を他の利用者へ技術の中立性を保ちつつ割当てることを考慮すべきである。

II-E. 道路工事規制の緩和 パブリックコメントを経て、通信インフラの新規設置に要するコストと時間を削減するために緩和或いは廃止可能な規則を特定する目的で、全ての道路工事規制の見直しを実施する。

II-F. アンバンドル化 アンバンドル要件の廃止に先駆けて、市場力とボトルネック管理に関する事例を評価するために、パブリックコメントの結果を盛り込みながら競争原理の政策に則り市場を再調査する。

II-G. サービスの質における非差別化 アンバンドル化が求められる施設においては、米国は日本がNTT東西に対して、以下の措置を取ることを提言する。

II-G-1. NTT東西がサービスの混乱や質の悪化に対応しなければならない期間を特定して、小売顧客へ提供されているサービスと同様のサービス水準合意(SLA)を、その接続約款に盛り込むこと。

II-G-2. 施設への適切なアクセスを条件として、卸売顧客が自ら施設を保守する選択権を容認する。

III. 無線の先進技術及びサービスを促進する措置

 総務省は2004年版情報通信白書「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」において、日本でブロードバンド技術および無線技術が融合し、「いつでも、どこでも、誰でも情報を自由に交換できるユビキタスネットワーク」が実現しつつある現状を説明した。その上で、2004年8月に総務省は、2005年度のICT政策が「u-Japan構想」に 焦点をあわせると発表した。これらの目標と一貫して、日本が技術革新、競争、透明性そして有効な周波数利用を促進するために、更に柔軟に周波数帯の規制に取り組むよう米国は提言する。具体的な提案は以下の通り。

III-A. 免許登録が必要な周波数帯の柔軟な利用 効率的で革新的な電波利用を更に促進する為、米国は日本へ以下を提言する。

III-A-1. 免許を付与された事業者に賃貸、転貸及び他サービス事業者との周波数帯の交換を促進する方策を講じる。

III-A-2. 免許付与の政策は技術的に中立な立場をとるよう明確に規定し、事業者が選択する技術が可能な限り周波数の割当て及びサービス免許付与手続きに左右されないよう設定する。

III-B. 新規技術への周波数割当て 米国は日本へ以下の措置を提言する。

III-B-1. 革新的な無線LAN技術、固定系及び移動系MANサービス、その他標準化されていない技術に供する周波数帯の特定、割当てを開始する。

III-B-2. 可能であれば、このような技術に供される周波数帯は、免許不要とする。

III-C. 新規技術の試験手順 予備免許付与手続きを手順の合理化と透明性の向上に向けて見直し、既存事業者が競合技術の試験を妨害しないよう手続上のセーフガードを規定する。

III-D. 電波利用料制度 総務省が電波有効利用政策研究会の報告書を見直し、最終決定を行う際、米国は総務省に以下を提言する。

III-D-1. 免許不要局やサービスに利用料を課さないようにする。

III-D-2. 免許不要局の新しい形態として帯域占用型を導入する前に、帯域非占用型として取り扱えるか否かを十分かつ透明性を持って検討する。

III-E. 小電力無線システムによる周波数利用 既存利用者の利益に配慮しながらも小電力無線ICタグが免許不要局として電波を利用できるよう、2004年度及びそれ以降の規制改革の審議過程が時宜にかなった、客観的且つ透明性あるものであるよう保証する事を、米国は日本政府に提言する。

III-F. 民間部門からの情報提供 米国は、電気通信作業部会に講演者として政府及び民間部門から専門家を招き見解を共有することで、協議が一層促進することを歓迎する。

IV. 通信機器の貿易促進

 通信及びIT機器の分野でより効率的な貿易が促進されるよう米国と日本は試験及び認証の要件を相互に承認する方策を講じてきた。この精神の下、米国は日米両政府が2004年度末までに電気通信作業部会を通して電気通信機器の具体的要件及び電磁両立性(EMC)の一般的要件に関する相互承認協定(MRA)を締結するよう提案する。

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情報技術(IT)

I. 規制障壁および非規制障壁の除去

 「e-Japan重点計画―2004」(重点計画 2004)は電子商取引の促進が日本の優先課題であることを明らかにしている。日本は、民間および公的部門での手続のオンライン化に向けて大幅な前進を図ったが、法的あるいはその他の規制障壁のため、ITの潜在力をいまだ十二分に活用できていない。重点計画 2004は、構造改革の推進が、日本経済の健全性を取り戻すための一つの鍵であり、e-Japan戦略 IIの重要な柱であることを確認すると同時に、政府が自由かつ公正な競争の促進を通して民間部門を適切に支援すべきことを明確にしている。こうした政策と目標にそって、日本政府が以下の措置を講ずることを米国は要請する。

I-A. 対面および書面取引要件といった電子商取引を阻害する既存の法律および規制や、その他電子商取引やオンライン・サービスの発展を妨げている障壁を除去する。現在、電子通知および電子取引が禁止されている分野において、電子通知や電子取引が可能となるよう必要に応じ法律や規制を改正する。

I-A-1. 貸金業法の下、電子通知を許可する。

I-A-2. 大量の自動車の登録所有者が、電子政府のオンライン制度を通して、自動車登録の変更および所有権移転登録を、自動車検査証記載事項変更の申請とは別途行えるようにすると同時に、これらの変更がより妥当な期間で行えるよう道路運送車両法を改正する。

I-B. 民間部門に最大限の柔軟性を与えイノベーションを奨励するために、中央および地方政府でのIT利活用やIT戦略の国際的連携といった政策を含む重点計画 2004を実施するにあたり、新しく制定される法、政省令、ガイドラインが過度に特定技術を推進、又は、強制しないこと(技術的中立性)を確保する。

I-C. 重点計画 2004に盛り込まれた電子商取引に関する施策を実施するにあたり新たに制定される法、政省令、ガイドラインの内容が国際的慣行に整合し、民間自主規制の原則に則ることを確保する。

I-D. e-文書法案およびその実施規則を成立させ、医療サービスを含む多分野における文書の電子保存やデータの電子的交換に関する柔軟な法的枠組みを構築する。米国は、日本政府が継続して下記の措置を講ずることを提言する。

I-D-1. e-文書法に関連して関係省庁が規制やガイドラインを作成するにあたり、それらが統一性のある形で作成され実施される。

I-D-2. 最低30日間のパブリックコメント期間を設け、提出された意見を真摯に検討し、それらを最終的に実施される措置に適切に反映させることで、透明性を確保し民間のインプットを活用する。

I-E. 民間部門の要請に対応した有効かつ協調的IT政策を策定するというIT戦略本部の機能の強化に向けて下記の措置を講ずる。

I-E-1. 重点計画2004に盛り込まれた改革を推進するにあたり、IT戦略本部は、規制改革・民間開放推進本部および規制改革・民間開放推進会議と緊密に連携を図ることを確保する。

I-E-2. IT戦略本部および評価専門調査会への民間の参加を促す。これには、新たに確立されたe-Japan施策や計画の評価制度(PDCAサイクル)において、日本の団体以外の団体からの専門家を含む民間部門の専門家からのインプットを積極的かつ透明性の高い形で募ることを含む。

I-E-3. 各府省庁がIT政策を体系的、協調的、包括的に実施することを促すため(関係府省庁の)IT連絡会議が十分な資源を有することを確保する。

II. 知的財産権保護の強化

 日本は日本経済を活性化するため、IT並びに知的財産の経済的重要性を認識しており、知的財産推進計画を通じて知的財産の創造、活用、保護において指導的立場に立とうと努力している。これらの目標および知的財産推進計画に沿って、米国は日本が以下の措置を取ることを提言する。

II-A. 著作権保護期間の延長 一般的な著作物については著作者の死後70年、また生存期間に関係のない保護期間に関しては著作物発表後95年という、現在の世界的傾向と整合性を保つよう、音声録音および著作権法で保護されるその他の著作物の保護期間を延長する。

II-B. 法定損害賠償 侵害行為に対する抑止力となり、侵害により被った損失に対し権利者が公平に補償されることを確保し、また、実際の損害・利益を算出・立証するという困難かつ費用のかかる負担を解消することで司法の効率を向上させる法定損害賠償制度を採用し、知的財産の侵害に対する執行制度を強化する。

II-C. デジタル・コンテンツの保護 以下の措置によって、デジタル・コンテンツの保護を強化し、オンライン上の著作権侵害を防ぐため日本政府が達成してきたことをさらに積み重ねていく。

II-C-1. 政府の効果的監視 すべての政府機関および公的機関が、不正複写、海賊版を入手可能な状態および送信、あるいは、政府支援のIT資源上におけるその他の侵害行為を効果的に防止し罰することを確保する措置を取る。

II-C-2. ISP責任 インターネット・サービス・プロバイダー責任制限法等のデジタル・コンテンツの著作権侵害を防止するための現行の措置を包括的かつ積極的にモニターし強化する。

II-C-3. オンライン上の海賊行為 オンライン環境上での著作権の一層の効果的行使を図る。

II-C-4. 私的利用に関する例外 私的利用の例外範囲を明確にし、ピア・ツー・ピアのファイル共有といった家庭内利用の範囲を超える行為を示唆する行為が、権利者の許諾なしには認められないことを明らかにする。

II-C-5. 一時的複製 確実性と明確な指針を与えるため、「一時的蓄積」は複製権を含意するとの日本政府の重要な認識の適用状況について利害関係者に引き続き助言を与える。

II-C-6. 技術的保護措置(TPM) デジタル上の著作権侵害の急増を阻止するため、TPMの保護範囲を拡大する。

II-C-7. エンドユーザーの著作権侵害 エンドユーザーによるあらゆる形の著作権侵害を阻止するため、侵害の定義範囲を拡大する。

II-D. 偽作版 特に大学構内において違法に書物が複製されることを防止するため、日本の著作権法の効果的執行に向け措置を講ずる。

II-E. 著作権法における改正教育例外条項の適切な解釈 日本の著作権法第35条の教育例外条項が、著作物の通常利用の解釈と矛盾せず、権利者の合法的利益を不当に侵さないことを確保する。

II-F. 知的財産推進計画および知的財産政策 知的財産戦略本部は「知的財産推進計画 2004」を2004年5月27日に発表した。同推進計画およびその他の知的財産政策の実施にあたり、知的財産戦略本部および日本政府が以下の措置を取ることを米国は提言する。

II-F-1. 知的財産推進計画、「知的財産政策大綱」の政策目標およびその他の知的財産関係措置を実施するために準備されるいかなる政令、省令、通告、指針等も、パブリックコメントの対象とする。最低30日間のパブリックコメント期間を設け、提出された意見が真摯に検討され、最終的に実施される措置や行動に適切に反映されることを確保する。

II-F-2. 措置および政策目標の実施において、国際的義務や標準、そして規範を順守する。

II-F-3. 政令第45号に基づき重要な知的財産政策案件を検討し議論するための「専門調査会」に、日本の団体以外の団体からの専門家を含める。

II-F-4. 関係府省庁が措置を講ずるにあたり、それらの措置がうまく管理され調和の取れた形で実施されるよう、知的財産戦略本部に必要な資源、サポート、調整メカニズムを提供する。

II-G. 知的財産権保護の強化に向けた日米の連携 世界、特に、アジアにおける知的財産権の一層の保護を促すため、二国間、地域内、多国間協議の場において米国と連携する。

III. 官民による電子商取引の利用の促進

 e-Japan戦略IIおよびe-Japan重点計画2004はともに、個人に恩恵をもたらし、高付加価値を生み出す事業活動の促進を目指し、日本経済全体にわたってのITの利活用や電子商取引を促している。インターネットのスピード、利便性、低価格は、国境を超えて行われる電子商取引という国際貿易に有利に働く反面、貿易国家間での一貫した政策や規制を必要とする。プライバシーを保護し、電子商取引のための裁判外の紛争解決手続(ADR)を推進し、ネットワーク・セキュリティーを向上させ、スパムを取り締まるといった公的私的部門における政策は、日本におけるITの利活用の拡大に貢献し、国内外での電子商取引を促進する。これらの政策は、民間部門のリーダーシップや自主規制メカニズムの原則に重点を置き、国際的慣行と整合すべきである。

III-A. プライバシー 2003年5月23日、国会が個人情報保護法を成立させたことを受け、いくつかの省庁は、同法の2005年4月の施行を前に公表すべき施行指針を策定した。米国は以下の措置を日本が取ることを提言する。

III-A-1. 最低30日間のパブリックコメントに付すとともに、指針が最終決定される前に提出された意見を検討する適切な期間を設ける等、これから策定される個人情報保護法の施行指針が、透明性が高く一貫性のある形で策定されることを確保する。

III-A-2. 全ての指針が、電子事業や「B to B」および「B to C」電子商取引を阻害せず、過度の負担を課さず、既存の国際規制を補完する、一貫した指針となることを確保する。

III-A-3. 医療におけるプライバシー問題に関する対話を深めるため、2005年の冬にプライバシー問題の専門家を招集しテレビ会議を共催する。一貫性を高めるために、多省庁からプライバシー問題の専門家を招聘する。

III-A-4. 個人情報保護法の施行指針を策定している省庁が、それら指針を一貫性があり公正な形で施行するとともに、政府規制や指針あるいは周知目的で作成される事例集の公表なども含め、是正措置および違反行為に関する情報を公表する制度の構築を確保する。

III-B. 裁判外の紛争処理手続(ADR)の促進 e-Japan 重点計画 2004は、電子商取引に関するADRの推進を掲げている。

III-B-1. 米国はIT戦略本部がオンライン紛争処理を推進する措置を採用し、それらの措置を、電子商取引に関するADRが、ADR手続で用いられる規則、プロセス、基準を一般的に当事者が決定できることを認める自主規制の原則に則ることを許すような形で講じることを確保するよう要請する。

III-B-2. ADRの発展のために柔軟性が高く開かれた法的環境の整備を目指す法案の策定という日本政府の取組みに関して、米国は、日本が、本要望書の商法に係る箇所において提言していることを取り入れ、国境を超える性質を持つ電子商取引に対応するADR制度を採用することを要請する。

III-C. ネットワーク・セキュリティー 2004年2月に発表されたe-Japan戦略II加速化パッケージおよびe-Japan重点計画2004は、日本政府が多様な措置を講じて、政府内および民間部門における情報セキュリティー政策を強化することを提言している。米国は、この分野における日本の取組みを引き続き支持するとともに、日本政府が全ての利害関係者がこれらの取組みに参加するよう奨励することを提言する。2003年9月9日のグローバル・サイバー・セキュリティーの促進に関する日米共同声明(2003年共同声明)は、重要インフラの大半が民間部門によって所有されていることに鑑み、官民の協力が特に重要であることを確認した。

III-C-1. 日本政府は、現在、中央政府システムに関するネットワーク・セキュリティー基準を策定している。これらの基準を策定するにあたり、米国は日本に下記の事項を要望する。

III-C-1-a. 基準を民間部門と協力し策定することで、民間部門の自発的順守を促し、政府と同様な基準と指針を採用する確率を高める。

III-C-1-b. 透明性が高い形で、基準を策定し実施する。(国内外の)すべての利害関係者が意味あるパブリックコメント過程に参加できるよう基準草案を最低30日間のパブリックコメントに付すことを確保する。日本政府は提出された全ての意見を考慮し、最終決定事項に反映させる。

III-C-1-c. 全府省庁を通じて基準に一貫性があることを確保する。2003年共同声明の中で、日本政府は、国家のサイバーセキュリティー政策や計画が中央集権化された機構によって策定される重要性を確認した。府省庁間における一貫性を確保するために、日本政府は内閣官房の情報セキュリティー対策推進室が政府内の連携を促すことを可能とするよう適切な資源をもってサポートする。

III-C-2. 米国政府は日本政府が民間部門のネットワーク・セキュリティー基準の策定を考慮していることを理解している。米国は日本に下記の事項を要望する。

III-C-2-a. ネットワーク・セキュリティー基準が民間企業にとり強制力を持つものでないことを確認する。

III-C-2-b. 日米両国の共通認識である民間の自主規制の原則に則り、民間企業のニーズに沿った最も適切な基準を民間企業自身が自発的に選択することを認める。

III-C-2-c. 民間部門と協力し、ネットワーク・セキュリティーに関するベストプラクティス(最優良事例)集を作成し広く周知する。

III-C-2-d. 国際的な業界標準化任意団体によって策定された基準の使用を促進し推奨する。

III-D. スパム 迷惑メールいわゆるスパムは、多くの場合、オンライン詐欺行為に関連し、悪質なコードを拡散し、企業や消費者に負担と経費を強いている。拡大するスパム問題に対処しなければ、電子商取引の発展は脅かされる。米国はスパム問題に効果的に対処するには、消費者や企業に対する啓蒙活動、効果的な法律の執行、技術的基準、ベストプラクティス等を組み合わせた総合的な取組みが必要であると確信する。よって米国は、日本に下記の事項を要請する。

III-D-1. スパム問題の解決に向け、技術革新を通じて民間が中心的役割を果たし、また民間が独自に技術選択することを確認する。

III-D-2. 消費者意識を高め、効果的に法律を執行する手段を明らかにし、スパム対策の中に自主規制の原則を取り入れる。

IV. 情報システムの調達改革の促進

 日本政府は、2001年より、電子政府の構築に向け、情報システム調達手続を改革するための具体的な措置を講じてきた。それは、反競争的行為を防止し、高品質な電子政府システムを妥当な価格で調達し、業者間の技術革新や競争を促進し、中央政府の調達における透明性を高め、技術的中立性を確保するといった目標の達成には、これらの措置が不可欠であるとの認識の下に行われた。2003年に各府省情報化総括責任者(CIO)連絡会議が決定した電子政府構築計画および重点計画 2004においても繰り返し強調されているこれらの目標を米国は支持する。これらの改革が意図する成果を生むことを確実にするため、米国は日本政府に下記の提言をする。

IV-A. 2004年3月30日に各省庁が採択した了解覚書に列挙されている措置の実行と効果をモニターし評価する。特に、米国は以下のことを日本に提言する。

IV-A-1. 了解覚書に沿って実施されている情報システム調達手続の改善方法に関して、2004年度内にパブリックコメントを通じて民間の意見を聴取する。知的財産権の所有権や損失に対する責任の明確化といった検討中の事項もこのパブリックコメントの対象とする。

IV-A-2. 極端に低い価格の入札やその他の反競争的行為を防止するための措置の効果を客観的に評価する方法を整備する。

IV-A-3. 2004年4月に構築された情報システムに係る政府調達事例データーベースの拡充に向け、全省庁は情報システムの調達に係る落札の具体的事例情報を提供する。米国政府は、日本政府がこれらの情報を分析し、情報システム調達の全体的傾向を示す統計を公表することを推奨する。それには、以下の事項を含む。

IV-A-3-a. 一般入札と随意契約の比率。

IV-A-3-b. ライフサイクル・コストやOGVMといった新しい評価方法の採用。

IV-A-3-c. 複数年契約といった新しい契約方法の採用。

IV-B. 政府の情報システム調達に関するさらなる改革を断行するため、以下の措置を含め、追加的措置を実行する。

IV-B-1. 調達にかかわる落札情報を、透明性が高く、また、誰でも入手できる形で時宜を得て公開する。

IV-B-2. 外国企業や中小企業に対する障壁を除去するため、資格審査制度を改革する。

IV-B-3. 調達機関は、適切な場合、(例えば、ハードウエア、ソフトウエア、ソフトウエア開発といったそれぞれの調達に対し独立した入札採用し、)一括契約を減らすよう努力する。一括契約が必要となる場合、元請負業者を決定するために行われる一括入札の反競争的影響を緩和するための措置を講ずる。

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エネルギー

I. 独立した規制当局

 日本の電力・天然ガス分野において効果的で競争促進的な規制改革を行なうためには、強力なな執行メカニズムが鍵となる。「日米間の『規制改革及び競争政策イニシアティブ』」に関する日米両国首脳への第3回報告書」(以下、「両国首脳への第3回報告書」)の中で、日本政府は、この目標を達成するための十分な人員、専門性および独立性を確保する重要性を認めた。従って、米国政府は日本政府に下記の実行を求める。

I-A. 経済産業省の人員が「電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律」(以下、「法律」)において規定している監視・施行責任の規模と一致するよう具体的な方策を取る。

I-B. 適切な実施と監視を可能にするよう、十分な独立した予算を配分する。

I-C. 経済産業省における関連する規制担当部署と政策策定部署との間の規制権限と責任の範囲・分担を、「法律」の施行省令等の中で明確に定義する。

I-D. 経済産業省内のエネルギー分野の規制、監視を担当する部署が、エネルギー又はエネルギーサービス提供者からの出向者受け入れを控えるよう約束する。そして、

I-E. 経済産業省内のエネルギー分野関連の規制、監視担当部署の職員の行動規範が、意思決定の独立性を効果的に保証するよう確保する。

II. 規制改革の監視および査定

 需要家の選択肢を拡大し、供給者間の競争を促進し、市場参入の新しい機会を創造するために行われている電力・天然ガス分野における規制改革には、これらの改革が市場にもたらす競争促進的な大きな影響の実現を確保するため、慎重な監視および査定も必要である。不備は時間と共に査定を通して指摘されていくが、改革プロセスは、新規参入に開放された完全に競争的な市場の実現のために、新規の構造改革を含む追加的な規制改革のステップの議論を開始することにつながるべきである。従って、米国政府は日本政府に、実際の市場競争の発展を追跡するための監視・査定計画を策定し、その計画を実施するために必要な資源を用意し、2005年夏までに電力、天然ガス分野の計画を準備するよう求める。その方策には、競争状況を査定するため様々な分野に基準を設定し、実際の市場状況や動向について独立した分析を行なう市場モニターを任命し、そして、より活発な競争を実現するためのさらなる方策の必要性を考えるために、関連する経済産業省の研究会などで市場情報の定期的な調査を行なうことなどが含まれる。

III. パブリック・インプットと改革のプロセス

 電力と天然ガス分野の規制改革プロセスが前進する中で、米国政府は日本政府に対し、引き続き(パブリックコメント手続きなどを通して)意見を述べる有意義な機会を設けるよう、また、これらの意見が関連省令、規則およびガイドライン等の最終版に反映されるよう求める。

IV. 事業情報の機密性

 機密性と事業情報の交換に関わる厳格な行動規範は、送電事業者と/または導管のエネルギー関連事業者およびマーケッティング関連事業者が、関連の無いマーケッターやエネルギー事業者よりも不公正な競争上の優位性を持つことを防ぐのに役立つ。そのような基準の欠如は、送電事業者や導管が、関連性の無いマーケッターやエネルギー事業者に提供する通常の託送業務を通じて入手した機密扱いの情報を、関連するマーケッターやエネルギー事業者に流すことを可能とするため、公平な取り扱いに対する投資家の信頼を揺るがしかねず、結果的に必要なエネルギー基盤への投資を思いとどまらせることになりかねない。従って、米国政府は日本政府に対して、適切な行動規範を策定し、天然ガス導管と電力送電事業者に統一的に適用するよう求める。また、次の原則も含めるよう求める。

IV-A. 送電事業者および導管が、エネルギーおよびマーケッティング関連事業より独自性をもって機能する要件を拡大する。

IV-B. 共有が可能な情報の種類、また、共有できる社員、コンサルタントおよび契約者の種類を規制する。

V. 電力分野

V-A. 「法律」の施行省令、規則等の透明性のある整備と効果的な実施は、健全で競争的で安定的な電力市場にとって鍵である。競争的な市場は、適正な基盤、燃料供給と発電・送電設備があってはじめて可能になる。さらに、発送電一貫の業界では、必要な資本投資を促すためや、顧客が自由化の利益を完全に享受できるよう確保するために、競合会社、料率、送電運営に対する電力会社の行動に関わる効果的で透明性のある規則が必要である。従って、米国政府は日本に、追加的な方策を取ると共に、「法律」の目的を実現するための具体的で詳細な施行省令および規則等を早急に発令するよう求める。

V-A-1. 電力卸売における競争を支援するための適正な市場構造 米国政府は、連系した送電網を通して多数の電源への接続を可能にするために、経済産業省が下記の方策を取るよう提言する。

V-A-1-a. 大小の発電事業者を含むすべての市場参加者に対して、透明性のある送電設備への接続手順と料金体系を提供し、効率的な電力取引と送電網関連施設のタイミングの良い建設を可能にするため、ロードバランスやロードフォロー等の送電補助ネットワークサービス(アンシラリー・サービス)の価格設定と規定に関する規則を定める詳細な省令・規則等を発令する。

V-A-1-b. 競争的な全国規模の電力市場を支えるために必要な連系容量に不備が無いかを探る調査を行ない、経済的に可能な限りそのような不備を是正する具体的な措置を策定する。

V-A-1-c. 効率的な基本市場設計と公平で透明な参加規則を確保し、参加のための量と資格の規制が最小限になるよう、提案されている電力取引所の構造を公正取引委員会と共同で監視する。

V-A-1-d. 詳細な経済産業省の省令・規則等を発令するとともに、提案されている電力取引所における取引に関して公正取引委員会と共同でガイドラインを作成する。

V-A-1-e. 執行管轄省庁が違反の察知を行なえるようにするため、電力取引所のメンバーに対して取引量と条件に関わる報告を義務づけ、取引の事後監視を行なう詳細な省令・規則等を発令する。

V-A-1-f. 提案されている電力取引所の会社に「市場監視員」という職分を新設することを義務づける。市場監視員は、どの会社にも所属しない独立した専門家で、市場が競争的であるかを確認し、また取引所の規則や手続きが可能な限り最大限に市場メカニズムに基づくよう確保するために定期的に市場を監査する。さらに、市場の競争状況について少なくとも年に一度は経済産業省へ報告書を提出する。

V-A-2. 送配電設備への接続条件 電気事業分科会は、中立機関(NSO)の設立とそのサービスの提供にあたり、「公平性と透明性」の確保の重要性を確認した。分科会ではさらに、この目標を達成するために具体的な関連提言を行なった。米国政府は、経済産業省が次の分野で具体的で詳細な省令・規則等を策定するよう求める。

V-A-2-a. 「両国首脳への第3回報告書」で合意されたとおり、経済産業省が中立機関を監督し、是正の必要があれば中立機関に対し命令を発令するための手続きを整備する。

V-A-2-b. 「両国首脳への第3回報告書」で確認されたとおり、「設備形成、系統アクセス、系統運用および情報開示」に対して中立機関ルールを実行する手続きを整備する。これには、送電線の空き容量の開示の義務づけを含む。

V-A-2-c. 中立機関の既存会社が中立機関を支配できないようにするため、経済産業省が中立機関の組織と意思決定について公平性と透明性を確保できるよう手続きを整備する。

V-A-2-d. 中立機関の効力を定期的に見直し、中立機関がタイミング良く明確な決定を下せないと判明した時には、それを解散し、市場参加者を含まない真に独立した組織に代える手続きを導入する。

V-A-3. 送配電線への第三者アクセス 「法律」のもと、第三者アクセスのための公平で透明な会計および料金を効果的に実施するために、米国政府は経済産業省が次の目的を達成するために具体的で詳細な省令・規則等を採択するよう求める。

V-A-3-a. 内部相互補助を防止するための送配電機能と他の電力機能の分離、また、会計規則や分離会計の詳細の公表。

V-A-3-b. 送電料金のパンケーキ方式(供給区域をまたいで送電するごとに課金する方式)の廃止と、そのような料金をパブリックコメント手続きを経て採用された送電料金算出方法に代える。

V-A-3-c. 市場参加者の受益と負担の関係を踏まえ、送電設備増強のための費用を配分。

V-A-4. 行為規制の実施 電力業界における差別禁止を実行するための行為規制は、経済産業省と、独占禁止法の観点から公正取引委員会の継続的な監督を必要とする。施行のための具体的な省令等や救済策は、市場への新規参入を考える者の信頼性を高める。米国政府は、次の目的のために、経済産業省が具体的で詳細な省令・規則等を採択するよう求める。

V-A-4-a. 託送業務において知り得た情報の目的外利用を禁止する。

V-A-4-b. 一般電気事業者の送配電部門による、他の電気事業者に対する不当に差別的な取扱いを禁止する。

V-A-4-c. 一般電気事業者所有のLNG施設への無理のないアクセスを拒否することによって競合する電気事業者に対して不当に差別的な取り扱いをすることを禁止する。

V-A-4-d. 厳正な市場の事後監視を行い、規制に係る紛争を中立かつ公平な方法で解決する。

V-A-4-e. 行為規制と事後監視の有効性の調査を実施する。

V-A-4-f. もし行為規制や事後監視が不十分であると証明された場合は、不当に差別的な取り扱いを禁止するためのより構造的な方法(例えば、多数の送電システムの管理を独立した中立機関に移すなど)を規定する。

V-B. 工業企業による自家発電とコジェネレーションは、日本の電力システムの供給性と信頼性を効果的に高めると同時に、それをより競争的にすることができる。総合規制・民間開放推進会議の2004年8月の報告書では、このような電源に対して系統接続を行なう方法について議論する重要性を強調している。水蒸気を発生させる産業や他の小規模な発電設備が余剰電力を販売できる市場を促進するため、米国政府は日本に、下記を目的とする具体的で詳細な省令・規則を策定するよう求める。

V-B-1. 分散型電源を使用する企業に、法外な料金や接続料金を課すことを禁止する。

V-B-2. 余剰出力のある工業企業が自己または一般電気事業者が所有する送電線を使って電力を他の需要家に販売することが出来るよう、接続に関する透明性のある仕様書と手続きを義務づける。

V-C. 日本の電力市場において需要家の選択肢と投資家の信頼を拡大するため、米国政府は日本に対して、「両国首脳への第3回報告書」で定められた自由化スケジュールと一致する具体的で詳細な省令・規則等を制定するよう求める。これには、家庭用需要のための更なる小売自由化範囲の拡大の可能性を含む。

V-D. 米国政府は日本に対して、電源開発株式会社(またはJ-Power)の民営化が市場原理に基づいて行われるよう確保し、民間競合社と比べて電源開発株式会社に特別な優遇措置が与えられないよう、また独占禁止法に適法な形で行われることを確実にする。

VI. 天然ガス分野

VI-A. 「法律」が日本における健全で競争的で安定したガス市場の発展に有効であるためには、施行省令等の透明性のある策定と効果的な実施に大きく依存する。ガスは日本における新規発電用燃料の大半を供給しているため、ガス市場の自由化の成功は、健全で安定した電力市場にとっても不可欠である。従って、米国政府は、「法律」の目的を達成する具体的で詳細な施行省令等を迅速に発令するよう、日本政府に求める。

VI-A-1. 公平性と透明性 米国政府は、日本のガス市場の公平性と透明性を確保するため、日本政府に対し、経済産業省が料金認可の査定・監査を一層厳格に行い、市場での自由な競争の結果として生じる紛争を迅速に処理し、高度な専門性と独立性を持った中立・公正な事後監視・紛争処理の仕組みを確立、強化するための具体的で詳細な省令等を実施するよう求める。

VI-A-2. 中立性とアクセス 米国政府は、以下の項目を達成するような具体的で詳細な省令等を公布するよう、経済産業省に求める。

VI-A-2-a. 原則として、ガス供給用導管を保有又は運営する者すべてに対し、託送供給約款及び料率の作成・届出・公表を義務付ける。

VI-A-2-b. 規制当局に対し、通知およびコメントの後、会計分離を規定する施行規則等の作成を義務付ける。

VI-A-2-c. 競合するガス供給者からの接続要請に対応するため、「法律」が導管網に課している義務を明確化する。

VI-A-2-d. 情報遮断を確立し、特定の託送供給利用者に対する差別的な扱いを禁止し、違反に対する明白ではっきりした罰則や救済を規定する。

VI-A-2-e. 行為規制及び事後監視の有効性の調査を実施する。そして、

VI-A-2-f. もし行為規制や事後監視が不十分であると証明された場合は、不当に差別的な取り扱いを禁止するための構造的な方法を規定する。

VI-A-3. 導管インフラの拡張

VI-A-3-a. 米国政府は、日本政府が、日本のガス輸送システムの柔軟性を高めるため、費用効果がある場合は、地域間を結ぶ基幹導管を含む追加的導管建設に積極的な環境を作り出すことを奨励する。これは、以下の事項をもたらす。

VI-A-3-a-(1) 国内における天然ガスのより経済的な配送を奨励し、ガスをより商品化し、やがては末端消費者の費用負担を減らす。

VI-A-3-a-(2) より少数の(しかしより大きい)液化天然ガスターミナルによって本質的に国内全般への配送が可能になるので、「地方」のターミナルへの投資の必要性を減らす。

VI-A-3-b. 米国政府は、日本政府に対して、既存導管の保有者が必要な新規導管の建設を妨害したり延期させる手段として当該規定を利用しないよう、新規導管敷設にあたり既存導管の有効利用に関する意思決定過程を用心深く監視するよう要請する。

VI-A-4. 料金の決定 米国政府は、日本政府に対して、工業用需要企業へガスを送るために必要な輸送導管の長さや、業務用需要企業及び家庭用需要へガスを届けるために使われる配送導管の密集度のような要因を考慮し、より柔軟でコストに基づいた輸送・配送サービス料金の決定方法を促進するよう提案する。

VI-B. 日本は、ガス需要に対応するために液化天然ガス(LNG)の輸入に依存している。その結果、広範囲なオープンアクセス導管システムを有する国々の状況とは対照的に、真に競争的なガス市場を構築するためにはLNG施設への真に自由なアクセスが導管の第三者アクセス(託送供給)と同様の方法で確保されている事が不可欠である。米国政府は、日本政府に対して、全ての市場参加者がガス導管システムおよびLNG基地へ確実で信頼性のあるアクセスを構築する支援として、次の方策を取るよう提言する。

VI-B-1. 米国政府は、日本政府に対して、以下の内容の非差別的なアクセスの目的を達成するための具体的で詳細な省令等を実施するよう求める。

VI-B-1-a. LNGターミナル保有者が、ターミナルの容量、特に余剰容量に関する情報を作成し、時機を逸することなく第三者に提供する事を義務付ける。

VI-B-1-b. LNGターミナル保有者が、ターミナル利用の条件と手続きを明瞭に説明する文書を作成し、すべての利用希望者に対して提供する事を義務付ける。

VI-B-1-c. LNGターミナル保有者が、ターミナル利用の申し込みを拒否した場合は、その拒否事由を文書により相手方に通知する事を義務付ける。

VI-B-1-d. 導管網とLNGターミナルの利用状況の情報開示に関するガイドラインを策定する。

VI-B-1-e. LNGターミナル保有者による潜在的な利用者への差別を防止するために必要な政府の責務を明記し、執行メカニズムを明確に定義する。

VI-B-2. 発送電一貫体制のエネルギー会社によるLNGターミナルの所有は、これらの既存会社が競争相手になる可能性のある会社と時機を逸しないで、効率的にターミナルアクセスの契約を結ぶ可能性を制限する。従って、米国政府は、日本政府に対して、そのようなアクセスの提供を怠るエネルギー会社に対して公平で透明なアクセス規制を課すために、経済産業省による詳細で具体的な省令等の採択を通して行なう措置を含む追加処置を遂行するよう求める。特に、米国政府は、経済産業省に対して、以下の項目の実行を求める。

VI-B-2-a. ターミナリング(LNGの貯蔵等)と再ガス化費用を考慮に入れるために費用配分し料金設定を行なう、コスト・オブ・サービス料金体制を各ターミナルに設定する。

VI-B-2-b. LNGターミナルが提供するサービスの条件を詳述する標準化された料金表(タリフ)を採用する。そのような料金表は、適切な費用及び技術の変動幅を見込んだうえで、必要に応じて標準を逸脱することができる。そして、

VI-B-2-c. 標準化された料金表が、第三者が容量を得るために入札することを可能とするオープンアクセス手続き、及び落札者(最大ネット現在価値)を決定するメカニズムを確立することを保証する。

VI-B-3. 第三者アクセス(託送供給)が可能な導管との接続がある新規のLNGターミナルは、第三者アクセス(託送供給)に開放すべきである。

VI-B-4. 米国政府は、LNGターミナルへの有意義な第三者アクセス(託送供給)が確保されることを保証するために必要な規制及び監視機能を担う経済産業省の人員が適切に確保されるよう求める。

VI-C. 米国政府は、日本がガス分野の更なる自由化のために、下の項目を含む必要な処置を引き続き講じることを奨励する。

VI-C-1. 2007年までに、年間契約ガス使用量が10万m3以上の需要家を含めることにより、小売自由化の範囲を市場の約50%まで拡大する。

VI-C-2. 年間契約ガス使用量が10万m3未満の家庭用及び小規模業務用需要の自由化の時期及び方法については、早い時期に検討を開始する。

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医療機器・医薬品

I. 医療機器・医薬品の価格算定改革と関連事項

 日本の医薬品・医療機器産業の国際競争力に関する「産業ビジョン」として知られている政策文書では、革新性の価値と償還価格が革新的な研究開発投資に重要な関わりを持つことを認識している。厚生労働省は、医薬品・医療機器産業の国際競争力を強化するには、市場での収益というインセンティブを提供することが重要であることを認識した。そして、革新的製品の迅速な保険導入を推進することに同意した。米国政府は、これらの取り組みを支持し、日本に以下の措置を講じるよう求める。

I-A. 産業ビジョンの実施を迅速化する。

I-B. 価格算定の政策変更の検討、また、その影響を判断するにあたり、米国業界を含む業界に対し、相談をする意味のある機会を与える。厚生労働省が相談をする外部専門家に、米国業界を含む業界が、意見を述べる意味のある機会を与える。以下の措置により、価格算定の過程における業界の意見提供及び参加を促進する。

I-B-1. 中医協における、米国業界を含む業界の代表枠を拡大する。

I-B-2. 薬価算定組織及び保健医療材料専門組織の一回目の会合において、申請者に償還価格に関して意見表明をする機会を与える。

I-C. 日本の患者や医療制度に提供される革新的な医療機器及び医薬品の価値が正確に評価されるように、価格算定ルールを改善する。価格算定ルールの変更が、厚生労働省の認識する革新性の価値と相反しないことを保証する。価格設定をするにあたり、薬事承認の遅れや新薬事法を順守するために掛かる日本での経済活動を行なうためのコストを考量する。そして、以下の措置を講じるよう求める。

I-C-1. 医薬品

I-C-1-a. 原価計算方式の代替案として、メーカー希望価格をつける価格設定方式を採用する。

I-C-1-b. 類似薬効方式を採用する場合、類似薬につけられた最初の価格を使用する。

I-C-1-c. さらに加算枠を十分に適用する。

I-C-1-d. 類似薬選定及び加算ルール適用に利用されるデータの出所及び種類を拡大する。

I-C-1-e. 市場拡大に基づく再算定基準を廃止する。

I-C-1-f. 医薬品の外国平均価格調整が、米国業界に不利益を与えるよう変更されないことを保証する。

I-C-1-g. 革新的な製品の開発コストを償う必要性を考慮する。

I-C-1-h. バイオロジック製品については、その特異な性質を考慮し、メーカー希望価格に基づく新たな価格設定方式を採用する。

I-C-2. 医療機器

I-C-2-a. 医療機器の外国平均価格調整ルールを見直す。他の市場のコスト構造とは異なった日本市場特有の側面を考慮し、外国平均価格調整ルールにおける倍率その他の要素を変更する。

I-C-2-b. 価格データ採集方法について, 米国業界を含む業界と相談する。

I-C-2-c. 政府の専門家と米国業界を含む業界の代表者による組織を創設し、対話の強化及びR幅方式の過程やC1、C2保健医療用具区分の改善に関わる提言を作成する。

I-C-2-d. 薬事審査が終了する以前に、C1、C2保健医療区分に関する拘束力を持った事前相談を提供する。

I-C-2-e. C1製品の暫定価格を、薬事承認後に希望があった際、又はその直後に与える。

I-C-2-f. C1,C2保健医療区分を希望する保険適応手続きに関する主要な質問や問題は、希望書が提出されてから2週間以内に指示をする。

I-C-2-g. C1保健医療区分の適応資格や補正加算の基準を公表することにより、C1製品の取り扱い決定を早め、予見可能性を向上させる。

I-C-2-h. 治療、診断や疾病の管理、コンプライアンス、使用の安易性、回復時間や長期的な結果などを著しく改善する製品には、C1保健医療区分の適応をする。

I-C-2-i. 経済的な結果、生活の質、安全性、有用性その他の要素を考慮し、製品個々の価値を判断する価値基準方法をC2保健医療区分製品に適応する。

I-D. 予防医学において、承認済みの医薬品の保険適応を認める。

I-E. 新たな投与用量・用法の追加、追加の投与計画、複数の医薬品の投与(併用療法)又は新効能効果について、これらの治療方法が承認された後、再審査期間中に意味のあるインセンティブを製造業者に与えるために、特許保護期間を延長する。

I-F. 診断機器(例えば体外診断薬や画像診断機器)について、透明性を向上し、米国業界を含む業界と相談する。診断機器の価格設定をする際に、診断機器の価値を考慮する。対外診断薬については、価格データ採取方法の透明化を計り、院内検査の臨床的価値を評価する方法を確立する。中医協に、対外診断薬の委員会を設ける。

I-G. 特定機能病院医療包括制度(DPC)において、革新的医療機器や医薬品の導入が確保されるよう措置を取る。

I-H. 適切な患者ケアと革新的な医療機器の入手を確保する為に、治療ガイドラインを導入する。

I-I. 医薬品の知的財産保護強化の提案について、知的財産戦略本部による考慮に関し、在日外資企業を含む医薬品企業と綿密に相談する。

II. 医療機器・医薬品の薬事規制改革と関連事項

 厚生労働省は、安全でより効果的な製品の迅速な市場導入を確保することにより、日本の医療機器・医薬品の産業と市場の国際競争力を改善するという産業ビジョンの目標の達成を希望している。2004年4月1日に設立された総合機構(PMDA)は、薬事承認のプロセスと市販後安全対策システムの透明性、速度及び予見可能性を向上させると期待されている。米国政府は、日本に以下の措置を講じるよう求める。

II-A. 薬事審査と承認を迅速化し、総合機構の業務目標を達成する。医薬品については、開発段階における総合機構との相談について、初回相談の80%を申込後から60日以内に行なうという新たな業務目標を追加する。医療機器については、MOSS合意の目標を超えるべく努力をする。

II-B. 総合機構の業務目標の達成度について、年次報告書の詳細と透明性をさらに良くするために、総合機構の業績を評価する数的指標を、米国業界を含む業界と相談して構築する。以下の数的指標を含む年次報告書を公表する。

II-B-1. 医薬品については、審査件数と種類(例えば、優先審査など)、事務処理期間及び総審査期間の平均値と中央値、製造管理及び品質管理規則(GMP)査察件数及びそれらの査察を完了するのに費やした時間。

II-B-2. 医療機器については、申請件数(合計及び承認件数)、申請書あたりの指示事項の回数、審査の各段階で費やされた時間、審査側の審査に要した時間。

II-C. 透明性を向上させるために以下の措置を取る。

II-C-1. 米国業界を含む業界と総合機構、厚生労働省及び総合機構又は厚生労働省から相談を受ける外部専門家との会合の機会を増やす。米国業界を含む業界と、業界の提案に関して十分に相談する。

II-C-2. 総合機構において、要求があった場合、申請者に審査進捗状況について説明をする制度を設ける。面談希望の要望から実際の面談までの期間を短縮する。

II-C-3. 総合機構と申請者の事前相談の内容について、両者が確認できるようメモを作成し、事前相談と申請後の審査の一貫性を確保する。

II-C-4. 特定の企業に係わる事柄(例えば、有害事象)について、外部専門家と相談する際には、その旨をその企業に通知する。そして、その企業に外部専門家や安全対策担当官らと情報交換をする十分な機会を与える。外部専門家の意見を求める際には、問題となっている医療機器及び医薬品について、十分に適切な臨床経験のある専門家を選定する。

II-D. 海外監査や工場査察が新製品の承認を遅らせることがないようにする。監査や査察の過程や要求事項を明確にする。医療機器については、認められた規制当局又は第三者認証機関による品質システムの認証又は監査結果を、市場導入前要求事項を満たしているとういう十分な証拠として受け入れる。厚生労働省又は総合機構による査察は、例えば、規制当局や第三者認定機関が証明書又はレポートを発行していない場合に限定する。

II-E. 医療機器の要求事項及びガイダンスを作成するに際しては、その要求事項に費用を賄う十分な利点があることとする。審査及び市販後の安全対策においては、既に公表されているガイダンスの利用を拡大する。新たなガイダンスが適用される前に、その案について業界が十分に意見を述べる機会が与えられるような管理規則を採用する。規制は科学に基づくことを確保する。

II-F. 審査にさらに一貫性をもたせるため、臨床治験相談に係わった外部専門家が、その製品の審査に関わることを約束する。総合機構の審査官の専門性を継続教育その他の方法で強化する。職員の異動は、職員の専門性の強化の観点から行なわれることを確保する。

II-G. 既存品目との同一性のある新製品については、資料概要(STED)の簡略化を認める、クラスTからクラスII及びそれ以上に分類が変更される製品を自動的に「新規」として取り扱わない、そして、製造工程及び製品デザインの変更は、それらの変更が安全性・有用性を変えない限り、薬事承認をせず認めるなど、医療機器の承認審査を合理化する。

II-H. 業界と相談して、優先相談及び優先審査の効率性を評価し、これら審査の過程を明確にする。

II-I. 併用療法及び配合剤の承認基準を簡素化する。

II-J. 2005年4月までに対外診断薬の業績評価指標を、米国業界を含む業界からの有意義な意見に基づいて設ける。疾病別の標準検査基準のガイドラインに関する政府の勉強会に、米国業界を含む対外診断薬業界の参加を認める。既に承認を受けている対外診断薬について、医師の要求があった場合は、そのような対外診断薬の使用制限を差し控える。

II-K. 総合機構の承認及び安全対策関係の不服申し立ての過程を、米国業界を含む業界と相談して明確にする。

II-L. 利害のバランスの取れた、科学、統計及び国際的に整合した方法に基づいた市販後安全対策システムを構築する。有害事象に関する報告された事態の重大性に相応し、そして、有害事象の評価とその後の対策を検討する際に、業界が関与することが出切るような仕組みを構築する。有害事象をめぐる論争については、データや業界と厚生労働省及び相談を受けた専門家との有意義な相談に基づく不服申し立ての過程を経て、迅速かつ効率よく解決をする。医薬品については、厚生労働省と総合機構のデータ・マイニング分析を含む安全性データベースの本質と使用目的を明確にする。また、製品の安全性に関するプロファイルについて、安全対策担当官と製品開発者とのやり取りの過程についても明確にする。医療機器については、医療機器規制国際整合化会議(GHTF)の調和された安全対策文書の利用を取り入れ、重要でない又は既知の事態には四半期毎のサマリーレポートでの報告を認める。

II-M. GHTFやISO等の組織により作成された医療機器の国際基準やガイダンス文書を大幅な変更無しに採用する。国際基準が存在しない場合、国際的に受け入れられた性能基準を受け入れ、不適切な設計要求を避ける。作成過程において、米国業界を含む業界が、有意義に意見を提供する機会を与える。パブリックコメントの機会を与え、基準を導入する前にWTOに通達を行なう。

II-N. 臨床試験実施に関する基準(GCP)に順守している事が実証されている場合、海外の臨床試験データを受け入れる。

II-O. 国内管理人制度の製造販売業制度への変更について、米国業界を含む業界と引き続き有意義な意見交換を行なう。制度変更による日本市場からの撤退が起こらないような措置を取る。

III. 血液製剤

 米国政府は、日本に以下の措置を講じるよう求める。

III-A. 米国業界を含む業界と、血液製品の規制及び保険償還に関する事項について、十分な意見交換を行なう。2004年の第3回報告書にある、2004年に全ての関係団体を集め、患者のケア、減少する需要その他関連事項を協議するという公約を実行する。

III-B. 政策及び規制を公平かつ透明性をもって適用する。需給計画の実施が外国製品を差別せず、日本の国際貿易の義務と完全に一致していることを確保する。

IV. 栄養補助食品の自由化

 米国政府は、日本に以下の措置を講じるよう求める。

IV-A. 米国への輸出用に日本で製造されている成分や補形薬の日本国内での販売を認める。

IV-B. 栄養補助食品のラベルや宣伝広告に教育或いは情報提供目的の文の表示を認める。

IV-C. 栄養補助食品の関税を同じ成分を含む医薬品と同等のレベルまで下げる。

IV-D. 国際貿易推進のため国際的指針や基準の確立に向けコーデックス委員会の栄養問題に関する活動への参加を増やす。

IV-E. リスク評価を基にポーテンシーリミットを決定する。

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金融サービス

I. 個別措置

 米国は、以下の分野における規制改革が日本で可能な限り早期に実施されることを歓迎する。

I-A. 兼営法第一条第一項に従って、外国銀行の支店が信託と銀行業務に同時に従事することを認め、国内銀行と対等の立場に置く。

I-B. 投資顧問および投資信託の活動に関わる規制の枠組みを一本化し、矛盾点や重複を解消する。

I-C. 投資家にリスクやコストの削減をもたらす投資の統合や分散を投資マネージャーに認めるために、投資信託契約の統合を許可し、早期償還の障害を削減する。

I-D. 貸金業者からはっきりと明白な通知の後、ディスクロージャーに対して顧客の同意があれば、電子的通知により貸金業法が定めるディスクロージャーの要件を具備することを貸金業者に認めることにより、消費者に有意なディスクロージャーを確保し、消費者のプライバシーを保護する。貸金業者や借金取りの悪質な取立て行為から消費者を守るため現行の規則を強力に順守させる。

I-E. 被雇用者にとって確定拠出年金が退職後の本当に有望な貯蓄手段となるよう、そして被雇用者に確定給付年金と確定拠出年金の選択肢を与えている企業において、確定給付年金の本当の代案となるよう、確定拠出年金の限度額をさらに引き上げる。 事業主の拠出に相応する被雇用者の拠出を認める。

II. 透明性

 金融分野での規制、監督業務に関する透明性を改善するため、米国は以下の措置が可能な限り早期に実施されることを歓迎する。

II-A. 金融庁が日本の金融法や規則の一連の書面での解釈を拡充させる方法として、金融庁のノーアクションレター制度を順調に推し進めることを米国政府は提言する。 書面での解釈は、どんな金融商品やサービスが日本の法律で禁止されているかどうかに関しての不確実性を除くために不可欠なものである。また、それによって金融サービス提供者による革新の領域が広がる。そのためには、本要望書の 「透明性およびその他の政府慣行」 の VIIIで説明されている提案を参考にして、金融庁がノーアクションレター制度の効率性を高めるために、さらなる措置を講じることを米国政府は提言する。そして、

II-A-1. 日本の金融法や規則の解釈を求める口頭で受けた要望に書面で回答するために、金融庁のウェブサイトに 「よくある質問」 のページか、同等な媒体を創設する。

II-A-2. 日本の金融法の書面での解釈を提供するための手段として、口頭又は書面での要望に答えるためにあるいは金融庁が佐紀を見越して行動し、金融庁のガイドラインの発行を増やし、使われる用語を明確にする。

II-B. パブリックコメントの受け入れ期間を設けることにより、個人情報保護法に関連するガイドラインの透明性を高める金融庁の努力を米国政府は歓迎する。 金融庁が、金融機関および業界団体の意見や懸念を慎重に検討し、新商品やサービスを効果的に日本の消費者に提供する金融機関の能力を妨げることなく、確立されたプライバシー保護システムに合致する方法で、個人情報を守るガイドラインを作成することを米国政府は提言する。

II-C. 米国政府は、規則策定手続きの透明性を高めるための金融庁の最近の動きや、新たな又は改正された金融庁の法令の実施を歓迎し、また当事者からその過程でインプットを求める更なる努力を歓迎する。そうした方法には公聴会の一層の活用や、既存および新たな規則やガイドラインと関連した行政手続法の下でのパブリックコメントのプロセスを引き続き活用することを含む。

II-D. 自主規制機関の補足として、日本の金融当局が、会員の見解や専門知識を十分に示す民間の金融業界団体、例えば在日米国商工会議所や国際銀行協会などと引き続き密接に仕事をすることを米国は要望する。

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競争政策

I. 独占禁止の施行効果を強化する

 日本経済における競争の保護および促進の成功は、反競争的行為を効果的に抑止するため 厳しい制裁を制定し、反競争的慣習を暴くための最新捜査手段を公正取引委員会(公取委)に与える強力な独占禁止法(独禁法)に掛かっている。独禁法の施行が最も効果的になることを保証するために、米国は日本に以下のことを要望する。

I-A. 課徴金制度を強化する

I-A-1. 全種類の違反者に対する課徴金を2倍に引き上げる。

I-A-2. 10年以内にカルテルまたは談合活動を繰り返す会社に対して通常よりもはるかに高い課徴金を科す。

I-A-3. 課徴金をカルテルまたは談合の違反行為が行われた期間、あるいは最低でも現在の上限3年よりもはるかに長い期間に発生した企業の共謀による全売上を対象にする。

I-A-4. 課徴金命令の対象活動の範囲を生産量、市場占有率または顧客数を制限する共謀協定および不法購入カルテルに拡大する。

I-B. 法人措置減免制度を導入する

I-B-1. 公取委の捜査前にカルテルの存在を公取委に自主申告した最初の会社は課徴金を免除し、同社および、公取委に全面協力した同社の従業員をカルテルに係る刑事告発から除外する。

I-B-2. 公取委の捜査に決定的な支援を提供した最初の企業のみまたは2社まで課徴金額を減免する。

I-C. 公取委の捜査効果を高める

I-C-1. 刑事告発をするために公取委に犯則調査権限を与える。

I-C-2. 公取委の捜査を妨害する会社およびその従業員に対する刑罰を強化する。

I-C-3. 公取委が発する排除措置命令の法定期限を不法行為の終了後3年間に延長する。

I-C-4. 明らかに競争過程を損なう行為に対し、公取委の捜査に優先権を与える。

I-D. 犯罪の量刑を改善する 刑事上の独禁法違反の量刑の改善を目指して、量刑が国際慣習および独禁法の根本的な目的に合致しているかを決定するために、法務省または他の関係政府機関が最高裁判所に独禁法違反を犯した個人の量刑の検討に着手するよう奨励する。

I-E. 独禁法の適用除外を減少させる 独禁法の適用除外を可能な限り制限することを目指して、範囲の制限や削除ができないかを決定するために、公取委に独禁法の適用除外を見直させる。

I-F. 公取委の資源を増加する

I-F-1. 高等経済学位のための職員の派遣および外部の経済学者の公取委職員、または特定の捜査案件の顧問としての臨時雇用を通したものを含む大学卒業後の経済研修を受けた職員の数を増やす。

I-F-2. 公取委の職員および予算を実質的および安定的に増やし続ける。

I-G. 独禁法順守を促進する

I-G-1. 経済団体および同業者組合と共に、会員会社が社職員が独禁法違反行為を防止する効果的プログラムを採用するよう奨励する公取委の試みを強化する。

I-G-2. 引き続き会社が独禁法を順守するのを奨励するために、引続き独禁法の新たな指針を発布するか、または既存のものを更新あるいは拡大する。

II. 公取委の施行活動の手続きの公平性を高める

 施行行為が公平に適用されているという確信を経済界が持てば、経済界における公取委の権威および信頼性を最も確保できる。公取委の施行活動における信頼を向上させるために、米国は日本に以下のことを要望する。

II-A. 審判官を務める裁判官および弁護士の数を増加することにより、審判手続きにおける信頼を強化する。

II-B. 公取委の警告対象となる会社が、警告への反論を可能にする機会を与える。

III. 談合に効果的に取り組む

 談合は、日本経済において、引き続き重要な問題である。談合は、必要な改革の基礎を危うくし、消費者、納税者ならびに最も効率的な入札者の利害を損なうものである。官製談合は、政府職員が日本における法の愚弄および競争文化の創造の基礎を危うくすることに直接関与するので、特に有害である。談合に効果的に対応するために、米合衆国は日本に以下のことを要望する。

III-A. 官製談合対応策を強化する

III-A-1. 政府の事業に関して談合を扇動したまたは扇動を試みた政府職員に対して、必要に応じ新たな刑事規定を含むより厳しい制裁を打ち出す。

III-A-2. 公取委が、扇動した、または扇動を試みた、あるいは談合活動に関与した疑いのある政府職員の氏名を公取委のけん疑の根拠となった証拠と共に、検察庁および関係機関に報告する。

III-B. 行政措置減免制度を導入する

 談合活動の自主報告の奨励を目指して、国土交通省(国交省)および他の関係政府機関の下で行われる下記の対策を含む制度を採用する価値を検討する。

III-B-1. 関係省庁または公取委に進み出て談合の存在を報告した最初の会社に対して、指名停止を含む行政制裁を免除する。

III-B-2. 措置減免の自己申告者の身元が明るみに出ないようにする適切な処置を講じる。

III-C. 地方自治体レベルで談合に取り組む

 地方自治体レベルで談合と戦うために、総務省に談合疑惑情報を公取委に伝えることを義務付ける政策の採用を含め、地方政府の契約の談合を減らすための付加的処置を講じさせる。

III-D. 制裁の透明性を高める

 国交省、総務省および他の関係政府機関が前年中に談合に従事したと確定した各社を載せた、またそれら各社に課された行政制裁および各社が談合活動による損害に対して政府へ支払った賠償額を明記した報告書を毎年公表すべきである。

III-E. 入札制度を改革する

III-E-1. 談合を更に困難にする新たな入札手続きを検討する。

III-E-2. そのような目的のために、パブリックコメント手続の下、提案された新たな入札手続きについてパブリックコメントを求める。

IV. 経済全体にわたって競争を促進する

 競争は、独禁法の施行行為を通してのみでなく、他の諸官庁による親競争規制や処置の採用の支援を通しても最も促進できる。日本経済を通して競争の促進を最大にするために、米国は日本に以下のことを要望する。

IV-A. 競争的方法で民営化を行う

IV-A-1. 日本郵政公社の民営化に関するものを含む民営化を提案または監督業務を課された日本政府の機関に、最も競争的な方法で民営化を進める方法について公取委の意見を求めることを奨励する。

IV-A-2. それらが反競争的な排他的行為に従事しないことを保証するために、公取委が民営化の過程にある政府の所有機関を入念に監視することを保証する。

IV-B. 規制改革において競争を促進する

IV-B-1. 公取委が、分野別改革を検討する規制官庁によって召集された検討委員会の活動に関与する。

IV-B-2. とりわけ、規制された分野において競争を促進する方法についての公取委の分析および勧告を伝えることにより、公取委に積極的に規制改革・民間開放推進会議を援助させる。

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透明性およびその他の政府慣行

I. パブリックコメント手続き

 日本のパブリックコメント手続きは1999年に導入されたが、本来の趣旨である透明性と、より公平で開かれた規制制度の推進を支える形で実施されていないことが度々ある。総務省が2004年8月に再び公表した実施状況調査では、依然として同手続きの活用に問題があることが明らかになった。同調査によると、2003年度のパブリックコメントの案件で、閣議決定を要する規制の改訂の約半数は意見募集期間が28日未満で、1%未満の回答がより妥当期間60日に近かった。また、大半の最終規制が、提示された意見を取り入れていないことが調査で明らかになっている。同手続きを有益かつ効果的な規制メカニズムにするため、米国は、日本政府がパブリックコメント手続きの欠陥を除去することを求める。したがって、パブリックコメント手続きの改善にむけて2004年度に提案を検討することを含んだ規制改革・民間開放推進3ヶ年計画の閣議決定を米国は歓迎する。 米国は、日本がパブリックコメント手続きの改正を進めるにあたり、下記のような措置を講ずることを提言する。

I-A. 緊急を要する案件以外は60日間の意見募集期間を標準とするか、最低30日間の意見募集期間を義務付ける。

I-B. 緊急を要する案件の場合、なぜ意見募集期間を短縮しなければならないか、急を要する理由を公表するよう省庁に義務付ける。

I-C. 草案をできるだけ早急に公表することを義務付け、問題を分析し意義ある意見を準備するための充分な時間を関係者に与える。

I-D. 意見をきちんと反映できるよう、省庁が意見募集期間の締め切りと規制の最終決定までの間に充分な時間を設けることを確保する。

I-E. 一般市民が容易に(パブリックコメント手続きの適用対象の当否にかかわらず)審議会、研究会、勉強会およびその他の検討会による意見募集案件を含む、すべての省庁からの意見募集案件と結果を1カ所で知ることができる中央システムを構築する。

I-F. 外国の業界団体が専門家あるいは関係者として審議会で見解を表明する機会を増やす。

I-G. パブリックコメントの提出にあたり、枚数の制限や80字以内の要約等の過度に厳しい要件ならびに同手続きの趣旨に反するその他の要件を課すことを禁止する。

I-H. 政府設立機関や認可された自主規制機関によって提案された規制・規則等はすべてパブリックコメントに付され、提出された意見が最終案に適切な限り反映されるよう義務づける。

I-I. 各省庁に提出された意見の全文、それに対する公式回答と提出者名、ならびにどのように意見が取り入れられたのか、また取り入れられなかった場合はその理由を公表しウェブサイトに掲載するよう義務づける。

I-J. パブリックコメント手続きを、行政手続法に取り入れ、単なる指針から法制化して強化する。

II. APEC透明性基準

 APEC首脳たちは貿易・投資の分野にわたり一連の透明性基準に合意した。米国は日本と協調してこれらの基準の設立に取り組んできた。よって米国と日本は、アジア太平洋地域諸国の法体制におけるAPEC透明性基準の完全実施に向け協力していくべきである。

III. 構造改革特別区域(特区)

 構造改革特区の設置を通じた日本における規制改革を米国政府は引き続き支援する。2003年4月に最初の特区が認定されて以来、特区の数も合計386まで伸び、2004年9月に閣議決定により26の特例措置が全国展開することとなったことを米国は歓迎する。

III-A. この取り組みが日本中の地域経済活性化を引き続き支援するよう米国は以下のことを提言する。

III-A-1. 今後も特区の取り組み全面において透明性が基盤となること。

III-A-2. 市場参入機会の拡大に焦点を当て、国内外の企業双方が、特区内で事業展開できるよう差別のないアクセスを確保する。

III-A-3. 構造改革特区推進本部は、成功した措置を迅速に全国規模での適用を引き続き優先する。

III-A-4. 構造改革特別区域推進本部は、米国企業を含む外国企業が特区創設提案の提出、既存の特区への参加、および特区設立に関わるすべての過程に参加するにあたり、引き続き協力する。

III-A-5. 外国企業の参加を奨励するため現存の特区の全一覧表、ならびに特区申請状況と最新情報を英文でインターネット上で公開する。

III-B. 米国は、特区の取り組みにおいて米国の事業者による参加を奨励しており、米国参加に関わる特区の提案を熟考するよう日本国政府に求める。下記に事例を挙げる。

III-B-1. 外国の大学の分校キャンパスに対する教育と行政上の規制緩和特区提案。

III-B-2. 一年を通してポテトチップス用のジャガイモの安定した供給をはかり、日本の製造者と消費者が恩恵を受けることとなるポテトチップス用のジャガイモの輸入に関する特区提案。現在日本のポテトチップス製造者は国内のポテトチップス用ジャガイモの入手が出来ない春期に製造の削減を強いられている。この提案は厳しい管理の下、製造者へ直接輸送するという手続きで、植物衛生上の問題を回避できる。

III-B-3. 将来高度医療の民間提供を許可するためのあらゆる提案ならびに医療サービス分野における他の特区提案。

IV. 市民参加による法案策定

 日本の省庁が、法案の国会提出前の作成段階で、一般市民に意見表明機会を提供する頻度が増えつつあることを米国は評価する。米国は、日本の省庁がこの慣行を引き続き実施することを奨励し、法案が作成される初期の段階で、一般市民が法案に関する意見を表明できる機会がさら増えることを期待する。法案作成に対する一般市民の意見提出の機会が必要とされる具体的事例2件は以下の通り。

IV-A. 生命保険契約者保護機構 生命保険契約者保護機構(生保PPC)の改革にかかわる論点を扱う金融審議会の保険の基本問題に関するワーキング・グループが、現行の財政的仕組みが2006年3月に失効するのに先立ち、2004年の早い時期に議論を開始した。米国は日本に対して、現在の仕組みが失効する前に、より効率的で持続的なセーフティネット制度を整備するための法整備を確実にするべく迅速に行動するよう要望する。実行可能なセーフティネット制度は、国内生保および外資系生保の双方の財政基盤と運営を保証し、また生保業界に対する国民の信頼を確保するために必要不可欠であり、その制度の大幅な変更は業界と顧客に等しく多大な影響を及ぼす。従って、米国は日本政府に、パブリックコメント手続きを最大限に利用・実施するよう求め、生保業界(国内生保および外資系生保)とすべての利害関係者が、保険業法の改正案、生保PPCの改革法、または、生保PPCに係る他の既存の法律や規制に関し、それらが国会に提出されたり実施される前の段階で情報を入手し、コメントし、政府関係者と意見交換を行なう有意義な機会が確保されるよう求める。これらの機会には、金融審議会のワーキング・グループや日本政府が召集する可能性のあるその他のグループの審議に貢献する等、生保PPCを改革するための審議に積極的に貢献することを含む。

IV-B. 損害保険契約者保護機構 米国政府は、損害保険契約者保護機構(損保PPC)への資金提供に関する法律が検討される場合には、日本政府に対し、上記A. の生保PPCにおいて提案したものと同様のアプローチで取り組むよう求める。

V. 郵便金融機関

 郵便金融機関(郵便貯金「郵貯」、簡易保険「簡保」)が日本の金融市場の効率的な運営に与える影響について、日本経団連やその他の機関が表明している懸念を米国政府は引き続き共有する。

V-A. 透明性 簡保商品および日本郵政公社による元金無保証型の「郵貯」投資商品の販売または元受けにかかわる法律の改正案の策定につき、米国政府は、日本政府の関係省庁等が、関連分野における民間企業の運営に影響を及ぼしうるあらゆる面について、国民一般 (外国保険会社も含む))への十分な情報提供および意見の収集を行う方策を取ることを求める。それは、保険業界や他の民間利害関係者(国内外の両方)が、以下の事項に関し意見を述べ、また関係する日本政府の職員と意見交換を行なう有意義な機会を提供する事を含む。

V-A-1. 国会提出前の提案プランや法案。

V-A-2. パブリックコメント手続きの最大限の活用と実施を伴う、実施段階前のガイドライン原案や他の規制措置。

V-B. 同一基準および拡大抑制 米国は日本に対し、民営化の章のII.A.1.で挙げている措置に従い、郵便金融機関に民間の競合会社と完全に同一の競争条件を確保するよう求める。さらに、米国は日本に対し、同一の競争条件が確保されるまでは、民間が提供可能ないかなる新規または変更された保険商品の引き受け、或いは新規の元金無保証型の投資商品の元受けを、郵便金融機関が提供する事を禁ずるよう求める。

VI. 保険の窓販

 保険商品の銀行窓口チャネルにおける販売の自由化は、日本版「ビッグバン」の改革に沿った形で消費者の選択肢とアクセスを拡大する。米国は日本が次の方策を取るよう求める。

VI-A. 金融審議会の保険の基本問題に関するワーキング・グループが2004年3月に提案したとおり、原則として完全自由化を達成するべく、3年以内に銀行窓口チャネルの一律の自由化を実施する。

VI-B. 保険の基本問題に関するワーキング・グループが提案した3年以内に行われる部分的自由化のいかなる段階も、米国系会社が不利にならないよう、バランスのとれた公平な形で実施されるよう保証する。

VI-C. 保険商品の他のチャネルでの販売と整合性がとれるよう、また保険販売を行なう銀行が持てる販売手法のすべてを利用することを可能にするべく、保険業法施行規則の第211条を早期に廃止または改正する。

VI-D. 利害関係者(外資系を含む)に保険の窓販と(保険業法施行規則)第211条について関係省庁職員と意見交換を行なう有意義な機会を提供し、また、パブリックコメント手続きを十分に活用する事によって透明性を確保する。

VII. 共済

 共済は、民間と直接競合する各種の保険商品を提供し、日本の保険市場において相当な市場シェアを有している。共済には、保険の監督官庁である金融庁以外の省庁が規制をしているものがある。また、全く規制を受けていない共済(無認可共済)もある。無認可共済に対する規制制度の欠如及び、その他の共済に対する弱い規制制度は、健全かつ透明な規制環境を企業並びに保険契約者に提供する日本政府の能力を損なうものであり、また、共済がビジネス、規制及び税の観点から民間の競合会社に対し大幅に有利に立つ要因となっている。米国は日本に対し、次の方策を取るよう要望する。

VII-A. 全ての共済に民間競合会社と同一の法律、税水準、セーフティネット負担条件、責任準備金条件、基準および規制監督を適用することにより、共済と民間競業会社の間に同一の競争条件を整備する。

VII-B. 米国政府は、現在、金融審議会の保険の基本問題に関するワーキング・グループにおいて、無認可共済にかかわる議論が行われていることを歓迎するとともに、根拠法を有する共済に関しても早い時期に同様の見直しが開始されるよう求める。米国政府はさらに、これらの議論および関係省庁間の議論がオープンで透明性のある形で行われ、また利害関係者(外資系を含む)が議論に積極的に貢献し、関係省庁職員と意見交換をする機会が提供されるよう求める。

VIII. 法令適用事前確認手続 (ノーアクションレター手続)

 行政機関の法律や規則の解釈の明確化を求める機会を制規企業に与える日本のノーアクションレター制度の効率性を高め、活用を増やすために、日本がさらなる措置を講じることを米国は提言する。より効果的なノーアクションレター制度に寄与する対策は以下の事項を含む。

VIII-A. 閣議決定の下で制定された日本のノーアクションレター制度の要件を行政手続法に組み込み、同制度に法的拘束力を与える。

VIII-B. 暫定的な措置として、行政機関の各々のノーアクションレター制度に適用される要件に関して、より詳細な省庁横断的なガイドラインを閣議決定により規定し、それらのノーアクションレター制度を設ける期限を定める。具体策として以下の事項を含む。

VIII-B-1. ノーアクションレターの要望を受ける単一の「窓口」を各機関に開設する。

VIII-B-2. ノーアクションレター制度のより積極的な活用を促進させるため以下に挙げるものを含む方策を採用する。

VIII-B-2-a. ノーアクションレター制度を通じて日本の法律や規則の明確化を求めることができることを規制業界の企業に知らせる行政機関のアウトリーチの努力。

VIII-B-2-b. 企業グループおよび業界団体は、特定企業に代わってノーアクションレターを提出する事ができる旨を公表する。

VIII-B-2-c. 定まった政策の事柄の問題についての法律や規則の非公式な口頭解釈を求める個々の企業や関係団体からノーアクションレターを積極的に求めるよう、行政機関の職員を促す内部システムを構築する。

VIII-C. さまざまな政府行政機関のノーアクションレター制度をどのように改善させるかに関して、民間からのインプットを求めるための省庁横断的なものと行政機関ごとの両方のフォーラムを構築する。

IX. 農業分野における政府慣行

 最近公表された日本の植物検疫に関する独立した包括的な調査によると、農林水産省はWTOのSPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)に基づいた国際基準の制定ならびに技術的根拠がない場合、各国の植物検疫措置をこれらの国際基準に合わせることを提言した。本調査により日本が「国際基準に基づく植物検疫措置の適用の必要性を認識している」ことを確認した。しかし米国は日本が国際基準の適用を度々怠っていると見ている。例えば、数多くの行為の累積により燻蒸消毒と同等の効果があると実証されている体系的アプローチなど、農薬に代わる防虫策を日本は検討していないと思われる。米国政府は、日本が公的防除ならびに科学的なリスク分析と安全な貿易を確保する上で最小限の制限措置を適用するよう、国際植物保護会議の基準に基づき、より国際的に認められている植物検疫制度を導入することを奨励する。

IX-A. 検疫有害動植物の防除 米国は日本が輸入農産品を差別なく取り扱うことを確保するため、非検疫有害動植物の枠組みを広げることを要請する。例えば、現在の慣行ではレタスのような輸入品を遅滞なく市場に出すには(不必要でコストのかかる)燻蒸消毒が必要とされているが、同じ病害虫を持つ国内産のものは日本中自由な配送が可能である。この現在の慣行と既存の国際定義・指針の間に生じた矛盾に対応するため、米国は農林水産省に対し、検疫有害動植物の防除に関する植物検疫制度を国際植物保護会議の定義・指針に基づき、少なくとも下記の原理を含むよう求める。

IX-A-1. 輸入国において既存の検疫有害動植物のまん延を防ぐため公的防除をしなくてはならない。

IX-A-2. 公的防除の定義は、検疫有害動植物の根絶または抑制を目的とするか、あるいは規制された非検疫有害動植物の管理のための義務的植物衛生規制の積極的な実施と、義務的植物衛生手続の適用とする。

IX-A-3. 公的防除とは、病害虫がまん延する区域内での撲滅または封じ込め、危険区域内での監視、保護区域での動きの管理を含む。

IX-A-4. 公的防除をするにあたり差別ない扱いをしなければならない。同じ病害虫に関して、国産品よりも輸入品に課せられた条件が厳重であってはならない。

IX-A-5. 公的防除の条件は透明性がなくてはならない。輸入品および国産品に課せられた条件は記録され、求められた場合情報公開されるべきである。

IX-A-6. 国産品と輸入品に課せられた条件は技術的根拠(リスク分析)に基づき差別のないリスク管理につながるようにする。

IX-B. 病害虫のリスク分析と管理 米国は日本の衛生植物検疫措置が、既存の検疫規制に対し危険性に応じた代替手段を考慮し、病害虫の危険に対し充分な科学的根拠を提供するリスク分析をした上で講じられるよう日本に要請する。リスク分析をする際、国際植物保護会議の指針や基準を取り入れるよう米国は日本の農林水産省に下記の事項を含むがそれに限らず求める。

IX-B-1. 病害虫のリスク分析は病害虫の侵入、定着、まん延の可能性を含むべきである。

IX-B-2. 病害虫のリスク分析の開始から危険防除方法の選択まで、リスク分析の全経過が透明で且つよく記録され、求められた場合情報公開されるべきである。

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民営化

I. 公社・公団の民営化

 米国は、小泉首相による日本の公社・公団の再編と民営化の取組みに関心を持ち続けてきた。米国はさらに、この改革の取組みが精力的に実施された場合、競争を刺激し、資源のより有効的な利用につながるなど、日本経済に大きな影響を及ぼす可能性があると認識している。公社・公団の改革が進行する中で、米国は引き続き日本に対して次のとおり要望する。

I-A. 再編および民営化を透明な形で行なう。そして、

I-B. 改革の影響を受けるか、あるいは受ける可能性のある国内および外国民間会社に対して、パブリックコメント手続きの利用等によって意見を述べる有意義な機会が与えられることを確実にする。

II. 日本郵政公社の民営化

 日本郵政公社の民営化が日本経済へ最大限の経済的利益をもたらすためには、意欲的にかつ市場原理に基づいて行なわれなければならない。真に市場原理に基づいたアプローチというものは、様々な措置の中でも特に、日本郵政公社に付与されている民間競合社と比べた優遇面の全面的な撤廃を通して日本の保険、銀行、宅配便市場において歪められていない競争を確保することを含まなければならない。これらの優遇面は、米国系企業および日本企業の双方にとって同様に、長年の懸念となっている。経済財政諮問会議は、9月10日に発表した「郵政民営化の基本方針」において、「イコールフッティング」の確立および日本郵政公社と民間企業との間の「競争条件」の均等化の重要性を確認することにより、重要な一歩を踏み出した。経済財政諮問会議の報告書ではさらに、2007年の民営化開始当初から(民間企業と)同様に納税義務およびセーフティネットへの加入義務を負うことや、郵便保険および郵便貯金商品について政府保証を廃止するとの明確な措置を確認した。米国政府は、これらの具体的な提言を歓迎し、それが日本郵政公社の民営化のための法律に反映されるよう求める。

II-A. 郵便保険と郵便貯金 日本郵政公社の民営化が、経済財政諮問会議の求める民間企業との間の「イコールフッティング」を完全に達成し、また日本の保険および銀行分野に公正な競争をもたらすために、米国政府は日本政府に以下の方策を取るよう求める。

II-A-1. 民間企業と完全に同一の競争条件を整備する。それには次のものを含む。

II-A-1-a. 郵便保険と郵便貯金事業に、民間企業と同様の法律、規制、納税条件、責任準備金条件、基準、および規制監督を適用すること。

II-A-1-b. 特に郵便保険と郵便貯金事業の政府保有株式の完全売却が完了するまでの間、新規の郵便保険と郵便貯金商品に暗黙の政府保証があるかのような認識が国民に生じないよう、十分な方策を取る。

II-A-1-c. 新規の郵便保険、郵便貯金および他の関連業務との間の取引がアームスレングスであることを保証するため、完全な会計の透明性を含む適切な措置を実施する。また、日本郵政公社の金融事業と非金融事業の間の相互補助の可能性を排除する。そして

II-A-1-d. 新規の郵便保険と郵便貯金が、その市場支配力を行使して競争を歪曲することが無いよう保証するため、独占禁止法の厳格な施行を含む適切な措置を実施する。

II-A-2. 新しい貸付業務や郵便保険事業による新規または変更された保険商品の導入、または郵便貯金事業における元金無保証型投資商品の元売りを、(上記で提案したとおり)真に同一の競争条件が整備されるまでは一時停止する。また、同一の競争条件の実現後には、このような商品やサービスがバランス良く導入されることを保証する。

II-A-3. 日本政府が、民間で元受けをする元金無保証型投資商品を日本郵政公社で取り扱うことを許可する計画を進めるにあたり、それらの商品の選択が公平で透明性のある形で行われるよう保証する。

II-A-4. 日本郵政公社において販売される民間企業元受けの保険商品の選択が、公平で透明性がある形で行われるよう保証する。

II-A-5. 日本郵政公社の民営化の過程で、郵便保険および郵便貯金事業に新たな優遇が与えられないよう保証する。

II-A-6. 郵便保険と郵便貯金事業の民間企業に対する競争の状況を定期的に調査するための独立した委員会を設置し、民営化の過程において一貫して、同一の競争条件の継続を保証することを目指す。

II-B. 宅配便サービス 日本郵政公社と宅配便業者間の公正な競争を促進するため、米国政府は日本国政府に対して、下記の方策を取ることを要望する。

II-B-1. 独立した規制機関 郵便業務に関する規制当局は日本郵政公社から完全に切り離されかつ独立した機関であることを確実にし、日本郵政公社あるいは公社の管轄下にあるどのような組織であれ、非競争的な方法で事業を展開しないことを確保するための十分な権限を持てるようにする。

II-B-2. 非差別的な処遇 税金や他の料金免除など競争条件を変更するような特別な便益や、物品の運送に関して政府機関による特別な取り扱いや、関税業務にかかるコストの免除などが、政府政策により競争サービスのあるひとつの提供者のみに与えられないことを必要に応じて確実にする。

II-B-3. 相互補助 競争サービス条件下で、全国一律サービスの提供から得られた収益を用い非競争的な相互補助が行われることの防止監督をする。ひとつの監督方法は、日本郵政公社および全ての関連会社の会計が分離、独立でありかつ完全に透明性のあるものとすることであろう。

II-C. 透明性 米国政府は、日本郵政公社の民営化の過程において、下記の方法により、透明性が継続的に確保されるよう求める。

II-C-1. 日本郵政公社民営化の準備期および移行期において、民間の利害関係者(外資系を含む)の要請に基づき、民間企業に影響が及ぶ可能性のある論点について、総務省、郵政民営化準備室、金融庁を含む関係省庁の職員と意見交換をする有意義な機会が提供されるようにする。

II-C-2. 日本政府が開催する委員会やそれら委員会の構成要素の中で、日本郵政公社民営化の準備期および移行期において民間企業に影響が及ぶ可能性のある論点について、民間の利害関係者(外資系を含む)が積極的にその議論に貢献する有意義な機会が提供されるようにする。

II-C-3. 民営化に関する施行規則および省令等の準備も含めて、パブリックコメント手続きが十分に利用され、また最終判断を行なうにあたり、そのコメントが考慮されるようにする。

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法務制度改革

I. 外国弁護士に対する提携の自由の確保

 2003年の「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法」の改正は、外国法事務弁護士(外弁)と日本弁護士(弁護士)間の提携の自由を供与するための重要な一歩であった。2003年の法改正によって規定された提携の自由は、改正法が施行され、その文言と精神に則り実施されれば、日本の消費者による適時かつ効率的な統合された法務サービスの利用に大きく貢献する。この目的のために、米国は、日本が以下の措置を講ずることを要望する。

I-A. 2003年の改正法を2005年4月1日までに、完全に実施する。

I-B. 特に以下の点を担保することにより、日本弁護士連合会(日弁連)による会則並びに規則の運用が、2003年改正法の文言及び精神に則ったものとなるよう必要な措置を講ずる。

I-B-1. 日弁連の会則並びに規則が、自身と異なる業務範囲をもつ外弁アソシエイトを雇用する外弁パートナーが、その外弁アソシエイトにより取り扱われる法務事件を受諾することを束縛するような形で適用されない。

I-B-2. 倫理及び機密性に関する会則並びに規則は、弁護士や外弁が外国法共同事業のメンバーであるか、あるいは国内の法律事務所のメンバーであるかに関わり無く、両者に対して平等に適用される。

I-B-3. 弁護士、外弁それぞれの権限及び法律業務についての依頼人に対する説明義務は、近代的かつ国際的慣行に沿ったものであり、不合理に負担となるものとしない。

II. 専門職法人及び支所の設立の容認

 外弁は、専門職法人を形成し、その支所を設立することを含めて、弁護士と実質的に同じ権利が与えられるべきである。米国は、法務省が外弁に対して専門職法人の形成を認めるかについて検討を進めていることを歓迎する。米国は、日本が以下の措置を講じることを要請する。

II-A. 支所の開設を含め、外弁が、弁護士と同等に、また同等の利益を享受出来る形で専門職法人を形成することの容認に向けて、法務省の検討を2004年度末までに完了する。

II-B. 日本において活動する外国法律事務所並びにそれらの外弁パートナーが、別個に日本の法務専門職法人を形成することを義務付けられることなく、日本において彼らの支所を設立することを認める。

III. 外弁に対する最低資格基準の緩和

 日本における業務に長期的関心を有する外国弁護士が外弁資格を取得することを奨励するために、米国は日本に対し、日本において外国弁護士が原資格国法に関する実務に費やした全ての期間を、3年の職務経験要件に算入することを認めることを要請する。

IV. 裁判外紛争処理手続の促進

 日本は、裁判外紛争処理(ADR)メカニズムは、個人や企業が効果的かつ廉価に紛争を解決することを助ける上で重要な役割を果し得ることを理解し、日本におけるADR手続を強化、再活性化するための措置を検討中である。米国は、日本におけるADRサービスの発展を促進する柔軟かつ開かれた法務環境の創造に向けた日本のコミットメントを歓迎する。これらの目的のために、米国は日本に対し、以下の措置を講じることを要請する。

IV-A. ADRに関する基本的枠組みの採用 ADRのための柔軟かつ開かれた法務環境を創出するため、ADRのために導入される法体系は以下の点を担保する。

IV-A-1. 国連国際商取引法委員会の国際商務調停に関する規範法を含め、国際的基準、慣行に合致する。

IV-A-2. 現在の仲裁手続で認められているものと同程度に国際的側面が存する全ての形式のADRプロセスにおける関係者を代表するために、外弁及び外国弁護士が日本を訪れることを認める。

IV-A-3. ADR関係者が適用される規則、プロセス、基準について合意することを一般的に認めることにより、ADRプロセスが柔軟に個別の状況に即した最適なものとなることを可能にする。

IV-A-4. アドホックの自己管理された国際仲裁及び調停、また、国際商工会議所、アメリカ仲裁協会、ロンドン国際仲裁裁判所などの国際機関が、日本法の基において明確に合法かつ正当であること、さらに、それらが日本政府あるいは日本政府によって指名されたものによる許可なしに、日本において活動を継続できることを確保する。

IV-B. 非弁護士がADRプロセスにおいて中立者として活動することの容認

IV-B-1. 仲裁、調停、仲介その他のADRプロセスにおいて報酬のために中立者として活動する紛争処理組織、外弁、非弁護士は、法律業務を行っているのではなく、従って弁護士法第72条、あるいは 外弁法(適用される場合は)に違反するものでないことを、新しい立法措置を通じて明確にする。

IV-B-2. 非弁護士が、自身であるいは中立者として取り扱うADRプロセスは、弁護士の監督を受けるとする要件は、一般的に、課せられないこととする。

IV-C. ADR免許制の制限  ADRプロセスに対する障害が生み出されることを防ぐため、導入されるいかなるADR免許制度も以下の点を満たすことを確保する。

IV-C-1. 仲裁サービスには適用されない。

IV-C-2. 完全に自主的なものである。

IV-C-3. 報酬のためにADRサービスを提供する非免許の組織あるいは請負人は、なんら弁護士法に違反するものではないこと、また、非免許の組織あるいは請負人によって提供されたADRサービスによる紛争の解決は、ADR提供者の非免許資格を理由とする法的告発の対象とはならないことを明確にする。

IV-C-4. 日本人及び日本の組織と同等の基準で、外国人及び組織にも開かれたものとする。

IV-C-5. 免許制並びに免許取得後の全ての報告義務について、妥当かつ過度に負担とならない手続及び基準を設定する。

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商法

I. 近代的合併手法の採用

 日本において近代的合併手法の利用が可能となれば、企業再構築や投資の拡大を通じて日本経済の再活性化を促進する。米国は、近代的合併手法の導入や企業再構築及び投資促進に向けたその他の措置の検討を含め、日本がその会社法の近代化のために行っている努力を歓迎する。これらの目的を達成するため、米国は、日本が以下の措置を講ずることを要請する。

I-A. 以下の措置を含め、日本の会社法に近代的合併手法を導入するための法案を次期通常国会に提出する。

I-A-1. 三角合併、キャッシュマージャー、外国株式を使った株式交換を認めるために必要な合併対価の柔軟性をはかる。

I-A-2. ショートフォーム(スクイーズアウト)・マージャーを認める。

I-B. 2003年3月に対日投資会議が発表した「対日投資促進策の推進について」,並びに2004年8月に内閣府経済社会総合研究所M&A研究会が発表した「わが国企業のM&A活動の円滑な展開に向けて」に沿い、近代的合併手法に対する適切な税制措置を提供することを含め、M&A及び企業再構築を促進するためのその他の措置を講ずると同時に、日本における新しいM&A手法の有効性を不合理に制限しかねない特異な条件を新たな手法に課すことを排除する。

II. 積極的な委任投票を通じた株主価値の増進

 大規模な機関投資家による株主権利の積極的な行使は、企業業績の改善につながるより良い企業統治システムの発展のために極めて重要である。米国は、年金基金や信託基金による積極的な委任投票を奨励するために、日本が既に講じてきた諸施策を歓迎する。投資収益をさらに改善するために、米国は日本が以下の措置を講ずることを要請する。

II-A. 年金基金による健全な委任投票政策の促進

II-A-1. 厚生労働省は、それぞれの公的年金基金運用責任者が委任投票政策を公開することを支援する。

II-A-2. 国際的傾向並びに日本の年金受益者の利益保護の必要性を考慮し、民間基金の運用責任者に対して受益者利益のために委任投票を行使する受託者義務を導入するか否かについて検討を開始する。

II-B. 信託基金による委任投票記録の公開の奨励 信託基金及び投資信託の投資収益を改善するために、投資信託協会が委任投票に関する規約を改正し、会員企業に対して実際の委任投票の記録を公開することを義務付けることを奨励するための必要な努力を行う。

II-C. 外国株主による委任投票の促進 企業統治を強化するため、金融庁並びに法務省は、海外の受益所有者による委任投票の効果的な行使の促進に向けて、代理保管人及び国際的保管人による代理権行使に関する商法上あるいはその他の規則に必要な変更を加えることを検討する。

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流通

I. 空港着陸料および使用料

 米国政府は日本国政府に対してビジネスおよび観光を取り巻く環境を改善し、それにより経済に活気をもたらすために、下記のことを要望する。

I-A. 日本の消費者と業界に益をもたらすよう、成田国際空港と関西国際空港の着陸料およびその他の航空会社の空港使用料を速やかに引き下げる。

I-B. 中部国際空港(セントレア)の着陸料およびその他の航空会社の空港使用料を世界的に競争力のあるもとし、国際線の使用料により国内線の使用料が補助されることを避けるため、透明性の高い交渉が行われることを確実にする。

I-C. 日本の国際空港の着陸料計算に使用されている計算方法を公表し、パブリックコメントの機会を設ける。

I-D. 着陸料計算は国内線および国際線の双方とも透明性のあるもとのとし、国際航空運送協会(IATA)の指針に従い、空港滑走路と施設利用に関連したコストのみにより構成されるものとする。

II. 航空会社による航空券の販売

 日本は、航空会社により販売される航空券に対して、IATA運賃の70%割引下限を実施している数少ない国の一つであり、これは、航空会社が競争力のある割引運賃を提供する妨げとなっている。この慣行をなくすことにより、旅行の選択を旅行者がより自分でコントロールでき、多種類の運賃へアクセスが可能になることで、旅行に対する需要が喚起され、海外から日本への旅行を増加させたいという目標を支援することとなる。航空券のIATA運賃70%割引下限を強いる慣行を排除することにより、インターネットや航空会社による他の公示航空券販売の競争市場を作り出すことになるだろう。米国政府は日本国政府に対して、この慣行を排除し、関係当局間の航空サービス交渉の場で、この目的に向けさらなる話し合いを行うことを提案する。

III. 30日前の運賃届出制

 現行の国土交通省の規則では、航空会社による全ての航空運賃変更は、30日前までに届け出なければ「ならない」ことになっている。実際には、この規則は運用されていないうえ、インターネットやコンピューター申告制度が利用可能な時代に、旧態依然としている。世界におけるビジネスのペースは、日々変化する競争市場において航空会社が航空運賃の設定を行えるよう、より短期間の運賃事前届出を認めることを日本に迫っている。現行制度は消費者と航空会社のコストを高くしている。さらに、日本はIATA運賃下限設定の場合と同じように、30日前の運賃届出を求める数少ない国の一つである。それゆえに、米国政府は日本国政府に対して、関係当局間の航空サービス交渉の場で、この件に関してさらなる話し合いを行うことを提案する。ダブルアプルーバル(両当時国承認)制度からダブルディスアプルーバル(両当事国不承認)制度への変更に関しても、航空サービス交渉で討議されるべきである。

IV. 小額商品の課税計算に関してCIF価格(運賃保険料込み価格)からFOB価格(本船積み込み渡し価格)への移行

 日本が国際配送商品の課税計算にCIF価格を使用していることにより、配送商品に保険料と運賃が足されている。これにより、免税輸入限度額である1万円を超える配送商品の数が増加する。FOB価格方式は小額商品の課税額を決定する最も公正な評価方法であり、その採用は税関および関税局職員の作業を軽減し、日本への輸入コストを低減する。米国政府は日本国政府に対し、通関の際に小額商品の課税計算にFOB価格方式を採用するよう要望する。

V. 免税輸入限度額

 米国政府は日本国政府に対し、関税定率法による免税輸入限度額を1万円から3万円へ引き上げることを要望する。この変更により、税関およびエクスプレス会社双方の作業が軽減され、通関手続きが合理化される。

VI. 国際物流特区における時間外手数料のさらなる低減

 2003年4月から開始された国際物流特区における通関にかかる手数料の削減により、日本の国際港の競争力は強化された。また引き続き、2004年4月より全国的に手数料を50%削減するという日本国政府の決定を米国政府は高く評価する。米国は日本に対し、成長へ向け、通関手数料をゼロにするようアクションを取り続けることを要望する。

VII. 通関情報処理システム(NACCS)

 米国政府は通関情報処理センターが利用者にとってより良い料金体系を設定した過去1年の努力を歓迎するとともに、NACCS料金体系の将来のいかなる更改に関しても、通関情報処理センターが利用者のコメントを考慮に入れることを確実にすることを求める。

VIII. クレジット/デビットカードおよびATMサービスと受け入れの促進

 世界的に見て、クレジットカード、デビットカードおよびATMカードの利用は急速に増加している。米国、欧州、カナダにおいて全店舗の90%はクレジットカードあるいはデビットカードを取り扱い、全購入の3分の1以上がこれらのカードでなされる。日本では昔からの店舗やATMでのカードの受け入れが低い率であることは、日本に居住する人々にとって不都合であり、また海外から日本を訪問する人たちの共通の不満である。米国は約100の日本の公立病院がクレジットカードおよびデビットカードの支払いを受け付けている、あるいはその準備中であると聞いている。E-Japan戦略IIイニシアティブおよび小泉首相の海外から日本への旅行者を2010年までに倍増するという精神に鑑み、米国政府は日本国政府に対して以下を要望する。

VIII-A. ビジネスによるクレジット/デビットカードの利用と、政府サービスへの 支払いに対するカード利用を促進。

VIII-B. 国際PINセキュリティーおよび日本のATMネットワークでネットワーク暗号化標準に強制的に準拠するようにする。

VIII-C. クレジットカード不正利用に関する法・規制を厳しく施行する。

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