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(回答先: 全医療費を自己負担、「無保険者」が30万世帯超 、04年度本社全国調査―「毎日新聞」 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 1 月 04 日 12:39:45)
縦並び社会・格差の現場から:患者になれない
「資格証明書は私への罰でしょうか」。病室内にか細い声が漂う。福岡市内の国保加入者ではいまや、14世帯に1世帯が「無保険者」だ=福岡市の病院で2005年11月15日午後4時16分、矢頭智剛写す 骨を皮で覆った体がベッドに横たわる。記者(32)が腹部に触れさせてもらうと、そこだけスポーツ選手の力こぶのように硬い。
福岡市の男性(63)は昨年11月、全財産の2万5000円を握りしめ、激痛をこらえて病院に向かった。意識は玄関をくぐったところで失う。
10代で大病を患い、重労働は難しい。この10年はチラシ配りのアルバイトをしながら独り暮らし。2年ほど前から年間約20万円の国民健康保険料を支払えなくなった。市から届いた1枚の「資格証明書」で、国民健康保険証を取り上げられたことを知らされる。「死のうが生きようがご自由にという宣告に思えた。それも自分のせいですけれど」
3割の自己負担で済んだ医療費は全額負担に変わった。夏には何日も便が出ず、何を食べても吐いたが「治療代や生活費が心配で病院に行くのが怖かった」と言う。やっとたどり着いた病院の診断は大腸がんだった。
男性が入院する4日前には同様に無保険の女性(53)が運び込まれた。乳がんと分かった。黒ずんだ腫瘍(しゅよう)が大きくなって乳房が三つに見えるまで我慢していたという。病院のソーシャルワーカーは「こういう患者は増えていくばかりだ」と心配する。
福岡市の国保財政は04年度で49億円余の累積赤字。失業者ら国保料を支払えない低所得層が加入して国保の収支が悪化する一方、高齢化で医療費は増えていく。財政の厳しさは全国の自治体と変わらない。
保険証の取り上げは6年前に義務化され、対象世帯数は7月現在で1万7667に上る。保険年金課は「保険料を払わない人への罰則というか……。そうしないと今払っている人に払ってもらえなくなる」と説明し、「負担の公平」を強調する。
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病気になって患者に「なれる」「なれない」の格差が広がっている。
富士山を望む山梨県山中湖村。7月に肺がんの手術をした夫(67)とその妻(64)が別荘で週末を過ごす。
会員制リゾート会社の子会社が94年につくった医療施設「ハイメディック山中湖」の会員。最新のPET(陽電子放射断層撮影装置)によるがん検診が売り物だ。会員権は最高で約700万円。夫妻は約500万円のコースを2口持つ。検診でPETが夫の肺にとらえた影はまだ初期の腫瘍だった。
会員数は増え続け、4000人を超えた。来秋、国内三つ目の施設が東京大病院内にできる。同社関係者は「機器の購入など何十億円も投じて東大の看板を手に入れた」と明かす。病院側は「会員を一般患者より優遇することはない」というが、施設のパンフレットは「異常が見つかれば東大病院へ迅速に紹介する」と宣伝する。
夫婦は保険料が年々上がる中、いざ病気になると3割の自己負担が重く感じる。それなら自費で健康管理をする方がいいと考えている。「公的保険は信用できない。健康は自己責任で守ります」
12月初め、寒波が襲う名古屋市。路肩に停めた車の中で、50代の女性は「子供にうそをつかせるのが一番しのびない」とため息をついた。
国保料の収納率を上げるため、集金に回る国保推進員が市内に140人いる。女性もその1人だ。800近い世帯を担当し、少しずつでも納めるよう説得する。訪問をためらう先は1軒の母子家庭。生活苦で春から滞納している。通うたびに小学生らしき子供がドア越しに「お母さんは留守」「風邪」と繰り返す。
同市の場合、国保加入43万世帯の約6分の1が滞納している。それでも昨年度、保険証を取り上げた世帯はわずか15。収納率は90%台と政令指定市の中でも上位を維持している。保険年金課は「資格証明書の交付は、行政が縁切り宣言するようなもの。市民との接触が途絶え、収納率は上がらない」と言い切る。
国保推進員は夜でも休日でも、接触できるまで訪ね続ける。冷え込みが強まる午後8時、女性は仕事を終えた。「国保は誰もがちゃんとした医療を受けるための最低限の制度。それを守りたいだけです」=つづく
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/tatenarabi/news/20060104k0000m040001000c.html
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