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(回答先: 公取委による特殊指定見直しは、再販制度を骨抜きにしかねない(日本農業新聞論説) 投稿者 heart 日時 2006 年 4 月 01 日 17:22:04)
再販制度については公正取引委員会は
「平成13 年3月に当面存置する旨の結論を公表しており、現段階において同制度を廃止する考えはない。」http://www.jftc.go.jp/tokusyusitei/siryou060327.pdf
としていますが、今回の特殊指定廃止が再販制度を骨抜きにするとの意見もあるようなので、再販制度廃止問題を巡って公正取引委員会で戦った内橋克人氏の意見を参考までに以下に紹介します。
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http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/03-03/030311nz-uchihashi.htm
より一部抜粋
規制緩和に反対すると非国民扱い
私は、ジャーナリスト生活を始めて四〇年になります。その間に、一九六〇年代半ばの資本・貿易自由化もありましたし、一九七三年秋に始まったオイルショックもありました。また、それにつづく第一次の円高が、日本経済を直撃するなど、さまざまな困難に見舞われる日本を見てまいりました。しかし、その都度、多くの人々が汗と知恵をふりしぼって、何とか、危機を乗り切ることができたと思います。
ところが、九〇年代を迎え、バブル経済が崩壊致しましてから、私たちの社会はきわめて深刻な不祝に突入しました。この不況は、一般にいわれる資本主義経済に特有の、循環型不況とは趣を異にしているということです。危機の真因は、きわめて構造的なものであり、過去、日本をして経済大国たらしめた構造そのものが、今度は、日本の行き詰まりを招いているということです(私は従来より、私たちの国は生活大国になれない道を選んだからこそ、経済大国にたり得たのだと主張してまいりましたが)。
私は、九七年より、公正取引委員会の「政府規制研」に参加してまいりました。そこで議論されていることは、再販価格維持制度の存続の是非をめぐる検討です。再販価格維持制度というのは、書店あるいは新聞販売店が、新聞杜あるいは出版杜から最終の消費者に、予め決められた値段を守って販売する制度のことです。この制度のあるお陰で、遠隔の過疎地や地方で新聞を宅配してもらう料金と、便利な都市での購読料金が同一に保たれ、戸別配達が維持されているわけです。けれども、再販廃止論者たちは、地方と都市での値段が同じであるのはけしからんと、主張します。これはつまり、私たちが、民主社会に生きて、たとえば代表としての政治家を選ぶに際してその判断を下すのに必要な情報の対価が、地方に住めば住むほど高くなってもそれはやむをえない、コストが高く付いたところで高く売るのが正当な市場原理である、という理屈です。
再販制度が廃止されれば、中小零細な書店はなかなか経営が立ち行かない。本当にいい本が、世の中に流通しない。新聞についても、全国同一水準での戸別配達制度が成り立たない時代の到来が当然予想されます。
それでもなお、市場原理の例外なき貫徹こそが正義だ、日本人の幸せになる、と彼らは主張をつづけています。そうした彼らの論理からすれば、今日、ここにお集まりになっているみなさん方は、古い「既得権」にしがみつくけしからん人々だ、ということになります。
もう二、三年程前になりますか、『なぜ規制緩和は進まないか』というテレビ討論番組がありました。番組には私も登場致しましたが、要するに、規制緩和はすべて正しく、望ましいものだ、それがどうして進まないのか、というアングルでした。
新聞、テレビ、公共放送など、ほとんどのメディアがこうしたアングルで制作され、世の中を覆ってしまったわけです。最近の番組を拝見しておりましても、登場する経済学者あるいはエコノミストらはいずれも強烈な規制緩和論者です。とりわけ、行政改革委員会の規制緩和小委員会のメンバーなどが、金融ビッグバンについての解説、あるいはまた規制緩和に関連するメディアに相次いで登場しております。規制緩和をやらなければ日本は世界に遅れていく、国際競争力が弱くなってしまう、景気は回復しない、新しい産業フロンティアも開けない、そういう雰囲気がどんどん作られております。
恋愛は美しき誤解によって成立し、結婚は真実を見る目によって破壊されるといいますが、日本におきましては規制緩和に関しましても、美しき誤解によって、一世を風靡しやがて地獄を見ることによって初めて人々はその本質を知ることになるのではないでしょうか。
岩波ブックレット458,1998年
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