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<イラク派遣が残したもの>
【下】議論なき拡大
■「恒久法」すぐそこに
「国連の要請がなくても、政府の判断で派遣できる」「海外での治安維持活動も可能に」
自民党の防衛政策検討小委員会(委員長・石破茂元防衛庁長官)が、先ごろ公表した自衛隊海外派遣に関する「恒久法案」の概要だ。
国益上必要と政府が判断すれば、「いつでも、どこでも、危険な場所にでも」自衛隊を派遣できる内容だ。
政府は1954年の自衛隊創設以来、一貫して「海外派兵は自衛のための必要最小限度を超えるので、憲法上許されない」と、説明してきた。
政府は湾岸戦争(1991年)の際も、米国などの多国籍軍への協力要請を「憲法の制約」を理由に拒否。代わりに、90億ドルを提供したが、各国から返ってきたのは冷たい視線だけだった。
慌てた政府は、戦争後にペルシャ湾に遺棄された機雷除去のために、海上自衛隊の掃海艇を初めて派遣した。「派兵」は武力行使を伴うが、「派遣」は武力行使とは一体化せず違憲ではない−という理屈が編み出され、92年には国連平和維持活動(PKO)協力法を制定。陸上自衛隊は、カンボジアで初めて「他国領土」を踏んだ。
そして、2001年のアフガニスタン攻撃、03年のイラク戦争。米政府は自衛隊派遣を強く要請してきた。しかし、PKO法には紛争当事者の合意などの制約があり、派遣は不可能だった。
政府は米政府の要求に応えるためにテロ対策、イラク復興支援の2つの特別措置法を制定。海上自衛隊はインド洋で米軍艦船などに給油を行い、陸自と航空自衛隊はイラクで復興支援活動に当たった。
既存法を変えず、現実に早急に対応できるのが特措法の利点だ。しかし、自衛隊海外派遣に関する国民的な議論は置き去りにされた。
自民党小委の恒久法案はインド洋やイラクでの実績を「錦の御旗」にして、国民的議論をまたも省略したまま、派遣の枠組みの拡大を狙っているとみられても仕方がない。実際、野党は「特措法での派遣を既成事実化し、派遣の条件を緩和するのは許せない」と早くも反発している。
一方で、自衛隊の海外派遣が定着し、国民から一定の評価を得ているのも事実だ。04年に改定された政府の防衛大綱は「国際的安全保障環境の改善」を防衛政策の目標として明記。先の通常国会には、自衛隊の国際活動を本来任務に格上げする自衛隊法改正案も提出された。
小泉純一郎首相は在任中の恒久法制定を否定した。しかし、次期首相の最右翼とされる安倍晋三官房長官は「機動的な対応が可能になる」と前向きな考えを示している。
イラクで得た教訓を自衛隊による国際貢献にどう生かすのか。政治家だけでなく、国民全体に突き付けられた課題だ。
(この企画は、政治部・梶雅一が担当しました)
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/iraq/060622T1605.shtml
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