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(回答先: 【神奈川】米軍再編最終報告の課題<中>―「東京新聞」 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 5 月 05 日 19:50:47)
米軍再編最終報告の課題<下>
一歩前進?見えぬ展望
「一歩前進」
在日米軍再編「最終報告」が決定した翌日の二日朝。松沢知事は県庁応接室で報道陣の取材に応じる中で、日米地位協定見直しの動きについて、こう評した。
「麻生太郎外相が環境問題について『運用改善』をやる方向を打ち出した。このまま何もとれないと国に不信感が募るが、外相がきちっと米側に要求した。一歩前進と評価している」
だが、その一歩は当初踏み出そうとした歩幅よりも、かなり小幅になった感は否めなかった。目指していたのは、米軍基地内に国内法令の適用を担保する「改定」だったからだ。
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ここまでおよそ二年にわたる在日米軍再編の動きの中で、知事が最も力を入れて訴えてきた「日米地位協定」の改定は、県内に限らず沖縄から北海道まで、在日米軍を抱える自治体すべてにかかわる問題だった。
地位協定は一九六〇年の締結以来、一度も改定されていない。重大な事件や事故などが起こるたびに、日本側の捜査や調査権の制約が問題視され、「運用改善では限界がある」(稲嶺恵一・沖縄県知事)と改定の必要性が指摘されてきた。
知事は二〇〇四年五月、稲嶺知事とともに地位協定問題を考えるシンポジウムに出席したのをはじめ、昨年十二月には会長を務める渉外知事会主催で各党に呼びかけ、パネル討論を実施。訪米して国務省、国防総省にも訴えてきた。「最終報告」に二−三年以内の「地位協定改定の検討」を盛り込むことを目標にしていた。「ここでできなければ一生できない」との意気込みだった。
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だが壁は厚かった。今年二月に同知事会として実施した日米国会議員へのアンケートに、米側からの回答はゼロ。知米派の県選出自民党国会議員は、地位協定問題の象徴となっている「犯罪容疑者の起訴前引き渡し実現」を渉外知事会が求めていることに「米側は身柄引き渡しの問題は絶対に譲らない。環境問題に特化すれば改定の可能性はあった」と指摘した。
知事は「県全体でトータルの負担軽減を図らなければならない」との姿勢を基本にしていた。県内では再編問題と並行して対応している横須賀基地への原子力空母配備問題もあった。米軍基地の運用に自治体側の関与の道を、わずかにでも開く必要があった。
結局「環境問題だけでも方向を出してほしい」。ハードルを引き下げざるを得なくなった。
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昨年十月末の「中間報告」から半年間、国側は自治体の基地対策担当者らに「以前に比べれば雲泥の差」と言わせるほど「丁寧」に接してきた。ごく一部とはいえ、基地返還の実現もあった。にもかかわらず地位協定問題は「運用改善」が行き止まりだった。
小さな一歩は、二歩、三歩と踏み出せるのか。知事は「最終報告」直前の四月二十八日に額賀福志郎防衛庁長官と面談した際、基地を抱える自治体と関係閣僚の定期的な協議の場の設定を求め、長官から「何らかの仕組みは可能」との返答を得た。
この「仕組み」がいつ、どういった形で出来上がるかは未知数だ。ただ地位協定や基地負担の軽減について、自治体の意向を反映させる制度にならなければ、日米政府が「最終報告」でうたった「日米同盟の新たな段階」も、変わらぬ住民不在のまま、築かれているとしかいえない。 (原昌志、井上靖史、岸本拓也が担当しました)
【日米地位協定と主な事件事故】
地位協定は、日米安全保障条約6条に基づき、在日米軍が円滑に行動できるよう米軍の基地使用と法的地位を規定。米軍には国内法が原則的に適用されず、自治体側は▽施設区域の原状回復義務の免除▽納税の減免▽犯罪容疑者の身柄引き渡しの制限▽日米合同委員会の不透明さ−などの問題を指摘している。
2004年8月の沖縄国際大に海兵隊ヘリが墜落した事故では、基地外にもかかわらず日本側は現場への立ち入りさえできなかった。1999年、相模総合補給廠(しょう)で有害物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)の保管が問題化した際には、自治体の立ち入り調査実施は申請から2年もかかった。
今年1月、横須賀基地配備の空母キティホーク乗組員による強盗殺人事件では、米軍が確保した容疑者の身柄が「運用改善」の適用で起訴前に日本側に引き渡されたが、これは米側の「好意的配慮」が大前提となっている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20060505/lcl_____kgw_____000.shtml
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