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(回答先: カネボウ粉飾、ケイビー詐欺、ライブドア巨額詐欺事件に見る日本公認会計士協会の温存する粉飾体質について 投稿者 田無限 日時 2006 年 3 月 29 日 13:55:20)
カネボウ粉飾、ケイビー詐欺、ライブドア巨額詐欺事件に見る日本公認会計士協会の温存する粉飾体質について
【恐るべき日本公認会計士協会による会員のガバナンス統治、その特質】
@地方監査法人を中心とする公認会計士の格付けと制度の私物独占化
A地方大手銀行や行政機関との癒着による包括外部監査制度の悪用(用心棒監査)
B証券会社、金融庁との癒着による証券市場私物化
Cガバナンス統治による公認会計士の政府金融庁の下請機関化
D公認会計士制度基盤となる精神的独立性の剥奪
E密室会議、監査意見の『集合体制法制化』による制度独占私物化と隠蔽体質
F大手監査法人・証券会社・金融庁・証券取引所の粉飾詐欺・談合体質の温存
a前書き
協会組織ガバナンス改革大綱案の公開について
日本公認会計士協会は、協会組織とガバナンスのあり方について、昨今の公認会計士業界を巡る環境変化を踏まえ、21世紀における会計プロフェッションのあるべき姿を見据えた上で執行部をあげ鋭意検討を重ねてきました。
本年12月8日開催理事会においてその改革大綱案を取りまとめましたので、これを会員に公開し、広く意見を求めることにしました。
本改革案に対する会員各位の忌憚なきご意見が多数寄せられることを期待するものです。 提案させていただいている改革案の詳細は「協会組織ガバナンス改革大綱案」に記載のとおりですが、今般の改革は多岐にわたるため、会員の各位に改革大綱案の概要をご理解いただくため、その要約版と「会長等の選出方法等の改革提案についてこれまでに寄せられたご意見とそれに対する考え方」を別冊としてまとめています。
本改革大綱案をご検討いただく際の一助になればと考える次第です。
なお、現下の斯界を取り巻く厳しい環境を踏まえ、本改革大綱案に盛り込まれた事項については、来年の定期総会に会則等変更案として附議することを予定していることから、各位のご意見は、平成18年1月31日までにご提出くださるようお願いいたします。
また、執行部では、各地域会で開催される本部会務報告会等に積極的に参加し、本件に係る会員との質疑応答を通じて得た会員の声をできるだけ最終案に反映していく所存であります。
平成17年12月8日
日本公認会計士協会 会長 藤 沼 亜 起
【ご意見の提出期限及び送付先】
提出期限:平成18年1月31日(火)
送 付 先:日本公認会計士協会 総務部企画課
〒102-8264 東京都千代田区九段南4−4−1 公認会計士会館
ファクシミリ:03-5226-3362 E-mail:kikaku@jicpa.or.jp
b機構改革大綱_別冊
会長の選出方法について寄せられたコメントの検討
本年7月の「協会の組織・ガバナンス改革案」公開以降、会長選出方法については様々な意見が寄せられた。これまで寄せられている主要な意見の概要を枠内に記載し、それに対する執行部の見解を参考までに提供することしました。
【会長の出身事務所から独立性に関する意見】
1.協会会長は、その出身事務所からその任期中は経済的にも身分的にも独立している必要があるのではないか。
(1) 職業会計専門家の自主規制機関としての協会及びその会長の社会的責任はますます増大してきている。その重責を担う協会会長は、ご意見のとおり出身事務所からの経済的・身分的独立性を確保する必要はあると考えますが、一方で、会長就任期間およびその後の会長自身の生活の基盤を確保する必要があります。
改革大綱案では、協会から会長に報酬を支払うようにすることを提案しておりますが、現在の協会財政及び会員の理解などを勘案して想定している報酬金額には、社会保険、年金、退職金などの内在する周辺問題までを加味したものではありません。これらのことまで踏まえれば、相当の金額となることから、将来の協会財政等を踏まえ今後なお慎重に検討する必要があると考えます。
(2) 協会会長の出身事務所からの完全な独立性確保をその立候補の前提とした場合、会長として適任と考える会員がこの前提があるが故に立候補を躊躇する可能性があることも考慮する必要があります。
そこで改革大綱案では、協会会長の出身事務所からの独立性確保については、一定の経済的仕組み(すなわち有給とすること)及び推薦委員会が立候補者から独立性に関しその所信を聴取し、これを評価検討することをもって担保する仕組みを提案しております。
【会長の任期に関する意見】
2.協会会長としての職務を遂行していく気力・集中力を持続するには、任期2年とし、再選を認め最長4年とすることはどうか。
3.役員任期は2年、継続しては3期(6年)までとしてはどうか。
4.役員任期を2年としてはどうか。会員が役員に立候補しやすくなる。
・会長の選出方法を直接選挙によらないのであれば、選挙を実施する他の役員の選挙区は狭いので、選挙期間(投票期限35日)の短縮も可能である。2年毎に選挙を行っても立候補する会員に大きな負担とはならない。
・会長の選出を1〜2月に行うことにより、役員の交替期の事業計画案及び予算案は、実質的に次期会長予定者の手で作成することが可能になる。会務運営のサイクルを三ヶ月前倒しすることにより新会長が2年間の任期を自分の意思で運営することができると考える。
・総会における事業及び決算に関する報告は、現執行部が行い、事業計画案及び予算案の提案説明は、次期執行部が行うことにしてはどうか。
5.役員任期は、継続性などを考慮すると、現行の3年が適当である。
6.執行責任者としての「会長」の任期は最低でも現在の3年とすべきである。
7.大手4監査法人から経済的、身分的に独立していれば、再任の発想があってもよい。
8.会務の継続性は専務理事で担保されるのではないか。会長は1期で燃え尽きてほしい。
(3) 現行の役員任期である一期3年を変更する積極的な理由はないと考えます。
(4) ただし、会長の任期については、現行では再選を禁止しているが、大きな制度改革期などにおいて会長が続投したほうが望ましい場合もあるので、少なくとも再選は可能にしておく必要があると考えます。
なお、会長再選は、極めて稀なケースと考えられます。また、自動的に再選されるのではなく、他の会長立候補者とともに所定の選考プロセスを経て選出されるようにする必要があると考えます。
【会長の権限に関する意見】
9.直接選挙で選任される会長と直接選挙以外の方法で選出される会長とでは、その権限も異なってくるのではないか。
(5) 公認会計士法第46条の4第2項に「会長は、協会を代表し、その会務を総理する。」と規定されており、これに基づいて会則等に会長の権限が規定されています。改革大綱案では、これら会長の権限とともに増大する社会的責任を果すのに最も適した会員を選出する最適な方法を模索し、公正かつより客観的に選出できる仕組みとして、会員から一定の信任を受けた会員から立候補者を募り、推薦委員会が立候補者の適格性を評価検討する方法を提案しています。選出の過程が公正であれば、方法の違いによって権限が異なるものとは思われません。
【会長選出の公明性に関する意見】
10.会長は、公明正大な方法によって選出する必要がある。密室で選ばれるより手間隙、コストはかかるが、選挙の方が公明性は高い。
11.密室でネゴが行われるような選出方法は反対する。密室で選出されたとの思いを払拭できない。談合、持ち回りの危険性がある。
(6) 社会的責任がますます増大してきている自主規制機関としての協会の会長は、その重責を担えるだけの要件を備えた会員でなければなりません。直接選挙が外見的に公明正大であるとの考えがあることは認識していますが、直接選挙においては、候補者がこういった会長の要件を有しているかどうかを、個々の会員が実質的に判断しなければならないことになります。しかし現状では、会員数の増加とともに、この実質的な判断が行われないまま投票するという傾向が顕著となってきており、今後ますますこれに拍車がかかることとなります。
そこで、候補者の適格性の実質的な判断が行える仕組みとして、改革大綱案では、推薦委員会制度を提案しています。
(7) 改革大綱案に示す推薦委員会制度は、会員から一定の信任を受けた次期役員予定者から会長立候補者を募り、推薦委員会がこれら候補者と面接し、その所信等を確認しつつ選考を進めます。推薦委員会は広く会員からの声が反映されるように地域性などを考慮した上で組織され、その選考過程と選考結果の会員への説明責任を有します。これらによって、公明性が担保された上で、会長としての適任者が実質的に判断され、推薦されるものと考えます。推薦委員会制度が広く多くの組織や団体で利用されていることからも見ても、密室で決められる制度であるという認識は適当ではありません。
【選挙コストに関する意見】
12.選挙コストの増大は、選挙方法を見直すことにより抑えることが可能ではないか。
13.選挙に莫大な費用がかかるならば、選挙運動は公的な選挙公報のみに限定し、これを選挙期間中に数回会員あてに送付することとしてはどうか。
14.選挙に多大のコストがかかっていることについて、会員の理解を求めるべきである。
(8) 将来の会員数の増加を踏まえると、立候補者が選挙に要するコストや時間は、今後ますます増加することが考えられ、一個人の会員が立候補するにはもはや限界に近いと考えざるを得ない状況です。
選挙に多大なコストがかかることが、適格者の会務運営への参画の機会を奪うことは、協会及び業界にとっても大きな損失となるので、これは現時点で解消しておくべきであると考えます。
(9) 役員選挙に立候補する会員が負担するコストの問題とともに、投票する会員、すなわち選挙運動を受ける会員の負担も考える必要があると考えます。例えば、インターネットや衛星放送を利用した立候補者の所信表明放送のようなことも考えられますが、立候補者の実質的な判断が行えるかどうかといった問題までを解決することにはならないのではないかと考えます。
【会員の参加意識に関する意見】
15.会員の協会会務への参加意識を高める観点からも直接選挙とすべきである。直接選挙によらない場合、会員の参加意識はますます低下する。
16.ガバナンスの観点から、会長を選ぶことが会員にとって唯一の手段である。自主規制の根幹をなすものであり、一番のガバナンスは直接選挙である。選挙に興味がない人が増えたので、そのやり方を変えるというのではガバナンスを失う。
17.公認会計士は強制加入であり、会費を納入し、監督に服する義務がある。その意味からも協会を代表する会長については直接選挙が必要である。
(10) 会長選出における直接投票が、会員の重要な意思表示の機会であることは疑いようもないことですが、協会会員の増加と多様化が進んでいることから現実的な対応が強く望まれます。また、以下の施策を総合することにより、会員の意思表示や会務、ガバナンスへの参加機会を全て奪うものではないと考えます。協会会長に求められる社会的な責任は増大の一途を辿っており、その責任を担える適格性を有する会員を、実質的な判断のもとで選出することが重要ではないかと考えます。
@ 会則や重要な規則はすべて総会での決議事項であり、会員の身分に係わる決定は、会員が直接選挙で選出した理事をもって構成する理事会で決議することとなっている。また、会員業務に重要な影響を与える委員会答申は、事前に公開草案を公表し会員意見を聴取することとしている。
A 直接選挙によらない方法で選任される会長には、解任の手続を明示的に定めることとしている。
(11) さらに、改革大綱案では、会長の選出方法以外にも、協会の組織・ガバナンス改革提案を行っております。昨今の協会及び業界を取り巻く厳しい環境を踏まえた上で、協会のガバナンス機能の向上を図り、また、会員の参加意識を高めるため、役員組織改革や支部機構改革の方向性、事務局体制の強化などに多角的に提案しております。これらの改革は、一貫して総合的に実施する必要があると考えます。
【会員からの信任に関する意見】
18.直接投票によって得た信任は何よりも重く、会長が重要な決断をするたびに大きな支えとなる。
19.重要な意思決定の際の判断材料は、自己の所信に対する会員の強固な信任である。会長が自己の所信について会員から信任されているかどうかが不明であれば、重要な意思決定はできない。会長の直接選挙によらない選出方法は、会員の信任という面から極めて不十分と言わざるを得ない。
(12) 改革大綱案で提案する推薦委員会方式では、自らの選挙区でその会員の信任を受け当選した次期役員予定者が会長候補者として立候補し、その会長としての適格性を推薦委員会が面接等を通じ慎重に選考し、さらに自らの選挙区でその会員の信任を受け当選した次期役員予定者により、推薦委員会が推薦する候補者に信任を与えるという多くのハードルが設けられております。この信任が得られなかった場合には、会員による直接選挙による方法も用意されています。
(13) 改革大綱案は、昨今の協会及び業界を取り巻く厳しい環境を踏まえた上で、「協会の将来にとって何が重要か」を視点に検討されてきました。
その社会的責任が増大する自主規制機関としての協会の代表である会長には、より強固なリーダーシップと識見など様々な要件が求められ、これらを兼ね備えた会員を実質的に判断して選出する最適な方法を提案するとともに、それを支える迅速な会務執行が実現し得る協会機構への改革を提案しております。
【立候補の機会に関する意見】
20.会長への意欲がある会員の立候補の機会を奪うことにならないか。誰もが立候補できるようにすべきではないか。
(14) 改革大綱案に示す推薦委員会方式は、会長への意欲がある会員の立候補の機会を奪うものではありません。会員から一定の信任を受けた会員は誰でも立候補が可能です。
(15) 社会的な責任が増大する協会会長は、もはやなりたい人がなるというものではなくなってきております。本人の熱意はもちろん大切ですが、協会会長に求められる要件を兼ね備えた会員が会長に就任しなければならないのではないかと考えます。
【間接選挙についての意見】
21.会員数の増大等の理由から、間接選挙を余儀なくされるのであれば、会員から選出された理事による間接選挙もやむを得ないと思う。信任と選出の公明正大さの観点からは、選挙によって選出された理事による会長選挙が次善の策である。
(16) 直前の役員選挙によって選出された理事による会長選出の選挙は、会長候補者の人となりが良くわからないままに選挙することとなり好ましくありません。また、それぞれの候補者に対する支持母体の対立を招く恐れがあり、これがその後の会務運営に重大なしこりを残す懸念があります。
特に現状の役員構成の実態から、会長以外の役員についても大手監査法人などの支持・推薦を受けて当選している者が多く(現在の理事会構成員の60%強が大手監査法人に所属している)、その影響力が会長選出の選挙に反映する可能性を否定することはできません。またこのことは、これらに属していない者の会長への道を閉ざすことになり兼ねません。
【会員全員からの信任に関する意見】
22.直接選挙によらない方法によって選出された次期会長について、次期役員予定者による信任では間接信任となるので、最高裁判所裁判官の国民投票のように会員の信任投票を実施してはどうか。
(17) 推薦委員会において実質的な判断が行われ推薦を受けた会長候補者について、会員全員による信任投票を行うとしても、投票する会員が会長就任予定者を実質的に判断できるかどうかという点でなお疑問があり、現実的な方法ではないと判断します。なお、前述のとおり次期理事による信任が得られない場合には、会員による直接選挙の手当てを残しております。
以 上
c機構改革大綱
【公開草案】
協会組織ガバナンス改革大綱案
平成17年12月8日
日本公認会計士協会
はじめに 3
第一部 協会組織とガバナンスの改革 5
T 協会役員組織及び委員会組織の改革について 5
1.問題提起、改革の観点及びその方向性 5
2.改革案 7
(1) 機関構成の見直し 7
(2) 役員定数等の見直し 9
(3) 審議方法等の見直し 11
U 協会支部機構の改革について 13
1.問題提起、改革の観点及びその方向性 13
2.改革案 13
(1) 基本的スタンスの確認 13
(2)地域会事業活動の総点検及びそのアセスメント並びに地域会設置基準の見直し 15
(3) 地域会各部会組織の促進及び部会帰属基準の見直し 16
(4) 財政その他の諸問題 17
V 協会会長等の選出方法等の改革について 18
1.問題提起、改革の観点及びその方向性 18
2.改革案 19
(1) 会長としての要件の明確化 19
(2) 会長の任期及び処遇 20
(3) 会長の選出方法の見直し 21
(4) 会長指名による役員の選出 24
W 協会の監査業務の審査制度及び品質管理レビュー制度の改革について 25
1.問題提起、改革の観点及びその方向性 25
2.改革案 25
(1) 改革案の検討に当たって 25
(2) 改革案 27
X 協会事務局体制の強化について 32
1.問題提起、改革の観点及びその方向性 32
2.改革案 33
(1) 事務局のあるべき姿 33
(2) 専務理事制の導入 33
(3) 事務局体制の改善・強化 34
第二部 協会機構改革大綱案 36
T 協会役員、役員会改革に係る変更要綱案 36
1.役員改革に係る変更要綱案 36
(1) 役員定数(会則第43条関係) 36
(2) 役員の職務(第44条関係) 36
(3) 専務理事制の導入(第44条、第44条の2、第45条の2、第121条ほか関係) 37
(4) 役員の任期(第46条関係) 37
2.役員会改革に係る変更要綱 37
(1) 理事会(第47条、第49条関係) 37
(2) 常務執行理事会(第50条、第51条関係) 38
(3) 地域会会長会議(第69条関係) 38
3.役員選出改革に係る変更要綱 38
(1) 会長の選出方法(第45条関係、役員選挙規則ほか) 38
(2) その他の役員の選出方法 39
U 委員会改革要綱案 40
1.各種委員会の会則上の位置づけの変更 40
V 支部機構改革要綱案 40
1.地域会設置基準等の変更(第58条関係) 40
2.地域会の活動状況に係るアセスメント(第65条関係) 41
3.地域会会長会議の常設化(第64条、第69条関係) 41
W 監査業務審査機構改革要綱案 41
1.監査業務審査会と監査・綱紀事案検討会の統合(第89条の2、第89条の2の2、第89条の3関係) 41
2.会則第33条に基づく勧告又は指示の運用強化、及び監査業務審査会と品質管理委員会とのさらなる連携強化(第33条、第88条関係) 42
3.「新・審査会」の審査手続の明確化(監査業務審査会規則関係) 42
4.監査業務モニター会議のモニタリング範囲の拡大 42
別冊:会長の選出方法について寄せられたコメントの検討
はじめに
日本公認会計士協会は、平成17年年頭に当たって公表した「中期行動指針」に「斯界を巡る環境変化を的確に捉え、自主規制団体である日本公認会計士協会に求められる組織とガバナンスのあるべき方向性を探り、組織・機構の改革の具体化を検討する」を掲げた。これを受け、会長の下に正副会長戦略会議を設置し、協会の組織・機構改革につき「協会の将来にとって何が重要か」の視点から鋭意検討を重ねてきた。
改革の具体化の第一弾は、協会における綱紀事案処理体制の外観的独立性、透明性及び客観性の確保と会員の権利擁護の向上の観点からの再構築であり、平成17年7月開催の第39回定期総会において関連議案が承認され、新たな体制のもとでの運営が開始されるに至った。
さらに執行部は綱紀事案処理体制の再構築の検討と並行して、協会役員会をはじめとした機関構成、役員の選出方法、役員のうち特に会長の選出方法、支部機構、事務局体制及び監査業務の審査機構について改革検討に着手し、本年6月には「協会の組織・ガバナンス改革の今後の方向性について」を、また、7月には「協会の組織・ガバナンス改革案」をそれぞれ会員各位に公開した。ここでは、以下に示すあるべき協会の組織観を確認し、改革の方向性の検討を進めた。
当協会が、自主規制機関として、
@ 社会から信頼される組織、そして社会をリードしていく組織(パブリック・インタレストの擁護)
A 環境変化をいち早く察知し対応できる組織、つまり戦略性と機動性を持った組織
B 透明性と中立性を持った健全なガバナンスを備える組織
そしてその組織体制として、
C 持続可能性のある会務運営を支える強固な事務局体制、ボランティアに過度に依存しない組織
D 効率性と財務の健全性を持った組織
また、広範な会員を結集する組織体として、
E 協会本部と地域会活動との連携が強く、また地域会の特性を尊重する組織
F 会員の参加意識が高く、また、会員としての誇りがもてる組織
この検討の過程において、大型粉飾決算事件などディスクロージャー制度の信頼を損なう事件が発生し、公認会計士監査の社会的信頼性に疑問が呈された。さらに、協会における自主規制活動、特に品質管理レビュー制度及び監査業務の審査体制等についてその実効性が問われることとなった。このような公認会計士を取り巻く待ったなしの厳しい環境下、公認会計士制度の信頼を回復するには、その中核を成す監査業務について会員個々人の監査実務を改善することはもとより、協会は、より強固な自主規制機関として会員の業務を指導監督するという組織体制を築き上げるべく、早急に協会の組織ガバナンスを改革しなければならないことが再認識された。
議論の過程では、協会が社会の期待に応え得る自主規制機関として戦略性、機動性、迅速性をもった会務運営を行える体制とするための機関構成の見直し、協会を構成する個々の会員が協会会務への高い参加意識を保持するために不可欠な地域会活動の活性化に主眼をおいた支部機構の見直し、また、環境の変化に伴って社会的にも重大な責任を担い、強いリーダーシップの発揮が求められる協会会長の適任者についての選出方法について、多くの時間を割き検討を重ねた(会長等の選出方法について寄せられた意見等については、別冊として取りまとめた。)。
このたびここに、改革の骨格を成す基本部分の大綱案を取りまとめ、これを会員に公開し、今後の具体化に向けた議論に資するため、忌憚のないご意見を募ることとした。
なお、改革の骨格を成すこの機構改革大綱案を踏まえ、今後、役員選挙制度全般の具体的な手続等について検討を重ねる予定である。
第一部 協会組織とガバナンスの改革
T 協会役員組織及び委員会組織の改革について
1.問題提起、改革の観点及びその方向性
協会の機関構成については、以下の観点から見直す必要があると考える。
(1) 理事会の現況は、会務執行機能と会務執行監視機能が同居して運営されてきており、会務執行の審議決定機関として十分に機能しているのかという疑問が呈されている。
協会会則第49条(理事会)及び第51条(常務理事会)に規定する各審議事項を文字通りに解釈すれば、理事会は総会の意を受け会務の執行を監視(Oversight)する機能を有し、常務理事会は会務を執行(ManagementとExecution)する機能を有すると考えられる。
この解釈の原点に立ちかえり機関構成を見直す。
(2) 「会員からの委任を受け、会則に定める範囲で会務執行する機関」と「会員からの委任を受け、会務執行を監視する機関」とに明確に機能分化する。
(3) 機関構成の改革に合わせそれぞれの機関の名称、構成員の選出方法なども見直す。
(4) また、事務局体制が強化され会務の持続可能性が確保されるようであれば、役員任期についても見直しを検討する。機関構成等の見直しに当たっては、これらの要請事項への対応についても併せ検討する。
(5) 平成16年4月1日の改正公認会計士法の施行とともに、政府の「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に基づき協会は「民間法人」と位置づけられた。『特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導監督基準(平成14年4月26日閣議決定)』(以下、「民間法人運営指導基準」という。)は、民間法人の機関、財務等に関し次のような指導要請を行っている。
・ 役員(監査役員を含む。)に、当該業種の関係者又は所管する官庁の出身者以外の者を登用していること。
・ 監査役員は、会計監査を含む法人の事務・事業の全般的な監査を行うものであり、適正な監査機能を発揮する上で十分な体制とするとともに、可能な限り関係府省以外の者及び外部の者を登用していること。
・ 監査役員は理事を兼ねていないこと。
・ 法人の運営に関する重要事項の審議を行う評議員会等(評議員会、経営委員会等法人外部の者を含めた第三者的性格を有する機関をいう。以下同じ。)において、法人の業務実績の評価が行われていること。
・ 評議員会等の構成員は、原則として役員を兼ねていないこと。やむを得ず評議員が役員を兼ねる場合においても、その割合は、評議員会等を実質的に支配するに至らない程度にとどまっていること。
・ 評議員会等の構成員に、当該業界関係者又は所管する官庁の出身者以外の者を登用していること。
・ 収支決算額が概ね50億円以上の法人については、所管官庁からの要請に基づき、公認会計士による監査を受けるよう努めていること。
また、役員会等の機関構成及びその審議方法並びに役員定数については、次の方向性を踏まえ検討する必要がある。
(6) 機関構成の具体的な見直し(A案)
@ 会務執行機能と会務監視機能が同居して運営されてきた現行理事会の審議事項、運営等を見直し、執行機能と監視機能とに明確に分化する。
A 具体的には、現行の常務理事会に相当する会務の執行を担う役員(執行理事)をもって構成する「執行機関(仮称:執行理事会)」と、理事会に執行理事と会務執行の監視を担う役員(評議理事)をもって構成する「監視機関(仮称:評議理事会)」とに分離する。この場合の「監視機関」の評議理事の数は、執行機関を構成する役員総数を上回るものとする。
B 評議理事会は、四半期ごとなど年に3〜4回、1日から1日半かけて開催し、総会提案議案や事業計画案のほか、会員の身分、経済的負担に関わる規則の制定・改廃を審議承認するほか、執行理事会から会務執行の状況の報告を受け、これに対する意見を述べることとする。
上記A案を基本とし、さらにその機能分化を明確にし、「監視機関(仮称:評議会)」は評議員をもって構成し、会長、副会長及び執行理事などの執行機関構成員は、説明・報告者として評議会に出席するが、評議会における議決権は有しないものとする方法(B案)や、現行の常務理事会・理事会体制を維持しつつ特に現行の理事会の審議体制を見直した上で、新たに「監視機関」(仮称:評議会)を新設し、評議会は、年に2回程度、1日かけて、常務理事会、理事会から会務執行の状況の報告を受け、これに対する意見を述べることとする方法(C案)なども検討する。
(7) 役員会の審議方法の見直し
前述のいずれの案においても、会務執行における審議の実効性を確保するため、例えば、国会における本会議と委員会との関係のように、執行機関での議案審議に先立ち、監査、税務、MCSなどの専門性や地域性を考慮した少数の理事による会議で、必要に応じ、各種委員会委員長等のオブザーバ参加を求め、各種委員会からの答申等を十分に事前審議し、執行機関の本会議では、この事前審議を踏まえた要点審議を行うこととするなど、会議運営の改善を検討する。
(8) 役員定数の見直し
現行の役員総数87名(会長1名、副会長8名、常務理事33名、理事38名、監事6名、事務総長1名)についても、各機関の役割を踏まえ見直すこととする。特に、「監視機関」の構成員については、会員外の者を一定数含めることも検討する。さらに、事務局体制の強化とも相俟って「執行機関」の構成員の負担を軽減し、執行活動により機動性を持たせる工夫なども併せ検討する。
さらに、前述した「民間法人運営指導基準』による指導要請である「収支決算額が概ね50億円以上の法人については、所管官庁からの要請に基づき、公認会計士による監査を受けるよう努めていること」を踏まえ、協会の財務について、外部監査人による監査の導入を検討する必要がある。
その際には、現行会則において協会の監事は、「会務の執行及び財務を監査し、これを総会に報告すること(会則第44条第8項)を職務とし、理事会に出席して、その職務に関し意見を述べることができる(会則第47条第5項)」とされているが、外部監査の導入により、財務の監査に係る比重が大幅に軽減されることになるので、監事にはむしろ、会務執行の監査(業務監査)に重点を置き、企業の監査委員会のように法令・会則遵守や財務的観点からアドバイスする機関に位置づけ、これに従いその定数を含めて見直すことが必要となる。
この場合には、監事が外部監査人を選任することとし、また、監事の実効性ある活動をサポートする体制を敷くよう検討する必要がある。
2.改革案
以上の問題提起等を踏まえ検討した結果、協会の役員会等の機関構成及びその審議方法並びに役員定数について、次の改革を提案する。
(1) 機関構成の見直し
@ 協会の機関は、「会員からの委任を受け、会務執行を監視するとともに重要議案の意思決定機能を有する理事会」と「会員からの委任を受け、会則の定める範囲内で会務を執行する常務執行理事会」から構成することとする。
理事会は、常務執行理事会に対する監視機能を有するとともに、事業計画案や予算案の承認などの審議決定を行うことにより、重要議案の意思決定機能も有するものとする。また、ガバナンス強化の観点から理事会は、会務執行を分掌しない理事の数が、会務執行を担う常務執行理事会構成員の数を上回る構成とする。
(提案の背景)
今回の機関構成の見直しでは、会務執行の効率性と機動性を確保し、また、会員の代表で構成される理事会の充実と活性化を図ることをもってガバナンスを強化することが求められた。
会務執行の効率性と機動性の確保の観点からは、会務執行を担う機関をできるだけ小規模にした上で、その活動を監視する機関を設けるという、執行と監視の完全分離案(問題提起B案)も検討した。しかし、B案を実現するためには、協会事務局に一定レベルの企画・提案能力が期待されるが、現行の事務局体制を考えると必ずしも現実的なものとはいえない。さらに、強制入会制の会員組織における会員の会務への参加意識の高揚の観点から、将来的にはその方向を目指し事務局体制の強化を図っていくものの、一定の範囲においてボランティアに依存せざるを得ないことを考慮し、現実的な提案をすることとした。
A 理事会と常務執行理事会の機能分化に伴い、各々の審議事項等の見直しを行う。特に、各種委員会答申等における審議・議決は、今後常務執行理事会で行うことを基本とする。なお、理事会の開催は今後年6回程度に削減される。
具体的には、現行の「常務理事」を「常務執行理事」と改め、常務執行理事は、会長から委任される範囲内での執行権を有することを明確にした上で、会長が総理する会務執行を分掌する。すなわち、会長が定める一定範囲内について責任をもって職務を遂行することとし、常務執行理事会は、会務の執行に関する審議決定を行う機関とすることとする。
したがって、役員会における各種委員会等の答申等の取扱いは、効率性と機動性を重視する観点から、その多くを常務執行理事会で審議議決し、常務執行理事の責任において執行することとなる。このため常務執行理事会は、必要に応じ一月に複数回開催することが予定される。
また、役員会運営の効率化を図るため、役員への資料配付は電子メールなどの情報技術を駆使し、極力役員間の情報の共有化を図った上で、例えば、報告事項などは案件に応じ、議場での報告・説明を省略し資料配付をもって報告に代えることを可能とするようにする。
(提案の背景)
各種委員会等からの答申等は、現行の理事会審議案件の6割強を占めているが、今後はこれらのうちの多くが理事会の審議案件から除外され、常務執行理事会で審議議決されることになる。常務執行理事会におけるこれら議案の審議は、
(ア) 答申案等の専門的な内容に関する観点 と
(イ) 答申等が与える影響を考慮したその取扱いに関する観点
とに大別できるが、執行を担う常務執行理事会における実質審議は(イ)に重点を置く。(ア)についてはむしろ委員会及び担当常務執行理事の責任において委員会答申等の内容面の充実に対処する方向性が求められる。
確かに、常務執行理事会の審議案件は大幅に増えることになるが、上述のように常務執行理事会での議論は、できうる限り要点審議となるよう努めることにより十分対処することができると判断する。
B 理事会に会務執行に対する監視機能を付与することに伴って、その議事についても、現行会則第49条各号に掲げられている事項に加えて、(ア) 会長による事業及び会務報告、(イ) 常務執行理事会から提案のあった事項の協議を追加し、会務運営に対し十分な議論が行われ、ガバナンスが有効に機能するよう工夫する。
新たな理事会の議事のうち、特に(イ)については、協会の将来に影響を及ぼすような重要議案、例えば、直近の各議案に置き換えて考えた場合には、次のようなテーマが新たな理事会で活発に議論すべき議案と考える。
・綱紀事案処理体制再構築(正副会長戦略会議)
・中小事務所等施策調査会設置(中小事務所に係る施策検討PT)
・修了考査の運営(実務補習検討PT)
・準会員制度の見直し(会員及び準会員等受入対策PT)
なお、現在会則第44条に基づいて、理事は5名以上の同意により理事会へ議案提案することができるが、今回の機関の改革は、常務に属する執行権限をできる限り常務執行理事会に移行し、会務の効率性と機動性を確保しつつ、理事会に実効性ある監視機能を期待するものであること等から、理事の議案提案権については5名以上では容易すぎるのではないかと考えられる。したがって、理事10名以上の同意にて理事会議案とすることを常務執行理事会へ提案できることに改めることとする。ただし、理事会構成員総数の1/3以上からの請求により、会長が理事会を招集しなければならない規定(会則第48条)は現行どおりとする。
(提案の背景)
地域の会員の代表である理事は、協会本部の会務執行の状況及び方向性について十分に情報入手する必要がある。一方、協会執行部は協会の置かれている環境を踏まえた上で、会務執行に対する理解を求めるとともに十分な説明責任を果たす必要がある。そのため、会長による事業及び会務報告に十分な時間をとり意見交換をする必要があり、また、協会の将来に影響を及ぼす可能性があると判断される議案についても十分に協議する場を理事会に用意する必要がある。
(2) 役員定数等の見直し
@ 常務執行理事会は、35名以内の役員(会長、副会長、担当常務執行理事(27名)−各種委員会等・地域ブロック−) と専務理事をもって構成し、理事会は、理事(43名)と常務執行理事会構成員をもって構成するものとする。
なお、常務執行理事以外の理事は、現行の協力理事同様、常務執行理事を補佐することができるものとする。
(提案の背景)
今回の機関構成の見直しにおいては、会務執行の効率性と機動性の確保に重点を置いているが、これは協会ガバナンスの充実強化により支持されるものである。協会ガバナンスについては、
(ア) 会員の従事する業種、
(イ) 会員の勤務形態、
(ウ) 会員の地域会分布
の観点から検討すべきであり、(イ)及び(ウ)の観点からは、役員構成において一定の範囲で地域会に配慮すべきである。
常務執行理事以外の理事は、監視機能に重きが置かれることから、会務執行を行う必要はないという意見もあるが、現在の会務執行体制の実状からは困難であること、さらに理事に会務執行に協力してもらうことにより、将来の常務執行理事を育成するという意味から、現行の協力理事制度を踏襲することが適切と考える。
役員の選出方法として、常務執行理事とそれ以外の理事を区別して選挙してはどうかとの意見もあるが、執行と監視を完全分離することが困難な現状では、これまで同様選挙によって選ばれた理事の中から常務執行理事を選出することが適切と考える。
A 外部監視機能の有効性を確保してガバナンスを強化するという観点及び『特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導監督基準(平成14年4月26日閣議決定)』に基づく民間法人の機関、財務等に関する指導要請事項を踏まえ、理事2名以内、監事1名は、それぞれ会員外の学識経験を有する者から選任する。
(提案の背景)
80名を超える理事会構成員の中に少人数の外部理事が参加しても、結果的にこれら外部者の意見等が埋没してしまうのではないかという疑問があり、むしろ、監事の半数近くに外部者を登用し、会員たる監事と監事会を構成するほうが有効に機能するのではないかとの意見もあった。しかし、外部の様々な分野における豊富な経験を有する会員以外の有識者を理事及び監事として登用することは、協会会務の透明性と活性化に効果的であり、また、特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導要請にも応えるものであることから適切であると考える。
B 地域会会長は、地域会で選挙によって選ばれた地域会会務の代表者であることから、原則として非選挙により本部理事とする。また、本部と地域会の連携強化のために地域会会長会議を常設機関とし、地域会会長の互選により選出された地域会会長会議議長及び副議長は、本部副会長とする。
常務執行理事に複数の地域ブロック担当の常務執行理事を置くこととし、当該常務執行理事は、地域会会長と協力し、担当地域会と本部間の連絡・調整を主導的に行うこととする。
(提案の背景)
従来、地域会会長は慣例として常務理事となっていたが、今回の提案では常務執行理事会の機動性を重視し、常務執行理事以外の理事とすることを原則とした。しかし、今後の協会運営を考えると協会本部と地域会の役割分担の適正化を図る必要があり、継続的な本部と地域会の責任者の協議の場の常設化が求められることから、地域会会長会議を正式の常設機関とすることとした。
役員構成において地域会会長会議の正副議長を副会長とし、常務執行理事に地域ブロック担当を置くことにより、地域会会長と協力し、地域への本部会務報告、地域の意見集約の本部会務へのフィードバックなど、本部と地域との双方向の連携に主体的な責任が果たせるものと期待するものである。
C 監事の役割を見直すとともに、会計監査については外部監査を導入する。なお、外部監査人は正副会長、財務担当役員及び監事輩出監査法人以外から選出することとする。また、監事は、外部監査人の選解任に係る総会議案提案権を有し、会計監査の結果の報告を受けるものとする。
現在、13地域会を含む単一会としての一貫した会計監査は実施されていない。協会財政の透明性の確保の観点から、また、「民間法人運営指導基準」においても、一定規模以上の法人に対する外部監査の導入が要請されている。職業会計士の団体である協会が率先して外部監査の有効性をアピールするためにも、外部監査人による監査を導入すべきであると考える。
監事は、常務執行理事や理事の職務を監視し、協会の会務執行に対して意見を述べることを職務とする観点から、次のとおり改正する。
ア.監事をもって、監事会を構成する。
イ.監事会には、現行会則第34条第3項第3号の「臨時総会開催の請求を行う権利」を付与し、監事会の過半数の決議でこの権利の行使を可能とする。
ウ.監事は、理事会に出席してその職務に関し意見を述べることができる(会則第47条第5項)が、理事会に加えて常務執行理事会にも出席して意見を述べることができることとする。さらに常務執行理事会及び理事会への議案提案も行えるようにする。
(提案の背景)
他分野における豊富な経験を有する会員以外の有識者を外部監事として登用することは、協会会務の透明性と活性化に効果的であると判断する。
また、会員以外の役員を登用することは、「民間法人運営指導基準」においても要請されている。
D 上述の@〜Cを基に、以下の各提案を加味した基本的な役員構成を整理すると次のとおりとなる。
改革提案 現 行
役員総数 (最大) 83名以内 87名以内
選挙による
会 長 76名 以内 1名
・本部役員選挙当選者から選出 1名
副会長 7名以内
・5名以内は本部役員選挙当選者から選出
・2名は地域会会長の互選による地域会会長会議正副議長 8名以内
理 事 68名以内
・ただし、地域会会長は本部役員選挙によらず理事となる。
・理事総数は、副会長就任数により変動することがある。 71名以内
理事のうち27名以内は常務執行理事 理事のうち33名以内は常務理事
選挙によらない
専務理事 1名 ・会員又は会員外から選出 1名 (事務総長)
外部理事 2名以内 ・会員外から選出 −
監 事 3名以内 ・地域会会長の推薦で会員から選出 6名
外部監事 1名 ・会員外から選出 −
※ 上記のほか、特に必要がある場合には、会長指名による非選挙の常務執行理事2名以内を追加できることとする。例えば、ITや国際的な分野など。
(3) 審議方法等の見直し
@ 常務執行理事以外の理事に、常務に属する会務の執行状況の情報を提供するため、理事会内に分科会を置く。
この分科会は意思決定機関ではなく、理事会本会議での議論を活発化し、ガバナンスが有効に働くようにするための情報提供を目的とするものである。
分科会では、各常務執行理事が所掌の会務執行の進行状況等(今後提出予定の委員会答申(案) の大枠・方向性など)を報告し、理事と意見交換を行う。理事の分科会への配属は会長が予め指定することとし、分科会は、当面、必要に応じて理事会本会議開催当日の午前中に開催するようにする。
なお、理事に対し、分科会における意見交換がスムーズに行われるように、常務に属する会務執行スケジュールは、予めアクセスできるよう手当しておくこととする。
分科会の構成は、例えば次のようなものが考えられる。
ア.企業会計・監査
イ.上記ア.に属さない会計・監査その他公認会計士業務(例:公会計、学校法人、非営利、租税、経営)
ウ.制度・法規(例:CPE、品質管理、倫理)
なお、IT、国際、中小事務所等施策などの横断的なテーマは、必要に応じて関係する分科会で扱うこととする。
(提案の背景)
今回の改革により、現行の理事会の審議案件の6割強を占める各種委員会等の答申等に関する審議は、常務執行理事会で審議議決されることになる。また、理事会の運営も執行部の判断により、特定の重要問題に絞り込むことになる。そのため、常務執行理事以外の理事は、これらの常務執行理事会議案に対して事前に意見を述べることが困難となり、監視機能さらには会務への参加意識の低下が懸念される。
理事会の運営をより実効性のあるものとするためには、理事が常務に属する会務の執行動向を、今以上に把握しておくことが必要であり、その一助として分科会での事前の情報提供と意見交換を提案するものである。分科会は理事の常務に属する会務の方向性への理解を深め、理事会本会議への参加意識を向上させるためのものであり、意思決定のためのものではない。
これに対して、(ア) このような意見交換の場は常務執行理事会の議案提案前に設定すべきではないか、(イ) 分科会が複数設置されることから、理事はすべての会務執行の情報を得ることができないので、このような意見交換の場はむしろ理事会本会議に設けてはどうか、(ウ) 分科会を設置するより、理事に常務執行理事会の傍聴を認めたほうが効率的、効果的ではないかという意見がある。
しかし、常務に属する会務執行の効率性・機動性の観点、理事会本会議のポイントを絞った実効性ある運営という観点、さらには組織上の責任の明確化という観点から、この分科会設置案となった。理事の分科会への帰属は、理事任期中において1年ごとのローテーション等一定のルールに従い柔軟に対応することとする。
また、分科会設置により、理事に十分な情報が提供され、理事が議論に活発に参加し得る環境を整備することは、将来の常務執行理事への試金石としての効果も期待できる。
A 理事会及び常務執行理事会の審議事項等の見直しに伴い、各種委員会の運営に係る規定も必要に応じて整理する必要がある。
常務執行理事会に審議議決が委ねられる事項は、原則として常任委員会に関わる事項と考えられる。したがって、例えば次のように会則・規則・細則等の体系を見直し、整理する必要がある。
ア.常任委員会 … 会則に「常任委員会」の章を設け、「委員会規則」に各常任委員会の共通の骨格を明示し、各常任委員会の運用に係る規定は、「委員会運営細則」に譲る。
イ.会則上の特別な委員会 … 会員の権利義務又は身分に係る、重要事項を扱う委員会であり、会則に「常任委員会」の章とは別に章立てを行いその骨格を明示する。会則上の特別な委員会の運用に係る規定は、従来どおり、個別の委員会等の規則に記載する。
この見直しに伴ってさらに、理事会及び常務理事会運営細則、委員会答申等取扱細則等の規定に所要の変更を加える。
(提案の背景)
会則上の特別な委員会に該当すると考えられるものは次のとおり。
ア.会員の権利義務及び身分と直接的に関係する会議体、すなわち、会員に対する調査権・改善勧告措置に係る規定を含む会議体、会員から提出される資料の他機関での利用を制限する規定を含む会議体
品質管理委員会、監査業務審査会、監査・綱紀事案検討会、監査問題特別調査会
イ.会務執行や事務の管理が主たる職務の会議体
選挙管理委員会、登録審査会、CPE協議会、CPE推進センター、実務補習協議会、修了考査運営委員会
ウ.会務執行から独立させた会議体又は第3者を中心としたモニタリング機関
綱紀審査会、不服審査会、品質管理審議会、監査業務モニター会議
エ.公認会計士法上、会則への明記が要請される会議体
資格審査会
また、次の会議体は、常任委員会とすることが適当と考える。
倫理委員会、品質管理基準委員会、機関誌編集員会、監査基準委員会、租税調査会、経営研究調査会、業務開発推進協議会、中小事務所等施策調査会
U 協会支部機構の改革について
1.問題提起、改革の観点及びその方向性
より強固な自主規制機関としての職業専門家集団を築き上げるためには、これを構成する会員の会務への高い参加意識及び密接な連携が不可欠であり、それを実現するための地域会活動の活性化を促す施策を検討する必要がある。
機関構成の見直しに伴って、地域会会員の本部執行機関及び監視機関への参加、本部委員会等への参加、本部会務の執行に係る地域会会員への情報伝達等、本部の各機関と各地域会の会務執行との連携のあり方を見直す。その際には、本部と地域会の役割分担を再確認した上で、経済的、行政的及び地域的などの観点から合理的な地域会の分割基準を検討し、それに基づいて適切に地域会再編成を行うこととする。
2.改革案
上述の問題提起等を受け、現下の公認会計士業界を巡る環境を踏まえた協会本部と地域会との関係(本部の役割、地域会の役割、その相互連携など)につき、以下の基本スタンスの下で協会の組織・ガバナンス改革における支部機構(地域会)のあり方を検討した。
(1) 基本的スタンスの確認
@ 社会の公認会計士に対する期待とも相俟って、会員業務は多様化してきている。特に国の地方分権政策が推進されている近時において、会員業務は、国の地方機関又は地方公共団体との密接な連携強化とその維持が求められるようになってきている。
A 継続的専門研修制度の法定化や公認会計士に対する社会の期待の増大に伴う業務の拡大などから、増大の一途を辿る本部施策・事業の会員への浸透を、近時及び将来における会員数の増加を踏まえて徹底していく上で、支部機構の役割もまた増大してきている。
B 例えば、現下の本部施策・事業のうち、継続的専門研修や実務補習あるいは中小事務所等に対する業務支援施策などについては、これら施策・事業の大綱に基づく具体化を支部機構が主体となって実践していくことが期待される。
支部機構には、これら本部施策・事業を迅速かつ着実に実施しうるより充実した体制が、情報伝達手段の進歩や会員数の増加等を踏まえ整備されることが求められる。
C 最近の公認会計士法の改正や監査環境の変化への対応など、協会が自主規制機関として、会員に重要な影響を与える諸施策について迅速に決定しなければならない案件が増大してきている。これら諸施策の決定に際し、支部機構は主体的に会員にその内容を伝え、理解を求め、あるいは、当該会員の意見・要望を迅速に本部に伝達し得る体制が必要となってくる。
また、公認会計士制度のさらなる充実発展のためには、本部が意思決定した諸施策が着実に実行されなければならず、支部機構はその実施主体として十分に機能しなければならない。そのためには従来にも増して、支部機構体制を整備・充実していく必要がある。
以上のスタンスを踏まえ、本部と支部機構との基本的な関係を改めて整理すれば、「協会本部は、公認会計士法第43条第2項に規定する本会の目的を達成するため、会則第3条に規定する事業を遂行する主体であり、支部としての地域会は、公認会計士法第45条の規定に基づき協会の目的達成のため必要があるときに設置され、協会本部による会則第3条の事業を遂行するために必要な会務に関する事項を所属地域会会員等に対し伝達するとともに、本部からの委任事項を遂行し、さらに会員意見の進達及び会員意見に基づく本部会長への建議などを行う主体である。」ことが確認される。
また、これを地域会及び地域会に設置されている部会(部会、地区会、県会等様々な呼称があるが、以下では「部会」に統一する。)に求める要件として整理すると下表のとおりとなる。
地域会の要件 部会の要件
【会員の業務に関連する事業に関する事項】
r 地域会内の国又は地方公共団体等の機関との会員業務に関する折衝 r 地域会内の他士業等関連諸団体との折衝 r 地域会の指示に基づく国又は地方公共団体等の地元窓口との折衝 r 地域会の指示に基づく他士業等関連諸団体の地元窓口との折衝
r 会員業務に係る地域会内での業務推薦等の実務上の対応プログラムの検討・実施 r 地域会の指示に基づく業務推薦の実施
【研修等に関連する事業に関する事項】
r 統一的な集合研修の実施(研究大会等の開催母体) r 地域会内の研修会、研究会等の企画立案・実施(地域性を考慮した研修計画の立案を含む。) r 実務補習所の設置・運営(必要に応じて) r CPE履修推進母体 r 会員事務所の品質管理体制の充実支援・強化に係る本部施策の周知徹底 r 研修施設の確保 r 研修会の実施協力
【広報に関連する事業に関する事項】
r 新聞の地域版を通じた制度PR、公認会計士の日の行事など地域広報の企画実施 r 地域会の指示に基づく地元の大学・高校等教育機関への制度説明の実施
【情報伝達に関連する事業に関する事項】
r 本部情報の部会への伝達 r 地域会内の会員意見の集約と本部への伝達 r 部会内の会員のネットワークの形成 ・本部情報の迅速な伝達 ・部会会員意見の集約と地域会への伝達
r 本部委員会委員等の推薦(候補者の育成を含む。) r 本部との連結環としての本部役員の輩出
r 地域会内の会員異動の把握と本部への連絡 r 地域会内の会員相互間の連携促進と懇親 r 部会内の会員相互間の連携促進と懇親
【地域会設置のための外形的ガイドライン】
r 今後新たに組織する地域会は、地域会内に所属する会員及び準会員の合計数が、原則として500名以上であること
r 地域会会費を徴収し、管理すること
r 事務局を設置し運営していくこと
現在の地域会活動は、上述の基本的関係のもとで展開されてきているところであるが、その活動のさらなる活性化の追求、経済的合理性の観点から、以下の改革を提案する。
(2)地域会事業活動の総点検及びそのアセスメント並びに地域会設置基準の見直し
@ 各地域会のこれまでの活動実績を尊重し、地域会の統廃合を含む再編を直ちに求めるものではないが、各地域会においては、上表に示す地域会及び部会としての要件を再確認し、それぞれの事業活動の総点検を自身において行う。
なお、総点検において、上表に示す地域会及び部会としての要件に見合う事業活動が十分に展開されていない場合には、今後1年以内を目途に組織体制の整備を含め、その改善に努める。
A 上記の総点検において、地域会としての要件を満たす部会がある場合には、その活動の活性化の状況と経済的合理性の観点を考慮して、地域会への再編を推進支援する(この結果、新たな地域会が組織された場合には、既存の地域会を再編することになる。)。
B 本部においても、地域会の事業計画、活動実績及び財政状態等をアセスメントする仕組みを導入する。
この場合、機関構成の見直しにおいて、その常設化が提案されている「地域会会長会議」が主体となってアセスメントを実施する(地域会会長会議の重要な職責の一つとする。)。
C 以上の提案に基づく地域会の再編を可能とするため、現行の地域会設置基準である「財務省財務局及び沖縄総合事務局の管轄地域ごと」を見直す。
(提案の背景)
公認会計士法に定める協会の事業目的は、「会員の品位保持、業務の改善進歩のための会員の指導、連絡及び監督」であり、同法ではさらに、この目的を達成するために必要があるときに支部を設置できるもの(法第45条)としている。
我が国において地方分権政策が推進されている現況において会員業務をみたとき、これまで以上に地方公共団体との密接な連携を維持することが求められるようになってきており、会員業務に係る指導、連絡及び監督を遂行していくためには、もはや一省庁の行政管轄地域を基準とした地域会の編成では、十分に機能しない状況になっている。こういった会員業務の多様化に伴って、本部施策・事業もまた多様化が求められ、その徹底に当たっては、より柔軟な地域会編成を可能にする必要がある。
その上で、本部が期待する地域会としての要件を改めて提示し、地域会においてはその適合状況を再確認し、地域会としてより実効性のある体制整備を早急に検討する必要がある。
また、地域会員の会務への参加意識が高く、研修の独自開催や本部情報の迅速な伝達及び地域会員の意見集約などを率先して実践している地域会配下の部会が既に存在している。これらの部会は、本部が期待する地域会としての一定の要件はすでに具備しており、むしろ地域会として積極的にその役割を果たしていくことが期待され、また、本部及び既存地域会ではこれを推進支援していく必要がある。
地域会は、本部施策・事業をその管轄地域内において確実に実施する必要があることから、その連結環となる本部役員を持続的に輩出する必要があり、また、地域会意見の本部会務への反映のため、地域会会長会議の常設化などその充実を図る必要がある。
また、単一会である協会の本部は、その施策・事業の浸透状況を的確に把握する意味からも、地域会の運営、事業実施状況を定期的にアセスメントし、その結果を会務運営に反映させる必要がある。この機能は、新たに常設化が提案されている地域会会長会議が担うものと考える。
(3) 地域会各部会組織の促進及び部会帰属基準の見直し
21世紀における会計プロフェッションを念頭に推進する機構改革において、その目指す自主規制機関としての協会のあり方として、「協会本部と支部機構活動との連携が強く、支部機構の特性を尊重する組織」と「会員の参加意識が高く、また、会員としての誇りがもてる組織」を掲げていることに鑑み、地域会の活動をより活性化させ、かつ本部事業・施策の実施における本部との連携を強化するため、地域会内に原則として都道府県又はこれに準ずる一つの行政区画をユニットとした上表の要件を具備する部会の編成を、地域会において促進する。
会員への業務支援、情報周知に当たっては、地域会内での適正な規模での部会編成等の組織化が必要となる。現下の会員業務の状況、特に地域社会との密接な関係等を踏まえると、地域会内での適正な規模での部会編成は、都道府県単位(これに準ずる行政区画を含む。)を基本として考えるべきである。
今後の会員数の増加及び会員業務の多様化に伴い、将来においては、大都市圏以外にも広範囲な地域に会員が分散することが考えられる。このとき、会員の身近に活動の拠点となる地域組織(部会)が存在することは、会員の業務あるいは相互連携に大いに役立つものであり、また、こういった部会の存在が、会員の地域間の異動を促進する可能性もある。
地域会は、現行の地域会各部会について、会員業務の多様化、地元の諸機関との連携強化の観点から、改めて本部が期待する地域会の構成要素として、部会の活動内容を再確認し、そのあり方を見直す必要がある。
上述した地域会設置基準の緩和及び地域会・部会活動の総点検により、新たな地域会編成の気運が高まることが期待されるが、現行会則では、会員及び準会員の地域会の所属は、主たる事務所をもって決定されている。会員には会員としての自覚をもって協会会務や地域会活動に参加していくことが期待される。しかし、特に、大手監査法人に所属する若手の会員及び準会員は、業務実施その他において必要な情報は監査法人内のネットワークで入手でき、また、大都市圏では、業務実施の基盤である勤務地と生活の基盤である居住地とが他府県に跨ることから、地域会及び部会への帰属意識が希薄となり、会務への参加意識が低下してきているとの声が聞かれる。
このような状況下、当該会員が業務から解放された部分での活躍の場として、生活の基盤である居住地を基準とした部会への帰属を認めることは、会員の会務への参加意識を高揚させるため有効ではないかとの意見がある。
また、大手監査法人に勤務する会員及び準会員も、監査法人退職後は居住地に活動の基盤を移すことが考えられ、監査法人等に勤務する段階から居住地での会員間のネットワークに参画できるようにすることは、これら会員及び準会員の将来の生活設計のためにも有効と考えられる。さらに、公認会計士試験制度の改革により、公認会計士の開業登録を行わず公認会計士試験合格者のまま企業等に勤務する者も増加することが考えられる。これらの者を協会の準会員として受け入れる制度はすでに導入されているが、これらの者は開業登録を伴わないため、「主たる事務所」を有しないこととなる。
こういった点を勘案し、会員及び準会員の地域会への帰属は、現行の「主たる事務所」基準を維持するが、地域会内の部会への帰属については、「居住地」基準も選択できるよう地域会規約の変更を推進する。
地域会設置基準を緩和し、地域会内の部会への帰属に「居住地基準」も選択できるようにすることにより、現状の地域会及び部会の活動に変化が生ずれば、本部施策・事業を会員等に浸透させていく上で適正な規模での新たな地域会の組織化が促進されることが期待される。
(4) 財政その他の諸問題
@ 協会財政構造の見直しとともに、各地域会財政のあり方についても今後1年程度を目途に見直す。
地域会の運営は、本部から会員数に応じて配分される交付金と地域会会費を主たる財源として、地域会の事業計画に基づいた地域会事業が展開されている。
本部と地域会との関係の原点に立ち返り、本部が企画する施策を地域会があるいはその部会を通じ、迅速かつ着実に実施していくことを地域会の主たる目的とするならば、地域会が実施する本部施策・事業に係る経費は、原則、本部が負担すべきものと考えられる。
一方、本部施策・事業に基礎をおいて地域会がその事業計画に基づいて、自発的に独自の事業展開していくことは地域会の活性化に繋がり、また、地域会内の会員間の連携促進や親睦を深めることは本部情報の円滑な伝達と地域会内の会員意見の集約に資する重要な事業の一つと考えられるが、これらの事業については、地域会会費の範囲内で負担することが適当と考えられる。
現行の地域会の会計は、本部からの交付金により実施する事業と地域会会費により実施する事業とを分離しておらず、本部からの交付金は、当初決定した年度の金額が地域会に支出された後、年度末において残高が生じたとしても本部で回収せず、地域会独自に徴収する会費収入とともに翌期に繰り越され、翌期以降の地域会事業経費に充てられている。本部が必要と認め設置した地域会の適正な維持経費に充てる固定費補助は全額支給した上で、本部施策・事業に係る経費は本部負担とし、地域会独自の事業に係る経費は地域会会費をもって支弁するようにすることが適切である。
また、本部と地域会との連携をより強固なものとするためのIT基盤、事務局体制等のインフラ整備を促進する必要がある。
V 協会会長等の選出方法等の改革について
1.問題提起、改革の観点及びその方向性
(1) 会長としての要件と選出方法の見直し
わが国資本市場において枢要な役割を担うわれわれ公認会計士の役割は今後とも一層重要なものになる。協会は自主規制機関として公共の利益の擁護を使命としており、その会長の職務・社会的責任がより重大さを増し、また、協会会務の継続性や組織的な運営が重視されてきている。会長は、このような要請に応えられる人材でなければならない。また、協会役員等の会務経験を有すること及び会長としての職務に専念することの要件が強く求められる。
このような重要な役割を担う会長を選出するためには、候補者を冷静かつ客観的に、あらゆる要件を考慮した上で選出しなければならないが、現在の全国ベースの直接選挙による選出方法は、次のような点でその要請にそぐわないものになりつつあり、改善が必要である。
l 現在の1万6千人を超える会員による直接選挙では、会員が候補者のことを良くわからないまま投票することにつながる。適切な会長候補を個々の会員が直接判断するのは難しい。将来的には会員の増加が見込まれ、この流れはますます加速化する。
l 会員の過半を有する大手監査法人がわが国の会計士業務の大きな部分を占めている現実があり、直接選挙においては大手監査法人が大きな影響力を有している。特に全国ベースの選挙制度では、大手監査法人以外の候補者あるいは大手監査法人の同意を得ない候補者が当選する可能性は低いと思われる。
全会員の直接選挙による方法は、外見的には、会員自らが代表を選べるので公明正大であり、会員の会務への参加意識が高められ、さらに選ばれた者にとって会員の投票数に裏打ちされた会務運営ができるという主張もある。しかしながら、環境の変化や会務の複雑化及び会員数の増大という現状に対して、このような理念のみでは現実に対応できないという問題を提起している。
したがって、直接選挙によらない選出方法を選択すべき時期にあると判断される。なお、海外の主要会計士団体の会長は、間接的な選出制度により選ばれている。
(2) 会長選挙を行わないとした場合の会長以外の副会長及び理事等の選出方法
会長の選出方法を全国ベースの直接選挙以外によるとした場合でも、協会役員(会長・副会長・常務執行理事)には会員による一定の選出過程が必要と思われるので、将来の会長・副会長を含むこれら役員候補者について現行の本部理事選挙に準じた選挙区をベースとした選挙を行い、その後、当選者からそれぞれの役員を選出することが妥当と考えられる。
この場合でも、会長の会務執行をサポートしていくため、特に専門性などが要求される分野に適材が配置できるよう、会長に対して選挙を経ないで任命する一定の員数の役員指名枠を確保することも必要である。
また、現状複数の副会長が存在する中で、非常の場合会長の職務を代行する副会長の順位は定められていない。協会会長の職務が広範にわたってきている現状に鑑み、副会長のうち主に会長と連携しあるいは代理する副会長の順位を定めることが必要である。
(3) 会長等への報酬
現在、会長ほかすべての役員はボランティアによって会務を運営してきているが、協会の社会的責任の増大に伴って、特に、会長及び会務執行を担う役員の会務への従事割合が飛躍的に増加してきている。これら役員及びその所属事務所の経済的負担、所属事務所からの独立性に配慮し、協会から一定の報酬を支払うべき時期に来ている。
2.改革案
上記の問題提起等を踏まえ、まず、会長としての要件及びその処遇に係る改革案を示した上で、そういった会長を選出するのに現状で最適と考えられる選出方法を以下のとおり提案する。
(1) 会長としての要件の明確化
我が国公認会計士制度の発展により、社会からの期待や要請が拡大する中で、協会にもまた組織的かつ継続的な会務運営が求められており、協会を代表する会長の職務・社会的責任の重大さもまた増大してきており、本会の会長はこれに対応できる必要がある。
この点を踏まえれば、協会会長の要職に就こうとする会員は、少なくとも以下の要件を備える必要があり、これについては、あらかじめ明示しておく必要がある。
@ 会務は複雑化してきており、会長の職務・社会的責任はより重大さを増している。本会の会長はこれに対応できる必要がある。したがって、会務に関する十分な知識・理解が必須であること。
A 現下の会長職はもはや名誉職ではない。100%近い会務従事割合を確保する必要がある。これについては、個人事務所を営む会員が会長職に就く場合であっても、その会長退任後の業務への影響を勘案してもなお、少なくとも80%は最低ラインとして会務従事割合を確保すること。
なお、協会会務の活動拠点は必然的に東京であり、会長就任後の主たる執務場所も公認会計士会館(東京)が中心となる。緊急時の上京では間に合わない事態もある。これを解消することも上記の80%の従事割合に含まれるものと考える。
B 協会会長は会員の一定の信任を得ておく必要がある。
(2) 会長の任期及び処遇
@ 現在の会長の任期は3年1期とし、連続しての再任は禁じているが、制度変革期などにおいては会長として継続して会務に従事したほうが望ましい場合もあるので、連続しての再任を認める余地を残すべきである。ただし、再任にあたっては、他の新規立候補者と同様に会長選任のプロセスを経ることとする。
現在の会長は、総会、理事会等を主宰し対外的にすべての会員を代表するChairmanと本部支部合わせた百数十人(副会長・常務理事・事務職員)の組織の長であるCEOの双方を兼任する強力な権限を有する。そのために、仮に再任を可とする場合でも、特定勢力への権限の偏りなどの弊害が生まれないよう、3年2期、合計6年までが最長と考える。ただし、3年の任期が終了した時点で次期も勤める気力・体力が残っていないのが実情ではないかとも思われ、再任が必要なのは非常に稀なケースと考える。後述する推薦委員会は、再任の推薦を行う場合には当然その妥当性についても検討することとなる。
A 近年の協会会長はその会務遂行のため、ほぼ100%会務に従事することが現実に求められており、ボランティアの限界に達している。そのような現状に鑑み、会長に協会から報酬を支払うべきである。ただし、報酬に魅力を感じて会長職に立候補者がでるような高額とすべきではない。
会長の職務遂行を今後もボランティアに依存していくことは、会長職務に専念できる環境が作れる余裕のある大手監査法人に所属する者以外の会員の会長への門戸を閉ざすことになる。協会から一定の報酬を支払うことは、協会会長に多様な人材を登用する機会を幅広く提供することにもつながる。
なお、報酬額は公表することとし、報酬額については、報酬額そのものに魅力を感じて会長職に立候補するようなことがあってはならないので、その金額は高額なものとすべきではなく、今後の協会財政を総合的に勘案した会員の理解が得られる程度の金額とすべきであり、2〜3千万円程度ではないかと思われる。なお、会長の報酬の具体的な金額を検討するに際しては、専務理事、品質管理レビューアーとのバランスも考慮すべきである。
また、会長職に就任している間の出身事務所からの独立性を担保するために、会長就任中は出身事務所から完全に籍を抜くべきであるとの意見もあるが、 それが理由で適材を会長に登用できない可能性や離籍期間中及び復帰後の処遇問題などを今後さらに検討すべきである。さらに、 この場合、支払わなければならないコストは、現在の想定よりもかなり増大する可能性があり、協会の財政を考えると現実的ではない。
さらに、会長以外の協会会務執行に携わる役員(副会長、常務執行理事)にもある程度の報酬を支払うべきではないかとの考えもあるが、当面は会長の報酬を支払うことから始め、協会財政を勘案しながら今後なお検討することが適当と考える。
将来的に、専務理事が常駐し、事務局体制が強化された場合には、会長の要件について、再検討を行うことが可能である。
(3) 会長の選出方法の見直し
会長の選出方法については、全会員による直接選挙という選出方法を見直し、会長候補者を実質的に判断できる選任方法にするべきである。しかしながら、会員の一定の信任を得た者から選任するために、会長選出前に、現在の会長、副会長、常務(執行)理事及び理事に該当する役員候補者すべてに対し、現在の本部理事選挙に準じた選挙区による役員選挙を行い、当選した者の中から、新たに設置する推薦委員会が会長に対する立候補を受け付け、その候補者の中から推薦委員会が適格者を会長候補者として推薦する制度を提案する。当該会長候補者に対しては、役員選挙当選者が信任することとする。なお、副会長及び常務(執行)理事については、次期会長の意向を尊重した上で当選者間の互選とする。
【選考のプロセスは概ね以下となる。】
@ 本部役員選挙の実施
ほぼ現行の本部理事選挙制度及び選挙区をベースにして、本部役員選挙を行う。この選挙で選ぶのは、次期の役員(会長、副会長、常務執行理事及び一般理事)の候補者であるが、選挙の時点でその後の職務は決定していない。選挙の時期は1月から2月ごろとし、少なくとも2月末までには当選者を確定する。
会長の直接選挙を行わないとしても、会員による一定の選考過程は必要であり、現在の理事選挙制度を利用することが、現実的であると考えられる。また、副会長についても現状の大きな選挙区をベースにした直接選挙を残す理由はなくなる。会長の選考手続きは次期役員選挙後となる。
ただし、この場合、役員選挙は現在よりもかなり前に行う必要があり、選挙が終了して、次期役員が決定してから実際に活動を開始するまでにかなりの期間が空くこととなる。
A 現理事会における推薦委員会の組織
上記次期役員選挙の結果が出るころまでに、現理事会において推薦委員会を組織する。
推薦委員会は、透明性、客観性、独立性に留意し、外部委員を含めて構成することとし、また、広く各地域の会員意見が反映されるようにする。また、中小事務所と大規模監査法人出身者などのバランスを考慮する必要がある。
推薦委員会の構成は次のように考えている。
A.地域代表枠(ブロック制):6名程度(各ブロックから1名)
北日本ブロック(北海道会・東北会)
東京ブロック(東京会)
中部ブロック(北陸会・東海会)
関西ブロック(近畿会・京滋会・兵庫会)
中四国ブロック(四国会・中国会)
南日本ブロック(北部九州会・南九州会・沖縄会)
具体的な選任方法はさらに検討すべきと考える。その際には、大法人、中小個人等の背景にバランスを取るように考慮する。
B.現執行部枠:6名程度
その時の会務内容と候補者の力量などに最も精通している会長、副会長、常務(執行)理事などが含まれるべきと考える。
推薦委員会構成員が会長に立候補した場合には、当然にその資格を失うこととする。会長が再任のために次期会長に立候補した場合には、現理事会構成員の中から欠員を埋めることとし、現執行部構成員枠の6名を構成するものとする。
C.外部枠:1名程度(会員以外の学識経験を有する者)
推薦委員会に外部構成員を入れれば、公共の利益への配慮として協会の立場の強化になる。例えば、協会の顧問や監査業務モニター会議、品質管理審議会等の外部委員として協会会務を熟知している外部者から適切な者に構成員への就任を依頼することなどが考えられる。
B 推薦委員会に対する会長立候補の受付(上記@の選挙当選者の中から立候補)
本提案では、現行の選挙制度における会長、副会長、理事の各選挙を一括して行われることになる。この場合、会長(及び副会長)が選出される選挙区をあらかじめ想定できないので、会長(及び副会長)を輩出した選挙区は補欠繰り上げを実施するか又は会長及び副会長に選任された人数を欠員とする制度にならざるを得ない。なお、選挙と選挙区制度については、さらに検討が必要である。
C 推薦委員会による会長立候補者の公示
D 推薦委員会における推薦検討(3月一杯)
推薦委員会は、推薦に当たり、以下の要件を満たす適格者を詳細かつ客観的に検討する。
ア.会長としての人格、識見、熱意
イ.洞察力、包容力、忍耐、独立不羈の姿勢
ウ.会務、業界、資本市場に関する十分な知識
エ.資本市場の国際情勢に対する知識
オ.会計・監査の最新情報に対する十分な知識
カ.公平な態度
キ.公共の利益に対する献身
ク.明瞭で簡潔な会話表現力
ケ.明朗であること
コ.健康であること
サ.出身母体との独立性があること
シ.過去に自己が絡んだ大きな監査事故や会計士業務に関する事故がない こと
ス.第三者の積極的な推薦(業界内、業界外を含む)があること
セ.個人の財政状態が健全であること
ソ.面接による対話の結果が良好であること
さらに、少なくとも80%を最低ラインとして会務従事割合を確保することができること、会務に専念すること、及び公共の利益を優先することについて誓約書を求めることが考えられる。
なお、推薦委員会における委員の独立性の要件として、立候補者と同一事務所等の利害関係者が推薦委員会の表決に影響を与えないような制度の構築が必要である。
また、これまで一度も会務に参画したことのない者も立候補することができるようになるが、会務に関する十分な理解を有しているかどうかを含め、推薦委員会は、立候補した者を、次期の会長に適格かどうかという観点で慎重に検討することになる。
さらに、同じ選挙区から2名以上の候補者がある場合、獲得票数の大小が会員からの信任を反映しているという主張に基づく混乱が生じる事態も考えられる。推薦委員会が最も適切であるとする候補者の方が獲得票数が少ない可能性もあるが、この場合でも推薦委員会は最も適格であると信じる候補者を指名すべきである。
会長に立候補する者は、仮に会長に推薦されない場合であっても理事などの職にとどまる義務が生じるが、実際に会長に推薦されなかった者に理事から辞退する権利を与える必要があるのか検討する余地がある。仮に、辞退権を有するとした場合には、定数未達という問題から会務運営が維持できない懸念も生ずることから、補欠選挙の実施等も検討する。
なお、推薦委員会を経ないで、役員選挙当選者による直接投票で会長を決する方法も考えられるが、前述の各種要件を詳細かつ客観的に検討することが保証されないことと、その後の理事会運営にしこりを残す可能性等を考え、推薦委員会の利用による方法を提案した。
E 会長候補者の推薦(推薦委員会の過半数を必要とする)(3月末まで)
F 推薦委員会による選考経過、選考理由の説明(会報等)
G 役員選挙当選者による会長候補者の信任決議(4月はじめ)
ごく稀なケースとは考えられるが、仮の手続(次項)を検討しておく必要がある。
H 代替直接会長選挙
推薦委員会が推薦した会長候補者が当選者から承認されなかった場合は、推薦委員会が検討した立候補者全員を被選挙人とした全会員による直接選挙を実施する。このケースでは直接選挙となるため更なる信任プロセスは一切不要になる。
なお、推薦委員会が再度推薦する方法も考えられるが、一度承認が得られなかったということは、当選理事にとって、都合の良い人選が行われるまで何度でも推薦が否認されることとなり、推薦委員会の設置の趣旨が果たされないこととなると考えている。
この場合、直接選挙の実施のため、4月の3週間程度の期間を留保する必要がある。
I 役員選挙当選者会議(次期執行部の組閣、現状と同様5月から6月にかけて)
当選者会議において、副会長及び常務執行理事を当選者の互選によって選ぶものとする。ただし、次期会長の内閣を組成するものであるから、次期会長の意向は尊重される。
J 監事の選出
Tに述べた役員組織及び上記の役員選挙制度を前提とした場合、監事の選出方法も簡素化される必要がある。東日本及び西日本の各ブロックの地域会会長の討議により3名(東日本2名及び西日本1名)を推薦し、新役員当選者が信任するのが適当である。各ブロックの地域会会長が候補を枠内に絞るのが困難な場合には、推薦委員会の利用によって監事候補を決定することもあり得る。
K 会長の解任手続
直接選挙で選任されない会長の解任手続を制度化する必要がある。例えば、今般の会則変更により新たに制度化した総会議案提案権を援用し、300人の会員からの請求に基づき、会長解任のための臨時総会の開催の有無を理事会が審議し、必要であれば、臨時総会を開催することにする。
(4) 会長指名による役員の選出
@ 会長指名役員
会長の会務執行をサポートしていくため、特に専門性などが要求される分野に適材が配置できるよう、選挙で選ばれる理事以外に、必要であれば会長が会員のうちから2名以内の常務執行理事を指名できる制度を設ける。例えば、ITや国際的な分野が考えられる。
A 副会長の順位
また、副会長について現行会則第44条第2項は、「副会長は、会長の定めるところにより、会長を補佐して会務を行うほか、会長に事故があるときは、その職務を代理し、会長が欠けたときはその職務を行う。」と規定しているが、職務を代理又は代行する副会長の順位をあらかじめ定めることまでは規定していない。
会長の職務、責任の重大さ及び会務の持続性の観点から、会長が長期不在あるいは欠けた場合にその職務を代理又は代行する副会長の順位をあらかじめ会長が定める旨を会則上に明記することとする。
なお、副会長の順位付けはするが、順位第一位の副会長が次期会長候補であることを示すものではない。次期会長はあくまでも上述のプロセスを経て選出されるものとする。
W 協会の監査業務の審査制度及び品質管理レビュー制度の改革について
1.問題提起、改革の観点及びその方向性
平成17年4月に公表した「綱紀事案処理体制等再構築要綱」で、監査業務審査会と品質管理委員会との実効性ある連携に向けた見直し要綱を示すとともに、今後の課題として、「監査業務の審査体制についても、現状の監査業務審査会及び監査・綱紀事案検討会の組織、機能を見直す必要がある。さらには、社会に対する説明責任の観点からの綱紀事案の公表を含む広報の充実も検討する必要があると考えている。これらについては、今後1年を目途にその具体策を検討し、次期定期総会までには一応の結論が得られるよう、鋭意検討を重ねていくこととする。」旨を明示した。また、その後、大型粉飾決算の発覚などディスクロージャー制度の信頼を大きく損なう事件が発生し、協会における自主規制活動を取り巻く環境も非常に厳しいものとなっている。これらへの対応についても今般の機構改革の中で併せ検討していくこととする。
2.改革案
(1) 改革案の検討に当たって
@ 現行の制度
協会は、自主規制機関として、会員の監査業務等の質的水準の維持・向上を図り、もって監査に対する社会的信頼を確保するため、会員の監査業務を審査するとともに、監査の品質管理状況をレビューしている。
監査業務を審査する制度は、監査業務審査会(以下「審査会」という。)と監査・綱紀事案検討会(以下「検討会」という。)により運営され、主として個別案件における監査意見の妥当性について審査を行い、必要な措置を講じる制度であって、指導的機能とともに、懲戒処分検討への窓口的な機能を担ってきた。すなわち、審査会が、主として新聞情報等を基に、粉飾決算の疑念や倒産案件等の個別案件における監査意見の妥当性について審査を行い、審査の結果、必要であれば会員への勧告又は指示を行う。審査会がより深度ある調査の必要があると判断すれば検討会に委ねることになる。さらに、検討会による調査の結果、必要であれば会長に対して綱紀審査会による審査要請を意見具申する制度である。
一方、品質管理状況をレビューする制度は、監査事務所が行う監査の品質管理について法令や監査の基準、特に品質管理基準への準拠状況をレビューするものであり、会員に直接的な指導を行うものとして平成10年7月定期総会にて自主規制の一環として導入し運用してきた。その後、平成16年4月1日に施行された改正公認会計士法により、監査の質の確保と実効性の向上を図るため協会の行う品質管理レビューのレビュー結果を公認会計士・監査審査会がモニタリングすることとなった。公認会計士・監査審査会は、本年2月8日に平成15年度までの自主的に行ってきた品質管理レビューについて実態把握を行い、報告書を公表し、協会の品質管理レビューの一層の機能向上を図る見地から様々な提言を行っている。これを受けて、協会は、平成17年度に品質管理レビュー基準や手続の改定、レビューアーの増員等、品質管理体制の広範な見直しを行い対応したところである。
A 協会を取り巻く環境の変化
昨年秋の有価証券報告書の虚偽記載、大型粉飾決算など最近ディスクロージャー制度の信頼を大きく損なう事件が多発した。加えて関与した公認会計士が逮捕・起訴されるなど、公認会計士・監査法人による会計監査も、その社会的役割・機能を果たすことができるのかという疑問が呈されたのみならず、協会における自主規制活動についても、その実効性を問われることとなった。こうした状況を受け、自由民主党政務調査会 金融調査会企業会計に関する小委員会及び同法務部会商法に関する小委員会の合同委員会においては、公認会計士・監査審査会が直接に監査事務所へ立入検査する、いわゆる「直接規制方式」にすべきではないかという議論が行われた。協会の品質管理レビューと、公認会計士・監査審査会のモニタリングがセットで働く現行のいわば「間接規制方式」は、その有効性が問われたが、公認会計士・監査審査会が昨年発足したばかりということもあり、当面はその実効性を見守ることとなった。
「直接規制方式」にすべきという意見が出る背景には、エンロン事件を受けて米国企業改革法に基づき実施されている監査事務所規制が、上場企業会計監視委員会(PCAOB)による登録会計事務所の監査の品質管理体制の点検をはじめ、問題案件の摘発及び問題事務所の懲戒処分等の機能を有する「直接規制方式」であり、その実効性が高いと思われていることが挙げられる。また、国際的にもEUをはじめ監査事務所に対する規制は米国と同様の「直接規制方式」が主流となりつつあることによる。
B 今後の課題
協会は、前述の環境の変化等を受け止め、監査業務を審査する制度(以下、「監査業務審査制度」という。)で扱う個別監査業務の問題点を迅速に究明するとともに、同制度における関与会員への勧告又は指示等の改善指導を充実させ、その後の改善状況を報告させる等のフォローアップも行い、改善の事実を確認する必要がある。また、必要に応じ、品質管理レビュー制度との連携を通じて、個別監査業務の審査結果について各監査事務所の品質管理体制に関する実効性あるフォローアップを実施する必要がある。
一方、指導的性格を前面に掲げてきた品質管理レビュー制度においても、監査意見の妥当性又は会則規則の準拠性に重大な疑念が生じた場合は会長へ報告する等により、監査業務審査制度によってその後の対応措置を適切に行う必要がある。また、品質管理レビュー制度においては、同一事項に関する指摘事項が度重なるにもかかわらず改善されない場合があり、今後このようなケースについては会長への報告の後、監査業務の辞退勧告などの会則第33条の勧告又は指示を発し、さらに同勧告又は指示にも従わない場合には綱紀審査会に審査請求して懲戒処分の検討対象とするように運用する必要がある。前述の観点から、監査実務の改善を図るには、早急に監査業務審査制度及び品質管理レビュー制度との連携をより強化することが求められている。
以下の7つの改革案は、@ 監査業務審査会と監査・綱紀事案検討会との統合、A 個別監査業務の審査体制の強化、B 再発防止策としての個別事案に係るフォローアップの重視、C 監査業務の審査手続等の明確化、D 品質管理レビュー制度における同一事項の度重なる指摘への対応、E 監査業務審査制度と品質管理制度という両自主規制の実効性のさらなる確保、F その他関連事項へ所要の手当、の観点から検討し、その結果を取りまとめたものである。
(2) 改革案
@ 協会は、現在の監査を取り巻く厳しい環境を受け止めて、問題事案を迅速に処理し、再発防止策を講じることが社会から求められている。このような状況を踏まえ、個別監査事案の処理を扱う監査業務審査会と監査・綱紀事案検討会を統合し、調査の効率性と機動性を確保する。なお、統合後の機関の名称は、従前の「監査業務審査会」を継承するものとする。
(提案の背景)
現在、個別監査事案の調査は、まず監査業務審査会が行い、より深度ある調査が必要と認めた場合にはその検討を監査・綱紀事案検討会に委ねている。これら2つの機関を統合させれば、同一案件についての重複した調査、審議及び事務手続に係る時間的損失等が避けられ、効率的な審査が可能となる。
監査業務審査会は、昭和53年設置以来の歴史があることや、近年は年次活動報告をJICPAジャーナルへ公表していること等を踏まえると、会員における理解及び浸透の度合いは相当程度高いので、統合後の名称も「監査業務審査会」を継続することが適当と考える。
A 監査業務審査制度を充実強化するために、新・監査業務審査会の審査体制を強化する。
ア.新・監査業務審査会の基本的な職務、権限は、現行の監査業務審査会及び監査・綱紀事案検討会のそれぞれの職務、権限を統合したものとする。
なお、現行の監査業務審査会は、より深度ある調査が必要な案件は監査・綱紀事案検討会にその措置を委ねることとされていることから、原則として監査調書の閲覧は行わず、監査・綱紀事案検討会においてその関係箇所の閲覧が行われてきた。今回の両機関の機能権限統合により、新・監査業務審査会は綱紀審査会への審査要請の意見具申を行うことになることから、今後は必要に応じて監査調書の関係箇所の閲覧を求めることになる。
イ.新・監査業務審査会は、綱紀審査会への審査要請の意見具申を議決することもあり、常務執行理事会が選任する役員(常務執行理事及び理事)15名以内をもって組織する。
ウ.新・監査業務審査会に、監査事案、倫理事案及び特定調査案件ごとの作業部会を設け、担当事案の直接的な調査に当たらせることができることとする。
作業部会の構成員は、新・監査業務審査会の委員長から指名された委員数名及び会員のうちから常務執行理事会が選任する作業部会員をもって構成する。
エ.両機関の機能権限を統合することにより、新・監査業務審査会には質的にも量的にも相当程度の作業が想定されることから、リサーチ・センター主任研究員2名程度の採用、現在2名のリサーチ・センター研究員をさらに2名程度増員等、事務局体制の強化のための所要の措置を講ずる。
(提案の背景)
ア.事案の最終的な処理を決定する新・監査業務審査会本体は、次の観点から従来どおり役員中心に構成する必要がある。
(ア)把握した個別事案から制度的に対応すべきものを迅速かつ効率よく吸い上げるためには、監査基準、監査・保証実務、業種別、会計制度などの担当常務執行理事等が委員に含まれる必要がある。
(イ)各個別事案の照会に際し委員が役員である方が、関係会員に対して緊張感や牽制効果を期待することできる。また、委員が役員であることによる信頼感も期待できる。
しかしながら、個々の事案の調査に当たっては、各担当常務理事を含む委員全員が分担して調査を直接担当するという、役員のボランティアに過度に依存する現体制が限界に近づきつつあるため、役員以外の作業部会構成員や事務局が主体となって担う必要がある。
したがって、新たな監査事案作業部会における個々の事案の調査は、1案件につき役員である委員2名、役員以外の作業部会員1〜2名、事務局として監査業務審査会担当リサーチ・センター主任研究員又は研究員1〜2名程度で扱うこととし、5案件程度を同時並行で対応することが可能な体制とすることをイメージしている。なお、倫理事案及び特定調査案件の作業部会は、当面は監査事案作業部会のメンバーが兼任すると考える。
監査事案作業部会員は、監査意見形成過程に係る判断の適否の審査のための作業が中心となることから、監査法人の社員又は審査担当経験者を中心に、役員以外の会員から10名程度を委嘱する必要がある。
事務局内にも、監査意見形成過程に係る判断の経験を有する会員2名程度を監査業務審査会担当リサーチ・センター主任研究員として採用し、事務局が照会文書や結論(案)の起草を行い、審査業務全体をコントロールするよう、審査体制を大幅に強化する必要がある。このリサーチ・センター主任研究員の採用に当たっては、前述の高度な業務内容や同研究員の監査法人等からの独立性を踏まえ、例えば、業務執行社員又は審査担当社員の経験を有する監査法人早期退職者を常勤者として直接雇用することが考えられる。
なお、監査業務審査会担当リサーチ・センター研究員については、本年8月以降に2名に増員したことにより、調査の補助や審査記録の整備には一定の効果をあげているが、必要な事務量を消化するには至っていない状況であり、さらに2名程度の増員が必要である。
イ.現在の監査・綱紀事案検討会は、会員の倫理事案も取り扱っており、監査業務審査会も個別監査事案のほかに特定事項の調査も受け持っている。新・監査業務審査会では、作業部会を設置し、これらを分担することが効率的である。
特に、不当に低廉な報酬による監査は、最終的には、監査の品質低下と公認会計士監査の信頼性の喪失に繋がることから、特定調査作業部会で調査し、適正な監査時間及び報酬の確保に向けた対応を強化していかなければならない。
ウ.現在の監査業務審査会では、個別の調査案件毎に必要と認めたときは、役員以外の会員を専門調査員として委嘱できる。本制度は、特定業種の調査等に当たっては有効であることから、存続させる必要がある。
B 新・監査業務審査会では、個別事案に係るフォローアップを重視する。
監査業務審査会及び監査・綱紀事案検討会の勧告又は指示は、会員の業務の充実を目的とした指導的性格を有するものであり、いわゆる会則第33条の勧告又は指示(会員に対する個別的監督)と称されている。
会則第33条の勧告又は指示とは、会員の個別の監査業務において(ア) 監査意見形成における不十分な点、(イ) 監査事務所の品質管理体制上の問題点、(ウ) 倫理上の問題点、等が発見された際に、審査・調査の結果、直ちに懲戒処分を検討する程の案件ではないが、前述の不十分な点等につき関係会員にその是正を促す場合に行われる。
特に上記(イ) のフォローアップは、本年の会則変更により品質管理レビューとの連携で今後期待できる。しかしながら、(ア)や(ウ)の勧告又は指示や注意喚起を発した後のフォローアップ(フォローアップに結びつくようなモニタリングを含む。)については、現状では必ずしも十分ではないのではないかという疑問が生じた。
このため、新・監査業務審査会が勧告又は指示を行った場合、品質管理レビュー制度と同様に、関係会員に対して改善状況を報告させるなど、新・監査業務審査会に関する規則上に所要の措置を講じる。
(提案の背景)
協会は、現在の監査を取り巻く厳しい環境を受け止めて、問題事案を迅速に処理し、さらに、再発防止策を講じることが社会から求められている。
審査会の扱う個別案件数は、数年前までは大半が倒産案件(倒産31件/審査対象計45件=68%・・・H15.4〜H16.3期)であったが、最近は継続企業が増えつつあり(倒産17件/審査対象計36件=47%・・・H16.4〜H17.3期)、勧告又は指示や注意喚起を発した後の関係会員の対応状況についてフォローアップ(フォローアップに結びつくようなモニタリングを含む。)を要すると思われる案件数が増している。
C 監査業務審査制度を充実強化するために、審査手続等を明確化し、審査記録をより充実する。
監査業務の審査に当たっては、審査過程の透明性を確保するために、事案把握から照会や審査を経て結論に至るまでの審査手続等を明確化し、審査記録をより充実する必要がある。
新・監査業務審査会は、綱紀審査会への審査要請の意見具申も行うことから、従来以上に個々の事案処理の公平性と客観性を確保する必要があり、さらには綱紀審査会へ回付しない特定事案についての処理の客観性を確保する必要があるという観点からも、審査記録をより充実する必要がある。
(提案の背景)
協会は、監査業務審査制度について客観性と透明性を確保し、その適切な運営に資するため、会員以外の有識者を中心に構成する監査業務モニター会議(以下「モニター会議という。」)からモニタリングを受けている。さらに、会員や社会への説明責任として、監査業務審査会活動報告やモニター会議年次報告を公表し、監査業務の審査制度の有効性についてアピールしている。
しかしながら、昨今の監査を取り巻く環境から、社会的影響が大きく社会的関心が強い事案については、監査業務の品質が問われ、それに関して協会の対応が注視され、その結果、特定の個別事案の審査状況までも第三者に対する説明責任を求められる状況下にある。これを踏まえ、新・監査業務審査会は、品質管理レビュー基準・手続や綱紀審査会運営細則等に準じ、審査手続等を明確化する必要がある。
D 品質管理レビュー制度で、同一事項に関する指摘事項が度重なるにもかかわらず改善されない場合には、会則第33条の勧告又は指示として監査業務の辞退勧告を発するなど、さらなる措置を講じる。
品質管理レビュー制度において、同一事項に関する指摘事項(注:限定事項ではない場合も含む。)が度重なるにもかかわらず改善されない場合もあり、今後このようなケースについては、品質管理委員会から報告を受けた会長が監査業務の辞退勧告などの会則第33条の勧告又は指示を発し、さらに同勧告又は指示にも従わない場合には綱紀審査会に審査要請して懲戒処分の検討対象とするように運用する。
E 監査業務審査制度と品質管理レビュー制度との連携をさらに強化する。
ア.上記Bに示すとおり、例えば新・監査業務審査会が取り扱った案件のうち、監査事務所の品質管理体制に係る勧告又は指示が行われた場合には、重要度に応じてフォローアップを品質管理レビュー制度に委ねることが考えられる。
しかしながら、現在の品質管理レビューの対象は公認会計士法上の大会社等と監査契約を締結している公認会計士及び監査法人であり、(ア) 品質管理レビュー対象の公認会計士及び監査法人における大会社等以外の監査契約、並びに(イ) 品質管理レビュー対象外の公認会計士及び監査法人における監査事務所の品質管理体制及び監査契約はレビューされていない。
上記@と関連付けて、協会がより実効性ある指導体制を構築するためには、(ア)及び(イ)に対しても、少なくとも新・監査業務審査会の審査において監査事務所の品質管理体制に重大な問題があると認められる事項が発見された場合には、特別にレビュー対象とすることができる制度等の構築を検討する必要がある。
イ.品質管理委員会は、品質管理レビューの結果、公認会計士又は監査法人が表明した監査意見の妥当性に重大な疑念が生じた場合には、その旨を本会の会長に報告する旨会則第88条第3項に規定されているが、品質管理レビュー基準で、これに該当するものとしている品質管理レビューの拒否又は非協力等の場合については、会則上に明示はない。したがって、会則上「会則規則の準拠性に重大な疑念が生じた場合」として記載するよう、会則に所要の変更を行う必要がある。
(提案の背景)
個々の監査業務には品質管理が欠かせず、それを支える品質管理レビュー制度と監査業務審査制度は車の両輪であることは言うまでもないが、両制度の重要性に応じて当面は二区分を維持し、両制度を連携しつつ運用する方が機動性・効率性・実効性を確保でき、両制度が有効に機能すると考えられる。
なお、会員以外の第三者や一般社会は、両制度とも二区分せず、自主規制機関である協会の監査業務の品質を確保するための制度として一体的に見る状況があるために、両制度の連携の進展を踏まえた上で、会員以外の第三者を中心に構成する第三者モニタリング機関(監査業務モニター会議と品質管理審議会)についても、統合化を図るべきか等について、今後とも引き続き幅広い観点から検討する必要があると考える。
F 監査業務審査制度の充実強化に伴い、以下の関係事項についても所要の手当を行う。
個別事案の公表のあり方
ア.綱紀処分案件は、社会の関心が特に高く、社会的影響が大きい事案について、会長が公益のために必要かつ適当と認める場合に限り、関係会員名等を具体的に公表できるものとするための所要の手当てを検討する。また、処分に該当しない案件も、必要に応じ、結論を公表できる方策を検討する。
イ.監査業務モニター会議のモニタリング対象範囲に綱紀審査会及び不服審査会を含めることとし、監査業務モニター会議が、綱紀審査会及び不服審査会の扱う事案の概要の公表を会長に対して提言できるようにする。
ウ.綱紀審査会に事案の審査要請があれば、従来の諮問発出と同様、その旨をJICPAニュースレターに公表する。
審査期間の延長、及び除斥期間
ア.いわゆる答申留保制度及び時効を存続させるのであれば、会員の身分に関する重要な権利に関わる事項であることから、少なくとも規則規定事項に改める。
ケーススタディ公表の充実
ア.新・監査業務審査会が取り扱う事案(過去の事案も含む)については、会員又は被監査会社に対して問題事案の予防的措置や再発防止を講じることを目的に、関係当事者への配慮を加えた上で事例をケーススタディとして公表する。
イ.倫理事例又は綱紀事例については、今後、倫理委員会が事例集を作成する予定であるが、新・監査業務審査会で扱う事例も併せ掲載することを検討する。
(提案の背景)
綱紀処分案件の公表については、「懲戒処分の公示及び公表に関する取扱細則」により、処分公表の際には関係会員の人数しか発表していない。このような協会の公表の仕方は社会には、協会は必要以上に会員を擁護しているとしか映らない。したがって、協会は、会員に対する指導的機能をより一層向上させるため、綱紀処分に係る個別事案に加え、新・監査業務審査会の取扱い案件や倫理事例・綱紀事例などをケーススタディとして公表することを検討する必要がある。
X 協会事務局体制の強化について
1.問題提起、改革の観点及びその方向性
(1) 事務総長の選任
事務総長は、「会務の執行に関し会長を補佐するとともに、本会の常務を総括的に掌理し、常務理事が分掌する会務の調整を行う」、「リサーチ・センター研究員及び事務局の職員を統轄する」及び「理事会、常務理事会及びその他の会議に出席して会務及び事務に関し意見を述べるほか、総会における事業及び会務に関する報告を行うことができる」とされている(会則第44条第3項及び第4項、第44条の2)。
現在は空席となっているが、協会会長をはじめ役員の業務が増大してきている現況に鑑み、対外的な「顔」として活躍する会長とともに協会内部の取りまとめ役として事務総長職の必要性が再認識されている。そこで、その補充を具体的に検討するとともに、機関構成の見直しとも相俟ってその名称の変更(例えば、「専務理事」)をあわせ検討する。
(2) 事務局体制の改善・強化
事務局体制の改善・強化に向けた次のような施策の具体化が考えられ、現在事務局において、順次その実現に向けた作業に着手している。
○ スタッフの質的充実を図るため、当面の対応として、リサーチ・センターに監査法人等から若手の有資格者を採用し、また、実務指針等の開発に当たって案件ごとに「プロジェクト・マネジャー」の派遣を受け入れる。
○ さらには、中長期的視点から、職員の中から適格者を選別し、特別の教育、育成を行い、また、求人に当たって当初から一般職とテクニカル・スタッフに区分した採用を行う。
○ スタッフの体系的教育実施のため、段階的・継続的教育カリキュラムの編成・実施、定期的な勉強会の開催、関連諸機関への教育出向、職員の自己啓発奨励のための補助を企図する。
○ 職員の能力評価及び処遇制度において、特別昇給制度の活用、実績主義の徹底を図り、専門職制度の導入を検討する。また、IT基盤整備の推進により事務局作業の一層の効率化を図る。
2.改革案
(1) 事務局のあるべき姿
自主規制機関としての協会の事務局は、執行部はじめ理事会等が行う協会活動全般を側面からバックアップするとともに、事務局自らが協会の目的達成のために必要な施策を検討し、必要に応じて執行部はじめ理事会等に積極的に提言し、実行に移すことができる自発的な組織を目指す必要がある。
また、会計・監査等の専門領域における時事的な課題や各種検討テーマに対して、協会が戦略的かつ機動的に提言や実務指針等を公表するに当たって、調査研究体制を構築するなど事務局として全面的に支援できる体制を早急に整備する必要がある。
その際、協会組織の一部として事務局が具備すべき要件は、次のとおりである。
@ 環境変化をいち早く察知し、これに対応できる戦略性と機動性をもった組織
A ボランティアに過度に依存しない、持続可能性のある会務運営を支える強固な組織
B 効率性と財務の健全性を備えた組織
以上のことを踏まえ、事務局体制に関し、以下の改革を実施する。
(2) 専務理事制の導入
@ 会長及び副会長を補佐して会務運営に携わり、会務の調整や、対外的な会務の継続性を維持するため、事務総長に代わる専務理事制を導入する。
専務理事は、現在の事務総長制度と同様に事務局のトップであり、会務運営とともに事務局業務にも責任を有するものとする。
A 会長(及び副会長)は、主として対外的な「顔」として会務を執行し、事務局のトップとしての専務理事は、主として現場の責任者として常務執行理事の分掌する会務を調整し、会務を執行する責任を有するとともに、内部的な事務局業務に対しても責任をもつこととなる。したがって、その名称は事務総長ではなく「専務理事」とする。
B 専務理事の具体的な職務は概要以下のとおりとする。
ア.総会、役員会等に対する支援
a. 総会、理事会、常務執行理事会、正副会長会議、地域会会長会議等に出席し、意見を述べる。
b. 総会、理事会、常務執行理事会、正副会長会議、地域会会長会議等に提出される議案、資料について事前のレビューを行う。
c. 理事会、常務執行理事会における議決権を有する。
d. 協会を取り巻く状況を継続的に調査・検討し、必要な場合には、協会執行部に適宜助言を行う。
e. 協会の戦略、方針に従い、予算(案)の策定にあたって必要な調整を行うとともに、財務の健全性を確保するための必要な助言と調整を行う。また、予算の執行状況を把握する。
f. 会員と協会との良好な関係を維持発展させるため、適宜必要な処置が講じられるよう協会執行部に必要な助言を行う。
g. 国内外の政府や規制当局、基準設定主体、他の職業専門家団体等との連携を確実なものとし、更に発展させるため、必要な助言と支援を行う。
h. スポークスマンとして活動する会長等に、必要な助言と支援を行う。
イ.協会役員や会員によるボランティアと職員との円滑な連携を図る。
ウ.協会の戦略や方針に基づいた会務執行を確保するために必要な調整を行う。
エ.会長が決裁しなければならない事項については、事前にその妥当性等について検討を行う。
オ.協会の職員及び各種資源を、効率的かつ効果的に運用できるように指揮監督する。
カ.協会事務局の人事権を有し、職員を任命する。
C 専務理事は、公平性及び透明性を確保するため、会員又は会員外の学識経験を有する者のうちから公募し、会長が副会長と協議の上選任し、理事会が承認した上で総会に報告するものとする。
専務理事は、協会の事務管理業務と会務執行における専門的分野への関与の双方に関わることから、会員であることを必須要件とすべきとの意見もあるが、あくまでも人物本位と考え、会員が望ましいが、ここでは会員であることは必須要件とはしないこととする。
D 専務理事は有給常勤とし、その契約期間は、原則として5年間で更新可能とする。ただし、理事会は専務理事の解任権を持つ。なお、原則として、定年は65歳とする。
E 協会が単一会としての機能を果たすため、専務理事は、各地域会の会長、事務局(本部及び各地域会)と必要な連携を取るための適切な措置を講ずる責任と権限を有するものとする。
すなわち、専務理事は、協会本部事務局について指揮監督する責任と権限を有するとともに、各地域会についても各地域会会長との緊密な連携のもとで、各地域会の事務局長等を指揮監督する責任と権限を有する必要がある。
(3) 事務局体制の改善・強化
事務局では、上述(1)のあるべき姿の実現に向け、以下の観点から、具体的なアクション・プランを策定し、鋭意作業を展開してきているので、これらの推移を見守りつつ、執行部として適宜適切な助言等を行っていくこととする。
@ 協会活動全般を、側面からバックアップし、協会の目的達成のために活動する自発的な組織を目指す。
A 常に戦略的、機動的に提言や実務指針等を公表できるよう協会の調査・研究体制を構築し、事務局として全面的に支援できる体制を早急に整備する。このためにも事務局職員の専門性を高める必要がある。
B 事務局体制の改善・強化に向けた施策の具体化が必要であり、3年を目処に運用できる体制を整え、可能なところから実行する。また、目的達成のために事務局は継続的に問題点の把握及び改善活動を行う。
C IT基盤整備の推進等により、地域会を含む事務局の一層の効率化を図る。
なお、これらの検討に当たっては、協会が単一会であることを念頭に、本部事務局と地域会事務局が一体となって一つの事務局を形成しているとの認識のもとで、それぞれ双方向での意思疎通を促進し、協力して会務の遂行を支援していくことが求められる。
(提案の背景)
質的に充実した、機動的な事務局体制のためには、事務局の専門性を高めることが必要である。事務局は、委員会報告等の起草を行うとともに、委員会での議論に基づいて、草案の修正を独自に行えるレベルの専門性を具備すべきである。
事務局の業務の一層の合理化、効率化をはかるため、協会の現状の業務内容全般を見直し、必要に応じて事務局が実施している業務の切り捨てを行なうべきである。
事務局運営の合理化、効率化の一環として、特に事業として可能なものは、企画と運営を区別し、運営は別法人化すべきとの意見がある。別法人化のメリット、デメリットについて検討し、有効なものについて対応すべきと考える。
また、事務局体制の改革のためには、職員や組合との円滑な労使関係を築く必要があり、事務局体制の改革に伴う事務局費用の増加が協会財政に与える影響も検討すべきである。
なお、現在、事務局においては、次の項目について、アクション・プランを策定し、前述の観点から鋭意その実現に向けた作業を展開してきている。
ア.スタッフの専門性の向上
(ア) 「専門職制度」の導入
(イ) 体系的、継続的教育の実施
(ウ) 能力評価、処遇制度の改善
イ.その他の事務局効率化対策
(ア) 事務局業務の一部の別法人化の検討
(イ) IT基盤整備による業務の効率化
第二部 協会機構改革大綱案
以下は、上記各改革案を基に、今回の協会の機構改革に係る会則及び関連規則の変更大綱として取りまとめ整理したものである。
なお、冒頭記載したとおり、具体的な役員の選出方法は、ここに示された機構等改革の基本的考え方を踏まえ、今後、その詳細を検討することとしている。
また、細則等で規定すべき手続等の詳細は、引き続き検討していくこととしており、事務局体制の強化については、現在実施中の改善強化策も含め引き続き改革を進めていくこととしている。
T 協会役員、役員会改革に係る変更要綱案
1.役員改革に係る変更要綱案
(1) 役員定数(会則第43条関係)
@ 協会に、83名以内の役員を置く(役員総数で4名の減員)。
A 本会に会長1名、副会長7名以内、専務理事1名、常務執行理事27名以内、監事4名以内を置き、その他の役員を理事とする。
B 上記@及びAのほか、会長が特に必要と認めた場合には、常務執行理事2名以内を会長が会員のうちから指名できることとする(当該常務執行理事については、理事会が任免権をもつ。)。
(2) 役員の職務(第44条関係)
@ 会長は、本会を代表し、会務を総理し、理事会及び常務執行理事会の議長となる。
なお、会長には本会から報酬を支給する。
A 副会長は、会長の定めるところにより会長を補佐するとともに、本会会務を分掌する。また、会長に事故があるときは、会長があらかじめ定めた順によりその職務を代理し、会長が欠けたときはその職務を行う。
B 専務理事は、会務の執行に関し会長及び副会長を補佐するとともに、本会の会務を総括的に掌握し、常務執行理事が分掌する会務の調整を行う。また、事務局職員(リサーチ・センター研究員及び地域会事務局職員を含む。)を統轄する。
C 常務執行理事は、会長の定めるところにより本会会務を分掌し、執行する。
D 理事は、理事会の議決に加わるほか、理事会において会務に関し質問し、又は意見を述べることができる。
E 理事はその10名以上の同意を得て、会長に対し理事会の議案を提出することができる(現行は5名以上の同意)。
F 監事は、会務の執行及び財務を監査し、これを総会に報告する。ただし、財務書類に関する監査は、会計監査人による監査の結果の報告を受けるものとする。
G 監事は理事会及び常務執行理事会に出席して、その職務に関し意見を述べることができる。
H 監事は、会計監査人の選任に関する議案を理事会の議を経て総会に提案するものとする。(会則第37条の総会審議事項に会計監査人の選任に関する件を追加する。)
なお、会計監査人の報酬は、監事会の提案に基づき理事会が定めるものとする。
I 監事をもって監事会を構成する。
(3) 専務理事制の導入(第44条、第44条の2、第45条の2、第121条ほか関係)
@ 専務理事は、理事会及び常務執行理事会の議決に加わるほか、理事会、常務執行理事会及びその他の会議に出席して会務及び事務に関し質問し、又は意見を述べることができる。また、総会において事業及び会務に関する報告を行うことができる。
A 専務理事は、常勤とし、その報酬は本会から支給する。
B 専務理事は、公募により会員又は会員外の学識経験を有する者のうちから会長が副会長と協議の上指名し、理事会の承認を得た後、総会に報告する(総会までに相当の日数があるときは、総会の報告に代え書面をもって会員に通知することとする。)。
なお、理事会には専務理事の解任権を併せ付与する。
C 専務理事の契約期間は原則5年とし、更新可能とする。また、原則として定年は65歳とする。
(4) 役員の任期(第46条関係)
@ 現行どおり、会長、副会長、理事及び監事の任期は3年(定期総会において就任し、就任後第3回目の定期総会終了の時まで)とする。
A 現行会則第45条により、連続して再選できないものとされている会長の選任については、再選できるものとする。
2.役員会改革に係る変更要綱
(1) 理事会(第47条、第49条関係)
@ 理事会は、会長、副会長、専務理事、常務執行理事及び理事をもって構成する。
A 理事会は会長が招集し、理事会構成員の過半数が出席しなければ開会することができない。
B 理事会における議決は、出席者の過半数をもってする。可否同数のときは議長(会長)が裁決する。
C 理事会構成員の3分の1以上から理由及び議案を附して請求があったときは、会長は、理事会を招集しなければならない。
D 理事会は、会員からの委任を受け、会務の執行を監視するとともに、次に掲げる事項を審議決定するほか、事業及び会務の状況につき会長から定期的に報告を受けた事項及び常務執行理事会から負託された事項につき、協議するものとする。
(ア) 総会に附議すべき議案に関する事項
(イ) 事業計画案、収支予算書案及び前年度の決算に関する計算書類案並びに予算の科目間の流用又は予備費の使用に関する事項
(ウ) 専務理事、外部理事、指名常務執行理事及び外部監事の任免に関する事項
(エ) 重要な職員の任免に関する事項
(オ) 総会から委任された事項
(カ) 法第46条の9の規定による建議及び答申に関する事項
(キ) 上記のほか、会則、規則及び細則によって理事会に附議することを要する事項及び会員の身分に関する事項等会長が特に必要と認めた事項
(2) 常務執行理事会(第50条、第51条関係)
@ 常務執行理事会は、会長、副会長、専務理事及び常務執行理事をもって構成する。
A 常務執行理事会は会長が招集する。
B 常務執行理事会における議決は、出席者の過半数をもってする。可否同数のときは議長(会長)が裁決する。
C 常務執行理事会は、会員からの委任を受け、会則に定める範囲内で会務の執行に関し、次に掲げる事項を審議決定するほか、会務の執行に関する重要な事項につき、協議するものとする。
(ア) 会長、副会長、専務理事及び常務執行理事の会務の執行に関する事項
(イ) 理事会及び総会に提出すべき議案に関する事項
(ウ) 官公署その他の渉外に関する事項
(エ) 各種委員会等に対する諮問並びに各種委員会等からの答申及び意見具申に関する事項(審議決定後の公表等の取扱いを含む。)
(オ) 各種委員会等の委員の委嘱等その運営に関する事項
(カ) 上記のほか、会則、規則及び細則によって常務執行理事会で審議決定することを要する事項及び会務の執行に関し会長が特に必要と認めた事項
(3) 地域会会長会議(第69条関係)
@ 本会に地域会会長会議を置く(常設化)。
A 地域会会長会議は、地域会会長及び担当の常務執行理事をもって構成する。
B 地域会会長会議に、議長及び副議長を置く。議長及び副議長は、地域会会長である構成員の互選により決定する。
C 地域会会長会議の議長及び副議長は、本会の副会長となる。
D 地域会会長は、地域会会長会議に出席し、本会の事業及び会務の執行状況に関し質問をし、又は意見を述べることができる。また、地域会会長は、本会の事業及び会務の状況に関し、所属地域会の会員に定期的に報告するものとする。
3.役員選出改革に係る変更要綱
(1) 会長の選出方法(第45条関係、役員選挙規則ほか)
@ 会長は、会員から選挙で選出された次期理事予定者の内からその立候補に基づき推薦委員会が推薦した会長候補者を、選挙で選出された次期理事予定者が信任することによって選任する。
なお、直接選挙によらない会長の選任であるため、会員の総会議案提案権に係る会則第38条の2の規定を援用し、300名以上の会員からの請求に基づき、会長解任のための臨時総会が開催できることとする。
A 推薦委員会は、その時点で会務を担当している会長並びに副会長、常務執行理事及び理事(ただし、立候補する者を除く。)のうちから理事会が選任した役員5名(計6名)、理事会が定める区域から選出された当該区域を代表する会員6名、会員外の学識経験を有する者1名をもって組織する。
B 会長の立候補要件及び選考要件その他必要な事項は、推薦委員会規則(仮称、以下同じ。)をもって定める。
なお、会長は、会務に関する十分な知識と理解を有しなければならず、また、少なくとも80%以上は会務に従事しなければならない旨など会長としての必須要件を細則等に明示することとする。
また、会長には一定の報酬を本会が支払うこととする。
C 推薦委員会による会長選出の基本的な流れは概ね次のとおりとする。
ア.本部役員選挙
イ.推薦委員会構成員の決定
ウ.推薦委員会による立候補の受付
エ.推薦委員会による会長立候補者の公示
オ.選考要件に基づく推薦委員会による会長候補者の選考(立候補者に対する面接等を含む。)
カ.推薦委員会における会長候補者の決定(推薦)
キ.次期会長の選任経過の会員への報告−ニュースレター
ク.推薦委員会による次期役員への会長候補者の選考経過、理由及び結果の報告・説明並びに次期役員による会長候補者の信任決議
なお、会長候補者が信任されなかった場合には、会長候補者全員を被選挙者とする直接選挙を実施する。
ケ.信任された次期会長及び次期役員による当選者会議−次期執行部の形成
コ.次期執行部の発足(定期総会)
(2) その他の役員の選出方法
@ 副会長のうち2名は、地域会会長会議(後掲)の議長及び副議長をもって充てる。
A 専務理事は、会員又は会員外の学識経験を有する者のうちから会長が副会長と協議の上選任し、理事会の承認を得た後、総会に報告する。
B 地域会会長(地域会会長会議議長及び副議長は除く。)を理事に充てる(本部選挙を経ない。)。
C 理事には会員外の学識経験を有する者(「外部理事」)2名を含むものとする。外部理事は総会に出席することができる。
D 監事は、理事会が定めた各区域から、当該区域に属する地域会の地域会会長の総意により推薦を受けた会員をもって充てる。なお、監事には会員外の学識経験を有する者(「外部監事」)1名を含めるものとする。外部監事は総会に出席することができる。
E 上記@乃至D以外の役員は、会員のうちから選挙によって選任し、再選を妨げない。
F 上記@、B及びEによって選任された役員の互選により、5名以内を副会長とし、27名以内を常務執行理事とする。ただし、常務執行理事については、このほかに2名以内を会長が会員のうちから指名できることとする(会長指名による常務執行理事については、理事会が任免権をもつ。)。
U 委員会改革要綱案
1.各種委員会の会則上の位置づけの変更
(1) 以下の、会員の権利義務及び身分と直接的に関係する会議体、会務執行や事務の管理が主たる職務の会議体、会務執行から独立させた会議体、モニタリング機関並びに公認会計士法により会則記載事項とされている会議体は、引き続き、会則上の特別な委員会とする。
@ 綱紀審査会
A 不服審査会
B 選挙管理委員会
C 登録審査会
D 資格審査会
E 継続的専門研修制度協議会(CPE協議会)
F 継続的専門研修制度推進センター(CPE推進センター)
G 実務補習協議会
H 修了考査運営委員会
I 品質管理委員会
J 品質管理審議会
K 監査業務審査会(新・監査業務審査会)
L 監査問題特別調査会
M 監査業務モニター会議
(2) 次の会議体は、会則上の特別な委員会から常任委員会にその位置づけを変更し、関連規則、細則を整備する。
@ 倫理委員会
A 品質管理基準委員会
B 機関誌編集員会
C 監査基準委員会
D 租税調査会
E 経営研究調査会
F 業務開発推進協議会
G 中小事務所等施策調査会
V 支部機構改革要綱案
1.地域会設置基準等の変更(第58条関係)
(1) 地域会設置の原則的な基準を「財務省財務局及び沖縄総合事務局の管轄地域ごと」から「理事会の定める区域ごと」に改める。
(2) 地域会は、地域会規約に定める地域ごとに1部会を置くことができる。
(3) 地域会に設置する部会への会員及び準会員の帰属は、「居住地」を基準とすることができるよう、各地域会規約を改めるようにする。
2.地域会の活動状況に係るアセスメント(第65条関係)
(1) 地域会の会長は、各事業年度の計算書類に加えて、事業計画、収支予算書及び事業報告書を会長に提出することとする。
(2) 各地域会から報告された事業計画、収支予算書、事業報告書は、地域会会長会議においてアセスメントすることとする。
3.地域会会長会議の常設化(第64条、第69条関係)
(1) 本会に地域会会長会議を置く(現行会則第69条で「会長が会務の執行につき必要があると認めるときに開くことができる」とされている地域会会長の会議を地域会会長会議として常設化する。)。
(2) 地域会会長会議の議長及び副議長を本会の副会長とする。
(3) 地域会会長を本会の理事とする。
W 監査業務審査機構改革要綱案
1.監査業務審査会と監査・綱紀事案検討会の統合(第89条の2、第89条の2の2、第89条の3関係)
(1) 監査業務審査会と監査・綱紀事案検討会を統合した新たな機関を設置する。なお、名称は「監査業務審査会(以下、「新・審査会」という。)」とする。
(2) 「新・審査会」は、会員の監査実施状況及び監査意見の妥当性に関する案件並びに会員の倫理に関わる案件について調査し、必要と認めたときは会長の承認を得て、会則第33条に基づき会員に勧告又は指示することを職務とする。
また、調査の結果、監査制度に重要な関わりがあると認めた場合には、監査問題特別調査会の設置を、綱紀審査会に案件審査を要請する必要があると認めた場合には、綱紀審査会への審査要請を、それぞれ会長に意見具申することを職務とする。
さらに、上述以外の措置が必要と認めた場合には、会長に必要な措置を意見具申し、会長の承認を得て当該措置を講ずることを職務とする。
(3) 「新・審査会」は、調査に必要と認めたときは、会員及び準会員から報告を徴し又は質問をし、かつ資料の提出を求めることができる。
(4) 「新・審査会」の調査案件に関し、監査を遂行する主体としての公認会計士又は監査法人の品質管理体制に問題があると認められる事項が発見された場合には、その旨を会長及び品質管理委員会に報告するものとする。当該報告を受けた品質管理委員会は会長の指示に基づき必要な措置を講ずるものとする。
なお、現行会則第88条第3項では、品質管理委員会が品質管理レビューの結果、公認会計士又は監査法人が表明した監査意見の妥当性に重大な疑念が生じた場合には、その旨を会長に報告し、会長は適切な措置を講ずることとしている。
本項前段の監査業務審査会からの会長への報告及び後段の品質管理委員会からの会長への報告については、会長を交え関係機関の担当役員が連絡協議することとする。
(5) 「新・審査会」の調査の結果、会則第33条に基づく勧告又は指示を受けた会員等は、その勧告等に基づく改善措置を講じなければならない。
「新・審査会」は、当該改善措置の状況につき会員から報告を受け確認するものとする。
(6) 「新・審査会」は、監査業務モニター会議にその活動状況を定期的に報告する。
(7) 「新・審査会」は、役員(ただし、監事は除く。)のうちから常務執行理事会において選任される15名の委員をもって構成し、委員長及び副委員長若干名を置く。任期は役員任期に連動させる。
(8) 「新・審査会」には、必要に応じて作業部会を設けることができる。
作業部会は、「新・審査会」の委員長から指名された「新・審査会」の委員及び常務執行理事会において会員のうちから選任する作業部会委員をもって構成する。常務執行理事会において選任された会員である作業部会委員の任期は、担当する案件処理が終了するときまでとする。
2.会則第33条に基づく勧告又は指示の運用強化、及び監査業務審査会と品質管理委員会とのさらなる連携強化(第33条、第88条関係)
(1) 品質管理レビュー制度における同一事項に関する指摘事項(注:限定事項ではない場合も含む。)が度重なるにもかかわらず改善されない場合、品質管理委員会から報告を受けた会長は、監査業務の辞退勧告などの会則第33条の勧告又は指示を発するよう、運用する。それでもなお改善が見られない場合においては、綱紀審査会に懲戒処分の審査を要請することとする。
(2) 品質管理委員会は、品質管理レビューの結果、公認会計士又は監査法人が表明した監査意見の妥当性に重大な疑念が生じた場合に加え、会則規則の準拠性に重大な疑念が生じた場合についても、その旨を本会の会長に報告する旨を会則第88条第3項に明記する。
3.「新・審査会」の審査手続の明確化(監査業務審査会規則関係)
(1) 「新・審査会」は、必要な審査手続等を定め理事会に報告するものとする。
4.監査業務モニター会議のモニタリング範囲の拡大
(1) 綱紀審査会及び不服審査会の活動状況を監査業務モニター会議に定期的に報告するものとする。監査業務モニター会議は、この報告を基に両機関が取扱う事案の概要の公表を会長に提言することとする。
以 上
d機構改革大綱_要約版
平成17年12月8日
公開草案「協会組織ガバナンス改革大綱案」について − 要約版
(注:本要約版と報告書全文の項番号は、必ずしも一致しません。)
はじめに
日本公認会計士協会(以下「協会」という。)は、平成17年年頭に公表した「中期行動指針」を踏まえ、自主規制機関である協会に求められる組織とガバナンスのあるべき方向性を検討すべく正副会長戦略会議を設置し、その結果、7月定期総会では協会組織ガバナンス改革の第一弾として、綱紀事案処理体制の再構築と総会運営の見直しを手がけた。
協会組織ガバナンスのその後の検討を進める中、大型粉飾決算事件などディスクロージャー制度の信頼を損なう事件が発生し、公認会計士・監査法人による会計監査が社会的役割・機能を果たしているのかという疑問が呈されたのみならず、協会における自主規制活動、特に品質管理レビュー及び監査業務の審査制度等についてその実効性が問われることとなった。こうした公認会計士を取り巻く環境を踏まえ、公認会計士制度の信頼を回復するには、その中核を成す監査業務について会員個々人の監査実務を改善するとともに、協会はより強固な自主規制機関とすべく、早急に組織ガバナンスを見直さなければならないことが確信された。
協会を取り巻く現在の厳しい環境を踏まえ、協会執行部では組織ガバナンス改革の第二弾として、より戦略性・機動性をもった組織、すなわち事業遂行型組織への転換、また、そのための協会会長の強いリーダーシップの発揮と健全なガバナンス体制の構築を念頭に、(ア)協会機関の中核を成す役員会、(イ)これを構成する会長をはじめ各役員の機能及び選出方法、(ウ)会員への指導・連絡・監督など協会の目的を達成するために欠かせない支部のあり方、(エ)自主規制機関として会員の監査業務の質的水準の維持・向上を図るべく個別監査業務を審査する監査業務審査制度のあり方、(オ)これらを支える事務局体制のあり方などを主なテーマとして検討に着手した。
協会が自主規制機関であるには、
@ 社会から信頼される組織、そして社会をリードしていく組織(パブリック・インタレストの擁護)
A 環境変化をいち早く察知し対応できる組織、つまり戦略性と機動性を持った組織
B 透明性と中立性を持った健全なガバナンスを備える組織
そしてその組織体制として、
C 持続可能性のある会務運営を支える強固な事務局体制、ボランティアに過度に依存しない組織
D 効率性と財務の健全性を持った組織
また、広範な会員を結集する組織体として、
E 協会本部と地域会活動との連携が強く、また地域会の特性を尊重する組織
F 会員の参加意識が高く、また、会員としての誇りがもてる組織
が必要である。正副会長戦略会議は、@機関構成、A支部機構、B会長等選出方法、C役員選出方法、D監査業務審査機構、E事務局体制等の6つの検討作業部会を設け、組織ガバナンス改革の第二弾として6月及び7月と2度にわたり会員各位に方向性と構想を示した。そして提出いただいたご意見を踏まえ、理事会において鋭意、改革要綱案の内容の検討を行ってきた。
このたび、改革の骨格を成す大綱が取りまとまったので、会員各位にこれを公開し、その忌憚のないご意見を募ることとした。以下、概要を5つのテーマに分けて示すこととしたい。
T 協会役員組織及び委員会組織の改革
1.検討のポイント
@ 協会機関、すなわち理事会と常務理事会の「監視機能」と「執行機能」との明確化
A 理事会審議事項、その6割強を占める各種委員会答申等の審議方法の見直し
B 理事会の「監視機能」の強化・・・ガバナンスを担う理事の構成割合増、外部理事の登用
C 監事機能の見直し、外部監査の導入
D 答申等の審議議決が常務理事会に委ねられる委員会等の常任委員会化
2.改革案
(1) 機関構成の見直し
@ 協会機関を会員の委任を受けた「会務執行を監視するとともに重要議案を意思決定する理事会」と「会則の定める範囲内で会務執行する常務執行理事会」から構成する。
A 理事会への会務執行監視機能の付与に伴い、理事会と常務執行理事会の審議事項等の見直しを行う。特に委員会答申等の審議・議決は、今後は常務執行理事会で行うことを基本とする。
B 理事会の議事に(ア) 会長による事業及び会務報告、(イ) 常務執行理事会から提案のあった事項の協議を追加し、理事会のガバナンスが有効に機能するよう工夫する。
(2) 役員定数等の見直し
@ 基本的な役員構成は次のとおり。
改革提案 現 行
役員総数(最大) 83名以内 87名以内
選挙による
会 長 76名 以内 1名 ・本部役員選挙当選者から選出。 1名
副会長 7名以内 ・5名は本部役員選挙当選者から選出。 ・2名は、地域会会長の互選による地域会会長会議正副議長。 8名以内
理 事 68名以内 ・ただし、地域会会長は本部役員選挙によらず理事となる。 ・理事総数は、副会長就任数により変動することがある。 71名以内
理事のうち27名以内は常務執行理事 理事のうち33名以内は常務理事
選挙によらない
専務理事 1名 ・会員又は会員外から選出 1名 (事務総長)
外部理事 2名以内 ・会員外から選出 −
監 事 3名以内 ・地域会会長の推薦で会員から選出 6名
外部監事 1名 ・会員外から選出 −
※ 上記のほか、特に必要がある場合には、会長指名による非選挙の常務執行理事2名以内を追加できることとする。例えばITや国際のような分野が考えられる。
A 副会長は、現行の会長の補佐に加え、本会会務を分掌する。
B 本部と地域会の連携強化のために地域会会長会議を常設とし、併せ地域ブロック担当の執行理事を設ける。
C 監事の役割を見直し、監事会を設置するとともに、会計監査について外部監査を導入する。
(3) 審議方法等の見直し
@ 理事会での議論が活発化してガバナンス機能が有効に働くように、また、理事の会務への参加意識が上記(1)Aにより低下しないように、理事会内に分科会を置く。分科会では、理事へ常務に属する会務の執行状況の情報を提供した上、理事と活発に意見交換する。
A 役員会の審議事項等の見直しに伴い、理事会の開催は削減される。また、各種委員会の運営規定も整理する。
U 協会支部機構の改革
1.検討のポイント
@ 会員の協会会務への参加意識向上のための、地域会活動の活性化の促進
A 協会機関構成見直しに伴う、本部と支部の役割、本部会務執行との連携のあり方の見直し
B 支部(地域会)及び部会(部会、地区会、県会等)の要件の明確化
2.改革案
(1) 地域会事業活動の総点検、及び地域会設置基準の見直し
@ 各地域会は、表に示す地域会及び部会としての要件を再確認し、それぞれの事業活動の総点検を自身にて行う。要件に見合う事業活動が十分に展開されていない場合には、今後1年以内を目途に組織体制の整備を含め、その改善に努める。
地域会の要件 部会の要件
【会員の業務に関連する事業に関する事項】
r 地域会内の国又は地方公共団体等の機関との会員業務に関する折衝 r 地域会内の他士業等関連諸団体との折衝 r 地域会の指示に基づく国又は地方公共団体等の地元窓口との折衝 r 地域会の指示に基づく他士業等関連諸団体の地元窓口との折衝
r 会員業務に係る地域会内での業務推薦等の実務上の対応プログラムの検討・実施 r 地域会の指示に基づく業務推薦の実施
【研修等に関連する事業に関する事項】
r 統一的な集合研修の実施(研究大会等の開催母体) r 地域会内の研修会、研究会等の企画立案・実施(地域性を考慮した研修計画の立案を含む。) r 実務補習所の設置・運営(必要に応じて) r CPE履修推進母体 r 会員事務所の品質管理体制の充実支援・強化に係る本部施策の周知徹底 r 研修施設の確保 r 研修会の実施協力
【広報に関連する事業に関する事項】
r 新聞の地域版を通じた制度PR、公認会計士の日の行事など地域広報の企画実施 r 地域会の指示に基づく地元の大学・高校等教育機関への制度説明の実施
【情報伝達に関連する事業に関する事項】
r 本部情報の部会への伝達 r 地域会内の会員意見の集約と本部への伝達 r 部会内の会員のネットワークの形成 ・本部情報の迅速な伝達 ・部会会員意見の集約と地域会への伝達
r 本部委員会委員等の推薦(候補者の育成を含む。) r 本部との連結環としての本部役員の輩出
r 地域会内の会員異動の把握と本部への連絡 r 地域会内の会員相互間の連携促進と懇親 r 部会内の会員相互間の連携促進と懇親
【地域会設置のための外形的ガイドライン】
r 今後新たに組織する地域会は、地域会内に所属する会員及び準会員の合計数が、原則500名以上であること
r 地域会会費を徴収し、管理すること
r 事務局を設置し運営していくこと
A 部会が、地域会としての要件を満たす場合、地域会への再編を推進支援する。
B 各地域会の自己点検に加え、本部「地域会会長会議」が、地域会の事業計画、活動実績、財政状態等のアセスメントを実施する。
C 現行の地域会設置基準「財務省財務局及び沖縄総合事務局の管轄地域ごと」は見直す。
(2) 地域会各部会組織の促進及び部会帰属基準の見直し
@ 会員の(地域会内の)部会への帰属は、「居住地」基準も選択できるよう地域会規約の変更を推進する。なお、地域会への帰属は、現行の「主たる事務所」基準を維持。
(3) 財政その他の諸問題
@ 協会の財政構造の見直しとともに、各地域会財政のあり方も今後1年を目途に見直す。
V 協会会長等の選出方法等の改革
1.検討のポイント
@ 会長職務の重要性の増大及び協会の規模の拡大に鑑み、より強固な組織ガバナンスを構築するため、会長の要件を明らかにし、その選出方法をより有効なものとする。また、会長は有給とする。
2.改革案
(1) 会長の要件の明確化
@ 会長には、会務に関する十分な知識・理解が必須である。また、本会会務への従事割合は最低でも80%は確保するべきである。
その上、表1の要件を求める。
(2) 会長の任期及び処遇
@ 制度改正以後に就任した会長の任期は、今後公認会計士制度の激変もあり得る事態に備え、再任を可能とするよう手当てする。
A 会務へ専念してもらうため、一定の報酬を支払う。
(3) 会長の選出方法・・・会長の間接的な選出への移行
@ 会長・理事などの種別を問わない一括した本部役員選挙をほぼ現行の選挙区ベースにて実施。
A 現理事会が、推薦委員会(表2参照)を設置。
B 推薦委員会が、本部役員選挙にて当選した者のうちから会長立候補者を募り、表1の要件を満たすか等を検討の上、推薦者を絞り込む。
C 推薦委員会から推薦のあった会長候補者について当選者会議が信任決議(過半数の同意)を行うことにより、会長を間接的に選出する。(ここで承認が得られない場合、推薦委員会が検討した立候補者全員を被選挙人として直接選挙を実施することを予定。)
D 副会長の選出も間接的な選出方法とし、当選者会議で互選により5名以内を選出し、これに地域会会長会議正副議長2名が加わる。また、常務執行理事は、現行の常務理事と同様、当選者会議で選出する。
E 監事の選出は、東日本及び西日本の各地域会会長が3名(東日本2名及び西日本1名)を推薦し、当選者会議が信任決議を行う。
F 会長の選出方法を間接的な選出方法へ移行することに伴い、会長の解任手続を制度化する。
(4) 会長指名による役員選出など
@ 特に専門性などが要求される分野で必要がある場合、会長指名(非選挙)により常務執行理事2名以内を追加できることとする。例えばITや国際のような分野が考えられる。
A 会長が長期不在あるいは欠けた場合にその職務を代行する副会長の順位をあらかじめ定める旨を会則上に明記することとする。
W 協会の監査業務の審査制度及び品質管理レビュー制度の改革
1.検討のポイント
@ 近時の大型粉飾決算への公認会計士関与の事件を契機として、協会品質管理レビューに替わって、CPAAOBが直接に立入検査する直接規制方式にすべきという議論がある。
A 自主規制機関として会員の監査業務等の質的水準の維持・向上を図り、監査に対する社会的信頼を確保するため、監査事務所の品質管理状況をレビューする「品質管理レビュー制度」の充実とともに、個々の監査業務を審査する「監査業務審査制度」の強化が必須。
B 審査スピードと、フォローアップ(勧告又は指示を行った後の手当て)の改善がポイント。
2.改革案
(1) 監査業務審査会の組織改革
@ 個別監査事案の処理を扱う監査業務審査会と監査・綱紀事案検討会を統合し、調査の効率性と機動性を確保する。なお、統合後の名称は「監査業務審査会」とする。
A 新・監査業務審査会の審査体制を強化する(表3参照)。
B 特定調査案件の作業部会では、監査の品質低下につながるような不当な低廉報酬による監査の実態調査も行う。
(2) 新・監査業務審査会の職務と手続の強化
@ 新・監査業務審査会は個別事案に係るフォローアップを重視し、会則第33条の勧告又は指示を行った場合、品質管理レビュー制度と同様に、関係会員に対して改善状況の報告を求めるなど、規則上に所要の手当てを行う。
A 審査過程の透明性を確保するために、事案把握から照会や審査を経て結論に至るまでの審査手続等を明確化し、審査記録をより充実する。
(3) 品質管理レビュー制度の強化
@ 品質管理レビュー制度において、同一事項に関する指摘事項(注:限定事項ではない場合も含む。)が度重なるにもかかわらず改善されない場合がある。
今後このようなケースは、品質管理委員会から報告を受けた会長が監査業務の辞退勧告などの会則第33条の勧告又は指示を発し、さらに同勧告又は指示にも従わない場合には綱紀審査会に審査要請して懲戒処分の検討対象とするように運用する。
(4) 監査業務審査制度と品質管理レビュー制度との連携強化
@ レビュー対象である大会社等以外の監査契約や、品質管理レビュー対象外の監査事務所の品質管理体制及び監査契約はレビューされていない。これらに対し、少なくとも新・監査業務審査会の審査において監査事務所の品質管理体制に重大な問題があると認められる事項が発見された場合、特別にレビュー対象にできるよう制度等の構築を検討する。
A 現在、品質管理レビュー基準に基づき品質管理レビューの拒否又は非協力等の場合も会長に報告しているため、会則上も所要の手当てを行う。
(5) その他所要の手当て
@ 個別事案の公表のあり方・・・綱紀処分案件や処分しない案件のうち、社会的影響が大きい事案で、会長が公益のために必要かつ適当と認める場合に限り、関係会員名等を具体的に公表できる方策など。
A 審査期間の延長及び除斥期間
B ケーススタディ公表の充実・・・問題事案の予防的措置や再発防止を講じるための方策
X 協会事務局体制の強化
1.検討のポイント
@ 会長職務の、社会的責任が増大し、質的・量的にも拡がりつつある現在、事務局に戦略性・機動性・持続可能性・効率性が欠かせず、これらの機能を補完する専務理事制を導入する。
A 協会が自主規制機関であるためには、その会務運営を支える事務局体制を強固にしなければならない。協会役員組織・委員会組織・監査業務審査制度の改革に当たっては、過度に会員のボランティアに依存することなく、その運営を支える事務局が知識・技能を高めることで、協会活動の有効性を高める。
2.改革案
(1) 専務理事制の導入
@ 専務理事の職務は、本会を代表する会長の会務執行をバックアップし、副会長及び常務執行理事の分掌する会務を調整することを主とし、加えて事務局職員(リサーチ・センター研究員及び地域会事務局職員を含む。)を統轄する。なお、専務理事には、会長が変わった際の対外的な会務の継続性の維持も期待できる。
A 専務理事は、事務総長と同様、常務執行理事会の議決に加わるほか、理事会、常務執行理事会及びその他の会議に出席して会務及び事務に関し質問又は意見を述べ、総会において事業及び会務に関する報告を行うことができる。また、新たに理事会の議決権を付与する。
B 専務理事は、常勤とし、その報酬は本会から支給する。
C 専務理事は、公募により会員又は会員外の学識経験を有する者のうちから会長が副会長と協議の上指名し、理事会の承認を得た後、総会に報告する。
D 専務理事は、協会が単一会としての機能を果たすために、事務局が各地域会会長と必要な連携を取るための適切な措置を講ずる責任と権限を有する。
E 理事会へ、専務理事の解任権を付与する。
F 専務理事の契約期間は原則5年とし、更新可能とする。また、定年は原則65歳とする。
(2) 事務局体制の改善・強化
@ 事務局は、協会活動全般をバックアップし、事務局自らが協会の目的達成のために必要な施策を検討し、理事会等に積極的に提言し、実行に移すことができるなど自発的な組織を目指す。
A 戦略的・機動的に対外的意見発出や実務指針の公表を可能とする調査・研究体制を構築するために、早急に所要の整備を行う。特に、事務局職員の専門性を高める必要がある。
B 事務局体制の改善・強化に向けた施策の具体化が必要であり、その施策を3年を目処に運用できる体制を整え、可能なところから実行する。
C IT基盤整備の推進等により、地域会を含む事務局の一層の効率化を図る。
D 事務局は、前述の観点からその実績に向けた施策を立案し、鋭意その実現に向けた作業を継続的に展開していく。
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