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(回答先: 【恒久法化への既成事実】<イラク派遣が残したもの>【下】議論なき拡大―「東京新聞」6/22 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 6 月 24 日 22:24:03)
<イラク派遣が残したもの>
【上】目標は「無事」
イラク南部のサマワに駐留している陸上自衛隊の撤収が20日、正式に決まり、約2年半に及んだ復興支援活動に終止符を打つことになった。今回の派遣が抱える問題点を2回にわたり考える。
■現地雇用が“弾よけ”
「自衛隊を守る部隊を提供するから、サマワから撤退しないでほしい」
陸上自衛隊が駐留しているムサンナ州の州都サマワ。ハッサン州知事は今月上旬、現地テレビのインタビューで、陸自の駐留継続を強く要望した。
2004年の派遣当初、陸自の主な任務は給水作業だった。約5万4千トンの水をサマワ市民に配給したが、政府開発援助(ODA)により大型給水施設が完成したことで、陸自による給水は05年2月に終了。現在は学校など公共施設の復旧工事の施工管理や医師に対する医療指導が中心で、陸自でなくてもできる仕事ばかりだ。
それでも、知事が陸自の駐留継続を求めたのは「作業員など延べ47万5千人の雇用を創出してきた」(陸自幹部)ためだ。「雇用を弾よけとして活用する」(同)。陸自が編み出した苦肉の安全確保策だ。
政府は03年、米国の強い要請を受けて、陸自のイラク派遣を決定した。日米同盟の結束を示すため、小泉純一郎首相には派遣以外の答えはなかった。
自衛隊を海外派遣する既存の法的枠組みとしては、国連平和維持活動(PKO)協力法があるが、紛争当事者間の受け入れ合意などの条件があったため、「戦地」のイラクへ陸自を送り込むことはできなかった。そこで、政府は4年間限定のイラク復興支援特別措置法を制定し、派遣に法的根拠を与えた。
ただ、海外で武力行使はできないという憲法解釈の見直しにまで踏み込む余裕はなかった。他国軍に比べて制限された武器使用権限しか与えられていない陸自は多国籍軍の治安維持活動とは一線を画し、復興支援に専念する建前になった。
サマワは「最も安全な地域」(政府関係者)とされていたことから派遣地に選ばれた。だが宿営地では迫撃砲などによる砲撃事件が続発し、陸自の車両が路肩爆弾で破損する事件も起きた。隊員たちは現行法の枠内で自分の身を守る難しさを嫌というほど味わった。
万が一、隊員に犠牲者が出れば、派遣を決断した小泉首相は政権を失う危険がある。陸自は、装備も活動内容も安全対策を徹底。宿営地は要塞(ようさい)化し、宿営地を出るときは頑丈に装甲された車両で移動した。犠牲者を出さずにイラク駐留を続けることが自己目的化していった。
そして、陸自は幸いにも1人の犠牲者も出さずに撤収の日を迎えようとしている。防衛庁幹部は「現地の惜別の声は、次の派遣に向けて非常に重要な要素だ」と強調する。政府内には、雇用創出をしつつ安全に駐留を続けたイラク派遣を、今後の自衛隊海外派遣のモデルケースにしようという意見もある。
ただ、他国軍に身を守ってもらい、雇用創出というカネの力で現地の支持を得るやり方が、イラク復興に本当に役立ったのか−。2年半に及んだ陸自のイラク駐留は、検証すべき課題を残した。
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/iraq/060621T1206007.shtml
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